「透析と仕事の両立」を実現!年代別ライフイベントの乗り越え方

2018年3月18日

「透析と仕事の両立」を実現!年代別ライフイベントの乗り越え方
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更新日: 2026年10月2日

透析と仕事の両立

 

「世界は誰かの仕事でできている。」

某飲料メーカーのコーヒーのCMですね。う~ん、的を得ていると思いませんか。

「あなたにとって仕事とは何ですか」「何のために仕事をしていますか」

家族を養うため、生活のため、やりがいを見い出したい、溜めたお給料でマイホーム・車を購入したい、社会に貢献したい……。人それぞれ目的や理由がありますし、捉え方もさまざまです。

 

・これから透析をしなければならない人へ。
・会社員、自営業しながらも透析を導入しなければならない人へ。
・透析しながら転職活動を行っている人へ。

そんなあなたに……。

「透析しながらでも仕事できます、両立はできます!」

 

・人生の一大イベント(転職、結婚や育児、介護など)のときの透析との調整・バランスが難しい
<<仕事・転職の場合>>
・透析しながらでも仕事はできる、両立することもできる
・透析していてもベストな状態で仕事に臨むこと(透析患者の”責務”)
・多少の無理な仕事はしていても、無茶な働き方はしない(体調や透析に影響を与えてしまう)
・人生の一大イベント、ライフイベントであっても、疑義・問題点は洗い出しておいたほうがいい

 

透析と仕事は両立できる!〜透析導入してから今日までの私〜

透析導入してから今日までの私

私は現在は会社員をしており、前職は介護職でした。20年超透析を行っているところで、事務職としての勤続年数もほぼそれに等しくなります。

透析のある日は会社を早退し、家路の途中にある病院で血液透析を行い、深夜に帰宅する。これが今日まで変わっていない夜間透析の生活スタイルになります。

 

私は田舎住まいで、今ある会社は地方都市の中心部にあります。地方にお住まいの透析患者ならおわかりいただけると思いますが、通勤は良いとしても、通院するには車でないと厳しいものがあります。自宅や会社の近くに透析できる病院があれば理想ですが、現実はなかなかそうとはいきません。

透析導入した直後に事務職として就いたあとで、(今のところ)最初で最後に転職をしたのは「1回」だけです。転職することも「人生の一大イベント」と言えますよね?

 

人生の一大イベントってなんでしょうか!?

入学、就職や転職、起業、定年退職、結婚、出産・育児、介護、住宅購入……。

ここに挙げた以外にも、いろいろとありますよね。

「透析しはじめて年数が経ち、仕事を変えようと思う。」

透析患者にとっての仕事探し、仕事選びをするにしても、ほかの業種・職種に転職するにしても、一般の健常者とは違った「重み」「手間」「面倒くささ」「しんどさ」といったものがあります。わかりますよ、私も経験しましたから!

 

透析患者にとって、就職や転職といった一大のイベントを考えるのなら、常に透析もセットにして考えていかなければならないのです。

紆余曲折

 

準備という準備を重ね、新旧の会社と病院との間で話し合いをしながら、やっと新たな会社に事務職として就くことができました。私は、仕事をやめて新しい会社を探すということはしませんでした。

「仕事をしながら次の新しい会社を見つける」「給料をもらいながらも次の仕事を見つける」のが、もっとも理想的な形と考えていたからです。

 

準備だとか話し合いと一言二言で片付けられているように思えますが、実際はそうではありません。透析のことが重しで乗っかってくる感じを受けるのです——プレッシャーというものです。

「重み」「手間」「面倒くささ」「しんどさ」「活動の長期化」「仕事を探しているのに透析も」など……。仕事が決まる、転職が成功できるだけでは足りず、同時に通う病院のことも考えて、通える状態にしておかなければならないのです。

 

加えるなら、もし賃貸住まいならばアパートやマンションの確保、電車・バスなどの交通機関の手続きも必要ですし……。

私は転職するにあたっては前の会社のときと同じように、「なるべく自宅から通えるような病院で透析を受けたい!」と自分のなかに「条件」をつけていました。

  • かかりつけの病院が近くにあること
  • 土日祝日に、自宅から遠い会社近くの透析病院へ通うのは避けたい……

 

前職と比較して、病院へ移動するための通院時間が若干増え、仕事を切り上げる時間を30分ほど早くしたので、その累積時間の給料分が減ってしまいましたが(泣)。給料については「下げたくない」「1円でも10円でも上げたい」——そうあきらめたくないのが透析患者の本音だと思います。悔しいですよね。

 

