【透析前】でも障害者年金はもらえる!厚生年金3級の条件と申請方法

2018年5月20日

【透析前】でも障害者年金はもらえる!厚生年金3級の条件と申請方法
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更新日: 2026年10月13日

 

「透析前は障害者年金がもらえない」は誤解。

「透析前って障害者年金もらえないの?」という、透析患者やそのご家族からよく聞かれる疑問についてお話しします。

この誤解、実は非常に多いのです。「まだ透析を始めていないから、どうせ年金はもらえない」と思い込んで、そもそも申請すらしていない方が少なくありません。しかしそれは、大きなもったいないことかもしれません。

20年超透析を行っている私自身は、「透析前」の時期にこの疑問点については勉強しました。結果は、当時腎臓の異常のために病院に通い始めた「初診日」が、学生という第1号被保険者のなかで保険料を払い続けていたことが肝になります。そのため、年金の受給のための納付3要件からを満たして「障害基礎年金2級」の支給決定となったわけです。(ひいては、今回見ていく「障害厚生年金3級」の納付要件は関係はなく「非該当だ」、という話しになります。詳細は下記にて!)

「年金制度複雑すぎる!」頭を悩ませてきた方いるのでしょう。できるだけ、わかりやすくお伝えしたいと思います。

 

この記事のポイント
・「透析前は障害者年金がもらえない」は誤解。厚生年金加入者なら透析前でも3級に該当する可能性がある
・障害厚生年金3級には最低保証額(2026年度:年額635,500円/月額約52,958円)がある
・障害厚生年金3級には、1級・2級にあるような「配偶者加給年金」はない
・腎疾患の障害年金申請には「腎疾患の障害認定基準」が用いられ、納付3要件を満たす必要がある
・障害の状態が3級にあっても、透析を開始すると原則2級になる

 

透析前は年金もらえないは誤解!

「透析前は障害者年金もらえない」は誤解です

透析を受けることになると、原則として障害年金の2級に該当します。

透析を導入したタイミングで担当医や相談員から「2級に該当します」と説明を受けて、初めてこの仕組みを知る方も多いです。そこで「ということは、透析前はもらえないのか」と思ってしまいがちなのですが、それは正確ではありません。

もしあなたが「初診日」に厚生年金に加入していたのであれば、透析前であっても障害厚生年金の3級に該当する可能性があります。

なぜなら、厚生年金には「障害厚生年金の3級」という制度が存在するからです。この点が、多くの方が混乱するポイントです。次の章で、その仕組みをできるだけわかりやすく解説します。

 

年金の「1階・2階」構造を知れば、すべてがわかる

障害年金の制度が複雑に感じられる大きな理由のひとつは、「年金には1階と2階がある」という構造を知らないことにあります。ここをしっかり理解しておくと、制度全体がぐっと見通しやすくなります。

 

「1階部分」=障害基礎年金(国民年金)

すべての国民が加入する「国民年金」から支給される部分です。障害等級は1級と2級の2種類だけで、3級は存在しません。

つまり、初診日に国民年金にしか加入していなかった方(自営業者・フリーランス・専業主婦・学生など)は、障害の程度が3級相当と判断された場合、残念ながら障害年金を受け取ることができません。

 

「2階部分」=障害厚生年金(厚生年金)

会社員や公務員など、厚生年金に加入している(いた)方に上乗せして支給される部分です。こちらは障害等級が1級・2級・3級の3種類あります。

そして、障害厚生年金の1級・2級に該当する方は、1階部分の障害基礎年金も「一緒に」もらえます。一方、3級の方は、2階部分の障害厚生年金だけが支給されます(障害基礎年金に3級は存在しませんので、支給されません)。

年金構造を知ればわかる

障害等級初診日に国民年金のみ加入
(自営業・学生・専業主婦など)
初診日に厚生年金加入
(会社員・公務員など)
1級障害基礎年金1級のみ障害厚生年金1級 + 障害基礎年金1級
2級障害基礎年金2級のみ障害厚生年金2級 + 障害基礎年金2級
3級受給できない(3級は国民年金に存在しない)障害厚生年金3級のみ(基礎年金の上乗せなし)

 

この表を見ると、「3級の制度があるのは厚生年金だけ」ということがよくわかります。だからこそ、「初診日に厚生年金に加入していたかどうか」が、透析前の障害年金申請において非常に大きな分かれ道になるのです。

 

「初診日」がすべての起点になる

障害年金の制度では、「初診日(その病気やケガで初めて医師の診察を受けた日)」が基準になります。そのとき加入していた年金の種類によって、申請できる年金の種類が決まります。

