透析の慢性合併症は広範囲。透析量が発症や余命に影響!

透析による慢性合併症は様々。

「透析をすれば合併症は避けられないのですか?」
透析導入した人や透析者であっても、よく質問される内容だそうです。

「透析者さんにとって、どうしても合併症は避けられませんよ」
医師や看護師からはそう回答し、説明をしていくそうです。

では、なぜ合併症は避けられないのでしょうか?

慢性腎不全(小尿かいずれは腎機能が止まる)となると、透析導入となり本格的な透析となります。

慢性腎不全であること。
それは体内では食事や水分摂取などを通してできた老廃物、水分の排泄ができないので、毒素が体内に溜まる「尿毒症(=高尿素窒素血症)」の症状が出現してきます。

透析は「尿毒症、その症状にならないようにするための最低限の治療」といっても良いのです。

血液透析の場合は最低で4時間×3日間。1週間でもわずか12時間の治療。フル24時間働く生身の腎臓※とでは当然、比較するに及びません。

※腎臓の主機能は尿を生成することです。
「尿の生成」「水分量の調節」「電解質バランスの維持調整」「血中の酸・アルカリの調整」「血圧の調節」「血液産生の促進」「ビタミンDの活性化」の7つが挙げられます。
「人老廃物、水分の排泄ができないので、毒素が体内に溜まる工」で行う透析はそれらができても不十分か、全くできないです。

透析していないときは、尿毒症の症状というのが無自覚ながら起こりやすくなってくることを忘れがちです(だから食事療法を行いまた透析を行うわけですが・・・)。

やはり、老廃物、水分の排泄ができずに毒素が溜まり、血液とともに尿毒素が全身で巡回しているからです。

様々な臓器でも器質的変化(=腎臓が損傷して「腎不全」なので、ほかの器官にも何らかの不具合を生じてしまう)が起きています

尿毒症の症状は、食欲不振や吐き気、嘔吐、疲労、記憶力の低下など(個人差あり)があり、全身の広範囲で及び影響が見られます。

透析死亡3大要因

ところで、
透析者の主要な死亡原因は知っていますか?

 

透析3大死亡要因とも呼ばれ「心不全 > 感染症 > 悪性腫瘍」の順となっています。

 

最も多いのが「心不全」です。

なぜ心不全が多いのかというと、透析者の心臓が悪くなる原因としては、大きく分けて2つ考えられます。

1つ目は、本来あった腎機能としては働いていないため、体内を巡る血液の量がかえって増加し、心臓が余分な負担がかかってしまうからです。

2つ目は、冠動脈(かんどうみゃく)という心臓に酸素や栄養を送っている血管があるのですが、その血管が詰まりやすくなります。
これを「虚血性心疾患」といい、狭心症や心筋梗塞などの発作が起こってしまいます。

このように心不全は全身性の疾患なので、臓器に合併症を起こします。心不全の病態を悪化させるために予後を悪化させる危険ということで、1位になっています。

心不全には「急性心不全」「慢性心不全」 に分けられます。

もっとも分かりやすいのは急性心不全で、生野菜や生果物などK(カリウム)を多く含まれるものを過剰に食べた場合、カリウムは体に蓄積してしまうので、不整脈を起こしひどい時には心臓が停止してしまいます。

心不全の主な合併症としては、低血圧やうつ状態、貧血、不整脈、睡眠呼吸障害左心室駆出率低、下左室容積拡大、左室肥大、心拍数増加、ストレスなどがあります。

なお、心臓に関わる検査では定期的にドライウエイト(基礎体重)の指標にするための「X線による心胸比検査」や心臓に異常がないか否かを調べる「心電図」が行われます。

ここまで、合併症に関わりのある「尿毒症」や「心不全」をトピックしました。

一言に「合併症」と言っても、様々な合併症(短期、慢性のもの)があって、究極に言えば個人差があって症状が出たり、出なかったりすることがあります。

透析時間の長さ、透析歴、既往歴、体質によるなりやすさ、薬による副作用など様々なものが重なっているので、一概には言えないのです。

ただ、透析の学会や研究結果、医者が口揃えている大事なことは、「透析量※」というキーワードです(※詳細は「透析効率とは」を参照)。

・「どれだけ透析量を稼げるか!」それだけでも合併症の発症が変わってくる。
・「寿命の長さは透析量に比例する」

ということです。

透析15年、かれこれ20年以上といったように透析者がふつうにいる時代になっています。それだけ透析の医療技術や薬剤の進歩は地味ながらも進歩しているのです。
そして透析者の余命も伸びていると言います。