「もっと都市部に自分の条件の良い会社があったのかもしれない……」
「会社近くで透析できる病院も検討してみた。空きもなかなか出てこない」
「転院。病院を変えるまでの面倒さ、リスクのほうが大きいかな!?」
「会社近くにアパートでも借りて、透析できたのかもしれない……」
「試用期間に首にでもされたら、また一から会社と病院を探すことになるのか?(かなりの高負担だ!)」

 

これだけじゃなく、いろいろと頭の中から出てくるのですよね。でも、無事に転職することができて、引き続き同じ病院で通院できることに、頑張った自分も褒めてあげました。そして自分は、「会社に必要な人財(=人材)だと言われるような働き方をしよう!」と、そう思いました。

 

「ノーワークノーペイの原則」から考えれば、給料はどうしても減ってしまう。やはり悔しいですね、透析患者にとってはとても辛い!です(泣)。どうしても自分のなかで割り切っていかないといけないのかな、と……。

 

【最新】転職・就労を後押しする制度の変化

ここで、透析患者の転職・就労を考えるうえで知っておきたい最新の動きを紹介します。

2026年7月から、民間企業の障害者法定雇用率が2.5%から2.7%へ引き上げられ、雇用義務の対象となる企業も「常時雇用労働者37.5人以上」へと範囲が拡大しました(障害者雇用促進法改正・厚生労働省)。

これは、身体障害者手帳を持つ透析患者にとっても、追い風になる可能性がある改正です。

 

時期民間企業の法定雇用率対象企業規模
2024年3月まで2.3%常時雇用43.5人以上
2024年4月〜2026年6月2.5%常時雇用40.0人以上
2026年7月以降2.7%常時雇用37.5人以上

 

これまで障害者雇用の義務がなかった比較的小規模な会社にも新たに雇用義務が生じることになります。転職活動をする透析患者にとっては、これまで対象外だった企業が採用に前向きになる可能性が出てきた、ということです。もちろん、企業側の対応スピードには差がありますので、応募先の障害者雇用への取り組み状況を確認しておくと良いでしょう。

 

透析患者が活用できる就労支援制度

「一人で転職活動を続けているが、なかなか前に進まない」——そう感じている透析患者の方は、公的な就労支援制度を積極的に活用してほしいと思います。

透析患者が活用できる就労支援制度

支援機関主な内容問い合わせ先
ハローワーク
(難病患者就職サポーター)
透析患者を含む難病・長期療養者の求職活動支援・雇用継続相談。症状特性を踏まえた求人マッチングを行う最寄りのハローワーク(予約不要で相談可)
地域障害者職業センター職業評価・職業リハビリテーション・ジョブコーチ支援。就職前後の一貫したサポートが受けられる各都道府県に1か所以上(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)
障害者就業・生活支援センター就業支援と生活面のサポートを一体的に提供。全国約330か所(2026年時点)お住まいの市区町村または都道府県福祉担当窓口
民間の転職支援サービス
(障害者専門エージェント)
障害者専門の転職エージェントが求人紹介・応募書類作成・面接対策をサポート。無料で利用できるサービスが多い各社ウェブサイトから登録・相談

 

【民間の障害者専門転職エージェントについて】
近年、障害者専門の転職エージェントサービスが増えています。身体障害・内部障害(透析患者を含む)に対応したコーディネーターが在籍するエージェントを選ぶと、透析の通院スケジュールに配慮した求人を紹介してもらいやすくなります。ただし、サービスの質や対応可能な地域はエージェントによって異なります。複数のエージェントに登録して比較することをおすすめします。

 

透析していてもベストな状態で仕事に臨むこと

「透析していてもベストな状態で仕事に臨むこと」——これが透析をしながら仕事をしていくうえでの「透析患者の責務」だと言えます。

とは言え、私も透析していて事務職に就いてから今日までに、1週間前後の治療で入院した経験が2度ばかりあります。けれども「今日は急きょ休みます!」とか、「即、早退させていただきます!」といったことは、ほとんどありません(これからもそうしていきます!)。

 

夜間透析しているために、翌日の仕事にまで影響を与えそうな透析による疲労感や寝不足感、何となく体調が芳しくない、というのは否応なく何度でも経験しています。人間ですから、風邪もひきますし、熱が出たり、体調が悪いときだってあるのです。

仕事はきちんとこなす。ただ、無理はしません。透析するだけでも大変なことですから!

