透析の選び方ガイド|自分に合った治療方法を選ぶための完全解説

2018年12月23日

透析の選び方ガイド|自分に合った治療方法を選ぶための完全解説
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更新日: 2026年8月5日

透析を選ぶ、血液透析か腹膜透析か

透析の選び方

透析療法では「血液透析」か「腹膜透析」の2択が挙がりますが、日本では圧倒的に「血液透析(HD)または血液透析濾過(HDF)」が多いです。

最新データ(2024年末・日本透析医学会統計調査):
日本の慢性透析患者数は337,414人(2024年12月31日現在・前年比6,094人減)。治療形態の割合は、血液透析(HD)33.2%・血液透析濾過(HDF)63.3%で合わせて約96.5%を占めます。腹膜透析(PD)は3.2%(10,774人)で2017年から増加傾向。腹膜透析のうち21.1%は血液透析(HDF含む)との併用療法です。在宅血液透析(HHD)は767人と少数です。

透析患者の通院や時間管理に対する負担は大きいですが、医師や看護師さんによる手厚い医療的な処置・ケアを受けられることが最大のメリットで、安心・安全であることが大きいのでしょう。

透析導入時にあたっては「血液透析のみ」「腹膜透析→血液透析」「腹膜透析&血液透析」…といったような治療も考えられ、透析の選び方をとっても人それぞれです。これから透析を導入することが分かっていて仕事をしている人、転職活動をしている人。今は静養していて無職という人もいるでしょう。

以下は私の「生活の一部分である仕事についてどうするのか」という苦悩。そして「私なりに血液透析を選んだ理由」を体験記として振り返ってみました。参考にしていただければと思います。

無職=ブランク期間であったこと

私がステージ(=病期)5の末期腎不全となったのが、20代後半になったときでした。健康診断で腎臓病が分かり、治療を続けながら介護職をしていました。

当時は介護保険制度も整備されて、仕事をみても将来性があると思っていましたし、重労働で大変だけれども、「介護」という仕事にやりがい、楽しさを感じていました。

介護というものは、食事や入浴、排せつの介助など体力を使います、かなりの重労働です。食事療法や薬物療法は継続的に行っていたものの、重労働やその後の疲労が腎臓に負担をかけがちでした。定期的な検査結果は、良くなったり悪くなったりの繰り返しでした。

腎臓が沈黙の臓器、不可逆的(=元の状態に戻らない)な臓器と言うように、気づかぬうちに本来の機能が弱ってきて、強い疲労感を覚え、尿毒症の症状もみるみるに現れてきて、仕事をし続けていくことが難しくなってきました。そして私は、介護の現場を離れて静養することにしたのです。

私にとって介護職を辞めてから透析導入までの期間を「静養期間」に充てたわけですが、と同時にブランク期間でもありました。ブランク期間というものは履歴書や職務経歴書でみたときに、日本の企業や採用担当者は気がかりなもの。当の本人でも、負のイメージが付きやすいもの捉えがちです。

私は私なりに、静養期間を設けたことは良かったのだと思っています。「ブランク期間である静養期間をどのように過ごしたのか?」と聞かれたならば、きちんと説明できますし、自信持って答えることができます。

「不況だ、透析だ、転職は絶対に不利!」

20代後半というのは仕事のうえではどのような時期でしょうか? 大学を卒業して社会に出て5、6年が経ち働き盛りな年ごろです。30代に向かって更なるキャリアを目指したいとも、転職に挑戦するのにも良い年代です。チャンスはいくらでも転がってもいますし、自分で作ることだってできます。

当時の時代背景というと「失われた20年」の真っ最中にありました。今では考えられない「失業率の高さ」「低い成長率」。「いつになったらこの長いデフレーション(=不況)から抜け出せるのか?」と。

生活があります。世のなかの会社員等は、いつ自分が首になり、リストラ対象になるのかとオドオドしていました。新天地と言って仕事を辞める、転職することはかなりの高リスクだったわけです。

このような時代のなかで、私は「透析療法(血液透析か腹膜透析)か腎移植か」で医師から説明を受けました。その心境というと「不況だ、透析だ、転職では絶対不利!(でも福祉業界には関心はある…)」と、何度でも言っていました。

仕事も「下手すれば1年半いや2年かかっても転職活動をしているのではないか!?」と恐れ、雇用保険の保険給付日数もついに切れて、長丁場になることを心配していました。

透析療法(血液透析か腹膜透析)かそれとも腎移植にするのか?

