ヘルプマーク入手方法|透析患者も対象者・使い方を完全解説

2019年12月1日

ヘルプマーク入手方法|透析患者も対象者・使い方を完全解説
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更新日: 2026年9月25日

ヘルプマーク入手方法

 

車通勤している途中で市役所を通過していくのですが、赤い看板が目に入ってきました。赤色に白色の十字(プラス)とハートのマーク。「ヘルプマーク」の啓発活動ですね。

そういえば透析患者会の掲示板にも、ヘルプマークのポスターが貼られていました。以前は東京からの啓発という認識しかありませんでしたが、今では全都道府県で導入が完了し、地方でも着実に普及が進んでいます。

 

・ヘルプマークは2012年(平成24年)10月に東京都が作成。2017年7月20日にはJIS規格(案内用図記号)に採用され、全国共通のマークとなった
・2025年(令和7年)、東京都は7月20日を「ヘルプマークの日」として正式に制定
・腎障害をもつ内部障害者(透析患者も含む)も対象
・「ヘルプカード」もある。緊急連絡先や必要な支援内容などを記載できる
・ヘルプマークは自ら申し出ることが原則必要で、障害者手帳や診断書の提示は必要なし
・ヘルプマークには法的な強制力がない。席の譲渡等を強制する法律は存在しないが、「配慮のお願い」として機能する重要な社会的ツールである

 

「ヘルプマーク」って知っていますか?

 

 

ヘルプマークとは、「障害や疾患などがあるようには外見上からは分からない人が、支援や配慮を必要としていることを周囲に知らせることで、支援を得やすくなるよう」にしたマークのことです。

マークのデザインは、赤色の下地に白のプラスとハートを組み合わせたもので、「支援や配慮が必要である」ことを表しています。

2012年(平成24年)10月に東京都が作成し、2017年(平成29年)7月20日には経済産業省のJIS規格(案内用図記号)に正式採用されました。現在は全都道府県で導入が完了しており、令和7年3月末時点で東京都だけでも約71万個が配布されています。

さらに2025年(令和7年)には、世界陸上やデフリンピックが東京で開催されたことを機に、東京都が7月20日を「ヘルプマークの日」として正式に制定しました。毎年7月20日にはデジタルサイネージやSNSを活用した周知活動が行われています。

 

ヘルプマークの対象者は透析患者も含まれます

当サイトでは主に透析を取り上げていますが、ヘルプマークの対象は非常に幅広い方々が含まれます。以下に、対象となる障害・状態の種類を一覧表でまとめました。

ヘルプマークの対象は非常に幅広い

分類具体的な対象主な例
身体障害
(肢体不自由)
義足・義手・人工関節を使用している方
歩行困難・上肢機能障害のある方
人工股関節・膝関節置換術後の方、四肢麻痺の方など
内部障害
(透析患者はここ!⇒)
心臓機能障害
じん臓(腎臓)機能障害
呼吸器機能障害
ぼうこう・直腸の機能障害
小腸機能障害
肝臓機能障害
免疫機能障害
人工透析を行っている方(血液透析・腹膜透析)、ペースメーカー装着者、在宅酸素療法中の方、人工肛門使用者、HIV感染者など
難病指定難病をもつ方(外見からは分かりにくい場合)パーキンソン病、クローン病、潰瘍性大腸炎、筋ジストロフィーなど
精神障害・
知的障害・
発達障害
精神疾患・知的障害・発達障害のある方統合失調症、うつ病、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如多動症(ADHD)など
認知症認知症のある方アルツハイマー型認知症、血管性認知症など
妊娠初期妊娠初期(外見では判断しにくい時期)の方妊娠初期の体調不良・立ちくらみ等がある方

 

透析患者(じん臓機能障害)は「内部障害」に明確に含まれます。外見からは病気のように見えにくいからこそ、ヘルプマークが大きな意味を持つのです。

 

セットで知っておきたい「ヘルプカード」とは

ヘルプマークのほかに「ヘルプカード」もあります。ヘルプカードは、緊急連絡先や必要な支援内容などを記載するカード型のツールです。透析であれば「私は人工透析を受けている患者です」とあるように、透析患者向けの内容を書き込んだヘルプカードも活用できます。

