惜しまれながら寝台列車がなくなってしまったと嘆いているうちに、また復活の逃しが出てきましたね。
「あの寝台列車に一度は乗りたかったな〜」とそうつぶやき、思い浮かべているうちに、車中連泊ありの豪華列車に関する旅行やツアー、高速バスなどが楽しめるようになりました。
定番でかつ王道的な交通手段といえば、やはり新幹線・飛行機といったところでしょうか。
そこに格安航空(LCC)も出てきて、対抗すべく内装や付属サービス・オプションに凝った夜行バスなども出ています。
ホテル付交通宿泊券、現地ツアーといった選択肢もありますね・・・。
しかし血液透析をしていると、それら車中泊やツアーに参加しづらくなります。
参加する場合は、必ず治療時間を確保して透析をすることが大前提にあります。
透析は必須だからです。
車中泊やツアーに参加する”壁”は、ほんとうに高め!
あれこれ思考錯誤しなければならないことがたくさんありますが、できないことではありません。
車中泊やツアーを上手に組み合わせれば、より遠くまで行動範囲が広くなり、旅行が楽しめます。
(以下、旅行透析とします。)
・時間は無理の無いように、疲れやすくならないように
・地方への旅行透析は、いろいろ思考錯誤が必要。透析できる病院は遠くにあるかも
・トラブル・アクシデントに遭遇したら、まずは病院へ連絡を!
病院を探す方法や段取りを知りたい場合は、こちらの
「旅行・出張先で臨時透析。病院を探す方法・段取り教えます!」も参照してみてください。
旅行透析してみて。東京は観光に病院、交通も充実!でも・・・。
はじめての旅行透析なら、まずは東京などの都市部(首都圏)で楽しむことをお勧めします。
端的に言うならば、透析時間は最低限の4時間と設定される場合があり、ふだん4時間以上の透析をしている人なら少々不安、不満を覚えるかもしれません。
それでも、東京など都市部(首都圏)は、観光や博物館・美術館、レジャーなどが充実していて、交通機関があって交通網も発達し、観光や透析にも移動しやすいからです。
旅行透析で注意しなければならない事として、「透析時間の設定」や「人気ある観光地での病院の選び方」「交通手段」などがあります。
透析時間は先ほど述べた通り、本来5時間で設定いるところを4時間や4.5時間といったように調整することもあります(←予約の段階ですでに了承していると思いますが)。
人気ある観光地では、自分の希望する透析時間帯でなくなったりすることもあります(←これも予約の段階で了承しているのであれば、別ですし他の病院を探す手段もあります)。
もっとも旅行透析で分かりやすいのが、東京のような都市部(首都圏)と地方とでは、病院に行くまでの交通手段が全く違う、といったような場合です。
東京や都内に住んでいる透析者なら、山手線や地下鉄沿線にある病院などで透析を受けている方もいるでしょう。
事実、世界的にみても物価が高く、車や駐車場代の維持・管理費もバカにならない、渋滞に巻き込まれて一向にすすまないなど、それなりの問題はあります。
そのため会社通勤と同様に、透析には鉄道や地下鉄、バスといった公共交通機関を利用しているのが一般的です。
しかし地方在住の透析者からすれば、東京のような都市部(首都圏)への旅行透析は、様相が異なります。
東京といっただけで「地下鉄網が複雑すぎて分かりづらい」「どこの駅で降りれば良いのかさっぱり見当つかない」「どのバス路線に乗って、乗り換えればよいのか?」といったこと、起きてしまいます。
病院の「旅行透析のご案内」や透析の総合サイトには「住所」「交通手段(行き方)」など載ってはいますが、きちんと丁寧に説明されているか、きちんと行きつけるかどうかはまた話は別問題ですので。
【旅行透析の事例①】地方に住んでいるAさんの場合
Aさんは東京で、観光と観劇をしたいために旅行の計画を立てました。
東京都内(または首都圏)であればまず、旅行透析ができる病院の選択肢は広がり、鉄道や地下鉄をはじめとした交通網が発達していて動きやすいので、午前・午後の時間を有効に活用しながらも、観光と観劇を楽しみたいと考えていました。なので、夜間透析を希望です。
【ルート】
上野:国立博物館・美術館で催しを鑑賞(9時~13時)~移動~ ⇒劇団四季(13時半~16時)~移動~ ⇒近隣で旅行透析(17時~22時) |
といったスケジュールが可能です。
上手くいけば、映画館(ナイトショー)もありですね(笑)。
旅行でいい疲れ具合になったところで、夜間透析を入れます(←夜間透析ができる病院を探しましょう)。
病院だけではなく、交通機関や周辺のお店なども下調べは必要です!
