ドライウエイトとは?透析後の基礎体重を正しく知ろう!

2018年2月1日

ドライウエイトとは?透析後の基礎体重を正しく知ろう!
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更新日: 2026年7月19日

ドライウエイト(基礎体重)とは?

ドライウエイト(DW)。

はじめて血液透析を導入する方やそのご家族にとって、耳慣れない医療用語だと思います。

でも透析患者にとっては、毎回の透析で必ず登場する”超重要ワード”。単に体重の数字を管理するだけでなく、自分の体調・食事・日常生活のすべてに関わってくる、透析生活の根っこにある概念なのです。

ドライウエイト(DW)が適正な状態であることを端的に言うなら、心身ともども「調子がいい感じ!」という、感じです。
・健康な人ではないにしろ、私はこのことを仕事ができる、プライベートでもふつうに過ごせることから「ベストな状態」と定義づけしています。

私自身、20年超透析を行っている現役の透析患者です。透析導入当初は「ドライウエイトって何のこと?」と戸惑いました。でも今では、自分のドライウエイトを知り、管理することが、透析患者としての”生活の軸”になっています。

この記事では、透析を始めたばかりの方やご家族、あるいは腎臓病でこれから透析を考えている方に向けて、ドライウエイトの意味と付き合い方をできるだけわかりやすくお話しします。

「ドライウエイト(DW)」って、そもそも何?

透析日と透析日の間は、腎臓の働きが低下しているため、老廃物とともに水分も体内に溜まり続けていきます。血液透析を始めると、以前の腎臓病(CKD)治療のように激しい運動を制限したり安静にしたりといった縛りはほぼなくなり、ほぼ健康な人と同じように生活ができるようになります。

ただし、血液透析は長期にわたる治療であり、日常生活で注意すべきことがいくつかあります。食事療法やシャントの自己管理などが代表的ですが、そのひとつが「ドライウエイト(DW)を維持し、管理すること」です。

ドライウエイト(DW)は、基礎体重・適正体重・目標体重…とも呼ばれています。

ドライウエイト(DW)とは「血液透析後の体重で、体の中から余分な水分を取り除いた状態のときの体重」のことです。

つまり、

体の中の水分が過剰でもなく、脱水でもない——”ちょうどよく適度な状態に保たれているときの体重”ということになります。

このちょうどよい状態が、透析患者にとっての理想です。

透析によって老廃物や余分な水分が抜けて、体重がドライウエイト(DW)に近づいていくわけですが、これは健康な方がいう「体重が増えた」「ダイエットで何kg減らす」という話とは、まったく意味合いが異なります。透析患者の体重変動は、ほぼイコール”体内の水分量の変化”です。

【公式定義】日本透析医学会によるドライウエイトとは

少し専門的になりますが、日本透析医学会は2011年の『血液透析患者における心血管合併症の評価と治療に関するガイドライン』のなかで、ドライウエイトを次のように定義しています。

「体液量が適正で、透析中に過度の血圧低下を生ずることなく、かつ長期的にも心血管系への負担が少ない体重」

難しそうに聞こえますが、要するに——

短期的な意味長期的な意味
透析中に大きな血圧低下が起きない体重心筋梗塞・脳梗塞などの心血管リスクが少ない体重

この2つを同時に満たすことを目指してドライウエイトは設定されます。「ちょうどよい体重」というのが、医学的にもきちんと根拠のある概念なのです。

なお、ドライウエイトは血圧・むくみ・心胸比(胸部レントゲン所見)・心臓超音波検査などをもとに医師が決定し、一般的には月1回程度の検査値を参考に見直しが行われます。いったん決まったら永久にそのままではなく、体の状態に合わせて変化していくものです。

上は【体組成計・体脂肪計】です。
体重はもちろん、体水分量・BMI・筋肉量・推定骨量・基礎代謝量・内臓脂肪レベル・タンパク質など、透析患者にとっては病院以外でも自宅で測定できる機器になっています。特に体水分量が確認できる機種は、ドライウエイト管理の参考になります。

体重からみるドライウエイト(DW)の具体例

透析間の体重増加——「3%」「5%」とは何のこと?

ドライウエイト(DW)とは透析後の基礎体重です。透析と次の透析の間は、1日半(中1日)あるいは2日半(中2日)空くことになります。

その間の体重の増加は、ドライウエイト(DW)の+3%〜+5%以内に留めるようにします。

これは日本透析医学会の「維持血液透析ガイドライン:血液透析処方(2013年)」でも明確に定められており、中1日は+3%以内、中2日は+5%以内が基準とされています。体重管理=水分管理として、透析患者には必須の知識です。

透析間隔体重増加の目安具体例(DW 60kgの場合)
中1日(1日半)DWの+3%以内60kg × 1.03 = 62kg(増加は2kgまで)
中2日(2日半)DWの+5%以内60kg × 1.05 = 63kg(増加は3kgまで)

なお、目安として「中2日は6%未満」とする医療機関や資料もあり、主治医の指示に従うことが最優先です。

【事例】性別・体重ごとの許容増加量

性別・DW中1日(+3%以内)中2日(+5%以内)
男性:DW 70kg70×1.03=72.1kg(増加2.1kgまで)70×1.05=73.5kg(増加3.5kgまで)
女性:DW 50kg50×1.03=51.5kg(増加1.5kgまで)50×1.05=52.5kg(増加2.5kgまで)
高齢者:DW 30kg30×1.03=30.9kg(増加0.9kgまで)30×1.05=31.5kg(増加1.5kgまで)

透析では、この間に増えた体重分(水分+老廃物)を除水することになります。

たとえばDW 70kgの男性が2日半で3.5kg増えた場合、その透析で3.5kgぶんの除水をおこなうことになります。

⚠ 特に注意が必要なのは体重が少ない高齢の透析患者の場合です。
DWが30kgなら、中2日でも許容増加はわずか1.5kg。食事や水分が少なくなりがちで、栄養面でも不安があるなど、ドライウエイトの管理がより難しくなります。

ドライウエイト(DW)の増減、どう考える?

