旅行透析で東京観光を満喫!病院・交通が便利な都市部と地方の違いを解説

2018年10月27日

旅行透析で東京観光を満喫!病院・交通が便利な都市部と地方の違いを解説
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更新日: 2026年10月13日

旅行透析、東京観光が充実!

 

惜しまれながら「寝台列車がなくなってしまった」と嘆いているうちに、また復活の兆しが出てきましたね。「あの寝台列車に一度は乗りたかったな〜」とつぶやきながら、今では豪華列車の旅やツアー、夜行バスも楽しめるようになりました。

定番でかつ王道的な交通手段といえば、新幹線・飛行機といったところでしょうか。格安航空(LCC)も普及し、内装やサービスに工夫を凝らした夜行バスも増えています。(ただ内心では、大型バスや鉄道の運転士不足が深刻化している現実問題が心配でもあります。)

ホテル付きの宿泊券や現地ツアーといった選択肢も増えました。しかし血液透析をしていると、車中泊やツアーへの参加が難しくなります。参加する場合は、必ず治療時間を確保して透析をすることが絶対条件です。

言うまでもなく、透析は必須だからです。

車中泊やツアーに参加するための”壁”は、正直なところ高めです。あれこれ試行錯誤しなければならないことがたくさんありますが、できないことではありません。上手に組み合わせれば、より遠くまで行動範囲が広がり、旅行を思い切り楽しめます。(以下、旅行透析とします。)

・はじめての旅行透析なら、首都圏・都市部から楽しむことをお勧め
・時間には余裕を持ち、疲れすぎないスケジュールを組む
・地方への旅行透析は試行錯誤が必要。透析できる病院が遠い場合もある
・トラブル・アクシデントに遭遇したら、まず病院へ連絡を!
・台風・地震・線状降水帯などの災害時は、透析間隔が空かないよう早めに動く

病院を探す方法や段取りを知りたい場合は、「旅行・出張先で臨時透析。病院を探す方法・段取り教えます!」もご覧ください。

旅行透析してみて。東京は観光に病院、交通も充実!でも……。

はじめての旅行透析なら、まずは東京などの都市部(首都圏)で楽しむことをお勧めします。

端的に言えば、旅行透析先では透析時間が最低限の4時間に設定される場合があります。ふだん4時間以上の透析をしている方なら、少々不安や不満を感じるかもしれません。それでも、東京などの都市部(首都圏)は観光・博物館・美術館・レジャーが充実しており、鉄道・地下鉄・バスなどの交通網が発達していて、病院や観光地への移動がしやすいからです。

旅行透析で注意しなければならないこととして、「透析時間の設定」「観光地での病院の選び方」「交通手段の確認」などがあります。

透析時間は先ほど述べた通り、本来5時間のところを4時間や4.5時間に調整することもあります(予約段階で病院と確認・了承しているはずですが)。

人気ある観光地では、希望する時間帯での透析ができないこともあります。そうした場合はほかの病院を探す選択肢もあります。

旅行透析において最もわかりやすい違いが、東京のような都市部と地方とでは「病院へ行くまでの交通手段がまったく異なる」という点です。

東京都内に住む透析患者なら、山手線や地下鉄沿線の病院で透析を受けている方も多いでしょう。確かに、東京は世界的にみても物価が高く、車や駐車場の維持費も馬鹿になりません。渋滞に巻き込まれて一向に進まないこともある。そのため、鉄道や地下鉄・バスといった公共交通機関での通院が一般的です。

しかし地方在住の透析患者からすれば、東京への旅行透析は勝手が違います。「地下鉄網が複雑すぎて分かりづらい」「どこの駅で降りればいいのか見当もつかない」「どのバス路線に乗ればいいのか?」といった戸惑いが生じます。

病院の「旅行透析のご案内」や透析の総合サイトには住所や交通手段が載っていますが、きちんと行けるかどうかはまた別問題ですので、事前の確認は必須です。

【旅行透析の事例①】地方に住んでいるAさんの場合

旅行透析まずは都市部で楽しもう

Aさんは東京で、観光と観劇をしたいために旅行の計画を立てました。東京都内(または首都圏)であれば、旅行透析ができる病院の選択肢が広がり、鉄道・地下鉄をはじめとした交通網が発達していて動きやすいです。午前・午後の時間を観光や観劇に充てたいので、夜間透析を希望しています。

