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透析者の災害対策とは!?~頻発する豪雨・台風の水害に向けて~

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透析者の災害対策とは!?(頻発する豪雨・台風の水害に向けて)

「大雨」「豪雨」「洪水」「台風」「高波・高潮」といったように、毎年水害が発生します。

2018年(平成30年)には西日本豪雨が発生しました。

 

透析にも影響が出て、ほかの県の透析受入れ病院まで行って治療することがありました。

今後も日本のどこかで、このような水災害が頻発しています。

 

・透析者は被災しても透析を継続しなければならない
・災害時の対応、避難所での過ごし方に注意(食事・水分管理は厳しく!)
・透析者はふだんから災害時・緊急時への「備え」を行う必要がある
・情報は一次・二次情報だけでなく「透析」に関する情報も必要
・「大雨」「豪雨」「洪水」「台風」など水害時の通院の際は細心の注意を!

 

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透析者の災害対策とは

 

透析者は災害があっても中断することはできず、定期的に透析を行わなければなりません。

透析という特性上、水と電気が必要です。

災害によってそれらインライフラインが途絶してしまえば、透析がまったくできないという治療上の”弱さ”をも露呈してしまいます。

震災にはなりますが、1976年(昭和53年)の宮城県沖地震では「断水」したことで透析医療が経験した地震にも挙げられています。

そして2011年(平成23年)には東日本大震災が起きました。
ここでも水と電気のインフラが途絶えてしまい、透析難民が発生しました。

 

ところで透析で使う水の量はどれくらいかわかりますか?

1回の透析・洗浄で450Lものきれいな水が必要となります。給水車でいうと7、8台分に相当します(3~4t車級)。

 

断水や浸水してしまえば水道は使えなくなってしまいます。復旧のほうも相対的にかかってしまいます。透析者の「透析ができないこと」の影響が圧倒的に大きいわけです(停電、自己発電できないのも然り・・・)。

 

自宅・会社などで災害が起きた場合を想定して、説明していきます。
そもそも「水」による災害である水害は「大雨」「豪雨」「洪水」「台風」によるものが挙げられます。

 

水害は広範囲に及ぶもので、川の決壊や河川、水路の氾濫、道路の損壊や断水、がけ崩れや土石流の発生、床上・床下浸水といった大きな被害をもたらします。

いつも見ている田んぼが広範囲に渡って水没したり、家財道具や自動車などが流されたりといった非現実的な光景を見ることになります。

 

健康な人であれば、自宅待機や避難所へ移動ということでまずは落ち着くのですが、透析者はそうとはいきません、通院している病院へ通えなくなったり、病院で透析ができないといったリスクにまで晒されてしまうわけです。

 

 

自宅・会社で災害が起きたら~避難所へ~

自宅・会社で災害が起きた場合

自宅・会社で災害が起きた場合

 

1.緊急速報を聞く

スマホやラジオ、テレビで聞きましょう。

災害の程度や危険地域、被害の発生状況を知りましょう。

避難指示があるかもしれません。

但し避難場所(※)への避難が必ずしも正しくない場合があります。無理して自宅・会社から避難すれば、危険な場合が出てくることがあるからです。

 

※避難場所は2つあり「指定緊急避難場所」と「指定避難所」があります。

避難するまでに時間的な余裕がある場合で避難するための場所が「指定緊急避難場所」とになります。“指定”とあることから、災害の種類ごとに一定の基準により市町村長が指定できます。

 

イメージ的には、対象とする災害に対し、安全な構造で堅牢な建築物。または対象とする災害の危険が及ばない学校のグラウンドや駐車場など。

一方、災害の危険性があり避難した住民が、災害の危険性がなくなるまで必要な期間滞在したり、災害により自宅へ戻れなくなった住民などが一時的に滞在したりする「指定避難所」があります。こちらも市町村長場所を指定します。

イメージ的には、学校や体育館、公民館、コミュニケ―ションセンターなどがあります。

 

 

引用:国土地理院 指定緊急避難場所データ

 