あなたはベストな状態で仕事に臨むように心がけていますか

「あなたはベストな状態で仕事に臨むように心がけていますか?」

 

透析をしている。健康な人のような身体でないのは事実。「ベストな状態を維持」していかないと、仕事はできないものです。

そもそも、ベストな状態を維持できていない原因は、ふだんから行っている食事の摂り方や薬の飲み方、ドライウエイト(基礎体重)の管理といったことなど、大概はそれらの「何か」ができていないわけです。

 

会社へ仕事をして、その価値の対価としてお給料を頂くというのに、「調子が悪いから……」「2、3日休ませてください」と自己管理ができないでいて、「仕事ができない」「仕事効率が上がらない」と言われるのは嫌ですよね。上司や周りのスタッフに迷惑をかけるばかりで、褒められたものではありません。

 

上司や周りのスタッフには「透析について配慮してほしい」ことを説明し、話しておくべきことはありますが、透析患者が日々しなければならないのは自己管理です。

私には「給料についてはあきらめたくない。1円でも10円だって欲しい!」「仕事を休み、早退したことで給料が減らされるのはごめん!」といった負け惜しみや悔しさがあって、上司やスタッフには言わないですけど胸の内に潜めています。逆に、それが仕事への原動力だったりします。

残業ですが、できる限り応えるようにしています。体調が悪くなるような時間まで、あるいは翌日の仕事や透析にまで影響を与えるような働き方はしませんし、望みません。

多少の無理な仕事はしていても、無茶な働き方はしません!

 

「透析患者の自己管理」チェックリスト

ベストな状態で仕事に臨むために、日常的に確認しておきたいポイントをまとめました。

透析患者の自己管理

管理項目チェックポイント
食事療法塩分・水分・カリウム・リンの摂取量を守れているか。外食・コンビニ食が続いていないか
服薬管理降圧剤・リン吸着薬などを指定された時間に服用できているか
ドライウエイト管理透析間の体重増加(除水量)を適正範囲に保てているか
シャント自己管理毎日スリル(振動)を確認しているか。シャント側の腕に重いものをかけていないか
睡眠・休息夜間透析後の帰宅が深夜になる場合、翌日の体力を回復できる睡眠を確保できているか
体調変化の報告透析中に気になる症状があれば、その日のうちに担当看護師・医師に伝えているか

 

年代・性別ごとのライフイベントと透析の向き合い方

透析患者のライフイベントは、年代・性別によって大きく異なります。「仕事との両立」だけでなく、結婚・育児・介護といった局面でも透析は常に関わってきます。ここでは年代ごとの主なライフイベントと、透析との向き合い方を整理します。

 

20代・30代:透析導入期〜キャリア形成期

若い年代で透析を導入する場合、最初のハードルになるのは「透析しながら就職できるか」という不安です。しかしそれ以上に、透析を始めた直後の体調が安定するまでの期間をどう乗り切るかが最初の関門になります。

20代・30代:透析導入期〜キャリア形成期

ライフイベント透析との調整ポイント
就職・転職透析病院の立地・通院時間帯を先に確保してから就業先を決める。障害者雇用枠の活用も視野に
結婚透析のスケジュール・費用・将来の体調変化についてパートナーと事前に共有しておく
住まい選び「自宅〜会社〜透析病院」の三角形の移動効率を優先して物件を探す
スキルアップ・副業透析中の4〜5時間を読書・オンライン学習・副業(テキスト系)に充てる透析患者もいる

 

30代・40代:育児・キャリアのピーク期

この年代は仕事で最も多忙になりやすく、かつ育児も重なりやすい時期です。透析患者にとっては「透析日は動けない時間がある」という制約がそのまま育児負担の不均衡につながることがあります。

30代・40代:育児・キャリアのピーク期

ライフイベント透析との調整ポイント
育児(出産後の復職含む)透析中は動けないことをパートナー・保育施設・親族と事前に共有。保育所の送迎担当を曜日ごとに役割分担しておく
育児休業の取得2025年4月〜育児介護休業法改正により、男性の育休取得が促進。透析患者の男性でも取得可能だが、透析スケジュールと育休中の病院受診をあらかじめ調整しておくこと
管理職・昇進残業が増える可能性がある。「透析日はこの時間に上がる」という明示的な取り決めを上司と合意しておくことが重要
住宅ローン団体信用生命保険(団信)は告知義務がある。透析患者は通常の団信への加入が難しいことが多く、フラット35など保険不要の住宅ローンが選択肢になる場合がある

 