東京観光・観劇&夜間透析 スケジュール例
9:00〜13:00上野:国立博物館・美術館で催しを鑑賞
13:00〜13:30移動(上野→劇団四季劇場)
13:30〜16:00劇団四季で観劇
16:00〜17:00移動・休憩・食事
17:00〜22:00頃近隣クリニックで夜間透析
22:30〜体調と相談しつつ、映画館のナイトショーも検討可

※夜間透析は事前予約・紹介状が必要な場合があります。体調や移動時間に十分な余裕を持ったスケジュールを組みましょう。

簡略すれば、上記のようなスケジュールが可能です。うまくいけば映画館(ナイトショー)もありですね(笑)。旅行でちょうど良い疲れ具合になったところで、夜間透析を入れる。これが都市部旅行透析の醍醐味です。

病院だけではなく、交通機関や周辺のお店なども下調べは必要です!

「駅から10分なら歩ける」「バスが一定期間循環していて便利!」「近くにコンビニもあり、食事も購入できる」といったように、自分なりの条件(許容範囲)を決めて病院を選んでみてください。調べていくなかで条件が合わなければ、少々緩めてみることも選択肢の一つです。

余談になりますが、オーバーナイト透析(深夜〜早朝にかけて行う透析)ができる病院もあります。これを組み合わせることで、日中の時間を最大限に観光に使えます。検討する余地はありそうです。

東京などの都市部(首都圏)での旅行透析では、鉄道・地下鉄・バス・タクシーの情報がスマホから簡単に得られることが大きなメリットで、観光や病院への移動は概ね楽です。

しかし、車両点検や人身事故、台風・地震などの天災が発生すると、いとも簡単に交通網が麻痺してしまい、遅延・運休・渋滞が起きます。これは逆にデメリットでもあります。透析患者にとっては、旅行透析先への到着時間や透析時間そのものに影響が出る可能性があります。

余裕を持ったスケジュールを組み、透析に十分間に合うように旅行を楽しむことが大切です。

東京での旅行透析 メリットとデメリット 
メリット・透析受け入れ病院の選択肢が多い
・鉄道・地下鉄・バス・タクシーが充実
・スマホで経路・時間をすぐに確認できる
・夜間透析・オーバーナイト透析対応の施設がある
・観光スポット・飲食店・コンビニが豊富
デメリット・地下鉄網が複雑で初めての人は迷いやすい
・人身事故・天災で交通網が麻痺することがある
・物価・タクシー代が高め
・旅行透析の透析時間が4時間に短縮される場合がある

【旅行透析の事例②】都市部(首都圏)に住んでいるBさんの場合

一方、地方となるとその逆で、車は生活必需品です。車やタクシーなどが主要な移動手段となります。もちろん鉄道やバスなどの公共交通機関もありますが、本数は限られています。

たとえば、旅行先で「夜間透析」を選んだ場合。透析終了後に駅なりバス停までの移動はもとより、

「電車やバスなどの公共交通機関は運行していますか?」
「滞在先のホテル・旅館までの移動時間も含めていますか?」
「チェックインは大丈夫ですか?」

……いろいろ考えなければならないことが出てきます。

地方で旅行透析するとき「病院へ通いづらい」「思った以上に動けない」といったことが起こり得るのです。

地方への旅行透析もできる!でも準備は万全で

Bさんは「青森のねぶた祭り」を観たいと考えています。ねぶた祭りは、日本を代表する大迫力の夏祭り!東北の夏を彩る熱狂的なお祭りで、6日間と期間が長く観光ツアーでも大変人気です。特に夜のねぶたは見応えがあります。

住んでいる首都圏から新幹線か飛行機で行き、現地ではレンタカーを借りて移動しようと考えています。スケジュールや体力に余裕があれば、ほかの東北三大夏祭り(※)にも行けたらとの構想も練っています。

※46個もの提灯を稲穂に見立てた「秋田竿燈まつり」、伊達政宗公の時代からはじまったとされる「仙台七夕まつり」。威勢の良い掛け声と花笠太鼓の勇壮な音が響く「山形花笠まつり」も加えて東北四大夏祭りと数えることもあります。

