今回は「コロナ疲れで病んでいませんか?」という内容です。
現状、透析者に対する「コロナ疲れ」に関するニュースや記事を目にすることがありません。
また、透析は腎臓内科とか透析科といった専門であるため、さすがに精神医学や免疫学などといった見解から透析者のメンタルヘルスまでみてくれる医療スタッフさんは、意外と少ないものです。
また透析に関わらず医療崩壊の危機問題も絡んでおり、医療スタッフはまずは業務を(家族のこともあるが)、そして自分のメンタルヘルス保持だけで、精いっぱいな状況です。
「コロナ疲れ」に悩む人が増えています。
新型コロナウイルスの流行期に、透析導入に至ってしまった人へ
新型コロナウイルスの流行期に、透析導入に至ってしまった人もいるという事を、見逃してはいけません。
なぜでしょうか。
あなたが透析導入することを決断したとき、どんな精神状況にあったでしょうか?
これから透析を「一生続けていかなければならない」「時間的・身体的拘束が日常的に続く」こと対することで、個人差はあれど、ストレスを感じたはずです。
(私もそうでした。少なからず、今でもあるでしょう)。
私たち透析者は透析のために通院し、4~5時間を過ごすというのが習慣化されています。
あまり言われることは無いでしょうが、気づかないうちに不安や抑うつ(うつ状態)にかかったりすることは、あるわけです。
しかし、今回の新型コロナウイルスによって、今までになかった恐怖や不安が加わって、メンタルヘルスを崩してしまうかもしれません。
透析導入に至ってしまった人は、特に酷です。
透析から来る時間的・身体的拘束に、コロナ疲れ。治療中は「不均衡症候群」も。大変です。
慣れてきた透析者であっても、今まで何とかやってきたけども、新型コロナウイルスでメンタルヘルス不調に・・・。
自分からメンタルヘルスの異変に気づく、周りも気にかけることが、ますます大切になってきています。
健常な人とは違う。
「透析+コロナ疲れ」という視点で、メンタルヘルス不調を見逃さないで欲しいと思います。
以下では、「透析+コロナ疲れ」を起こしそうな場面や特徴、その対策としての提案をいくつか挙げていきます。
透析者は何よりも新型コロナウイルスにかからないよう予防することが大事です。
外出自粛やらありますが、ふつうに生活をしていれば、問題ないはずです。
ふつうに生活していくためには、生活上の知恵や創意工夫を凝らすことが必要です。これで「透析+コロナ疲れ」は避けられるのですから。
ポイントとしては、規則正しい生活を送り、質の高い食事で栄養状態を高めつつ、運動もする。そして免疫力を高めておく。話す、笑うなどコミュニケーションも大切にする、ことです。
「コロナ疲れ」になる場面や特徴、提案
その1. 情報過多になっていませんか?
透析のために、新型コロナウイルスにかかるまいと、様々なニュースを見たり、ネットサーフィンをしているかと思います。
いつしか毎日テレビを何時間もつけたり、長時間ネットサーフィンしてみたりしていないでしょうか?
「たくさん情報を知っておけば、より正しく対処できるか?」といったら、そうではありません。
たくさんの情報のなかから、映像や言葉が発せられから、心身に変な反応が引き起こされてしまいます。
不安や心配を煽る情報がそうです。それらを嫌でも見聞きすればネガティブな思想に陥ってしまい、メンタルは疲弊していきます。
提案→
「正しい情報」を得ることは大事ですが、ネガティブになりがちな暗いニュースは、精神衛生上よろしくありません。長時間テレビやネットサーフィンするのは、避けるべきです。
私は極力テレビをつけていません。どうせなら、ポジティブになりそうな番組を探して見ます。
その2.外出自粛でピリピリしていませんか
かかりつけの病院からも「外出自粛するように!」と言われています。
外出自粛する理由は新型コロナウイルス感染を防止のためであり、「ウイルスに感染しない」「人にうつさない」ことがその目的だからです。
透析は集団治療です。新型コロナウイルスに感染してしまうと、自分だけでなく、周りの透析者や医療スタッフひいてはかかりつけ病院自体にも甚大な影響を与えてしまいます。
ただ、「外出自粛」を真に受けて、まったく外に出ない人もいるようで、これは問題ありです。
提案→
「外出自粛」であって、外出禁止ではありません。
家のなかでできること、外でできることを考えてみましょう。
<家のなかでできること>
家族がいるのなら、
・子どもと遊ぶ
・室内で運動をする
・一緒にゲームをする
・家事(料理、洗濯、掃除・・・)をする
ふだんはできなかったことを、この機にできることは、実はたくさんあります。買い物は3密もあるので、避けた方が良いですね。
趣味について
・読書
・映画やドラマを観る
・ゲーム
・体のエクササイズ(ヨガや太極拳、ストレッチ体操など)
・リラックスするための練習(呼吸法や瞑想、マインドフルネスなどの導入)
例えば、動画配信サービスを利用して、今まで見られなかった映画やドラマなどを楽しむというのもありです。
スマートフォンやパソコンであれば、将棋やオセロなど一人でしてみたり、ゲームを楽しんでも良いでしょう(ネット依存、のめり込み注意!)
参照:「透析時間の過ごし方|Amazonプライムビデオで映画・ドラマ!」
参照:「雑誌読み放題を比較&タブレットのこと【透析時間の過ごし方】」
<外ででできること>
・運動
・シャント運動
透析者は運動不足です。1カ月も家に閉じこもれば、平気で足腰が弱ります。なので、手軽にできる有酸素運動、ウオーキング(散歩)を取り入れていきましょう。
参照:「透析者|運動制限を変えるコツは【無理しない・楽しむ】の2点!」
参照:「シャントを鍛えるボール運動が簡単です!今日から続けましょう。」
その3.生活リズム崩れていませんか?