50代:介護・定年・再雇用を見据える時期

透析年数が長くなる50代は、長期透析による合併症への対応と、親の介護が重なりやすい時期でもあります。

50代:介護・定年・再雇用を見据える時期

ライフイベント透析との調整ポイント
親の介護「透析の時間はどうしても動けない」という制約を家族に理解してもらい、ケアマネジャーや介護サービスと連携する体制を整えておく。介護保険サービス(デイサービス・ヘルパー等)を積極的に活用する
定年・再雇用再雇用・嘱託では労働条件が変わる場合がある。透析通院に影響する勤務時間変更がないか事前確認を。定年後も障害年金と給与の合算で生活設計を組むことが有効
長期透析の合併症管理透析アミロイドーシス・心血管系疾患・骨病変などが出始める年代。主治医との定期的なコミュニケーションを密にし、体調変化を早期にキャッチすることが重要

 

結婚・育児・介護といった一大イベントとの向き合い方

転職だけでなく、結婚や育児、親の介護といったライフイベントも、透析患者にとっては仕事と同じくらい向き合い方を考えなければならないテーマです。

例えば結婚を考えるなら、通院スケジュールをパートナーと共有し、「透析日は何時に迎えに来てもらう」「体調の悪い日はどう連絡するか」など、あらかじめルールを決めておくと安心です。育児であれば、透析中は動けない時間があることを前提に、家族や地域の子育て支援サービスとどう連携するかを早めに考えておくことが大切です。

親の介護についても同様で、「透析の時間はどうしても動けない」という制約を家族に理解してもらい、ケアマネジャーや介護サービスと連携する体制を整えておくことで、いざというときにも慌てずに対応できます。

このように人生の一大イベントは、透析のスケジュールとセットで考えることが、後々の負担を減らすコツです。

 

【2025年施行】育児介護休業法の改正ポイント(透析患者への影響)
2025年4月以降、育児介護休業法の改正が段階的に施行されています。主なポイントは以下のとおりです。

子の看護休暇の対象拡大小学校就学前から「小学3年生修了まで」に拡充(2025年4月〜)
所定外労働の免除対象拡大3歳未満から「小学校就学前まで」に拡充
テレワーク努力義務の対象拡大3歳未満から「小学校就学前まで」に拡充

透析患者が育児と透析を両立するうえで、テレワークや時短勤務の選択肢が広がる改正にもなりますね。勤務先の就業規則と照らし合わせて確認しておきましょう。

 

◇まとめにかえて

これから透析を検討しなければならない人、透析導入者でも今仕事をしている人、転職を考えている人へ!

「透析ができて仕事ができる」のであり「仕事ができて透析もできる」ということを、理解していただけたかと思います。

あなたがどのような状況や環境にあっても、生きていくためには「仕事」と「透析」との両輪で走らせていく必要があるのです。

繰り返しにはなりますが、私が透析を導入した後で転職したのは1回きりです。これも人生のなかの一大イベントでした。その後は幾度か部署異動、キャリアアップに務め役職にも就いています。但し、透析そのものに影響が無いのかと言ったら、そうは言い切れません!役職就いてからの悩み、常に付きまとっています。

また、会社員ですからこの先リストラだって無いとは言えないですし、逆に定年退職まで勤めあげているかもしれません(このご時世ですから、会社とは定年後の再雇用があると助かなあ~」と願うばかりです。

 

転職、結婚や育児、介護といった人生の一大イベントが起きたり、今後予測できそうなのであれば、透析のことも一緒に含めて、その都度見直しや軌道修正が必要!

 

2026年7月からの障害者法定雇用率の引き上げのように、社会の制度も少しずつ変わっていきます。これから転職や就労を考えている透析患者にとっては、こうした制度の変化にも目を向けながら、自分に合った選択肢を柔軟に探していくことが大切ですね。最後に、透析と仕事を両立させるための「10のポイント」をまとめておきます。

 

透析と仕事を両立させるための「10のポイント」
1透析病院・仕事・自宅の「三角形」の移動効率を常に意識する
2転職活動は「仕事をしながら」進めるのが理想。在職中の活動が安全
3透析のスケジュール・制約を上司・同僚に正確に伝え、職場の理解を得る
4ベストな状態で仕事に臨む——食事・服薬・ドライウエイトの自己管理が基本
5「多少の無理はしても、無茶はしない」の線引きを自分で決めておく
6ハローワーク・地域障害者職業センターなどの公的支援制度を活用する
72026年7月〜の障害者雇用率2.7%引き上げを転職のチャンスとして捉える
8結婚・育児・介護など人生イベントは透析スケジュールとセットで計画する
9住宅購入時は団体信用生命保険(団信)の告知義務に注意。フラット35も検討を
10「申請しなければもらえない」障害年金・障害年金生活者支援給付金を早めに確認する

 

参照:「透析で仕事ができない?まずは疑義・問題点から洗い出して!」