
ここでは、旅行・出張先などで行う臨時透析についてとりあげています。
透析患者でも、特に透析導入者で「血液透析となると、旅行・出張って難しいですよね?」という声を多く聞くことがあります。確かに旅行・出張中は、どうしてもその行程中には透析のための時間を割かなければならないことは事実です。
「面倒くさそう…」「お出かけもできないなあ〜」
いいえ、あきらめる必要はありませんよ!
しっかりとしたプランニングを立てて、透析も組み込めば旅行・出張はできます!
- 旅行・出張先でも臨時透析はできます
- 自分で探す方法…電話予約を推奨します
- 予約する臨時透析の病院から「聞かれる内容」は、ほぼ決まっている
- 透析患者は用意周到を期して取りかかるだけ
旅行・出張先でも臨時透析はできます!
私も20年超透析を行っていますが、この間に何回も旅行を楽しみ、出張にも出かけています。最初の「はじめて」は、さすがに勇気が要りました。
臨時透析の病院との予約のための幾度かのやりとり、現地情報、そして持ち物の準備物…。健康な頃は、旅行・出張先で本当に緊急・急病でもない限り、病院へ行くことなんてそうそうなかったと思います。それが行程上「透析」を組み込まなくてはいけないのですから!
「面倒くさそう…」「お出かけもできないなあ〜」。分かります、その気持ち。でも、諦めないでくださいね。病院を探す方法・段取りを知っておけば、国内での旅行・出張でもできるようになりますから!
旅行スタイル別、臨時透析の考え方
▼ 旅行スタイル別・臨時透析の要否
| 旅行スタイル | 臨時透析の必要性 | ポイント |
|---|---|---|
| 透析のない日だけを使った短期旅行 | 不要 | 例:金曜透析後〜月曜透析前。中2日を使う。ただし食事・水分制限は厳守 |
| 1泊2日(透析をまたぐ) | 必要 | 透析日を旅先の病院で受ける。最もスタンダードな臨時透析の形 |
| 2泊3日以上の長期旅行・出張 | 必要(複数回) | 旅先で複数回透析。病院との連携・持ち物準備が特に重要 |
まず「1泊2日」の期間が、いちばんスタンダードです。透析の無い空いた時間を利用して旅行・出張することができます。近くにある温泉やレジャー、公共施設など楽しんでも良いですし、隣県まで飛び出して翌日帰ってくるもありです。
「1泊2日以上」は好きな時にブラリと行けるところが良いところです。1泊2日以上であれば旅行・出張先での病院で透析を受ければ大丈夫です。
旅行・出張先での病院を知るためには、病院のWebページでは「臨時透析」や「旅行透析」のように、病院案内のなかで知ることができます。
以下、「1泊2日以上」のような場合で、日本国内における旅行や出張、冠婚葬祭のためにお出かけする場合に限定して、説明していきます(以下、臨時透析と言います)。
日本国内の透析施設数は約4,400〜4,500施設(日本透析医学会統計2023年)と非常に充実しており、その多くが旅行透析・臨時透析に対応しています。また「防災対策の一環として、近隣や他県のさまざまな透析施設で透析を受けておく重要性」も近年注目されています。旅行透析を経験しておくことが、万が一の災害時の備えにもなるというわけです。
臨時透析をしている病院を探す方法・段取りは、こうする!