合併症にも2つあって、短期と慢性(長期)とがある

透析歴が長くなればなるほど、合併症は出やすくなります。

そこで透析者には、現在や過去に繰り返し起こっている合併症、
将来起こるかもしれない合併症について知識や予防策を知って予防していくことは大事なことです。

【短期合併症】【慢性合併症】についていくつか挙げます。

【短期合併症】

短期的な合併症によく知られているのが、透析導入時の透析者のほぼ誰もが経験する「不均衡症候群」です(透析者であっても起こりえます)。

不均衡症候群は、透析を始めてから2~3時間経過すると、頭痛や吐き気、脱力感といった諸症状がでてきます。
これらの症状はいつ消えるのかについては、透析者本人でも医者でも分かるものではなく、「透析に慣れていけば自然と、徐々に消えていく」というのが回答であり、個人差があるので一概には言えません。

【慢性合併症】

・①透析アミロイド症、②二次性副甲状腺機能亢進症、③心不全、④貧血、⑤高血圧(低血圧)⑥体のかゆみ、⑦不整脈や動脈硬化
⑧異所性石灰化(関節や筋肉、皮膚、血管などへの石灰化)

「慢性合併症」にはこれも合併症なのかと思うものもあります。例えば「貧血」「高血圧」「かゆみ」などがそうです。

①透析アミロイド症
透析10年を超えるあたりから、透析アミロイド症(※)になる人が急激に増えてきます。

⇒症状としては、骨や関節、腱などの異常からはじまり、体を動かすことが不自由さ、首や腕、脚などの感覚や運動が鈍ったりしたりします。

関節の痛みを伴うので、痛みによる睡眠障害などが出てくる事で、結果的に生活の質を低下させていまいます。

(※)少々難しいのですが、透析アミロイド症は、β2-MGと呼ばれる小さな蛋白質がアミロイドという物質になって、それが骨や関節に沈着した状態です。

アミロイドは水に溶けず酸にもアルカリにも溶けないことから骨や関節の痛み、変形、運動障害を起こしてしまいます。そのため、手術しても取り除くことがとても困難で、治療が難しい合併症の一つと言えます。

②二次性副甲状腺機能亢進症

⇒腎臓の機能には、体内ミネラルを調整する働きがあり、そのなかの一つに「活性型ビタミンD3」の活性化というものがあります。その働きは、腸管からCa(カルシウム)の吸収を促すことです。

しかし腎機能が低下し不全に陥れば、ビタミンD3の活性化は望めません。
腸管からが吸収されずに、血液中のカルシウム濃度が低くなります。体内の反応として、血液中のカルシウム濃度を正常化しようとして、副甲状腺ホルモン(=PTH)か刺激されて過剰に分泌されることになります。

このことで、血液中のカルシウム濃度が必要以上に高くなるわけです。

「過剰に分泌される」状態とは、骨からCa(カルシウム)が溶けだしたり、血液中の過剰なP(リン)とCa(カルシウム)が結合して石灰化したりします。

このようにリン(P)とカルシウム(Ca)との間には密接な関係あるのです。

ただ当初は無症状であったものが時間の経過とともに、痒み、関節の痛み、心筋梗塞(しんきんこうそく)等を招く恐れか出てきますが、何せ骨からCa(カルシウム)が溶けだす=骨密度が低下であるので、骨折もまた心配です。

とりわけ大腿骨頚部骨折(太ももの付け根の骨折)が一般の人に比べて5倍も多いというデータもあります。

なお、二次性副甲状腺機能亢進症の予防と問わず、食事に際してはリン制限に加え、リン吸着薬の使用は必須となります。

慢性合併症だけでも広範囲、結構な数です。
合併症は避けようにも避けられないとのこと。

結局は「しっかり食べて」「しっかり運動」「たくさん透析する」ことが合併症への予防につながっていきますね。

透析による慢性合併症

透析導入者は「不均衡症候群」を乗り越えなければならない。

透析導入者は「不均衡症候群」にかかりやすいです。その原因は低血圧やDWの低すぎ等があり、頭痛、血圧変動、吐き気、筋けいれん、倦怠感などが治療中・後に出てきます。透析に慣れた人でも不均衡症候群は出ることがあるので、食事療法を基本として調整を行います。
透析による慢性合併症

透析による合併症。予防&対策は【食事療法】がもっとも有効!

透析の合併症は、導入時では「不均衡症候群」が知られ、体も慣れて月日が経過すると「長期的」なものも出てきます。二次性副甲状腺機能障害や高血圧、貧血、感染症等です。透析による合併症は、日々血圧管理をしたり食事療法を守っていけば予防をすることができます。