ドライウエイトって何?ズバリ【透析後の基礎体重】のこと

PR

ドライウエイト(基礎体重)とは?

ドライウエイト(DW)。

はじめて血液透析を導入する人やその家族にとって、はじめて聞く言葉、聞き慣れない医療用語だと思います。

透析者にとっては、日常茶飯事的に聞いている言葉(用語)なのですが、ドライウエイト(DW)は常日頃から注意しなければならないですし、気にしなければならない大事なことなのです。

そのことは透析そのものや食事療法、そして自分自身の体調などにつながっていくからです。

 

・ドライウエイト(DW)が適正な状態であることを端的に言うなら、心身ともども「調子がいい感じ!」という、感じです。
・健康な人ではないにしろ、私はこのことを仕事ができる、プライベートでもふつうに過ごせることから「ベストな状態」と定義づけしています。
目次

「ドライウエイト(DW)」って何?

透析日と透析日の間は、老廃物とともに水分も溜まり続けていきます。

血液透析をするようになると以前の腎臓病(CKD)治療のように、腎臓を守るために激しい運動を制限したり、安静していたりといったことはなくなって、ほぼ健康な人と同じように生活をすることができます。

 

ただ、血液透析は長期的な治療であって、日常生活おいて注意しなければならないことがあります。

食事療法やシャントの自己管理などいろいろあるわけですが、それらのなかの1つに「ドライウエイト(DW)を維持し、管理すること」が挙げられます。

 

ドライウエイト(DW)は、基礎体重とか適正体重、目標体重…とも呼ばれています。

 

ドライウエイト(DW)は「血液透析後の体重で、身体の中から余分な水分を取り除いた時の体重」の事を言います。

ということは、

透析者にとって体のなかにある水分が過剰でもないし、脱水でもない状態を言います。

つまり、

ちょうどよく適度な状態に保たれているときの体重ということになります。


このちょうどよく適度な状態というのが、透析者にとっては理想なのです。

透析によって、老廃物や水分も抜けて、体重がドライウエイト(DW)にあわせていく、わけですが、健康な人の言う「体重が増えた」「減った」だとか、「ダイエットで●Kg減らすのを目標している」というのとは、まったくもって、その意味合いが違います。

 

 

 

上は【体組成計・体脂肪計】です。
体重はもちろん、体水分量・BMI・筋肉量・推定骨量・基礎代謝量・内臓脂肪レベル・タンパク質など、透析者にとっては病院以外で家庭においても測定できるものになっています。

 

体重からみるドライウエイト(DW)の具体例


ドライウエイト(DW)とは透析後の基礎体重です。
透析と次の透析との間は、1日半あるいは2日半空くことになります(1日半あるいは2日半⇒中一日の日と中二日と読み替えても可)。

 

その間の体重の増加はドライウエイト(DW)の+3%~+5%までに留めるようにします。

 


<<事例>>

男子の身長170(cm)で体重70(Kg)、 女子の身長160(cm)で体重50(Kg)の場合で、
各々計算してみます。

例えば月・水・金曜日が透析日の場合(土・日曜は非透析日)。

 

なお、ここでいう1日半とは、月・水・金曜日の各日(2日半とは土・日曜曜)を言います。
火木土が透析日(日・月は非透析日)の場合でも、考え方は同じです。

 


 

1日半のときは、ドライウエイト(DW)の3%。
1日半の増加が+3%以内なので、

男性:70(Kg)×1.03=72.1(Kg)。2.1(Kg)までの増加なら許容範囲。
女性:50(Kg)×1.03=51.5(Kg)。1.5(Kg)までの増加なら許容範囲。

⇒70(Kg)の男性の場合、1日半の間に2.1(Kg)まで増やしても大丈夫です。
透析で2.1(Kg)の毒素と水分を一緒に抜くことになります。


2日半のとき、ドライウエイト(DW)の5%。
2日半の増加は+5%以内なので、

男性:70(Kg)×1.05=73.5(Kg)。3.5(Kg)までの増加なら許容範囲。
女性:50(Kg)×1.05=52.5(Kg)。2.5(Kg)までの増加なら許容範囲。

