透析の障害年金は原則2級。納付3要件満たしたら申請を!

透析の障害年金は原則2級。申請前、納付3要件は要確認して!

透析者の年金保険。3階建て。
「年金」というとまず何を浮かべるでしょうか。

老後のためのというイメージが強いので、老齢年金が真っ先に挙がるかと思います。

 

公的年金について触れていきますと、

公的年金には3種類の年金があります。(1) 老齢年金(2) 障害年金(3) 遺族年金です。

 

これらの年金ですが、たとえ支給要件が整ったとしても、いくら年金の支給対象者であっても、申請しなければ支給されることはありません(申請主義)。

自動ではありません!つまり黙っていても、待っていても年金はもらえない、ということです。

 

人工透析(血液透析や腹膜透析)は「腎臓の障害」にあたるので、(2)の障害年金の請求手続きを行うことになります。

公的年金と言うべく「国民年金法」「厚生年金法」には納付要件や等級などが規定されています。
法や付則、通達といった条文には、ふだん聞きなれない用語や独自の言い回しがあったりします。

 

障害年金の請求手続きをする場面になったとき、どうしても法律や条文が「理解しがたい」「解釈しにくい」といったことが多々出てくると思います。

まずできることは、あなたの「腎臓病(CKD)にかかった頃」~「人工透析の治療」に至った経過までを時系列にまとめてみましょう。

 

現に会社員や自営業をしていたり、または無職のときがあったかもしれません。

納付義務のある国民年金等の「保険料がきちんと納付されているか」なども確認しておくことが必要です。

 

このように時系列にまとめておいたり、確認しておくのは、のちのちに説明する「納付3要件に満たしているかどうか?」に繋がっているからです。

それから老齢年金との絡みにもなりますが、
障害年金は原則として「20歳から65歳になる前々日までに申請しなければならない※」という年齢制限があります。

 

※例外として、65歳を過ぎていても障害年金を申請できるケースが、5つあります。

 

公的年金という制度上、冒頭に触れた(1)の 老齢年金は、原則65歳から支給される年金※※です。

※※申請すれば60歳から老齢の年金を受給することができます(=「老齢年金の繰り上げ受給」と言います)。

 

公的年金は(1) 老齢年金、(2) 障害年金、(3) 遺族年金の3つのうちの、いずれからしか受給することはできません。なので「老齢」と「障害」を重複受給してしまうので、原則障害年金が支給されないことになります。

 

障害年金の納付3要件

障害年金の請求手続きをするにあたっては、次の3要件をすべて満たしていることが必要です。

1.初診日要件:「初診日が公的年金の加入中にあること」
2.障害認定日要件:「障害程度は一定基準以上にあること」
3.保険料納付要件:「保険料納付がされていること」

障害年金の納付3要件は全てを満たさないといけない

先述しましたが、やらなければならないのは腎臓病(CKD)になったときや保険料納付状況などの確認が必要です。

 

1.初診日要件:「初診日が公的年金の加入中にあること」について

「初診日」の証明が必須なのですが、腎臓疾患の特性からその証明に困難を来す場合があります。

 

腎臓疾患の特性からというのは、痛みが無くて気づかないうちに進行している間に、カルテの要保存期間を超えて廃棄されていた、廃院になっていたといったことが、現実問題として起きています。
そのために「初診日」証明ができないことがあるのです。

このように初診日証明をはじめ個人ですべてをしていたら、「資料の収集に時間がかかる」「下手に初診日の証明が取れず、ずっと先に進めないまま数ヶ月経ってしまう」といったことが起きてしまうことは想像できます。

 

このような場合はどうしたらよいのでしょうか?

