透析の日常生活。制限あってもできることから始めたらいい!

ここでは透析者の日常生活の過ごし方について取り上げています。

血液透析者は、透析に加えて食事療法や薬物療法などは続けていかなけれなりません。

血液透析のための通院や治療時間が生活の一部になるほかは、ほぼ普通通りの生活を行うことができます。

ただ隔日透析を行っていくなかで、透析による疲れや体調の変化などを感じることもあり、仕事や家事などに多かれ少なかれ影響が出ることはあります。

ここからは、透析の生活で出てくる様々な質問や疑問点について、説明していきます。

1.「毎日、血圧測定をしなければならないのですか?」

透析中、毎時間血圧を測っているのと同じように、生活上でも「血圧を測定をし記録していくこと」が大事になってきます。

なぜ大事かというと、一般的には50~60%もの透析者が高血圧であると言われ、脳出血や脳梗塞、あるいは心筋梗塞になる可能性が極めて高いからです。それらは透析者の死因の上位にも位置しています。

また血圧の記録は、ドライウエイト(基礎体重)を適正にするための一つの情報にもなります。

透析日、非透析日、透析前後、朝昼晩と血圧は違ってきます。
「血圧はいつ測ればいいのか?」ということですが、朝昼晩の決まった時間にできればベストです。

固定し継続して測りたい時間帯は「朝の起床時の血圧」がとされています。

血圧は毎日計測していくものなので、血圧計は用意しておきましょう。ついでに、シャントの自己管理のため(シャント音を聞くため)にも聴診器も一緒に購入したほうが良いでしょう。

2.「シャントはどう管理していけば良いですか?」

長期的に透析をするうえでシャントは必要不可欠なものです。
「シャントを長持ちさせる」ことが大事です。

シャント部分の音と、実際に触れて触れて拍動が正常かどうかも確認もしましょう。

シャント側の腕は負担をかけないように気をつけます(たたいたり物に強くぶつけない、腕時計をしない、腕で重いものを持ったり、カバンや買い物袋などをぶらさげない、シャント側の腕で血圧測定や採血をしないなど)。

感染症対策も大切で、常に清潔を保つようにしましょう(透析日は浴槽での入浴は避ける、穿刺した付近を爪などでひっかけないなど)。

大量の除水による血圧の低下や下痢等の脱水症状などでもシャントの「狭窄」や「閉塞」に陥る原因になるので、気をつけましょう。

詳細は「シャントの自己管理」を参照してください。

3.「透析者は運動ができるのですか?」

運動はやや制限付きながらできます。

透析者の運動不足はよく指摘されていて、体力の目安である「酸素消費量」が低かったり、骨格筋量の減少、末梢動脈疾患(PAD)による歩行障害などがみられます。

やや制限付きというのは、「運動の程度やどのような運動が適しているか?」という点です。

①中・長距離マラソンや登山などの無酸素運動は避け、有酸素運動(散歩やラジオ体操など)を行いましょう。

②バスケットやバレーボール等、シャントに衝撃を与えるような球技、転倒しやすい運動などは避けましょう。

シャントの管理のうえでは、穿刺をしやすく長期的に使い続けるためにも「シャント運動」を行いましょう。単調ですが、グリップや軟式テニスボールを握ったり離したりの繰り返しで、血管を鍛えることができます。

4「透析しながら旅行・出張はできるのですか?」

透析をしながらですが、旅行はできます。
国内旅行・出張であればほぼ可能です。

国内では「旅行透析」とか「臨時透析」という形で、病院側の受け入れの環境が整っています。

必ずしも希望する日、時間帯に透析できるとは言えませんが、相談次第です。

旅行透析や臨時透析では別途持ち物(窓口で支払う医療費や保険証・特定疾病医療受給者証、私物など)が必要なので、あらかじめ確認しておきましょう。

海外旅行もできます。「海外透析旅行」というものです。

透析できる海外の病院やその周辺地域の情報等の入手、カルテや個人情報など渡航・透析に必要な準備物、透析費用の会計まですべてを行うには、初心者にとって骨が折れ難易度が高いものです。

国内には透析者を専門とした旅行会社(旅行代理店や海外透析予約代行専門業者)があります。

サイトやパッケージツアー、クルーズ等を組むことができます。

一般の人のかかる旅行費用よりは値段は張りますが、その方が安心・安全ですね。

海外透析でかかった費用は費用は、健康保険の「海外療養費」での手続きが必要です。

なお国内・海外旅行に関わらず、透析者が旅行する前後や旅行中には、で注意すべき事項もあります。予期せぬアクシデントが発生するかもしれません。必ずかかりつけ医のほか、現地の主治医にも相談して、状況を説明し指示を仰ぐことが必要です。

5.「透析者はアルコールや喫煙は大丈夫ですか?」

「透析者にとってはあまり良くないと言えるでしょう。アルコールや喫煙が絶対禁止ということではありません。

透析者は毎日の水分管理が求められます。アルコールは結局のところ水分なので、1日に摂取できる水分量の、適量の範囲内で飲酒する事が求められます。

つまみなどの食べ過ぎは塩分の摂りすぎにつながり、また水分を欲しがる原因になります。

体内では、老廃物・水分が残ることになり体重を増やすことになります。

飲みすぎた結果、ドライウエイト(基礎体重)の5%超で、通常4時間のうちに(除水速度でも上げるとしても、急激な除水は低血圧や血管の収縮など体への負担が大きい。限度がある)透析時間内で除水することはできません。当然、次回の透析に持ち越しとなってしまします。