医師から「説明を受ける」ということは、すでに透析や腎移植をしなければならない時期が、すぐそこに差し迫っているということです。いつの時点で透析ないし腎移植をするかは、ステージ(病期)や検査による数値、スケジュールなどによって個人差がありますが、最終的には医師が判断します。

医師からは、透析療法(血液透析か腹膜透析)そして腎移植の各々のメリットやデメリットについて説明を受けるとともに、生活の、経済的基盤になる「仕事」のことも一緒に交えて相談することにしました。医師こそ仕事選びのプロではありませんが、相談をして参考にすべきところは大きかったです。

  • 透析と腎移植。生活スタイルはどのように変わってしまうのか?
  • 生活の、経済的基盤になる「仕事」。透析と腎移植した場合の「メリット」「デメリット」とは?
  • 「再び福祉業界に戻りたい」のだが、介護などできるだろうか?

説明を受けた、相談もした。時間だけは刻々と過ぎていきます。「透析療法か腎移植にするのか。」それに踏まえて仕事はどうするのか? 決めるのは自分なのです。

「ほんとうに自分は介護職していたのだろうか?」と思えるほど、たまに来る体調不良の日々、運動もできずに来る体力低下、仕事どうしようかと思い悩む。なかなか決まらない。

介護という仕事柄、透析をしなければならない高齢者や障がい者の方とは身近かに接していたわけです。さすがに「この自分も20代後半と若いのに、透析をしなければならない身であること」への受け入れと、近く現実的になってしまうことの精神的・心理的な負担。このことが私の心身バランスを崩してしまいました。透析もそうで、重大な病気や障害になったときの人間共通の心理反応なわけで、私も例外では無かったわけです。「ほんとうに、しんどかった。」

そうとは言え、この先のことを考えていかなければなりません。いま自分の置かれている状況や環境から「透析を選んだ場合」「腎移植を選んだ場合」の生活スタイルや仕事などについて、さまざまな疑義点や問題点を次々と出していきました。

またそこから湧き出てくる不安や不満要素などについても出していきました。医師からの説明を受けて相談もしましたが、「第三者からみた視点」という意味では自分だけではなく、一緒に生活している父母や兄弟姉妹といった家族と一緒になって、話しをする、意見を出してもらうことも大事なことです。

▼ 3つの治療方法(血液透析・腹膜透析・腎移植)の主な比較(2025年現在)

比較項目血液透析(HD/HDF)腹膜透析(PD)腎移植
日本での割合約96.5%(HD+HDF)約3.2%(PD単独+併用)年間約2,000件(2023年)
治療場所透析クリニック・病院自宅が中心手術後は通院管理
頻度・時間週3回・1回4〜5時間毎日4〜6回の交換 or 就寝中に自動機器透析不要になることが多い
仕事への影響通院日の時間制約が大きい比較的自由。仕事しやすい術後安定すれば健常者に近い
メリット医療スタッフによる管理・安心感通院頻度が少ない・時間の自由度が高い透析から解放される・QOL向上
デメリット・注意点週3回の通院・拘束時間が長い自己管理(感染予防)が必須・7〜8年で移行が必要なこともドナー・費用・運・タイミングが必要。免疫抑制薬の服用が生涯必要

血液透析を選ぶことにしました…。

今後の生活スタイルや仕事のこと、いろいろな疑義・問題点の洗い出しを行った結果、私は「血液透析」することを選びました。約96.5%もの透析患者は「血液透析(HD+HDF)」を行っているわけですが、なぜ私は「腹膜透析」「腎移植」を選ばなかったのか?

「血液透析」を選ぶ以前から母からは「腎移植に協力する」と言ってくれました。「自分の子どもであるから…」。親心から来る言葉ですよね、私としてはとてもありがたかったです。

私以外に兄弟がいて、大学通学や結婚を控えているといった状況にありました。ずっと出費が続く時期にあって、生活のためのやりくりも大変であることは理解していました。

「正直、いつになったら腎移植※ができるのかも分からないし…」
「私のために金銭やりくりは難しいのは明らか!腎移植などできる状況には無いなあ」
「自分の腎移植をするために借金するというのも…」。

腎移植するにしても、ドナー、お金、運、タイミングも重要(今でも変わっていません!)