⇒70(Kg)の男性の場合、2日半の間に3.5(Kg)まで増やしても大丈夫です。
透析で3.5(Kg)の毒素と水分を一緒に抜くことになります。

 


なお極論ですが、体重が30(Kg)の人が、増加+3%、+5%以内としたときは、0.9(Kg)に1.5(kg)となります。

特に年配の透析者に多くなりますが、体重が落ちます。

もともとある体重が無い分だけ、食事や水分の摂取量が少なめになる傾向にあり、健康や栄養面でも不安があるなど、透析どころか一層ドライウエイト(DW)の管理が難しくなります。

 

ドライウエイト(DW)の増減も考え方しだい

先述したドライウエイト(DW)の具体例では、
月・水・金曜日が透析日(土・日曜は非透析日)で、1日半のときがドライウエイト(DW)の3%、
2日半では+5%以内の増加の場合を挙げました。

月・水・金曜の1日半おきの透析で「水分+食事量は少な目」。
土・日曜が非透析日で、2日半分の「水分+食事量は食べて飲むので体重は増える」。

このような方は食が細い方だったり、週末はしっかり食べるといった方が多いでしょう。


透析者のなかには、こんな考え方を持った方もいます。

・「1週間しっかり食べて、しっかり透析しよう」
・「3%とか5%以内の管理は、ちょっと面倒だ・・・」

ずばり、ドライウエイト(DW)の5%で固定してしまうのです。

1日半を5%の増加と分かっている、そのような体重増にしたうえで4時間透析というのは、身体への負担は増えます(←3%と比べたら当然、透析中の除水量は多くなるので)。

もっとも「5%を超える」ような食べ方は避けましょう!

 

ドライウエイト(DW)の「5%を超える」ような食べ方になると、最低限の4時間透析で急速な除水をすれば、心臓をはじめ身体全体に、そして血管にも負担がかかります。

急速な除水によって、身体や脳が反応を起こし低血圧やこむら返りなどといった症状が起こしやすくなります。このような症状あるようでは透析を続けることが厳しくなるので、残りの除水は、次の透析まで持ち越しになります。

なので暴飲暴食を控えるとともに、週末での宴会の席や旅行での飲食には、特に注意が必要です。

◆まとめにかえて

基礎体重は+3+5%にとどめよう

 

・ドライウエイト(DW)とは、「透析後の基礎体重」のこと
・ドライウエイト(DW)の増加は「+3~+5%以内に留める」こと

 
以上の2点は押さえておきましょう。

 

体重に個人差があるように、ドライウェイト(DW)にも、透析者の身体の状態(むくみや血圧など)を総合的にみて決めることになります。

ドライウェイト(DW)は、いったん決まったらずっと変わらないものといものではありません。

身体の状態によって変化していきます(ドライウエイトの決め方、無理なドライウエイトを設定した場合にどんな影響があるのかなどについては、別途お話しますね)。

私自身は青壮年期というなかで会社員をしている、透析者です。

健康な方と同じように、食べ過ぎれば太りますし、食べなければ痩せてしまいます。

 

よく若い頃に言われたこと。

医師からは、「若いからこそしっかり食べて、しっかり透析し、運動してください」と。

 

年齢を重ねて(=透析歴も長くなって)いくと、食べる量も減ってきますし、体重が落ちてきて透析ができなくなったり、ドライウェイト(DW)の管理が困難になることへの懸念があるからです。

透析導入したころから数年は、食べる量も多かったのでドライウェイト(DW)も5%以内で、うまく調整できたものです。

さすがに透析歴が長くなり年齢も重ねてきて、時間内に5%分を除水するのは体力的にきついなあと、度々感じるようになりました。

食事のほうも落ち着いている感じです。

今ではドライウエイト(DW)の3%以内で収まっています。

あまり体重が増やしていない分だけ除水量は減りますし、透析時間を長くする日も入れるようにしたため、透析は楽になってきましたね。

あなたのドライウェイト(DW)「ちょうどよく適度な状態に保たれているときの体重」になっていますか?

まずは自分のドライウエイト(DW)を知ることが大切です。

さっそく医師・看護師さんにドライウエイト(DW)のこと、聞いてみてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次