ここでは透析者の福祉サービスと税金について取り上げます。
透析者の福祉サービスと税金
透析導入前やシャント作成した際、医療機関や福祉機関にいる医療ソーシャルワーカー、福祉カウンセラーといった方から、何か情報収集を得たり、相談したりしたことはありますか?
彼らは透析者などに限らず、現に通院や入院している人や障害者になった人などで、今後の生活に対して困窮するかもと困っていたり、精神的に不安を抱えたりしている人などに対して、相談に乗ったり問題が解決するように援助してくれる有資格者なのです。
医師や看護師は透析や合併症といった医療的部分を、管理栄養士であれば食事療法といったように、情報収集や相談できるように・・・。
・「今住んでいる自宅、会社から透析できる病院はどこになりますか?」
・「障害者手帳はどのように申請すれば良いのですか?」
・「今度透析始めます。どの様な減税や優遇処置を受けられるのでしょうか?」
・「透析で生活が苦しくなりそうです。生活福祉資金について相談したいです」・・・・
と言ったように、情報提供や相談することができるわけです。
さすがに詳細な税金問題、仕事の就職・退職手続き等と言ったものまで踏み込むと、税理士や社会保険労務士の専門領域や専門業務、ハローワークといった官公署で行うような業務になってきますので、プロに任せたほうがよいでしょう。
あくまで「情報提供」や「相談窓口」という入口部分ととらえてください。
それら情報提供を受けたり相談を通じて、市区町村等の窓口などへ向かうことになります。
福祉サービスや税金の手続きは、市区町村が窓口、都道府県税事務所が窓口、場合によっては警察署が窓口だったりすることもあります。
市区町村、税事務所、警察・・・。えっ、警察も!と思うかもしれません。
それだけ福祉サービスや税金の制度というのは、幅が広いわけです。
「いつの時点で手続きをし」、「どこの窓口へ行けば良いのか」「どんな書類が必要か」。
これらは手続き上大事なことであり、実は福祉サービスを、税金などの控除の機会を失っているかもしれません。
なので、情報の収集は必要です!
では、透析者の福祉サービス・税金について、みていきましょう。
福祉サービス「身体障害者手帳の取得」のすすめ
福祉サービスのほうですが、「身体障害者手帳の申請」を行い、取得をすることをまず勧めたいと思います。
申請すること自体は「本人の任意」に委ねられているのですが、この身体障害者手帳の取得にあたっては、制度自体を知らない人が多いかと思えば、人の目や世間を気にして取りたがらない人もいます。
現に腎臓の疾患で治療中、末期腎不全、透析者もいるでしょうが、身体障害者手帳が取得できるかどうかは、障害の程度が法に定める程度にあるかどうか、つまり「腎臓機能障害認定基準」に依って分かります。
一般的に透析者の場合、身体障害者手帳の等級は1級(腎機能障害:血清クレアチニン値(=Cr)8mg/dl以上あるいはクレアチニン・クリアランス10ml/分未満)に該当するので、申請すれば取得できます(なお腎臓機能障害の場合、2級は存在しません)。
透析者の身体障害者手帳の申請は、「シャントを作った時」「透析前でも後」でも行うことができます。
では身体障害者手帳を取得した場合、どのような場面で利用できるのでしょうか?