両親にも様々な気持ちはあったのでしょうが、私のことよりも「大学の学費」「結婚資金」のためにお金を回してもらったほうが良いのだと、両親へ伝えました。

※参考:日本における腎移植の現況(2023〜2025年最新情報)

2023年の腎移植件数は2,001例(日本移植学会・日本臨床腎移植学会)で、2019年と同等の水準まで回復。献腎移植数は248例と過去最多を記録しました。内訳は生体腎移植が1,753例(約87.6%)、献腎移植(脳死・心停止下)が248例(約12.4%)。

献腎移植を待機中の登録者数は2023年末で14,330人ほどで、透析患者の年間約0.9%程度しか献腎移植を受けられないのが現状です。自分だけでなく同じように待機している透析患者がいて「いつ腎移植ができるか」の時期(時間)は未知数です。

ドナー探し、手術や入院治療のための高額な医療費の捻出だけではなく、運やタイミングも重要です(なお登録していても年間更新のための諸費用等もかかってきます)。腎移植をすることで透析生活から解放されます。

腎移植。蘇った腎臓!とはいえ、「疲労・ストレスを溜めない」といった身体への労りは必要ですが、仕事は健康な人と同じようにできることにメリットはあります。しかし腎移植へ実現は未知数、非現実的に思い、私はその選択肢から外しました。いま透析患者である私ですが、腎移植ができることに希望を持ちたいですし、実現して欲しいと願っています。

では、腹膜透析を選択した場合はどうでしょうか?健康な人と同じようほぼ仕事ができて、給料の確保もできることでしょう。

ただ私の性格からして「きちんと感染症対策ができるかどうか?」について、かなりの疑問を抱きました。なぜなら入浴などの場面において、腹膜透析用のカテーテルなどの衛生管理には自信が持てなかったうえに、重荷だったからです。

また好きな旅行(出張も含み)のこと。現地まで腹膜透析セットを携帯し、そして透析をすることの面倒くささ。寝ながらでもできるが、荷物もかさばりそうで忘れていったとしたら…!?

日本国内で透析ができる病院で、旅行透析(臨時透析)をしてもらったほうが、かえって安心・安全と思いました。

さらに腹膜透析を選んで一歩先のことを考えなければならないこととして…。いずれ7、8年も経つと血液透析に移行しなければならません。腹膜透析から血液透析への生活スタイル、ひいては仕事自体(=働きかた)も変わってしまうわけです。

腹膜透析から血液透析へ変わりそうな時点で、生活スタイルや仕事ことをあれこれ考えるよりは、最初から血液透析で、透析と仕事のスタイルを形づけていったほうがが良い!と考えました。

血液透析を選んだ。仕事上の疑義・問題点はないか?

透析療法(血液透析か腹膜透析)か腎移植かを選ぶだけにはとどまらず、仕事のことも同時に考えなければなりません。かれこれ約1年という静養期間のなかで「福祉業界に出戻るか」「身体に負担が少ない事務職に就くか」。転職活動していくなかでかれこれ悩みました。

福祉業界、ほかの業界にしても、どちらに行っても良いように、簿記やPCといった資格を取得するために通学をしました。これも「事務職」に就くことも念頭に置いてです。通学の次いでに、ハローワーク(公共職業訓練など)も一緒に通っていました。時間効率は良かったのですが、さすがに強い疲労感や尿毒症の症状で大変なときは、無理には通いませんでした。

「福祉業界でまた介護職をやっていきたい」「やりがいをもって仕事を続けていきたい」という強い信念はありました。そのため「福祉業界へまた復帰できる!」「戻ることができる!」というこだわりが良くも悪しくもありました。

なぜなら、2000年に介護保険法制度が整備・施行されて、私には福祉業界での仕事に対して希望はあったし、展望というもの感じてていたらです。(しかしあれから20年超。今となってはどうでしょう!?超高齢社会で慢性的な人手不足。大きな社会問題になっていますね…。)

介護職以外で同じ福祉業界でどのような職があるだろうか?専門学校や大学でまだ資格を取るだけの時間は無い!

  • 介護職に近い仕事はあるのだろうか?
  • 介護は少々行うとして、生活相談員にでもなれるだろうか?
  • 介護施設などの事務職に就いたとして。事務職ははじめて。取ったばかりの資格で、今あるスキルで、雇ってくれるところはあるのか!?

一方で、血液透析をしながら、再び介護職に就いた場合。「果たして本当に仕事を続けていくことができるのか?」「仕事上の考えられるリスクとは…?」も考えてみました。

  • 透析によって翌日の体調に変化があったら…
  • 重労働な介護に透析。正直、心身持ちますか?
  • 介護に透析しながらでも年はとる。絶対に体力が持たなくなってくるはず…。
  • 万が一、介護していてシャントを壊してしまったとしたら…
  • 夜勤やシフト制に十分に応えられるか?
  • イザ私が入院してしまったら、シフト替えてもらえるか?
  • 高齢者施設などで風邪やインフルエンザ、肺炎が!…。
  • 透析患者の免疫力はそう高くない!うつる、うつされることへのリスクが高い!