項目ヘルプマークヘルプカード
形状ストラップ型(かばん等に装着)カード型(財布・名刺入れ等に携帯)
主な役割「援助が必要な人」であることを周囲に知らせる緊急時や日常で必要な支援・情報を伝える
記載内容裏面にシールを貼って必要事項を書き込める氏名・緊急連絡先・かかりつけ医・薬の情報・必要な配慮など
透析患者の活用例通院時・外出時に装着し、席の譲渡や配慮を求める「透析患者です。透析なしでは生命に関わります」と記入し携帯

 

ヘルプマークの入手方法は?申し出るだけで無料でもらえます

(※上記の患者どうしの会話のやりとり「障害者手帳を見せると貰えるよ!」という情報は誤りです。実際のところ、障がい者手帳の提示は必要ありません。)

 

配布窓口と申請方法

ヘルプマークの手続きは、申し出るだけです。障害者手帳や年金の受給申請のように、診断書や手帳の提示は必要ありません(自治体によっては「交付申請書」の提出や簡単なアンケートへの協力が必要な場合もあります)。

ヘルプマークの手続き

項目内容
申請先住民票のある自治体の福祉担当窓口
(例:住民票が大阪市にあれば大阪市の窓口へ)
主な配布場所・市区町村の障害福祉窓口(障害者支援課など)
・社会福祉協議会
・身体障害者福祉センター
・保健福祉事務所
・地下鉄の駅務室(仙台市など一部自治体)
・都立・県立病院の相談窓口
受け取り方法原則として窓口に直接来所して申し出る(無料・1人1個まで)
※2025年以降、郵送対応を導入する自治体が増加。来所が困難な方は事前に電話・メールで確認を
必要書類原則なし(手帳・診断書の提示不要)
※自治体によっては交付申請書・簡単なアンケートあり
※代理人(家族・支援者)による受け取りも可能
費用無料

住民票のある自治体がヘルプマークを導入しているかどうかを、まず確認しましょう。現在は全都道府県で導入済みですが、窓口の場所や郵送対応の有無は自治体によって異なります。

 

ヘルプマークを持つメリット・デメリットと、法的効力について

「ヘルプマークを持てば席を必ず譲ってもらえる」と思っている方がいたとしたら、それは少し違います。この点は、正直にお伝えしておく必要があります。

 

法的効力に強制力はない

ヘルプマークには、法的な強制力がありません。

席の譲渡を義務づける法律は存在せず、ヘルプマークを見た方が席を譲る・配慮をするかどうかは、その方の判断と良識に委ねられています。「持っていればどこでも優先的に扱われる」というものではありません。

ただし、合理的配慮の提供が法的に義務化された現在(障害者差別解消法:2024年4月から民間事業者も義務化)、ヘルプマークを提示することで「配慮が必要であること」を伝えやすくなる社会的な効果は確実にあります。

 

持つことのメリット

場面期待できる効果・メリット
電車・バス通院時透析後の低血圧・脱力・めまいがある場合に、席を譲っていただきやすくなる。外見からは元気そうに見えても、周囲が配慮のきっかけをつかみやすい。
災害・緊急時避難所での支援要請がしやすくなる。「この人は支援が必要な人」と視覚的に示せる。透析患者は避難所でも透析継続が必要なため、支援者への早期連絡につながりやすい。
外出先での体調変化急に脱力・めまい・低血圧が起きた際、周囲の方が声をかけてくれる可能性が高まる。
職場・学校「見えない障害」を周囲にさりげなく伝えるきっかけになる。説明が難しい状況でもマークが代わりに伝えてくれる。
心理的効果「自分には配慮を必要としている事情がある」ということを、言葉を使わず自然に示せる安心感がある。

 ヘルプマークのメリット・デメリット

注意点・デメリットも正直に!