公共の場でいうと、警察署に申請することで「駐車禁止除外指定標章の交付」を受けたり、税金絡みでは「車の減免手続き」の際の現物確認(またはコピー添付)で使われることになります。
就職・転職活動においては、ハローワークや民間会社の障害者向け就職・転職支援サービスにおいて「障害者枠」で応募するための要件として、手帳の提示(コピー添付)をされることになります。
また「障害者枠」で会社へ入社した際には、概ね障害を有するものとしての証明、添付資料として会社から求められることになります。
もっとも身近な場面も見ていきましょう。
「障害者の料金」としての割引きががあります。
透析をしながら、国内旅行・出張に行ったとしましょう。
新幹線や飛行機等の乗車運賃や搭乗料金といったものに障害者割引を設けているところがあります。
例えば、JRの割引制度を見てみると「身体障害者手帳(第1種の場合)」を窓口で提示すれば、距離数が100キロメートルを超えた普通乗車券に限り、本人とその同伴介護者が対象となります。
また通信費等であれば、通信会社3キャリア(ドコモ、KDDI、ソフトバンク)で障害者割引が、またNHKでも放送受信料免除制度を設けています。
各種公共施設であれば、博物館や美術館、映画館などで障害者割引があります。
民間企業におけるサービスでも、手帳を提示したり、手続きをすれば同じように障害者割引を受けられる場合があります。利用の際は、Webや窓口で確認する必要した方が良いでしょう。
障害者割引を設定するか否かについて、何ら強制力があるわけではなく、あくまで企業の判断や企業努力で成り立っていることを理解してください。
そのため、身体障害者手帳の利用にあたり「誤解を招くような言動」や「権利だなどと言って横着するような行為」等は絶対に止めましょう。
繰り返しますが、身体障害者手帳の取得はあくまで「本人の任意」。基準を満たした時点で、早めに申請しておいたほうが良いでしょう。
車にからむ福祉サービス、税制度が多い
ざっくり見てみると福祉サービス、税制度ともに「車」にからむものが多いのも、特徴と言えます。
福祉サービス、税制度の2点から見てみます。
【車に関する福祉サービス】
地方の透析者もまた、車は生活必需品です。
数年~十数年も経てば車を購入しなければならない時期が訪れますが、その際は「障害者自動車購入補助金制度」を利用することも検討してみましょう。また自動車免許取得の際の費用を助成する制度もあります。
ふだんの生活面では、透析で通院する際の交通費の補助があり、「自家用自動車燃料費助成券の交付」が、自動車利用でなければ「バス・タクシー運賃助成券の交付」が挙げられます。市区町村の窓口で手続きを行うことになります。
また「駐車禁止除外指定標章の交付」という制度があります。
これは「道路標識や道路標示により駐車禁止とした道路において、付近に駐車する場所が無いといった、やむを得ない場合」に、決められた場所に標章を提示しておけば駐車が認められます(道路交通法等に細やかな条件あり)。手続きは警察署の管轄となります。
【車に関する税制度】
税関係に移りましょう。
自動車を乗るにしても、日々ガソリン代やらメンテナンス、車検で維持費は結構かかります。税金もまた大きな負担になります。
腎臓機能障害である透析者は障害者にあたるため、「自動車税・自動車取得税の減免制度」の対象になります。
どちらも一定の要件、申請期限等があります。申請忘れのために税金が高くついてしまうことは十分に考えられます。注意しましょう。
【自動車税】は毎年4月1日現在を基準として5月31日までが納期限となっています。減免手続きは毎年行う必要があります。
【自動車取得税】も「自動車の登録の日から1月以内」にしなければ、減免を受けることができません。
「障害者と税金」
【車に関する税制度】を見てきましたが、最後に「障害者と税金」を見ていきます。
その詳細は細かいので割愛しますが、【障害者本人が受けられる特例】と【障害者を扶養している人の特例】というものがあります。
【障害者本人が受けられる特例】
「所得税の障害者控除」「相続税の障害者控除」「特定障害者に対する贈与税の非課税」「心身障害者扶養共済制度に基づく給付金の非課税」「少額貯蓄の利子等の非課税(通称: マル優制度)※」
※マル優制度・・・「障害者等の少額預金の利子所得等の非課税制度」の通称。
身体障害者手帳の交付者や障害年金の受給者などが適用者とされ、元本が350万円までの日本国内における利子所得で課税される所得税(復興特別所得税を含み合わせて約15%)と住民税の利子割(5%)が非課税となる制度。
例えば、ゆうちょ銀行の場合、「ニュー福祉定期貯金(一般の1年ものの定期貯金の金利を上乗せ)」があります。
なお、透析の医療費と身体障害者手帳を取得については、「透析者の医療費(65歳未満)」にてご確認ください。
透析者を取り囲む福祉サービスや税制度は、時代とともに少しずつ変化しています。
窓口で相談したり、WEB・リーフレット等で確認し、上手に活用していきましょう。