血液透析だけではない!腹膜透析や腎移植という選択肢も。

血液透析。PDファーストという腹膜透析(PD)からの透析導入もあり!

PDファースト!腹膜透析から血液透析へ

末期腎不全ともなり透析をしなければならない時期が来ると、選択肢として透析療法(血液透析(HD)・腹膜透析(PD))、腎移植の中から基本的に選ぶことになります。

日本における腎移植の普及率は依然として低い状況にありますが、将来いつ移植になるかは分からないけれども「腎移植希望」の登録はしておきます。

 

そして「血液透析と腹膜透析のどちらから選びますか?」という話しになっってきます。

 

近年医師のオピニオン(=意見や考え)傾向としては、「腹膜透析(PD)からはじめて血液透析(HD)へ移行するようにすすめる」ことが多いようです。これをPDファーストと呼んでいます。

なぜこのようにすすめているのでしょうか?

これは腹膜透析のほうが時間的な制約が圧倒的に少なく、血液透析と比較しても残腎機能を維持しやすいことがあります。腹膜透析ならば最後の時間まで仕事をしたり、家族サービスもできます。

 

しかし透析のためにお腹に入れていた「腹膜の劣化」は避けることはできず、腹膜透析ができるのは7~8年の期間になります。

腹膜を劣化のままで透析すると、1%とはいえ被嚢性腹膜硬化症(EPS)という命にかかわる重篤な合併主を発症することもあるのです。

 

そのため「これを機に血液透析へ・・・」という流れになっていくわけです。

ひと昔は血液透析か腎移植の二択、さらに遡れば血液透析しか選択できなかった時期がありました。これが血液透析者が多く、透析できる病院・クリニックが普及してきた歴史でもあるのです。

もちろんその歴史のなかで腹膜透析が生まれて進化してきました。それでも日本の場合は「血液透析」が圧倒的であって9割の透析者が選択している形になっているわけです。

現に血液透析ではなく腹膜透析を選ぶ人もいますし、家族や親類などでドナー(臓器提供候補者)がいてマッチして腎移植を行った人もいるでしょう。

このように3択はありますが、どれを選ぶべきかは異なります。

あなたの今ある仕事や家庭の状況(育児・介護問題、住居・・・)、将来設計などいろいろ踏まえて、思考錯誤しながら選択すべきでしょう。

 

もうひとつ。「末期腎不全にある」ということは、透析をしなければならない時期が迫っているのであって、その治療は待った無し!の状況にあることは忘れないでください。

 

【血液透析】について知っておきたいこと

PDファースト腹膜透析から透析の導入)について触れたので、ここでは血液透析を主として説明していきます。

血液透析あれ、腹膜透析であろうと透析療法において望まれることは「透析時間を長くする」ということです。

 

病院に通って行うような血液透析の場合、本来ならば腎臓が24時間で行っていることを、最低限の透析時間でも4時間でしか行っていないことになります。

この4時間という透析時間を、4.5でも5時間、6時間でも延ばすことが、体にとっては良いことであり、時間を確保するためには理想的です。

 

5時間以上の透析(=1週間では15時間以上)を【長時間透析】と呼びます。

長時間透析が良いと言われるのは、透析者にとって「身体の調子が良い」「長生きができる」「少々食事制限や水分摂取が楽になる」といったメリットがあるからです。

とは言え、長時間透析のメリット、良いのは理解したけれども、現実的には4時間~5時間未満であるのが一般的です。

 

「なぜ長時間透析が普及しないのはなぜなのでしょうか?」

国の立場は膨大な医療費を少しでも減らしていくことが急務!

 

根本的な問題は、慢性腎臓病(CKD)が叫ばれながらも透析者は少しずつ増えているという背景があります。当然ながら、国としては医療費を押さえたいし、元となる慢性腎臓病(CKD)の予防に努めたいと考えています。

 

透析できる病院・クリニック。医療側の立場としてはどうか?