注意点内容
法的効力なし席の譲渡等は強制できない。「持っているから必ず配慮してもらえる」という誤解は禁物。
認知度の地域差都市部と地方では認知度に差がある。地方では「これは何?」と聞かれることがある場合も。
不正利用の懸念手帳・診断書不要で取得できるため、本来の趣旨に反する使われ方がゼロではない(自治体も「趣旨に沿った適切な利用を」と注意書きしている)。
目立つことへの抵抗感人によっては「目立ちたくない」「かばんに付けるのが恥ずかしい」と感じる場合もある。
犯罪被害のリスク「障害がある=抵抗できない」と悪意ある人物に見られるリスクも指摘されている。個人情報の裏面記載は慎重に。

 

ヘルプマークが役立つ場面「透析患者のリアルなケース」

 

 

・透析後の体調不良(低血圧・脱力・めまい)で電車に乗っていたら、快く座席を譲っていただいた
・急に脱力やめまいを感じて、椅子に座らせていただいた
・災害時などで、外見からは分かりにくい障害のある人だと認識してもらい、避難所での透析継続の手続きをスムーズに進めることができた

透析への通院には電車や地下鉄、バスを使う方も多いでしょう。特に都市部の通勤電車と通院電車は、人が多すぎて乗り切れなかったり、次の電車まで待ったりと、心身ともに負担が大きいものです。

透析が終わった後でも、体調不良(低血圧・脱力・めまいなど)を感じることはよくあります。20年超透析を行っている私も、透析後に電車の中で脱力してつり革につかまり続けるのがつらいと感じた経験が何度もあります。

また、透析とともに年齢を重ねていくものですが、合併症や高齢化問題もあります。足の血流不良やしびれ、痛み、歩行困難が出てくることもあります。最近は地震や水害といった災害も頻発しています。避難所での生活を余儀なくされたとき、「この人は透析が必要な人だ」と周囲に伝えられるかどうかが、命に関わることもあります。

「外見からは分かりにくい障害のある人」である透析患者にとって、ヘルプマークは通院・日常生活・災害時の三場面で機能する大切なツールです。

 

ヘルプマークは自作できる?ルールと注意点

ヘルプマークは、かばんやバッグに取り付けるシンプルな形状です。実は自分でヘルプマークを作ることもできます。「ヘルプマーク 自作」で調べるとヒントが出てきますが、材質や塗料、寸法などが細かく指定されています。

2017年(平成29年)にはヘルプマークが全国共通のJIS(案内用図記号)に採用されたため、デザイン上のルールが明確に定められています。

禁止されている改変の例
マーク(プラス・ハート)の上に文字を記載する
縦横の比率を変更する
色を変える(赤地・白マーク以外にする)
別のデザイン要素を追加する

自作する場合は、東京都福祉局(旧:東京都福祉保健局)に相談するとよいです。

参考:「ヘルプマーク作成・活用ガイドライン」東京都福祉局

 

知っておいてほしい。転売・不正利用という現実

ここからは、少し耳の痛い話をしなければなりません。

ヘルプマークが全国に普及し、無料で誰でも申し出れば入手できるようになったことで、本来の対象ではない人がマークを入手し、メルカリ等のフリマアプリで転売するという事例が散見されるようになりました。

「無料でもらえるから、お金になるなら売ってしまえ」という、そういう安易な発想です。

20年超透析を行っている私からすると、正直、怒りを通り越して情けなくなります。このマークは、命に関わる場面で機能するものです。それを小遣い稼ぎの道具にするとはどういうことか、と。

さらに問題なのは転売だけではありません。身体・内部・精神・難病・妊娠初期など、本来の対象に該当しない人が「なんとなく付けたい」「席を譲ってほしいだけ」という動機でヘルプマークを使っているケースも散見されています。これも制度の趣旨を根本から損なう行為です。

転売・不正利用が引き起こす3つの問題

問題内容
① 本当に必要な人への信頼が傷つく「ヘルプマークを付けているからといって、本当に障害があるとは限らない」という疑念が広がると、マークを提示しても周囲から配慮を得にくくなる。透析患者など本当に必要な人が損をする結果になる。
② 社会全体の制度への信頼が損なわれる障害者手帳や診断書の提示なしに配布されているのは「困っている方を信頼する」という前提があるから。転売・不正利用はその前提を壊す行為であり、今後の配布方法の厳格化につながりかねない。
③ 対象外の人による「配慮」の横取り本来の対象に該当しない人が席の優先譲渡などを求めることで、本当に疲弊している透析患者や妊婦、難病患者が必要な配慮を受けられない事態が生じうる。

 

三重県の公式配布資料には、はっきりとこう書かれています。

「周囲の配慮や支援が必要でない方が、過剰な配慮を求めて使うことのないようお願いします」

(出典:三重県 ヘルプマーク使用に関する注意事項より)

これは、自治体側がすでにこの問題を認識し、公式に注意喚起せざるを得ない状況になっていることを示しています。「無料でもらえる」「手軽に手に入る」という事実は、同時に「悪意ある利用に対して脆弱である」という裏面も持っています。

法的な罰則はあるのか?