青森ねぶた祭り旅行&透析 スケジュール例
1日目(移動日)東京駅から新幹線、または羽田空港から青森空港へ移動。青森市内ホテルにチェックイン、レンタカー手配。夕方から市内観光やねぶた祭り前夜祭(8月1日のみ)を楽しむ
2日目〜(祭り本番)午前〜午後は観光や休憩で体力を温存。夕方はホテルで早めの夕食・休憩。夜はねぶた祭り観覧(18:45〜21:00頃)。21:30〜22:00頃に夜間透析クリニックへ移動し透析(22:00〜翌2:00など)。深夜にホテルへ戻り休息
3日目以降体調や予約状況により、秋田竿燈まつり・仙台七夕まつりなど他の東北夏祭りも検討可

※夜間透析は青森市内・近隣の対応クリニックを事前に予約。ベッド数が限られるため、早期予約が必須です。

青森のねぶた祭りに行く場合、現地での病院予約がうまく取れなかった場合には、たとえば祭りの後に夜のうちに青森→盛岡(または函館)へ移動して、翌日の午前・午後に透析を受けるといった工夫もあります。逆転の発想が必要です。

地方での旅行透析は移動そのものも大変ですから、無理をしないようにしてください。

事例①と同様に、下調べは必須です!

スマホの地図アプリを信じた結果、「意外と移動距離が長かった」「予想以上に時間がかかった」ということはよくあります。

旅行透析先の病院や滞在先となるホテル・旅館だけではなく、コンビニ・スーパー・飲食店・ガソリンスタンドなど、その周辺地域についてもくまなく調べておきましょう!

地方旅行透析 事前チェックリスト確認のポイント
透析病院の予約早い者勝ち。旅行日程が決まり次第すぐ予約・電話確認を
ベッド数・受け入れ可否地方は施設数・ベッド数が少ない。複数の候補を持っておく
透析後の交通手段夜間の公共交通は本数が少ない。レンタカー・タクシーを手配
ホテルのチェックイン時間深夜着になる可能性を事前にホテルへ伝えておく
周辺施設の確認コンビニ・飲食店・薬局・ガソリンスタンドの場所を把握
代替透析施設予約が取れなかった場合の近隣都市(盛岡・函館など)の施設も調査

 

旅行透析と災害・トラブルへの備え

Travel Dialysis and Preparing for Disasters and Emergencies

旅行透析において見落とせないのが、「天災・大規模災害が発生した場合のリスク」です。これは都市部・地方を問わず透析患者全員に関わる重大な問題です。

健康な方であれば、台風・地震・大雪などの天災に遭遇しても、駅・新幹線の車内・空港ロビーで長期間待機することができます。しかし透析患者は、透析をしなければならないため、長期の足止めは命に関わります。

透析の間隔が中3日(72時間)以上開いてしまうと、体内に老廃物や余分な水分が蓄積し、尿毒症に近い状態になります。高カリウム血症による不整脈・心停止のリスクも高まります。透析患者にとって「中3日を避ける」ことは最優先事項です。

大規模災害時に透析患者がとるべき行動

過去の大規模災害では、透析患者が被災地で深刻な状況に置かれた事例が多くあります。代表的な災害を以下にまとめます。

災害名・発生年透析患者への主な影響対応のポイント
北海道胆振東部地震
(2018年9月)
最大震度7。道内全域でブラックアウト(大規模停電)が発生。透析装置が使用不能になった施設が続出道内・道外の施設への緊急搬送・移送が行われた。透析関連の情報を早急に収集することが重要
能登半島地震
(2024年1月)
最大震度7。道路寸断により透析患者の搬送が困難に。断水による透析液の確保が問題に石川県・富山県・新潟県の施設が連携して透析患者を受け入れ。患者の情報共有と迅速な移送が命をつないだ
令和8年熊本地震
(2026年7月)
7月28日発生、Mj7.1・最大震度7(宇城市・氷川町)。県内86の医療機関が被災し停電・断水が発生。透析施設94カ所のうち最大13カ所が機材損傷・断水で透析実施困難となり、患者の転院・搬送を余儀なくされた。透析液は大量の水を必要とするため、断水は透析継続に直撃する熊本・福岡・鹿児島などの近隣県施設がDMAT(災害派遣医療チーム)と連携して患者を受け入れ。旅行中であれば宿泊先から離れた県外施設への搬送が必要になる場合もある。透析施設・かかりつけ病院への早急な連絡が最優先
台風・大雪・線状降水帯による交通麻痺
(各年・増加傾向)
台風・大雪に加え、近年は線状降水帯による局地的な猛烈な雨(1時間50mm以上)が急増。愛知・岐阜などで線状降水帯が発生した際には東海道・山陽新幹線が運転を見合わせるなど、広域の交通網が突然麻痺するケースが増えている。旅行透析の予定日と重なると、入室時間や透析そのものに影響が出る天気予報・気象庁の「線状降水帯発生情報」を旅行前日から当日朝まで継続確認する。移動日には余裕を持たせ、悪天候が予想される場合は前倒し移動やキャンセル・振替の早期判断を。「計画運休」の事前発表にも注意