病院にもよりますが、臨時透析を希望する日の「1か月前〜2週間前」までに「電話」にて直接お問い合わせする、といった場合が多いです。
臨時透析を行っている病院を探す方法は、主に3つあります。
▼ 臨時透析の病院を探す3つの方法
| 方法 | 特徴 | おすすめ度 |
|---|---|---|
| ①自分でネット検索→電話 | 自分のペースで情報収集でき、希望条件に合う病院を選べる | ⭐⭐⭐⭐⭐ 最推奨 |
| ②かかりつけ病院のスタッフに依頼 | 病院リストを見せてもらえるが、予約は自分でするケースが多い | ⭐⭐⭐⭐ |
| ③腎友会・全腎協に相談 | 旅先の腎友会ネットワーク経由で情報を得られる(最新追加) | ⭐⭐⭐ |
方法① 自分で探す方法(ネット検索→電話)…電話を強く推奨

まず「自分で探す方法(電話・メール・FAX)」ですがこちらのほうが主であり、楽です。ネット環境があれば、病院ないし透析の総合サイトから探すことができます。
透析の総合サイトならば、病院名はもちろんのこと、住所やTEL、FAX、地図、交通手段(最寄りの駅と所要時間)、治療時間(午前・午後・夜間)などが載っています。「観光地・出張先に近い」「交通移動の手段が楽だ」「宿泊先から行きやすい場所を選べる」など、いろいろと自分のなかにある諸条件から調べていきます。
病院検索に使える主なサイト・ツール
臨時透析を予約する際は、(予め先に)かかりつけの病院とは共有しておいてください。そうしないと、いきなり臨時透析の病院側から電話やFAXが来たり、メールが送信されてきたりということが発生し、「かかりつけの病院」と予約する「臨時透析の病院」との間で情報の錯綜が発生してしまうことがあります。
例えば、かかりつけの病院には、「12/1(水)に名古屋市へ出張予定あります。はっきりと病院が確定次第、また連絡します。」というふうに、まず伝えておきましょう。共有したうえで、臨時透析の病院へ電話をしましょう。
「電話をしましょう」としたのは、メールで予約できるところもありますが、割かし少な目です。なぜなら、予約先の臨時の透析病院では、直接看護師さんなどが予約メールなどを確認するなど、余裕はありません。受付である事務室などが、メールを一括管理している場合が多いです(医療現場は忙しいわけで…)。
しかも事務室などは医療的な事務(会計など)もしています。その分、メールの見落としや削除メール対象になっていたりといった事もあり、意外と二度手間になることが多いです。タイムロスが生じてしまうため、手っ取り電話のほうが早いわけです。
電話にて透析室の看護師さんや臨床工学技士さんに繋がることがあるかもしれませんが、1回の電話で「予約OK」が出ることは稀です。「希望する日のベッド数の空き確認」「スタッフの調整」などいろいろ確認することがあるためです。当日ないし翌日以降に折り返し電話をいただけるでしょうから(こちらから確認の電話を入れたほうがよい)、そのときにはじめて「予約完了」となります。
予約が完了した際、病院の受付担当(看護師さんなど透析スタッフまたは事務担当)の方から、簡単な説明を受けると思います。「病院の行き方、交通手段、食事の有無、持ち物」等々です。
あなたが会社員であれば、PCを使って仕事する機会があるかもしれませんね。PCやスマートフォンの使用可否、ポケットWi-Fiの持ち込みは可能かどうか。電源確保はできるか否か(できない場合は、充電式のみ可というケースも)などです。些細な事、気になることでも電話内で聞いておいたほうが良いです(体験上、別途電気代徴収します、とか電波発生の関係で「持ち込み不可」ですと説明を受けたときがありました)。
予約する臨時透析の病院から「聞かれる内容」はほぼ決まっている
(イメージ的には、宿泊先の予約+αだと思って構わないでしょう。)
【基本情報】
・名前 ・生年月日(年齢) ・住所
【連絡先】
・携帯等の電話番号(予約の際の連絡のとれやすい電話番号と時間帯)※1
・かかりつけ病院の名称・住所・電話番号※2
【透析の希望内容】
・透析を希望する日
・透析を希望する時間帯(午前、午後、夜間、オーバーナイト)
・ふだんの透析時間帯(午前、午後、夜間、オーバーナイト)
・透析の種類(HDFか否か)※3
・食事の予約(または食事の有無)
【その他】
・滞在先とその住所、電話番号(今段階でわかれば)
・家族などその他の連絡先※4
▼ 各注意事項の補足説明
| 注記 | 補足内容 |
|---|---|
| ※1 連絡が取れやすい時間 | 仕事や外出していることが多いと思いますが「昼の時間」とか「透析前の16時から17時の間」なら待機しています、と一言添えましょう。「予約完了」や「透析を希望する時間帯の調整依頼」の連絡があるかもしれません |