現時点では、ヘルプマークの転売や対象外使用を直接罰する法律は存在しません。

ヘルプマーク自体には商標権・著作権はありますが、個人が転売した場合に直ちに刑事罰の対象となる根拠法は現状では整備されていません。ただし、以下の観点からは確実に問題になります。

観点内容
道義的・社会的問題公費(税金)で製造・配布されているものを営利目的で転売することは、社会的な批判の対象になる行為。
自治体の配布規約違反多くの自治体は「趣旨に沿った適切な利用を」と明記しており、転売・不正利用は配布の趣旨に明確に反する。再交付を拒否されるケースも考えられる。
フリマアプリの利用規約違反メルカリ等のフリマアプリでは「公共機関が無償配布するものの転売」が禁止事項に該当しうる。実際に出品が削除されたケースも報告されている。

「法律で罰せられないから問題ない」ではありません。ヘルプマークは「社会の善意と信頼」の上に成立している制度です。転売や不正利用は、その信頼を少しずつ蝕んでいきます。

私たち透析患者ができること。正しく使い、正しく伝える

20年超透析を行っている私が思うのは、「自分たちが正しく使い、正しく伝えることしかできない」ということです。制度の不正利用を取り締まる仕組みを待つより、周囲の透析患者や家族に「ヘルプマークとはどういうものか」「誰のためのマークか」を正確に伝えていくことが、私たちにできる最も具体的な行動です。

私たちにできること具体的な行動
正しく使う本来の趣旨(援助や配慮が必要であることを周囲に知らせる)に沿って使う。「何となく付けている」ではなく、理由を理解した上で装着する。
正しく伝える透析仲間・家族・職場の同僚などに「これは何か」「誰のためのものか」を丁寧に説明できるようになる。
見かけたら尊重する電車やバスでヘルプマークを付けた方を見かけたら、席を譲る・声をかけるなど、制度を「機能させる側」に回る。
不正を黙認しないフリマアプリでヘルプマークが売られているのを見かけたら、プラットフォームの通報機能を活用することも一つの手段。

ヘルプマークの価値は、付けている人の数ではなく、正しく使われる数によって決まります。転売・不正利用は「制度を守る側の人間」の問題ではなく、「制度を壊す側の人間」の問題です。その区別を、私たち自身がはっきりと持っておくことが大切だと思います。

まとめにかえて

「ヘルプマーク」について取り上げてきました。2012年の東京都発祥から、現在は全都道府県で導入が完了し、2025年には7月20日が「ヘルプマークの日」として正式制定されるまでになりました。社会的認知度は着実に上がっています。

まだまだ世間での認知度が十分とは言えませんが、私たち透析患者でも家族や会社の上司・同僚に説明することはできるはずです。透析という「見えない障害」を抱えているからこそ、ヘルプマークは心強い存在になり得ます。

大切なのは「なんとなく持っている」ではなく、「なぜこれが必要なのかを理解して使う」こと。ヘルプマークは周囲への配慮のお願いであり、命を守るためのツールでもあります。

参照:「透析患者の仕事上の相談ごと。上司・同僚への説明・理解から!」

「ハート・プラスマーク」実はヘルプマーク以前から存在するマーク

少し話が逸れるかもしれませんが、歴史的にはヘルプマークの作製以前に、援助や配慮を周囲に知らせる「ハート・プラスマーク」というものがありました。こちらも内部障害や内臓疾患を示すマークです。

「ハート・プラスマーク」は2003年に「特定非営利活動法人ハート・プラスの会」が作製したもので、現在でもシンボルマーク等に著作権を持ち、普及・啓発活動が行われています。公的機関が定めた内部障害者を示すマークではありませんが、神奈川県秦野市など一部自治体のWebページで啓発活動として確認できます。

実物や活動内容の詳細は、ハート・プラスの会で確認してみてください。きっと一度は見たことがあると思いますよ。

参考:「ハートプラスマークとは | 秦野市役所」