旅行透析中に大規模な災害やトラブルに遭遇した場合、透析患者がとるべき行動の基本は以下の通りです。

  • まず旅行透析先の病院に連絡する……入室時間の変更・延期が可能かを確認
  • かかりつけ病院にも連絡する……状況を共有し、近隣の別施設を紹介してもらう
  • 透析患者支援の公的窓口を活用する……都道府県の災害時透析医療情報システム(DITS等)や日本透析医会の緊急連絡先を把握しておく
  • 医療情報カードを携帯する……透析条件・使用薬剤・アレルギー・かかりつけ病院の情報を記したカードを常時携帯する

旅行透析には、トラブル・アクシデント・天災地変はつきものです。「透析のことも考えたうえでの旅行計画」であることを、常に忘れないでください。

夏は北海道、冬は沖縄といったように、台風・大雪・地震といった天災のリスクが比較的低い時期・地域を選んで旅行するのも一つの賢い選択です。ただし近年は、季節を問わず線状降水帯による局地的な大雨が増加傾向にあり、旅行先や移動ルートで突然の交通麻痺が起きる可能性があります。旅行前日から当日の天気予報・気象庁の「線状降水帯発生情報」を必ず確認する習慣をつけておきましょう。

まとめにかえて

私は某地方都市に住んでいます。東京や首都圏へ旅行透析をする際は、できるだけ滞在期間が長くなるように旅行を楽しんでいます。

今振り返れば、透析を開始して初めて行った旅行先が「東京」でした。「本当に病院にたどり着けるか」「持ち物に過不足はないだろうか」と心配でした。病院へ向かうまで、健康なときにはない変な不安感と緊張感だけが先走っていたのを今でも覚えています。

当時は透析の総合サイトなど存在せず、かかりつけ病院から現地の病院情報を3〜5件提供してもらい、電話で空き状況を一軒一軒確認するしかありませんでした。病院までの地図も、簡易マップで補っていたのです。

電話は必須!
電話で確認することは、今でもとても大事です。
トラブル・アクシデントに遭遇したときこそ、電話で直接確認を!

「はじめて」の東京での旅行透析では、地下鉄ですぐ移動できる都内の大きな病院で透析を受けました(当時は午前透析でした)。

ふだん夜間透析をしているため、午前透析を受けることになれば、日中の観光時間が削られてしまいます。自分なりに「もったいないことをしたな〜」というのが正直な所感でした。午前透析後の疲労感は半端なく、午後の観光が「体力的にきつい」と感じたのも事実です(ふだん日中は仕事をして夜間透析に慣れているからでしょうね)。

今後は北海道や沖縄といった遠方にも行ってみたいと思っています(健康なときには行ったことがあるのですが……)。夏は北海道、冬は沖縄というように、天災のリスクをできるだけ避けながら旅行を楽しむのも一つの考え方だと思っています。

透析患者にとって中3日が空くと、尿毒症に近い状態になり心身ともにきつくなります。旅行中に「中3日」を避けることは、何よりも最優先で守らなければなりません。

旅行にトラブル・アクシデント・天災地変はつきものです。プラス透析のことも。このことは絶対に忘れないでください!

そのような状況になった場合の透析患者のとるべき行動については、今後別の記事で詳しく紹介できればと思います。

【参照】病院を探す方法・段取りを知りたい場合は、「旅行・出張先で臨時透析。病院を探す方法・段取り教えます!」もご覧ください。