| ※2 かかりつけ病院の情報 | 住所と電話番号はすぐ出てきますか?「臨時病院」→「かかりつけ病院」への連絡手段としても確認します。診療情報提供書(紹介状)の送付先にもなります |
| ※3 透析の種類(HDF) | 血液透析濾過(HDF)…従来の血液透析よりも毒素の除去効率が良いとされます。ふだんからHDFをしている方は聞かれるはずです。臨時透析の病院によっては準備できない場合があり、従来の血液透析(HD)を行うことがあります |
| ※4 家族の連絡先 | かかりつけ病院へ提供している家族で概ね可。臨時病院の近くに親・兄弟姉妹・親類がいれば尚更よい |
方法② かかりつけ病院のスタッフさんにお願いする方法
「かかりつけ病院のスタッフさんにお願いする方法」とは従来からある探す方法で、あらかじめ行く日時や地域を定めて、希望する臨時病院を探してもらうのです。かかりつけの病院では、透析病院の一覧「=病院リスト」を備えているはずです。
例えば、広島県呉市あたりに出張予定があるとして、スタッフから該当地域の病院リストやコピーなり、見せてもらえます。そこで「第1、第2、第3候補まで挙げてください」と言われます。
しかし「病院の情報の提供まではしますが、予約はご自分でお願いします!」と言われることもあるでしょう。そのときには、先述した①「自分で探す方法(電話)」の探し方に準じて対応していきます。というのも、仕事が終わって「出張先から病院までの移動〜入室」までにかかる時間や現地での行動などは、透析患者本人でしか分かりませんし、病院スタッフがそこまで関知することはできません。予約した後の報告はきちんと行ってください。
方法③ 腎友会・全腎協ネットワークを活用する
インターネット検索やかかりつけ病院ルートのほかに、もうひとつ頼りになる方法があります。それが全国腎臓病協議会(全腎協)の腎友会ネットワークを活用する方法です。
旅先にある各都道府県の腎友会(全腎協加盟団体)に連絡することで、現地の透析施設の口コミ情報や紹介を受けられる場合があります。公的機関ではありませんが、同じ透析患者の先輩たちが持つリアルな情報は、ネット検索では出てこない実践的なアドバイスが得られます。透析施設のリスト検索と組み合わせると、より心強い!
予約後・予約当日の注意事項
なお、仕事の出張などで、どうしても透析は「夜間のみ」を希望するといった場合があるでしょう。このときは夜間透析を選ぶことになりますし、首都圏であればオーバーナイト透析を行っているところもあるので、検討してもよいでしょう。
以前は日曜透析を受け付けてくれる施設が少なかったのですが、近年は日曜日も対応可能な施設が増えてきています。必ず予約の際に「日曜日の透析は可能ですか?」と直接確認してください。一律に「できない」とは言えなくなっています(2026年現在)。
病院の臨時透析のご案内や透析の総合サイトのほかに、旅行・出張先では「行動」が伴います。Google・Yahoo!検索した際は、病院までの道案内や交通手段・運賃等も調べておきましょう。
パソコンに限らず、今ではスマートフォンやタブレットでも調べることができ、アプリを入れておけば十分に活用することができるでしょう(Googleマップ、Yahoo!乗換案内など)。自分の欲しい情報を得たいのであれば、「自分で探す方法(電話)」のほうが、確実だと言えますね。
なお、「透析」という特性上、まずベッド(透析機材)に空きが無ければ治療を受けることはできません。予約先の臨時透析の病院でも、臨機応変には対応していただけるとは思います。ですが、決まった透析予定の日の透析時間帯で予約したにも関わらず(天災地変はまた別の話です)、自己都合で旅行や出張の行程上の理由で著しく変更し調整してもらうことは、正直好ましくありません。なぜなら、あなたのほかにも同じように旅行や出張で予約し、待機している透析患者がいるかもしれないからです。
臨時透析の費用・医療費について知っておこう【重要】
臨時透析を受けたとき、「費用はどうなるの?」と心配される方も多いはずです。これもとても重要なポイントなので、しっかり補足しておきます。
特定疾病療養受療証を必ず携帯する
透析患者は「特定疾病療養受療証」を持っているはずです。旅行・出張先の臨時透析でも公的医療保険(健康保険)や特定疾病療養受療証が利用できます。健康保険証とセットで必ず携帯しましょう。
都道府県独自の医療費助成は旅行先で使えない場合がある
▼ 臨時透析時の費用・助成の注意点
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 健康保険・特定疾病療養受療証 | 旅行先の施設でも利用可能。必ず携帯すること |
| 都道府県独自の医療費助成 | 旅行先の施設では受けられないことがある |