「駅から10分なら歩ける」「バスが一定期間循環していて便利!」「近くにコンビニもあり、食事も購入できる」といったように、自分である程度条件(許容範囲)を決めてみて、病院を選んでみてください。
いろいろ調べていくなかで、条件(許容範囲)が合わないのであれば、少々緩めてみるのもありです。
また余談にはなりますが、オーバーナイト透析のできる病院もありそれを組み合わせることで時間を最大限に使えるので、検討する余地はありそうです。
東京などの都市部(首都圏)での旅行透析では、鉄道や地下鉄、バス、タクシーといった情報はスマホから簡単に得られることがメリットで、観光や病院への移動には、概ね楽です。
しかし、車両点検や人身事故、天災が発生してしますと、いとも簡単に交通網が麻痺してしまい、遅れや運休、渋滞してしまうのは、逆にデメリットでもあるのです。
透析者にとっては、旅行透析先での入室時間や透析時間そのものに影響を与えるということです。
余裕持ったスケジュールを組んで、透析にも十分に間に合うように、旅行を楽しむようにしましょう。
一方、地方となるとその逆で、生活していくうえではほぼ車は生活必需品であり、車やタクシーなどが主要な移動手段となります。
もちろん鉄道やバスなどの公共交通機関はあります。
例えば、あなたが旅行上で「夜間透析」することを選んだ場合。
透析終了後、駅なりバス停までの移動はもとより、
「電車やバスなど公共交通機関は運行していますか?」
「(そこには)滞在先のホテル・旅館までの移動時間も入っていますか?」
「チェックインは大丈夫ですか?」」・・・。
いろいろ考えられることが出てきます、これを不便、面倒とでも言うのでしょうか。
地方で旅行透析するとき「病院へ通いづらい」「思った以上に動くことができない」といったことが起こり得るのです。
【旅行透析の事例②】都市部(首都圏)に住んでいるBさんの場合
Bさんは、「青森のねぶた祭り」を観たいと考えています。
ねぶた祭りは、日本を代表する大迫力の夏祭り!東北の夏を彩る熱狂的なお祭りです。
6日間と期間が長く、観光ツアーでも大変人気があり、特に夜のねぶたは大変見応えがあります。
この期間中に、住んでいる都市部(首都圏)からは新幹線か飛行機で行き、現地からはレンタカーを借りて移動しようと考えています。
もしスケジュール的に時間的余裕があったり、透析や旅行によって疲労感をあまり感じず体力が残っているのであれば、ほかの東北3大夏祭り(※)に行っても良いかもしれないな〜と、構想を練っています。
※46個もの提灯をさげて稲穂にみたてた「秋田竿燈祭」、伊達政宗公の時代からはじまったとされる「仙台七夕祭」)。威勢の良い掛け声と花笠太鼓の勇壮な音が鳴り響く「花笠まつり」も入れて、東北4大夏祭りと数えることもあります。
時期的にみて、青森のねぶた祭りを観てみたいと思ったのなら、早めにしかもこまめに旅行透析の予約をしておかないと、透析を受け入れてもらえない可能性が高いです(宿泊施設(ホテル・旅館)もそうですが・・・)。
ねぶた祭りが行われる青森市や弘前市といった地域性から、鉄道やバスの出る本数も少なく、祭りだからと、臨時列車・バスが走るとはいっても、運行時間もそんなに遅めまでしていません。
それから当然ですが、都市部(首都圏)と比べても圧倒的に病院数も少ないです。少ないということは、受入れできるベッド数も限られているということです。
病院選びはできても「旅行透析OK!」と回答もらえるかどうか!?