大切なのは「透析を始めたとき」ではなく、「最初に腎臓の病気で病院を受診した日(=初診日)」に、何の年金に入っていたかです。

例えば「学生のときから腎臓の治療を続けていて、社会人になってから透析を導入した」という場合、初診日は「学生のとき」になります。学生の場合は通常、国民年金(第1号被保険者)の加入者のため、社会人になってから厚生年金に入っていたとしても、障害厚生年金は申請できないことになります。

これは、冒頭でお話しした私自身のケースそのものです。学生時代にひっかかった健康診断がきっかけで治療を始め、28歳で透析導入となりましたが、初診日は学生時代にあったため、障害厚生年金3級の申請はできませんでした。

 

申請に必要な「納付3要件」とは

障害年金を受給するためには、3つの要件(納付3要件)をすべて満たす必要があります。どれかひとつでも欠けると申請が通りません。

要件内容ポイント
①
初診日要件
障害の原因となった病気やケガで最初に医師の診療を受けた日(初診日)に、国民年金または厚生年金に加入していることこの日に「どの年金に入っていたか」で申請できる年金の種類が決まる
②
障害認定日要件
初診日から1年6か月が経過した日(障害認定日)または20歳到達日に、規定の障害の状態にあること認定日に軽くても、その後悪化した場合は「事後重症請求」もできる
③
保険料納付要件
初診日の前日時点で、直近1年間(特例)または全加入期間の3分の2以上の期間、保険料を納付または免除されていること保険料の未納が多いと要件を満たせない場合がある。事前に年金事務所で確認を。

 

この3要件は、「すべて」満たしていることが条件です。どれかひとつでも欠けると受給資格が生まれません。特に③の保険料納付要件は、若い頃に未納が多かった方は注意が必要です。

詳細は日本年金機構のサイト、または最寄りの年金事務所で確認することをおすすめします。

 

透析前の治療中でも、障害厚生年金3級に該当する場合があります

 

透析前の治療中でも、障害厚生年金3級に該当

ここからは、障害厚生年金3級について詳しくまとめます。

慢性腎臓病(CKD)や慢性腎不全の治療中で、「まだ透析は始めていないが、データが悪くなってきた」という段階の方でも、初診日に厚生年金に加入していた場合は、3級の申請ができる可能性があります。

 

障害厚生年金3級でいう「障害の程度」とは

厚生年金保険法の施行令で定める3級の定義は以下の通りです。

根拠法令等級障害の程度の定義
厚生年金保険法施行令3級身体の機能に、労働が制限を受けるか、または労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの

「著しく」という言葉がない分、1級・2級よりも軽い段階です。「フルタイムで働くことは難しい」「体調が悪い日には仕事を休まざるを得ない」といったレベルが目安となります。

 

腎疾患の場合:検査値と一般状態を合わせて判定する

腎疾患(慢性腎不全など)による障害については、「腎疾患の障害認定基準」に基づいて判定されます。血液検査の数値だけでなく、日常生活の活動能力(一般状態区分)も組み合わせて総合的に判断されます。

(1)検査項目と異常値の区分(慢性腎不全の場合)

区分検査項目単位軽度異常中等度異常高度異常
ア)内因性クレアチニンクリアランスml/分20〜30未満10〜20未満10未満
イ)血清クレアチニン(Cr値)mg/dl3〜5未満5〜8未満8以上

(2)一般状態区分表(3級判定に関係するもの)

区分一般状態の説明
イ)軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行・軽労働・座業はできるもの(例:軽い家事、事務など)
ウ)歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの

(3)3級に相当すると認められる状態

等級認定の条件(慢性腎不全の場合)
3級上記(1)の検査成績が軽度・中等度・高度のいずれかの異常を1つ以上示すもので、かつ上記(2)一般状態区分のイ)またはウ)に該当するもの

ポイントは、「中等度の異常」や「高度の異常」かつ一般状態が「ウ)」に当てはまる場合、透析を行っていなくても2級相当と判断されるケースもあるということです。自分のデータが「どの区分に当てはまるか」は、主治医や社会保険労務士に相談することをおすすめします。

 

障害厚生年金3級の「お金」の話—最低保証額と注意点

障害厚生年金3級の金額は「報酬比例の年金」として計算されます。つまり、厚生年金に加入していた期間の給与水準と加入期間によって人それぞれ違います。

加入期間が短かったり、給与が低かったりすると、計算上の年金額も低くなりがちです。そこで設けられているのが「最低保証額」という仕組みです。

項目内容(2026年度:令和8年度)
計算式平均標準報酬額 × [5.481 ÷ 1,000] × 被保険者期間の月数
最低保証額年額 635,500円(月額換算で約52,958円)
※2026年度は前年度比+2.0%の引き上げ
配偶者加給年金3級には加給年金なし(1級・2級にはある)
障害基礎年金の上乗せ3級は対象外(1級・2級は基礎年金も同時受給)
支給回数年6回(2・4・6・8・10・12月)、前2か月分をまとめて支給