| 都道府県助成が使えなかった場合 | 旅行後に居住地の市区町村で手続き→助成分を後日支給してもらえる |
| 必要書類 | 旅行先の施設に「診療内容の明細」などを記載してもらう必要がある場合あり。旅行前に自治体の窓口に確認を |
⚠️ 旅行前に確認すべきこと:
都道府県の医療費助成が旅行先でも使えるかどうかは、お住まいの市区町村によって異なります。旅行前に市区町村の担当窓口に確認し、必要書類や手続き方法を把握しておきましょう(全腎協公式情報より)。
まとめにかえて

私は年数回は、臨時透析を受けます。出張だったり、出張を兼ねた観光目的であったりもします(←旅行透析と呼んでもいいんですが…)。つくづく感じるのは「臨時透析をするための垣根(ハードル)は下がったなあ〜」ということです。時代の移り変わりを感じます。
携帯電話で電話して、PCで確認して、周辺地図をプリントアウトして…。そして臨時透析を受けるといったような時代がありました。今はスマートフォン1台で、病院の「臨時透析のご案内」や透析の総合サイトを見ることができますし、移動手段(電車やタクシー、交通費など)もアプリを入れれば、簡単に調べることができます。つまり、自分の希望する旅行・出張先で、透析を受けることができるわけですね。
ただ病院が簡単に探せるとは言っても、スマートフォン・PCで完結とはいかず、いちばん確実なのは、今も昔も「電話」であり、再度の確認するという意味でも必要だと考えます。
留め刺しておきます。「自分で探す方法(電話)」がよくて電話推奨としました。が、そのやりとりのなかで、どうしても臨時透析をお断りされる場合も出てくるでしょう。概ね臨時透析「OKです」「可能ですよ」といただくのですが、お断りされたことに腹が立つようであれば、冷静になってくださいね。
なぜなら、急患の透析患者や地元の透析患者がまずは最優先です。←それはそうですよね! あなたのかかりつけの病院でもそのような体制をとっているはずです。病院側の立場からすればベッドの空き状況や適切なスタッフ配置などのことも検討しなければなりません。あなた以外にも、同じように旅行や・出張で「返答待ち」で待機している透析患者がいるのかもしれません。あなたの見えないところで、それらのことがあることを忘れないでいて欲しいのです。
もし旅行・出張の行程上で可能であれば、「ほかの時間帯への調整はできますか?」とか「また空きが出たら、連絡いただけますか」とひと声をかけるだけで、受け入れてくれる場合もあります。と同時に、あきらめずに近隣のほかの病院をあたってみるのも手です。
リピートしたい病院をつくろう
最後に、旅行・出張しているうちに「また行ってみたい観光地」や「出張先」というが一つや二つ出てくるかと思います。何も観光地、出張先が良かったというだけではなく、「臨時透析を受け付けてくれた病院選び」でも同じようなことが言えます。
- 「医師の回診や対応、印象はどうでしたか?」
- 「スタッフの対応は良かったですか?」
- 「出された食事(透析食)はどうでしたか?」
- 「事務の受付はすんなりいきましたか?」…など。
観光・出張先での病院を自分なりに固定化し、また予約できるようになれば、医師・看護師さんも病院をまた利用してくれたと(少しは!?)覚えてくれてますし、次回の入室や透析などもスムーズになるからです。少なくとも私は、「旅行の会話で弾んだ」「スタッフの対応も良かったなあ〜」と感じたときは、また観光・出張で来た際にはお世話になりたいと思います(リピートという表現で正しい!?)。この点も、参考にしてみてください。
まとめ:旅行・出張先での臨時透析、これだけ押さえれば大丈夫!
- 旅行・出張先でも臨時透析は可能。国内には約4,400〜4,500施設あり選択肢は豊富
- 病院を探す方法は3つ:①自分でネット検索→電話 ②かかりつけ病院スタッフに依頼 ③腎友会ネットワーク活用
- 電話での問い合わせが最推奨。希望日の1か月〜2週間前が目安
- かかりつけ病院への事前共有は必ず行うこと(情報の錯綜を防ぐため)
- 予約で聞かれる内容はほぼ決まっている。あらかじめ準備しておこう
- 日曜透析は以前より対応施設が増加中。直接確認すること
- 「特定疾病療養受療証」と健康保険証を必ず携帯。都道府県助成は旅行先で使えない場合があるため事前確認を
- お断りされても冷静に。他の時間帯や近隣施設を当たることで解決できることも多い
- 気に入った病院はリピートすることでより快適に透析できるようになる
20年超透析を行っている私だからこそ言えます——「臨時透析のハードルは確実に下がっています」。正しい段取りと準備さえすれば、旅行も出張も楽しめます!ぜひ最初の一歩を踏み出してみてください。