動きやすい服装で避難します。またヘルメットや防災頭巾などで頭を保護しましょう。

紐でしめられる運動靴で避難します。

長靴は一見良さそうに見えますが、水が入ったときに重くなって動きにくくなります。すぐに脱げてしまうので避けてください。また裸足は厳禁です。

避難の際、水面下にはマンホールが外れていたり、側溝や段差があったりすることがあり、危険を伴います。
また水流で転倒することさえあります。

透析者の場合、転倒してシャントをぶつけたり、穿刺部分から感染症にかかる可能性さえあります。

浸水後は不衛生状態になりますし、断水すれば清潔が保てないなどいったことも出てきます。
インフルエンザや感染症腸炎にかかりやすく心配です。

 

2.かかりつけの病院が被災して透析が受けられない場合は、ほかの透析可能な病院等を確認し、連絡をとってください

安否確認も含めて、かかりつけの病院との連絡は欠かせません。病院は何らかのネットワークはあります。

ほかの透析可能な病院等、かかりつけの病院が紹介することもありますし、病院→腎友会など経由して集団ないし個人治療という形で連絡をとりあうこともあります。

 

また一定期間ほかの透析病院で受ける場合でもかかりつけの病院への連絡が必要です。

 

3.避難場所では、避難所のスタッフに透析を受けている事や次回の透析予定日がいつなのかを申し出ましょう

病院の連絡先、災害カードが役にたちます。

自分のドライウエイト(基礎体重)や薬の禁忌、特異体質、アレルギーなどは把握しておきましょう。

 

4.食事・水分管理は厳しく

ふだん食事に関しては「透析食」と呼ばれる食事・水分管理下で行っています。ですが、避難場所等で出される非常食は、透析者にとっては厳しいものがあります。

 

・非常食は透析者には優しくない!

非常用食料一覧

避難所における食事は、インスタント食品(レトルトパウチ、レトルトカレー、インスタント中華麺や豚丼など)、日持ちのしやすい非常食、くだもの(バナナなど)、紙パックの野菜ジュースなどが入ってきます。

しかし、それらは健康な人が被災した場合の非常食であって、透析者にとってからだには優しくありません。
(透析者向けの非常食、透析食は現実的ではないことは、承知のうえです。)

 

透析ができない状態に加えて、塩分が異常に多かったり、カリウム(K)が高かったりして摂取過剰になりがちになります。つまり非常食には向いていないのです。

 

そのため、食事もいっそう厳しい食事・水分管理が求められます。

 

 

・熱量(=エネルギー)を確保するためにもしっかりと食べる

実は、透析者にとっての盲点です。←私も東日本大震災を経験してそうでした。

確かに腎臓病治療のときは低たんぱく・高カロリーを意識しつつもうまくいかないので”痩せ”てしまうという経験もしましたが・・・。

 

熱量摂取で極度に不足してしまうと、体内システムというのは不思議なもので、私たちの体内では筋肉を分解して代替のエネルギーを得ようとするはたらきがあります。

透析者の立場とすれば、摂取過剰や摂取制限のことが気になります。
意識するから、食事もろくに食べない、ということが出てきてしまいます。

 

そして、その結果として体調不良になります。
代替エネルギー確保のために筋肉が分解されて尿毒素とカリウムが多く生じ、”非常に危険な状態”に陥ったりします。

 

一般的に透析者は非常食を選ぶこと、食べることが難しいのです。

熱量が高く塩分が含まれないアルファ化米などの米類、塩分微量ながら熱量が確保できる大塚製薬のカロリーメイトは良いとされています。

 

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5.病院等までの交通手段が使えるかどうかを確認してください

避難場所から病院までの交通機関(JR、地下鉄、バス、タクシーなど)や車の移動ができるかどうか。
一次災害情報・二次情報を総合的に確認しましょう。

JR、バスが動いているかどうか、車であれば渋滞情報、道路冠水の情報など・・・。

 