「毎回3%と5%、使い分けるのが面倒」という声も

透析患者のなかには、こんな考え方をされる方もいます。

・「1週間しっかり食べて、しっかり透析しよう」
・「3%と5%の使い分けは、ちょっと面倒だ……」

そこで、ドライウエイト(DW)の5%増加で固定してしまう方もいます。

中1日でも5%増加と分かっているうえで4時間透析を受けるのは、身体への負担が増えます(3%と比べて透析中の除水量が多くなるため)。

もっとも「5%を超える」ような食べ方・飲み方は避けましょう!

ドライウエイト(DW)の5%を超えると、最低限の4時間透析で急速な除水をすることになり、心臓をはじめ全身の血管に大きな負担がかかります。

急速な除水によって体や脳が反応して、透析中に血圧低下やこむら返りといった症状が起きやすくなります。こうした症状が続くと透析を予定通り進めることが難しくなり、残りの除水を次回透析まで持ち越すことにもなりかねません。

暴飲暴食はもちろん、週末の宴会・旅行などでの飲食には特に注意が必要です。
気がつけば体重が5%をはるかに超えていた……という事態になりがちです。

体重増加が多いと、なぜ危ないの?

「水が溜まるだけでしょ?」と軽く考えがちですが、透析患者にとって体液過剰は深刻なリスクをはらんでいます。

体液過剰の状態起こりうる問題
むくみ(浮腫)体が重く動きにくくなる、皮膚トラブル
血圧上昇心臓・血管への負担増、脳卒中リスク上昇
透析中の除水量増加血圧低下、こむら返り、気分不良
慢性的な体液過多心機能低下、長期予後の悪化

逆に水分が少なすぎて脱水気味になっても、血圧が下がりやすくなる・透析中に気分が悪くなるなど問題が生じます。だからこそ「ちょうどよい状態=ドライウエイト」を目指すことが大切なのです。

ドライウエイト(DW)はどうやって決まるの?

「ドライウエイトは誰が決めるの?」と思う方も多いでしょう。これは患者自身が自由に決められるものではなく、担当医が複数の検査値や症状を総合的に見て設定します。

ドライウエイト設定に使われる主な評価指標

評価項目チェックしていること
血圧(透析前後)体液が多いと血圧が上がりやすい
むくみの有無足首・顔などのむくみは体液過剰のサイン
胸部レントゲン(心胸比)心胸比50%超は体液過剰の目安とされる
心臓超音波検査心機能・心臓の大きさを確認
血液検査(BNPなど)心臓への負担の指標
患者の自覚症状だるさ・息切れ・口の渇きなど

一般的には月1回程度の検査結果をもとにドライウエイトが見直されます。体重が落ちた・夏場で汗をかきやすい・食欲が変化した、といった場合も調整の対象になります。

また、ドライウエイトを変更するときは急激に変えるのではなく、透析ごとに0.3〜0.5kgずつ徐々に調整するのが原則です。体液是正から降圧効果が出るまでには、通常4〜12週間ほどかかるとされています。

◆まとめにかえて——「自分のドライウエイトを知る」ことが出発点

基礎体重は+3+5%にとどめよう

 

・ドライウエイト(DW)とは、「透析後の基礎体重」のこと
・ドライウエイト(DW)の増加は「+3〜+5%以内に留める」こと
・ドライウエイトは医師が設定・見直しを行うもので、体の状態に合わせて変化する


以上の3点は必ず押さえておきましょう。

体重に個人差があるように、ドライウエイト(DW)にも、透析患者の身体の状態(むくみや血圧など)を総合的にみて決めることになります。

ドライウエイト(DW)は、いったん決まったらずっと変わらないものではありません。身体の状態によって変化していきます。

私自身、20年超透析を行っている透析患者として、さまざまな変化を体験してきました。透析導入当初の数年は食べる量も多く、DWの5%以内で上手く調整できていたものです。さすがに透析歴が長くなり年齢も重ねてくると、4時間の透析で5%分を除水するのが体力的にきついと感じる場面が増えてきました。

今ではドライウエイト(DW)の3%以内で収まることが多く、除水量が減った分だけ透析が楽になりました。透析時間を意識的に長くする日を入れるようにしたことも、体への負担軽減につながっています。

よく若い頃に医師から言われたこと。

「若いからこそしっかり食べて、しっかり透析し、運動してください」

年齢を重ねると食べる量も減ってきますし、体重が落ちることで管理が難しくなることも少なくありません。だからこそ、若いうちから「食べてしっかり透析する」サイクルを身につけることが大切だと、身をもって実感しています。

あなたのドライウエイト(DW)——「ちょうどよく適度な状態に保たれているときの体重」になっていますか?

まずは自分のドライウエイト(DW)を知ることが大切です。

ぜひ、担当医・看護師さんにドライウエイト(DW)のこと、聞いてみてください。