喫煙は体内外に健康の被害が大きく、デメリットのほうが大きいことはよく知られています。
血管を収縮させる働きがあるので、透析者の死亡原因である心不全や悪性腫瘍、貧血や高血圧など様々な病因(=合併症)につながっているので、できるだけ避けるべきでしょう。」

6.「透析者はサプリメントを摂っていいの?」

透析者はふだんから食事療養を行っています。

例えば、P(リン)やCa(カルシウム)のほうも制限を行っています。

「骨がスカスカ(=骨密度が低い)」「骨折」「骨粗鬆症」になることに強い心配、不安を抱いています。その分何かしらサプリメントから栄養補給をしたいとと考えます。

一般の人と同じように市販サプリを飲めば、栄養分を摂り過ぎたりしているかもしれません。

個人でサプリメントの輸入しても、それがどんな成分が入っているか、体にどんな影響があるのかどうかは分かりません。

市販薬を含め様々なタイプのサプリメントが出ています。
安易に飲むことは避けるべきです。

基本的には、食事療養での食事と透析(透析液には血液に近い濃度の電解質等が。腎性貧血には、鉄剤注射)だけで十分だと言われています。

透析食と同様に、透析者向けのサプリも出ているので、自分にはどのようなサプリメントを試したいのか、どんなサプリメントが適しているかなどを、今の栄養状態などのデータを見ながら医師に相談してみましょう。

7.「透析者は感染症に注意して!」と言われるのなぜ?

透析者は一般の健常者と比較しても免疫力は弱いものです。
急な発熱や長引く風邪をはじめ、インフルエンザなどは特に要注意です。このような初期症状が出たと感じたら、すぐに医師に報告しましょう。

インフルエンザの場合をあげますが、血液透析は長期間(長時間)にわたって集団治療を受けるため、透析者本人はもちろん、そのまわりの人(他透析者や家族、スタッフ等々)の間でも影響が出てきます。早めの時期にインフルエンザ対策を施すように優先接種の対象となっています。

もしインフルエンザにかかった場合などは、透析室から隔離、別室で透析をしてもらうなどの対応・処置等が行われます。

8.「ケア」に関して。

透析者に必要なケアには、様々ありますが、見落としがちな歯や脚、心についてみていきます。

「歯のケア」について。
健常者でも歯の治療には無頓着であったり、行きたくないという人はいます。気になるのは、4時間もの透析中に食事をすることがあると思います、が、その後は歯磨きはできません。看護師による口腔ケアをお願いしたいところでしょうが、忙しいので期待できません。結局放置になりがちでありませんか?(歯磨きガムを噛むなどの簡単な口腔ケアは必要です。)

「透析者は歯科で虫歯等の治療できるのか?」ということです。
現状の透析中はほぼできません。(歯科治療を行っているところはほぼ無い)。

虫歯や歯周病などこれらは口の中で起きている「感染症」です!
何も風邪やインフルエンザ、乾癬・・・だけが感染症ではありません。見落としてはなりません!
透析にまた歯科に通うなど面倒に感じるでしょうが、非透析日などに治療にあてて、歯も衛生的に保てるようにしておきましょう。

「脚のケア」について
透析者は運動不足であり、骨格筋量の減少が顕著です。。
「末梢動脈疾患(PAD)=足の血管が細いくなる」にもなりやすいです。

原因は、通常4時間もという透析でベッド漬け。ほぼ身動きができない、しない状態が続くからです。

ほかにも「むずむず脚症候群」もあって、(これといった解決方法があるわけではないので、)睡眠障害になりやすくなります。

いずれにしても、有酸素運動(散歩やラジオ体操など)などを取りいれて予防していきましょう。

「心のケア」
透析は生活の一部になっていきますが、身体つまり透析に疲れや体調不良は分りやすいと思います。

しかし、仕事や家事した後で「通院しなければならない」とか、「長期的な治療であること」から来るストレス、透析者や医師・看護師、仕事上の上司や同僚間などの人間関係、賃金減などによる経済的不安、配偶者や子ども、親などの家庭的問題など、「透析」と一緒に考えなければならないので、心労を何かと抱え込みやすいです。

相談できる人、相談できるシステム(事例:全腎協では専門家による無料電話相談を実施)などを探して、解決・解消して負担を軽くしていきましょう。

9.「昨今災害が多いですが・・・透析は大丈夫ですか?」

透析に通院することが「生活の一部」となっています。
イザ透析ができないときにどうしたら良いのかに困ったり、準備疎かにしてしまったりすることがあります。

「透析できなくなるような災害時のために備えできてますか?」
「災害時に透析ができなくなったら、食事はどうしますか?」
「災害時に透析ができなくなったら、薬はどうしますか?

「東日本大震災」や「平成30年7月豪雨」などで、透析病院でのライフラインが断絶した結果、透析をすることが非常に困難になりました。

どうにか遠方の医療機関にどうにか手配することで「透析することができた」といったことがありました(ネットワークはありますが、透析者自身だけでは、ほぼ何もできません)。

このようにふだんから医師による巡回、看護師や栄養士との会話や相談などでも付き合いは大事になってくるのではないでしょうか。

また各病院で、地域にもよりますが、透析の患者会たるものがあります。「腎友会」などがそうです。

地域ならではの活動(勉強会や福祉活動、ボーリング大会、国会への請願活動、病院側との提携など)を行っています。

いかがでしたか?様々な場面があったと思います。
透析時間の確保や食事療法などから制限がきつかったり、若干緩めであったりします。

そのようななかで、自分でできることを見つけ出し、始めると良いですね。

典型的な透析者の運動不足とストレスの解消に向けて、一番簡単な散歩を取り入れてみてはいかがですか?

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