6.薬の管理はしっかりと

水害も大規模災害になると2~3日は透析ができない場合があります。

病院にもよりますが、薬の「変更」などがない限りは、通常は1週間~2週間処方されるので、定期薬剤として服用対応してください。

薬の服用には、2~3日は飲まなくてもすぐに身体に影響が出ないものあるものと、飲まないと早期に
影響が出るものとがあります。

早期に身体に影響のある薬は欠かさず飲まなければなりません。

7.家族との意思疎通

日頃から「災害時にはどのような行動をとればよいか」などの避難行動、避難場所を、そして病院情報や連絡先などについても確認しましょう。

水害とはいえ、家族とは別々の場所で被災することも考えられます。

心配なのは安否確認ですね。

電話以外にもメールやSNS(Twitter/Facebook/LINE)でも連絡先を共有しておきます。

親戚、知人等の連絡先もあったほうが良いです。

8.会社との意思疎通

会社や上司ともに避難場所や連絡先、透析している病院情報などについて共有しておきます。
連絡は社内外電話、メールが一般的かと思います。

こちらも安否確認や透析に関する情報(○○県の病院に移動して透析、避難所待機で疲労困憊で仕事ができない状態・・・など)

会社のメンバーの連絡先もあったほうがよいでしょう。

 

参考:「透析者の仕事上の相談ごと。上司・同僚への説明・理解から!

 

以上7.8は意外と忘れていそうな家族や会社間での意思疎通の確認ですね。

 

 

 

災害時の備えと情報の取り扱い

透析者の災害時・緊急時への備え

透析者の日常生活における備えには独特なものがあります。

以下に紹介するような、身体障害者手帳や病院の連絡先や透析条件カード、常備薬などです。

 

1.透析者の災害時・緊急時への備え(一例)

 

一例ですが、日常生活では、災害時・緊急時に備えて次のようなものを準備しておきましょう。

 

応急処置セット(カイロなど)携帯ラジオ・スマホ(携帯電話)ナイフ、缶切り
飲料水(軟水)電池・スマホバッテリー保険証(医療券)
非常食(乾パン・クラッカー)下着・タオル・雨具身体障害者手帳
常備薬・お薬手帳・薬の予備運動靴・スリッパ透析条件カード
ティッシュ、マスク、生理用品等ビニール袋・ごみ袋・ラップ現金(小銭も)

 

・応急処置セットは、外傷用の応急手当用品ですね。加えてティッシュやマスクなどです。
 マスクは感染症予防で必要です。

・飲用水は軟水にしてください。

 参照:「透析者の食事|ペットボトル水は【軟水】を選んで!

・乾パン・クラッカー
 賞味期限や使用期限あるものは、定期的な交換が必要です。

 

・ナイフ・缶切り 
 缶詰には魚肉系もありますが、フルーツ系缶詰も!

 

・携帯ラジオ・電池
 電池の減りが少なく貴重な情報源です。小さく簡易的構造なので安く購入することができます。
 電池はスマートフォンの充電に使える場合があります。

・スマートフォン・スマホバッテリー
メールやSNSとのやりとりのなかで必須です。
まだまだ電池の減りが早いので、電池・スマホバッテリーも一緒に携帯すべきです。

 

・タオル・下着・雨具
防寒のうえでもタオルを、最低限の下着は欲しいですね。傘よりは雨具あったほうが良いです。

・現金
現金には小銭も含みます。浸水被害でレジが使えないとクレジットカードは使えません。

 

・透析条件カード
病院の連絡先も兼ねたものがあり、災害カードや透析カードなどと呼ばれたりします。

L「私は血液透析を受けています」といったように透析者の個人情報のほか、透析で使用するダイアライザーや抗凝固剤といった透析条件が記入しています。

L透析条件カードですが、透析条件に”変更”があったのであれば、最新の状態に更新しておきます。
避難所での情報開示、ほかの透析病院等で透析を受ける場合に、非常に重要なものとなります。

L透析条件カードは、常に財布や免許証等と一緒に携帯しておきましょう。

 

・保険証、身体障害者手帳
身分を証するものとして必要ですし、医療保険や行政サービスを受けるには欠かせません。

参照:「透析前後でも身体障害者手帳は申請できます。窓口で確認を!