「初診日の証明が難しい場合」や「申請手続きが分からない・面倒だと感じている場合」は、(労働関係が専門ではない、)障害年金の手続き・実績が豊富な社会保険労務士等に依頼したほうが良いでしょう。

 

人工透析には主に血液透析と腹膜透析があるわけですが、「透析開始してから3か月」で申請が可能です。
これは通常のほかの障害とは違うところです。

 

これは条文上、「障害の程度を認定する時期は、人工透析療法を初めて受けた日から起算して3月を経過した日(初診日から起算して1年6月以内の日に限る。)とする。」と規定されているからです。

 

2.障害認定日要件:「障害程度は一定基準以上にあること」について

透析を受けているのであれば、障害等級自体は(自動的に)原則2級に該当します。

 

3.保険料納付要件の「保険料納付がされていること」について

 

実は3.保険料納付要件が最後の砦でもあり、落とし穴でもあります。

保険料納付要件が満たせず、障害年金がもらえない(もらえなかった)というケースが多々あるのです。

 

ここのポイントは、この障害年金が請求できるか否かは、現在の保険料納付状況ではなく「初診日時点」の保険料納付状況によって決まる!ということです。

 

よく「納付しても意味が無い」「年金制度は崩壊した」などの理由をつけて未納状態を続ける方がいます。

今回は障害年金を取り上げていますが、制度上、全額免除や一部免除、納付猶予の手続きがあるので、あらかじめ申請しておいたほうが良いでしょう。

 

このような納付要件に関する相談や確認、申請等には、今まで行ってきた納付記録の確認書類が必要です。
その際は基礎年金番号が分かるものを準備しておきます。

なお予め電話で事前予約しておいて行けば、待たずに済むでしょう。

 

すべて3要件を満たし、障害年金の申請に重要な書類は、「初診日を証明する書類」「診断書」「病歴・就労状況等申立書」の3枚になります。

 

障害基礎年金の等級、年金額等

冒頭であげた(2) 障害年金ですが、全国国民共通の国民年金(=基礎年金)が土台になっています。
土台部分である1階建ての「障害基礎年金」と2階建ての「障害厚生年金(または障害共済年金)」があります。

人工透析の場合の等級は原則「2級※ ※※」となっています。

 

※人工透析は自動的に2級に該当します。が、透析治療後の症状や検査成績によっては、1級に該当する場合もあります。

※※「併合認定」・・・透析者が更に障害基礎年金を受給すべき事由が生じた場合は、前後の障害を併合した障害基礎年金が支給されます。先発2級+後発2級=1級となり、この場合は1級の年金額が支給されることになります。

 

「併合認定」の条件は、先発(透析は2級)も後発もどちらも2級以上であることです。なお「事後重症」のように「65歳の前日までに」といった年齢制限はありません。

この「併合認定」「事後重症」は、この先で見ていく「障害厚生年金(または障害共済年金)」においてもほぼ同じパターンです。

 

障害基礎年金は定額で、779,300円※(+子の加算)となっています
(※月額約6万9400円程度)

ここまで、土台となる1階建て「障害基礎年金」をみてきました。

 

障害厚生年金の等級、年金額等

もしあなたが「初診日」において、会社員等をしていて厚生年金に加入していれば(2階建ての方の)障害厚生年金も受給できます。

逆に言うと、「初診日」に自営業や学生のように国民年金だけに加入していた場合は、障害基礎年金だけということです。「初診日」が重要!なのです。

 

これはなぜか言うと、公的年金の制度において「厚生年金の加入期間=国民年金の加入期間」と見るので、透析のように障害等級2級以上の場合は、障害基礎年金と障害厚生年金とを一緒に受給できます(65歳以上は一部例外あり)。

障害基礎年金では定額(2級・定額779,300円)でしたが、障害厚生年金のほうは3級の障害厚生年金の最低保障額=670,000円とされる場合を除いては、働いていた当時の給料により年金の額が違ってきます(報酬比例の年金額)。

 

「初診日」において、会社員等で厚生年金に加入しながら透析になった場合

「2級障害基礎年金(定額)」+「2級障害厚生年金(報酬比例の年金額)※+子や配偶者加給年金」

 

※3級の障害厚生年金の最低保障額=584,500円(月額約4万8700円)より低い場合はその保障額。

 

障害年金の更新手続き

人工透析は長期的に治療を行っていくものです。

年金を引き続き受給するためには、「現況届(=現況の診断書)」の提出をしなければなりません。
これは年金受給権者の生存確認とも言えるもので、受給権者に1年に1回、誕生月に提出する義務があります。

 

また数年ごとに「障害状態確認届(=更新手続き用の診断書)」も提出することになります。こちらの「障害状態確認届」は医師に作成の依頼してもらって、提出する書類になります。

 

あなたは人工透析で治療を行っています。
「自分は支給停止されるはずがない!」などと思っていませんか。これは危機感を持っていたほうがよいです!