私が福祉の職に出戻ることについて、父母、兄弟からの意見というのには異論はありませんでした。「身体が基本!ほんとうに大事にして」という当たりまえの条件付きはありましたが、「やってみれば良い」「好きな仕事(職)を貫き通せばいい」という姿勢でした。

疑義・問題点から、仕事どう決めた!?

疑義・問題点を出していくうちに、仕事は「介護職から事務職へ」就くことに決めました。「もう介護業界にはこだわらない!」業種も職種も方向転換することを決断したわけです。

方向転換した理由は上述してきたように、今後様々な疑義点や問題点が出てきそうで、リスクも出てきて減ることは無いと思ったからです。

「自分は血液透析をしなければならない身」。何より「自分を守ることを優先すべきだ!」と。

事務職に就くのにあたって「即戦力」などは持ち合わせてはいなかったでしょうが、

  • 「ここ1年内に取得した資格(簿記やパソコン)を取得したものを、何とか仕事のなかで活かせるようにしていきたい!」
  • 「事務職の求められるスキルを上達させていきたい!」そう思っていました。

日本が低空飛行していた「失われた20年」の時期です。事務職、ホワイトカラーをはじめとして求人票は薄かったわけで、競争に競争でした。

「透析することになっても、正社員になることを目指しまずは仕事を探す。見つける。業界は問わないように。きちんと仕事に就くこと!」が目標になりました。

転職活動そのものについては、また別にお話ししますが、1年弱にして無事に事務職に就くことができました。透析患者の仕事探しは、難しいと思います。末期腎不全〜透析導入に至るまでに父母、兄弟からも協力と支援体制があり、心の支えとなってくれました。負けませんでした、諦めませんでした。

現在透析を導入して事務職に就いて20年超を迎えています。私の透析をしながら仕事をしていくうえでの姿勢、生活スタイルの体験記は「透析と仕事は両立できる!人生一大イベントのときが難しい!」になります。

まとめにかえて

私は血液透析をすることを選びました。どちらを選択すべきかに「正しい」「間違い」はありません。今ある状況や環境のなかで、あれこれ考えながら選択しなければならないのです。

透析は人生の一部分になるわけです。私なら「大学入学」や「はじめての就職」して以来の一大イベントでした。そして、良くも悪しくも言うならば「透析」と同時に「転職」という2つの大イベントが起きたのだと。そのために同時に考えて解決していかなければならなかったのです。

私の体験でもそうであったように「透析」のことだけを選んで、「はい完了!」というわけにはいきません。当たりまえのことですが、透析に、日常生活を維持をしていくためには、仕事をして給料を得ていくのがふつうでしょうから、「仕事」のことも一緒に考えていかなければなりません。

「透析をしながら仕事をする=仕事をしながら透析をする」

「透析」=「仕事」であるのは、どちらが欠けても生活そのものが成り立たない、ということなのです。

  • 透析療法か腎移植を行うのかという選択肢があったこと
  • この先のどのような仕事に就いたらよいのか
  • 今後の自分について人生観。将来の生き方、どうしていきたいのか

特にこの3点についていろいろと悩んで考えて行動してきたから、今の自分につながっているのです。これからも何が起きるかは分かりませんが…。

透析の選び方。
今の自分に1番マッチした治療方法を選んでください。

  • 血液透析(HD+HDF)は透析患者全体の約96.5%。腹膜透析(PD)は3.2%(2024年末データ)
  • 腎移植は2023年に年間2,001件と増加傾向。生体腎移植が約87.6%を占める
  • 献腎移植の待機登録者は14,330人超。年間0.9%程度しか受けられず、未知数な選択肢
  • 腹膜透析は自由度が高い反面、自己管理・衛生管理が必要。7〜8年で血液透析へ移行が必要なことも
  • 透析の選択は「治療のこと」だけでなく「仕事」「生活」「将来」とセットで考えることが大切
  • 「透析=仕事」。どちらが欠けても生活は成り立たない
  • 正しい・間違いはない。「今ある状況と環境」のなかで、医師・家族と話し合いながら選ぼう

20年超透析を行っている私だからこそ言えること——透析の選び方に悩んでいるのは、それだけ真剣に自分の人生と向き合っている証拠です。生活の一部分である仕事などとともに、今の自分に1番マッチした治療方法を選んでください。