「最低保証額が635,500円もある」と聞くと安心感がありますが、同時に1級・2級と比べた場合の差も理解しておきましょう。

 

等級年金の構成2026年度の目安(参考)
1級障害厚生年金1級 + 障害基礎年金1級(+配偶者加給年金)障害基礎年金のみで年額1,059,125円(+厚生年金部分)
2級障害厚生年金2級 + 障害基礎年金2級(+配偶者加給年金)障害基礎年金のみで年額847,300円(+厚生年金部分)
3級障害厚生年金3級のみ(基礎年金なし・加給年金なし)最低保証額:年額635,500円(月額約52,958円)

年金額は毎年度見直されます。正確な自分の受給額は、日本年金機構からの「年金額改定通知書」や、年金事務所・ねんきんネットで確認することをおすすめします。

 

透析前の3級から、透析導入で2級へ—等級の変化を知っておこう

「今は透析前で3級相当だけど、今後透析を始めたらどうなるの?」という疑問も出てきますよね。

透析(人工透析)を導入することになった場合、原則として障害年金の2級に該当することになります。

これは厚生年金・基礎年金ともに2級以上が適用されるため、透析患者の多くが障害厚生年金2級+障害基礎年金2級の両方を受給できる状態になります。そのため、もし現在3級を受給中に透析を始めた場合は、等級の変更(額改定請求)手続きが必要になります。

3級から2級への変更は「より多くの年金が受け取れる方向への変化」ですが、手続きは自動ではありません。忘れずに年金事務所に相談するようにしましょう。

 

腎疾患以外でも!3級に該当する障害の例

「障害厚生年金3級」が対象となるのは、腎疾患だけではありません。厚生年金に加入している間に、様々な病気やケガで3級相当の障害を負った場合に幅広く対象となります。

一例として、以下のような状態が「3級相当」として認定されることがあります。

障害の種類3級相当として認定される例
腎疾患(慢性腎不全)Cr値3〜5未満(軽度異常)かつ一般状態区分イ)またはウ)に該当。透析前の治療中でも申請可能。
心疾患心臓ペースメーカーや人工弁を装着した状態。装着日に認定される(期間の経過を待たなくてよい)。
糖尿病インスリン治療が欠かせず、かつ労働に制限を要する程度の合併症がある場合。
精神疾患うつ病・統合失調症などで、就労が著しく制限される程度の状態。
肢体不自由片腕・片足の機能に著しい障害があり、通常の労働ができない状態。
視覚障害良い方の眼の視力が0.1以下の状態など。

重要なのは、これらの障害はすべて「初診日に厚生年金に加入していたこと」が大前提です。同じ障害の程度でも、初診日に国民年金にしか加入していなかった場合は、3級での受給はできません。

 

まとめ—「もらえない」と諦める前に、必ず確認を

透析前だからといって、必ずしも「障害者年金はもらえない」わけではありません。

この記事で繰り返しお伝えしてきた通り、「初診日に厚生年金に加入していたかどうか」が最大のポイントです。「もらえないと思い込んで申請すらしない」という状況は、本当にもったいないことです。

以下に、この記事の重要ポイントを最終確認としてまとめます。

1.障害基礎年金(国民年金)には3級が存在しない。3級があるのは障害厚生年金(厚生年金)だけ。
2.初診日に厚生年金に加入していた会社員・公務員は、透析前でも3級に該当する可能性がある。
3.初診日に国民年金にしか入っていなかった自営業・主婦・学生などは、3級での受給対象にはならない(国民年金には3級がないため)。
4.障害厚生年金3級の最低保証額は年額635,500円(月額約52,958円)(2026年度)。毎年度見直されるため、最新情報の確認が必要。
5.3級には配偶者加給年金がなく、障害基礎年金との同時受給もない。1級・2級と比べると受給額は低くなる。
6.申請には「初診日要件・障害認定日要件・保険料納付要件」の3つすべてを満たすことが必須。
7.透析を導入すると原則2級に変更される。等級変更の手続き(額改定請求)は自動ではないので注意。
8.身体障害者手帳の認定基準(平成30年4月改正)と障害年金3級の判定基準は、腎疾患に関してほぼ同様の内容になっている。両方を同時期に申請・取得することも検討してみよう。

もし今、透析前の治療中で「働くのが少しつらい」「収入面が不安」と感じている方がいたら、まずは初診日に厚生年金に加入していたかどうかを振り返ってみてください。

年金事務所や社会保険労務士に相談することで、思いがけず障害厚生年金3級の対象になっている可能性もあります。制度を知っているかどうかで、受け取れる年金が大きく変わることがあります。20年超透析を行っている私自身も、勉強していてこうした制度の知識が生活の支えになってきました。

まずは「諦めない」こと。それが、最初の一歩です。

参照:「透析に障害年金が収入補填。受給には納付【3要件】が必須!」