外出自粛や在宅ワークの指示などで、「就業時間の9時直前にでも起きればいいや!」という感覚で、夜更かしをするようなことも出てきます。
不規則な生活を繰り返していくと、次第に体が慣れてしまいます。
不規則な生活は「体内時計」を狂わせ、睡眠の質を下げ、病気になるリスクが高まっていきます。
提案→
透析は時間が決まって通院しているので良いのですが、生活リズムは崩さない!「規則正しい生活」を送ることが何より大事なことです。
生活上問題ないのであれば、新型コロナウイルス前の生活リズムにしておくことが賢明です。
その4.食事量、水分量増えていませんか?
ふだんから食事や水分量を調節しながら透析をしているわけですが、外出自粛や慣れない在宅ワークで、食事や水分量増えていないでしょうか。
食べれば、飲めばストレス解消できる、という人も中にはいます。
外食は抑えながらも、自宅では適切な食事で適切な水分量を摂ることが大事です。
「食べ過ぎ」「飲みすぎ」は、結果的には透析に影響を与えます。
提案→
・居酒屋に行きたかったけれども3密回避のため、オンライン飲み会に参加する。
例えば、会社や学生時の人達とのオンライン飲みニケーション(のみニケーション)もありますね。
・家族がいるのなら、一緒に、食べる・飲むことも行いましょう。
食事や水分量には個人差があります。ドライウエイト(基礎体重)の増減は、基本は±3~5%の間です。
参照:「ドライウエイトって何?ズバリ【透析後の基礎体重】のこと。」
その5.孤独になっていませんか?
透析中はどうしても孤独になってしまいます。これは致し方ありません。
透析中どう過ごすのかも、基本的には透析者の自由です。
ただ「孤独」であるということは、透析うつを、将来的には認知症を患うリスクをはらんでいることでもあります。
そして今回の新型コロナウイルスの影響での外出自粛や在宅ワーク。
家に閉じこもって「誰にも会わない」ってこともあります。透析のために通院はするが、また孤独に。
これでは「透析+コロナ疲れ」になってしまいます。
提案→
医療スタッフさんは、現状大変ですよね。
誰かと話しができる人いますか?
・非透析日の時間や家族と一緒にいる時間に、お話しができるのなら、話ししましょう。ここで、コミュニケーションをとりましょう!
遠方の家族や親戚、友達にメールやSNS、電話をするのも良いですね。 家族がいる方は、同居する家族との関わりを大切に!
・話しがしたい人・・・SNSや電話で連絡をとりあう、LineやZoomなどのテレビ電話機能で、相手とおしゃべりを楽しんでみてはいかがでしょうか。話しをすることも、笑って表情を豊かにすることもとても大切です。
・話しするのが苦手な人・・・真に信頼できる人と話すと良いでしょう。きっと気持ちが楽になるはずです。メールやSNSも良いですね。
その6.耐えられなくなってきそうになったら
いろいろと提案してきました。
新型コロナウイルスは年単位の長期戦とも言われています。そうすると、耐えられなくなってきそうなときが来るかもしれません。
そうすると、家族や信頼できる人でも解決できないこともあるかもしれません。
提案→
メンタルヘルス不調になる前に、耐えられないと感じたら、専門家や専門機関に相談をしてみましょう。
医療・保健従事者、ソーシャルワーカーなどの専門家がいます。
①一般社団法人 全国腎臓病協議会(全腎協)による専門家の相談 受付方法(電話相談、メール相談、FAX相談) こころの相談→担当:認定心理士 こころの相談については、認定心理士が担当しています。 電話は、0120-083-393となっています。
②新型コロナウイルス感染症関連 SNS心の相談(国:厚生労働省) 平日:18時~21時30分 ③大きな病院のソーシャルワーカー室、医療福祉相談室、地域の保健所などの医療ソーシャルワーカーなど |
まとめにかえて
新型コロナウイルスが長期戦になることに加え、透析という性質上、新型コロナウイルスの加害者・被害者になってしまうのではという恐怖や心配、それに対する偏見・差別を受けてしまうのではないかという思いがあります。
透析者なら今、そう感じているはずです。
私は2011年に東日本大震災も経験しました。
今回の新型コロナウイルスによって、東日本大震災とはまた違った心身的・感情的なコントロールが必要だと感じています。
やはり、先述した加害者・被害者意識、偏見・差別を受けるのではないかというのが、根底にあるからです。
現在私は、変則的な会社出勤に在宅ワークに加え(休業のための)仕事休みをしながら、透析のために通院するという生活を繰り返しています。
これはまるで昔の介護職のようなシフトが組み込まれていて、まだ体が慣れていません。
在宅ワークの日は車通勤しないので、渋滞にも巻き込まれず楽だなと感じたところす。
ですが、在宅ワークでの仕事となると、一方的な意思疎通、机上には自分しかいないなど、なかなかメリハリがつかないなといった、別な悩みも出てきています。
そう、何かにつけて足りないもの。
会社には老若男女いろんな人がいて、仕事上でぶつかり合ったり、調整しあったりして業務を回しているわけで。
感じることは、人間は人や社会との間に何らかの関わりを持っていないといけないのだと、つくづく再認識させられました。
この先もずっと在宅ワークが続き、一人で仕事となるとなると精神的に持たないなと、危惧感を持っています。
「コロナ疲れ」悩む人が増えています、メンタルヘルス不調には十分に気をつけてください。