 

「4時間透析が必要最低限の透析」(透析医学会による)とされていて、健康保険での透析治療も原則は4時間とされています。

 

病院の運営や透析環境を左右するものに、健康保険法上の「人工腎臓による診療報酬」というものがあります。

『慢性維持透析を行った場合』『慢性維持透析濾過(複雑なもの)をおこなった場合』『その他の場合』の3つに分類されます。

『慢性維持透析を行った場合』には、治療時間ごとに「4時間未満」「4時間から5時間未満」「5時間以上」の3種類があります(5時間までが健康保険が適用であって、6時間や7時間であっても変わらない)。

診療報酬改定も度々改定されてきました。

 

直近の改定では、「人工透析で医療機関が得る報酬を削減」の方針を打ち出しています。看護師等のスタッフの確保や配置の問題、人件費の高騰もあるなかで、病院の運営や透析事情は厳しいといえます。

 

透析者側からみたら、どうでしょうか?

 

「長時間透析の新設された(←「6時間透析のポイント追加」)」
「血液透析濾過(HDF)」に時間に応じた評価体系の導入(←従来の血液透析よりも毒素の除去効率が良いとされ普及に期待!『慢性維持透析を行った場合』と同様に時間を3段階に分けた点数加算へ」

といったように、少々ですが透析者寄りになった部分もあります。ただ医療費、具体的には健康保険の特定疾病の特例(高額長期疾病)で、それでも「1万円ないし2万円」で済んでいますが、改悪される可能性は十分にありえます。

 

それから当サイト「腎者エール」では、仕事をしている会社員や自営業の方など青壮年期にいるような透析者や透析導入者、透析を検討している方に発信させていただいています。

透析できる病院、クリニックでも夜間透析ができるところがいくつもありますが、私たちのような勤労透析者を受け入れ、社会復帰を支えてきたという経緯があります。

 

しかしながら、近年の傾向として夜間透析を取りやめるような病院・クリニックが少しずつですが出てきています。その数は微減かもしれませんが・・・。

そのため透析者は転院することを余儀なくされたり、(病院やクリニックが決まらなくて)仕事を辞めざる負えなくなったりという状況がでてきています。

そのために「夜間・休日加算の充実(点数の引き上げ)」という形が行われることになりました(ほかにもありますが、ここでは割愛します)。

 

このように、あえて診療報酬について踏み込んでみました。

言うまでもなく病院・クリニックはボランティアをしているわけではありません。

 

私たち透析者には、透析という医療サービスの提供を行ってはいますが、同時に病院の運営を行っているのであり、そこで働く医師や看護師さんなどのスタッフに労働の場を提供しつつも、その対価として給料を支払っているわけです。

「医療業界」や「透析」というくくりがあるだけで、会社とは何ら変わらないわけです。

透析ができる場、病院・クリニックの環境と言えば、昨今医師・看護師さんなどスタッフ確保が難しくなっているのが顕在化していますね。

不規則な時間下での勤務体制の構築、病院診療時間の問題(午前、午後、夜間透析と透析者の受入れ)、人件費の高騰などがあります。なかなか解決できるようなものではなく、先述した夜間透析を取りやめも、このような背景があるからです。

血液透析について

透析者側からの立場としてできること

透析者側の立場からすれば「透析できる病院・クリニック」は、通院するにしてもかなり限定的です。

「風邪、熱っぽい」「ケガした」「歯が痛む」といったときに、すぐに通えるような身近な病院・クリニックだとかそこの「内科」「外科」とか「歯科」に行って診てもらおうといった類ではありません。

 

もし、あなたの住んでいる街や自宅近くに透析できる病院やクリニックあれば良いです。

しかし、地方在住とか交通の便が悪ければ、まず病院選び自体から厳しくなります。透析のために車で通院することになりますから、遠出になるとかなり心身的な負担を覚えることでしょう。

仕事をしている会社員や自営業者の場合、夜間透析をしている透析者も多いです。やはり夜間透析の取りやめ問題がジワリと少しずつ出てきているのが、気がかりです。「ウチの病院は大丈夫なのかな」と。

結果的には透析という治療のため、「透析時間が長い=労働時間の減少=給料(減)」という構造になってしまうために「やむを得ない」「割り切るしかない」というのが現実でもあるのです。

病院へ通うような血液透析の場合、「透析時間を1時間増やそうか迷っています・・・、躊躇してしまします。」といった声を、よく聞きます。

繰り返しになりますが「4時間透析は最低時間!」です。

 

もしあなたが仕事で時短勤務ができたり、病院との申し出で透析時間を延ばすことができるのなら、積極的に行ったほうが良いでしょう。お金と同様で「透析時間の積み重ね」が、将来起こりうるであろう合併症発症や後々の予後余命などに影響が出てきます。

いずれにしても、ここでは正しい答えというのはありません(透析者に委ねられている部分ではあるのですから!)