 

「現況届」「障害状態確認届」などの書類提出が遅れれば、年金の支給が「一時差し止め」られることがあり、とりわけ「障害状態確認届」のほうになると、年金の「支給停止」の可能性すらあります。

というのも、日本年金機構のほうは認定するか否かということで「書面による審査」をする立場です。

人工透析で症状がそうそう良くなるということはありません。実感としてそうでしょう。

医者もふだんの診察に加えて、透析時の回診や手術、カルテ・書類書きなどで超絶激務なわけです。

そこでですが、医者にしてみれば、いつもの書き慣れている書類かもしれませんが、前回の確認届よりも「改善されている」「軽くなった」ように書いてしまう(書かれる)こともあります。

 

そこは念押しも必要ですし注意すべきところです。医者にはきちんとひと声を伝えておきましょう。

なお「子の加算」や「配偶者加算」においても、各々で書類の提出が求められます。

 

障害年金に関する誤解、間違った認識

障害年金に対する誤り・誤解が多いので

最後に障害年金に関わる誤解や間違った認識を3点ほど挙げたいと思います。

① 人工透析しながら仕事をしている場合であっても年金を受給することはできます(制度上「20歳以降」の障害基礎年金、障害厚生年金には所得制限はありません)。

 

② 人工透析をしていたが腎移植を行い、順調に経過が良くなっていった場合。
障害年金は、腎移植後すぐには支給停止とはなりません。「現況届(=現況の診断書)」を2度目に提出したところで支給停止になる場合があります。

 

③ 障害年金の等級や納付要件等に、身体障害者手帳との間には関連性がありません(なお健康保険の医療費免除制度とも関連性無し)

 

なぜなら、これらの制度は障害年金とは全く別の制度だからです。

障害年金の納付要件に「手帳を取得すること」にはなっていませんし、必ずしも等級とは一致しません
(例:障害年金2級でも身体障害者手帳は1級。因みに身体障害手帳には2級は存在しない)。

 

人工透析者は身体障害者手帳を申請し取得しているかと思います(手帳取得、推奨)。

まず手帳を取得するわけは、透析にかかる医療費支払いの負担軽減のためです。
というのも、自立支援医療(更生医療)や各自治体が行う「障害者医療費助成制度」の利用で手帳必要だからです。

 

ほかにも、障害者向けの公共・民間サービスや、(再)就職時での身体障害者手帳の確認などがこれにあたります。

 

障害年金。

特に血液透析者の場合は、治療のために通院することになりますが、仕事を早退することを余儀なくされ、その分給料が減ってしまいます。

 

そのため障害年金は生活費の補填という意味で、大きな意味合いを持っているのです。

 

透析者の年金保険

透析に障害年金が収入補填。受給には納付【3要件】が必須!

透析で障害年金を受給する為には、3要件【初診日】【障害認定日】【保険料納付】全て満たす必要があります。カルテが無い/病院がない等で証明できない場合も出てきます。透析開始から三ヶ月経てば、要件確認や年金手続きなどを年金事務所、市区町村窓口で行えます。
透析者の年金保険

透析にかかわる障害年金制度。【請求】しなければもらえない!

人工透析療法を始めると障害年金という国制度の下で申請することができます。支給要件や認定基準は法律等によって定められており、原則2級(ないし3級)に認定されます。透析は長期的な治療であり、生活や就労リスクが高くなります。障害年金制度を活用して下さい。