2025年5月7日

更新日: 2026年7月15日

20年超透析を行っている現役の透析患者として、この記事を書いています。実は、直近のニュースで障害年金の不支給問題が大きく取り上げられました。人工透析中なのに障害年金が不支給になるケースが、実際にあり得るのです。
厚生労働省の調査によると、2024年度(令和6年度)の障害年金の新規請求における不支給(非該当)割合は13.0%となり、前年度(2023年度)の8.4%から大幅に上昇しました。これは過去最高の水準です。特に精神障害の分野では、2023年度の6.4%から2024年度は12.1%へと、約2倍に増加しています。
当時の報道では、日本年金機構の障害年金センター職員が「23年10月に就任したセンター長の方針が厳しいため、不支給が増えた」と証言していたことが伝えられました。厚労省側は「そのような指示は確認できなかった」としていますが、いずれにせよ「属人的な要素が判断に影響しうる」ことを示す出来事だったと言えます。
この問題を受けて、厚生労働省と日本年金機構は判定の仕組みを是正する方針を明らかにし、2026年に入ってからは不支給事案の再点検が進められています。2026年5月時点の速報では、点検済み1万4,841件のうち444件(約3.0%)が「不支給→支給」に変更されました。つまり、一度不支給と言われても、諦めずに対応することで結果が変わる可能性は十分にあるということです。
この記事では、今後の透析導入者や透析患者のために、障害年金を受給するための対策を、図解と実例を交えてわかりやすく解説します。
透析を始めたのに障害年金がもらえなかった…、そんな声が実際にあります。
実は、透析=年金自動受給ではないのです。透析を導入すれば必ず年金がもらえる、というわけではなく、いくつかの条件をクリアする必要があります。
この記事では以下のような疑問に答えます。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 初診日要件 | 病気で最初に医師にかかった日が特定できること |
| 保険料納付要件 | 初診日の前日時点で年金保険料を一定期間納めていること |
| 障害状態該当要件 | 障害等級に該当する障害状態であること |
この3つの要件は、すべて満たしていないと受給できません。透析をしているからといって、この3条件のどれかが欠けていれば、不支給という結果になってしまうのです。
参照:透析にかかる障害年金は収入補填が目的。受給には納付【3要件】が必須!
事例:カルテが残っておらず不支給に
40代男性が糖尿病から腎不全を経て透析を始めましたが、初診の病院が閉院していてカルテが取得できず、不支給になりました。
→ 後に「初診日申立書」と健康診断の記録などを組み合わせて再申請し、受給決定となりました。
ポイント
透析中であっても、診断書に「週3回の透析」「日常生活への影響」などが記載されていないと、審査に通らない可能性があります。
記載漏れがないか、提出前に主治医と一緒に確認をしてください。私も申請の際、先生と何度かやり取りして、日常生活の様子が正確に伝わるようにお願いした経験があります。
初診日の前日に、一定の年金保険料を納めていなかった場合、不支給になることがあります。
年金を受け取るには、過去の保険料を納めているかが重要!たとえ現在透析中でも、納付状況に問題があれば受給できません。よって、納付状況を年金事務所で事前に確認することが重要です。
対策という対策はありませんが、納付状況を年金事務所で事前確認しておきましょう。
これは「相当因果関係」という考え方によるもので、糖尿病の治療を始めた日が、実質的な「初診日」とみなされることがあるからです。「透析を始めた日」を初診日だと思い込んでいると、思わぬところで要件を満たせなくなる可能性があるので、注意が必要です。
「透析をしているから絶対に2級がもらえる」というわけではなく、正しい書類を、正しい内容で揃えることが大前提だということを、改めて強調しておきたいと思います。
以下の図は、障害年金を申請するまでの流れを視覚的に示したものです。
腎疾患の症状が出始める
↓
最初の医療機関を受診(=初診日★)
↓
治療・経過観察(数年〜十数年)
↓
人工透析の導入(週3回以上★★)
↓
透析開始から3ヶ月経過 → 障害認定日(特例)
↓
診断書・申立書等を準備して申請
↓
障害年金受給開始(事後重症の場合は翌月分から)
多くの透析患者は「初診日から1年6ヶ月以内」に透析に至らないため、「事後重症請求」が主流です。この点を誤解して「待たなければならない」と思い込み、申請が遅れる例も見られます。
★初診日は「最初に治療目的で医療機関にかかった日」です。
★★「初診日から1年6ヶ月以内」
ここで、2026年の最新の動きも押さえておきましょう。厚生労働省は2025年6月、令和6年度の障害年金の認定状況についての調査報告書を公表し、判定の仕組みを是正する方針を明らかにしました。
これを受けて、2024年度以降に不支給とされた精神障害等の事案について、常勤医師を中心としたチームによる再点検が行われています。2026年5月時点の速報では、点検済み1万4,841件のうち444件(約3.0%)が「不支給→支給」へ変更されました。
透析や腎疾患は精神障害とは別の分野ですが、この一連の動きは「審査の公平性を保つための見直しが進んでいる」ことを示しています。もし過去に不支給となった経験がある方は、諦めずに再点検の対象になっていないか、年金事務所に確認してみる価値があると思います。
また、2026年度(令和8年度)は、障害基礎年金が前年度比プラス1.9%、障害厚生年金(報酬比例部分)がプラス2.0%の改定となり、障害基礎年金2級は月額70,608円(年額847,300円)に増額されています。年金額そのものも変わっていくので、最新情報は日本年金機構のサイトなどでこまめに確認しておくと安心です。
申請の準備前に、次の項目をチェックしましょう。
| 一般状態区分 | 日常生活の目安 | 等級目安 |
|---|---|---|
| ア〜イ | 軽労働可、生活制限ほぼなし | 対象外〜3級 |
| ウ | 日中の半数以上起きて生活、軽労働困難 | 2級 |
| エ〜オ | ほぼ終日就床、身の回りのことも困難 | 1級 |
人工透析を週3回以上受けている方は、原則「2級」に該当します。加えて合併症や日常生活の制限があれば、1級も視野に入ります。
腎臓移植をした方でも、術後1年間は等級を維持できます。予後や検査結果によって見直しはありますが、すぐに年金が打ち切られるわけではありません。
ポイント:
もし審査の結果、不支給や思っていたより低い等級と判定された場合でも、そこで終わりではありません。「審査請求」という不服申立ての手続きを行うことができます。
2026年に入ってから不支給事案の再点検が進んでいることを考えると、「一度ダメだったから」とすぐに諦めず、専門家に相談しながら不服申立てを検討する価値は十分にあると感じています。
透析導入者・透析患者でさえも申請するのが難しくなっていると感じます。障害年金の専門家である社労士の方々でさえ、最近の不支給増加の流れを踏まえて、不服申し立てを積極的に行うなど、強気の姿勢を見せています。
障害年金を申請し、確実に受給できるようにするためにも、以下を徹底しましょう。
透析は生活に大きな影響を与えます。障害年金の受給で、経済的な不安を減らす一歩を踏み出しましょう。20年超透析を行っている身として、制度の変化に振り回されず、正しい情報を持って前に進んでいくことの大切さを、これからも伝えていきたいと思います。