 

今あなたの置かれている状況下において、「自分は何に重きを置いて何に妥協するか」であって、透析者それぞれが異なっている、ということになります。

会社員をしている透析者Aさん。
透析のある日。仕事は(従来8時間勤務のところ)6時間とし、透析は5時間を確保する、といったように。

 

【長時間透析】のこと軽く触れましたが、覚えていますか?


→5時間以上の透析(=1週間では15時間以上)を【長時間透析】と呼びます。

透析のできる病院・クリニックへ通って行う血液透析には最低でも4時間の制約がありますが、長時間透析するにはほかにも「オーバーナイト透析」や「在宅血液透析」があります。

 

どちらも普及率という意味では、かなり低いのですが、取り入れる・検討する余地は十分にあります。

 

オーバーナイト透析

はその名の通り、仕事をしている透析者にとっては理想的な透析で、夜の就寝中に透析ができるというものです。

合併症が少なく、透析中も安定している人、自己管理ができる人など様々な条件が整っていることなどの条件があります。とは言え、現状はそのサービス、地域もかなり限定的で普及していません。

 

在宅血液透析

在宅血液透析のほうは、QOL(生活の質)を上げたいのならば透析の中では高品質と言われます。
よって、仕事で残業することもできますし、家族サービスもできるでしょう。

在宅血液透析をするには、サポートしてくれる透析病院へ通ってレクチャーを受けることが必須になります。

透析器はレンタルできますが、透析の際は(看護師さんなどスタッフはいるわけではないので)自己穿刺が必要であったり、初期費用として家の改装費用が掛かったり、毎月の水道・光熱費は通常に比べて1.5~2倍はかかることになります。

透析の要となる「水」と「電気」。水道や光熱といったライフラインに関わるところでもあるので、地震や大雨などの天災によって、断水や停電といった場面に遭遇することもあるでしょう。その際はサポートしてくれる透析病院の医師をはじめ、看護師さんや臨床工学技士さんからの指示も仰いましょう。

【腹膜透析】について

腹膜透析はお腹の中にある腹膜の機能を利用して、血液中の老廃物の濾過や余分な水分を除去していくものです。

腹膜透析には①CAPD(連続携行式腹膜透析)②APD(自動腹膜透析)があります。①は日中に数回透析液を交換する方法、②が寝ている間に機械を使って自動的に行う方法になります。

血液透析と比較して、「体に優しく体への負担が少ない透析」と言えます。

また血液透析は隔日に通院しなければならず時間的制約がありますが、腹膜透析は時間と場所が許す限り行うことができます。自宅や職場でも透析が可能なのです。

 

デメリットとしては、腹膜透析(PD)を始める前に透析液を交換するためのチューブをお腹に埋め込む手術をしますが、約7、8年で腹膜の機能の低下してしまうので、その結果として血液透析に移行することになります。

腹膜透析特有のEPS(被嚢性腹膜硬化症)にも注意しなければなりません。

血液透析と比較して、透析効率のほうは低いです。

つまり除水や水分が過剰になった場合に、浮腫みや「うっ血性心不全」や「肺水腫」になりやすいということが言えます。

 

このように血液透析や腹膜透析には各々にして、メリット・デメリットがあります。

いずれにしても一貫して言えるのは透析者の寿命というのは「透析量に比例する」ということです。

 

【腎移植】について

腎移植という選択肢もあるが、普及率は低い。

腎移植には「生体腎移植」と「献腎移植」とがあります。

手術費用も多額ですが、いずれも健康保険の適応があり自己負担は低額で済みます。

 