 

・常備薬・お薬手帳・薬の予備

L 常備薬・・・高カリウム治療薬や降圧薬など。
 インスリン使用者は血糖測定器セットなどが必須。角砂糖やブドウ糖なども。

Lお薬手帳(または薬の種類を記載した用紙)・・・2週間や1か月ごとに、薬の追加・変更があってもなくても含有量や調整量などの情報が記入されており、特に重要です。

L薬の予備・・・災害時の予備薬は1週間分携帯しておくことが望ましいです。薬の飲み方は完全に飲まなければならないのですが、飲み忘れもたまにあるでしょう。そんなときは「予備」としてストックしておきます。

但し、種類や飲み合わせが変わったら都度取り換えなければなりません。

私の場合は例え少量であれ、会社や車内、自宅と定期的に予備をストックしています。
いずれにしても、災害時や緊急時にすぐに持ち出せるように準備しておきましょう。

 


非常用持ち出し袋36点セット リュックタイプの防災セット

 

2.避難所にて

学校や公民館など避難場所とその経路を確認することは必須です。

災害によっても、「指定緊急避難場所」「指定避難所」になるか変わってきます。

避難するときは、持ち物を最小限にして両手が使えるようにしてください。

 

3.情報について

透析に関する情報収集が欠かせません

透析者の場合、下記に挙げる一次・二次災害情報に加えて、透析に関する情報収集が欠かせません。

 

1.一次災害情報

L大雨、洪水、豪雨、台風、高波・高潮などの情報

テレビやラジオ、インターネット、防災行政無線などを使った情報(NHKのテロップニュースなど、Jアラート(国)、エリアメールなど)

L透析可能な病院等を知らせるテロップ

 

2.二次災害情報(行政が発信する情報)

L災害生活情報

(避難場所、生活必需品の支給、飲用水の配布場所、停電情報、安否情報、保険料免除制度、仮説住宅の応募、罹災証明書の受付など・・・)

 

3.透析医師会ホームページや透析メール(=メーリングリストによる連絡)

L透析に関する情報

透析医師会ホームページや透析メール

まとめにかえて

透析をしていくうえで、天災は避けようがありませんね。

私の生活圏で気になる水害といえば、街が川の下流にあたるため、道路の浸水や陥没、河川の決壊が一番気にかかります。

 

数年前のこと、連日の大雨が降り続けて、目覚めて会社に出勤しようかという時にJアラートが鳴り出しました。

「記録的短時間大雨情報」くらいだったので会社に行けるかなと思ったのですが、間もなくして「土砂災害警戒情報」も。

独特のアラートの音ですが、びっくりしました。

 

そのときの私は。

「今日は出勤できません。自宅付近が危険です。透析の確保が必要で病院の判断も仰ぎたいので、休ませてください」と電話入れました。

たとえ会社に出勤したとしても、また透析で早退し向かうのに苦労するだろうなあと、直に思いました。

引用:Jアラート(全国瞬時警報システム)

細心の注意が必要だ

会社で仕事をしている場合もあるでしょう。

私は仕事終えて車で病院に向かうわけですが、大雨警報や特別警報になったときには、自分の心構えで運転しています。

必ずや大雨警報や特別警報が発令されると、渋滞に出くわします。

ゲリラ豪雨、体験したこともない「50年に一度の大雨」・・・。

病院へ着くまで、運転に神経を使いますからね。

高速道路の閉鎖や在来線の運休で、一般道へ流れ込んできてしまいます。

これはどうしようもないことなのです。

透析導入した頃や仕事に慣れない頃は、入室時間に遅れまいと「渋滞に、運転にイライラ」「時間にアセアセ」したことがありました。かなりのストレスを感じましたね。

 

入室時間に遅れることの対しても引け目も感じました。

たとえ早めに会社を出たとしても、結局は変わらないと思いました。

 

ここは電話一本、病院へ入れましょう!
できなければメールでも入れる!

 

「自動車事故を起こさない!」
安全運転で、無事に病院だけに着くようにする。

そのような考え方、気持ちに切替えました。

 

 

ここは、入室に遅刻で、常識なの、マナーなどと言っている場合ではありません。

いまだ「早く来てください」みたいな病院があり、スタッフさんが電話がかかってくると、正直驚きものですね。

 

透析も大事です。人を傷つける自動車事故の代償のほうが大きいのは、明らかです。

ほんとに気をつけてくださいね!