ある種、競争であり先着順であり。早い者勝ちなのかもしれません。
ついでに言えば、基本ベッド数の少ないクリニックや総合病院の場合、旅行透析の受付が非常に難しいです・・・(泣)。
そのため、計画の立てる際には、透析する曜日や時間帯を考慮しつつも、観光のスケジュールと透析の組み入れ方で、あれこれ試行錯誤することになります。
今回の青森ねぶたに行く場合で、現地での病院予約がダメだったの場合などは、例えば祭りの後で、夜に青森→盛岡(または函館)へ移動して午前・午後に透析を行う、といった工夫もあるでしょう。
ここも苦労するところではありますが、逆転の発想は必要です。
旅行そして透析のために移動することになり、それなりに大変なことですから、無理をしないようにしてくださいね。
【旅行透析の事例①】と同様に、下調べは必須!ですね。
スマホ等の地図アプリを信じた結果、意外と移動距離が長かった、予想された以上に時間かかったなどといったことが、よくあります。
旅行透析先の病院や滞在先となるホテル・旅館だけではなく、コンビニやスーパー、飲食店、ガソリンスタンドなど、くまなくその周辺地域については調べておきましょう!
◇まとめにかえて
私は地方に住んでいます。
東京や首都圏へ旅行透析をする際は、できるだけ滞在期間が長くなるように、旅行を楽しんでいます。
今振り返れば、透析を開始して初めて行った旅行先が「東京」でした。
「本当に病院にたどり着けるか」「(持ち物で)何か過不足なものないだろうか」といった心配がありました。
病院まで向かうまで、健康なときにはない一味も二味も違うような変な不安感、緊張感だけが先走っていたのを覚えています。
当時は簡単なつくりのWebサイトがつくられていく「草創期」にあって、透析の総合サイトは存在せず、病院のWEB「旅行透析のご案内」のようなものは、ほとんどありませんでした・・・(笑)。
かかりつけの病院で、旅行するうえで透析するであろう3~5つくらいの現地の病院情報を提供してもらいました。
現在となっては簡単に病院情報を探しだすことができますが、旅行透析のための時間帯や空きベッド数、(病院の)医療姿勢・体制などは分かないので、電話で確認するしかありませんでした。
そして、病院までの地図も、何とか簡易マップで補ってました。
電話は必須!
電話で確認することは、今でも大事なことです。
トラブル・アクシデントに遭遇したときでも!
「はじめて」の東京での旅行透析でしたから、地下鉄ですぐ移動できて、都内では大きく有名な病院で透析を受けました(当時は午前透析で)。
はじめての旅行透析なら、まずは東京などの都市部(首都圏)で楽しむことができたわけですが、ふだんから夜間透析をしているため、午前(または午後)の透析を受けることになれば、日中に観光する時間、楽しむ時間を削ることになってしまうので、自分なりに「もったいないことしたなあ~」というのが所感でした。
私なりに、午前という透析の疲労感は半端なく、その後の午後や夜の観光に、意外と「体力的にきつい」感を感じました(←ふだん日中は仕事をしており、夜間透析していることに慣れてしまっているからでしょうね)。
今後は北海道や沖縄といったような遠いところへの観光地にも行ってみたいですね(←まだ健康なときには、行ったことはあったのですが)。
夏は北海道、冬は沖縄といったように、台風や大雪といった天災(※)から来るリスクをできるだけ避けるべく、旅行を楽しむのもありかなと個人的に思っています。
※平成30年北海道胆振東部地震(2018年9月6日に、最大震度で震度7を観測)
健康のような人のように、天災が出くわしたときに、長期にわたって駅や新幹線等の車内、空港ロビー留まるわけにはいきません。
透析をしなければならないのですから。
透析者にとって中3日も開けるとなるといっそう尿毒症に近くなり、心身共にキツくなってきます。
透析の中3日というのは避けなければならないのです。
旅行にトラブル・アクシデント、天災地変はつきもの。プラス透析のことも。
このことは忘れないでください!
そうような状況になった場合の「透析者のとるべき行動」というのがありますので、今後紹介できればと思います。
【参照】病院を探す方法・段取りを知りたい場合は、「旅行・出張先で臨時透析。病院を探す方法・段取り教えます!」を読んでいただければと思います。