なお透析を経ないで先行的に腎移植をすることを、リエンプティブ腎移植(先行的腎移植)と言いますが、移植時の医療費助成(障害者医療費助成制度は身体障害者手帳が必要※)を受けることができます。

※移植後に気づいた場合など、移植前の日付に遡って身体障害者手帳の申請をすることはできないので予め申請、取得しておきましょう。

 

腎移植は腎臓移植学会によれば、ドナーは65才ぐらいまでが目安とされています。

現在の腎移植の状況は、生体腎移植は登録してからの平均待機期間が10年を超えていて、その期間は伸びています。片や献腎移植はおよそ15年となり、こちらも延長傾向にあります。

 

「日本臓器移植ネットワーク」というものがあり、登録制をとっています。

透析者どうしで順番待ちが続きます。新規登録料に3万円、また1年に1回の更新時には5千円の更新料がかかります。

自分に似合った腎臓がいつ来るかどうか?こればかしは正直分かりません。

運命だとかタイミングもありますし、そもそも体にあわないといけません。巡りあわせと言ったほうがよいのでしょうか?即手術ということもあります。

このように腎移植は必ず移植できると言うものではないため、日本での腎臓移植は普及していません。
そのために圧倒的に透析療法(血液透析や腹膜透析)を行うのが一般的なのです。

 

腎移植をすると本来の腎臓の機能が回復してくるため、体調が良くなります。「ほぼ健常者と同じように」生活することができます。

病院へ通う血液透析にあるような時間的・経済的な制約がなくなるため、仕事をはじめプライベートなどでの活動機会が広がります。

 

ただ「ほぼ健常者と同じように」とぼかしたのは、腎移植後の生活、つまり生活リズムは崩さないように保持させることが、とても大事になってきます。

移植後は、腎臓を長持ちさせるために免疫抑制薬を飲み続けなければなりません。毎日決められた時間に服用することが求められるからです。

 

腎臓病の際でも取り上げられますが、感染症や合併症はかかりやすいですし、過労による疲れやストレスは愚か、ハードワークにも注意しなければなりません。

過労による疲れやストレスなどの積み重ねが移植した腎臓が悪影響を受けて弱ってしまい、最悪透析へ出戻ってしまうことがありうるのです。

 

「透析からの離脱かもしれないが、完治ではない」ということは念じておきたいところです。

さらに移植後の身体障害者手帳の保持、健康保険上、年金上でのポイントも見ていきます。

【福祉サービス・身体障害者手帳の保持】

・身体障害者手帳については、引き続き所持することができます。この先も自立支援医療(更生医療)、重度心身障害者医療費助成制度を利用するためには身体障害者手帳は必須であり、必要だからです

 

【健康保険制度】

・透析の場合、以下3つの制度を利用することで自己負担が軽減されていました。

 

~流れ~(1⇒3の順に利用の優先順位が異なる)

1.特定疾病の特例(高額長期疾病)
2.自立支援医療(更生医療)
3.障害者医療費助成制度

 

このうち、1.特定疾病の特例(高額長期疾病)からは外れて「特定疾病療養受療証」は原則使えなくなります
(←自己負担額「1万ないし2万円」で済んでいたのが)。

そのため本来の自己負担額が1~3割となります。

腎移植後の免疫抑制薬代も以外と高額です。

そのため、2.自立支援医療(更生医療)や3.障害者医療費助成制度を利用することになります。

 

ただし所得制限等も設けられており、市区町村窓口での確認は必要です。
なお2.自立支援医療(更生医療)や3.障害者医療費助成制度について、どちらかの制度をまたは併用をすることは可能です。

 

【年金制度(障害年金)】

年金制度において、腎移植をして本来の腎臓の機能が回復してくると「障害の程度が軽くなった」と考えます。

そこで障害年金の「支給停止」や「支給額の減額」が行われることに留意しましょう。ただし移植後1年間は、術前の等級で判断されるので、年金の支給は継続されます。

以上、血液透析を主として現状も含め取り上げました。腹膜透析や腎移植という選択肢もあるので、検討してみてください。

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