オーバーナイト透析は勤労者にメリット【大】課題は普及率! 

2018年5月6日

オーバーナイト透析は勤労者にメリット【大】課題は普及率! 
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更新日: 2026年7月18日

オーバーナイト透析

 

最近、臨時透析(旅行透析)をする機会があって、お世話になっている某病院で「オーバーナイト透析」を始めるとのことでした。病院としては新たな試みのようで、Web上で確認することができました。

今回はオーバーナイト透析についてとりあげていきます。先にオーバーナイト透析についてまとめておくと、

・長時間透析は透析者のQOL(=生活の質)の向上、生命予後の面からすれば良いので、オーバーナイト透析もひとつの選択肢。普及率が課題ではあるが、検討の余地あり。
・オーバーナイト透析には諸条件(適応基準)があり、微妙だが病院ごとに決められている。
・仕事と透析の両立では効率よく、理想的。

オーバーナイト透析とは

オーバーナイト透析は、ほかにも「深夜透析」「宿泊透析」とも呼ばれ、深夜帯に8時間ほどかけて行う透析のことです。

長い時間かけて透析したほうが、透析を受ける人のQOL(=生活の質)の向上や、その後の健康状態にとって良いことは知られています。

例えば、8時間もの透析を日中に行うとなれば、1日の生活時間のほとんどを透析に費やすことになります。

透析中はほぼ身動きができません。満足に仕事ができず給与ももらえず・・・。

透析を受ける人は、有意義に過ごしたい時間が削られるだけでなく、それに対する精神的・肉体的な制約や苦痛をも強いられます。そのためフラストレーションやストレスを抱えることがあります。

「長い時間透析したほうが良いのは理解している」
「仕事や家事をこなしたい・・・」
「家族サービスもできるだけしたい・・・」

「日常生活を満足に過ごしたい」
「もっと効率よく透析できるようなシステムはないのかな・・・」

少なくとも老若男女に関わらず、透析を受ける人は日々このように考え、感じています。

フラストレーションやストレスを減らし、自分の有意義な時間を増やすには、長時間透析や在宅血液透析という選択肢もあります。そして「オーバーナイト透析」があります。

ここで簡単に血液透析についておさらいしておきます。

通常の血液透析は4~5時間が一般的で、健康保険上の透析は原則4時間と決められています(医療報酬上の透析には「4時間未満」「4時間から5時間未満」「5時間以上」の3種類があり、5時間まで健康保険が適用されます)。

原則4時間というものの、透析医学会によれば「必要最低限の透析」であるとされています。

 

参照:「透析時間の決め方。4時間透析「最低ライン」に過ぎません!

 

透析の種類時間の目安特徴
通常の血液透析4〜5時間×週3回最も一般的な透析方法
長時間透析6時間以上×週3回(週18時間以上)QOL・予後の改善が期待できる
オーバーナイト透析深夜帯の睡眠時間を利用した7〜8時間程度QOL・予後の面で理想的
在宅血液透析自分で調整可能医師の管理のもと自宅などで実施

これからオーバーナイト透析の諸条件(適応基準)をみていきますが、透析を受ける人にとってメリットが多々挙げられます。

とは言え、正直なところ普及率はというと・・・。

「かなり低い!」と言わざるを得ません。これは明らかなデメリットだと言えます。

全国的にみても、オーバーナイト透析ができる病院数は圧倒的に少なく、しかも都市部にあるなど地域性からしても限定的です。

もしあなたが都市部に住んでいて、会社員や自営業など仕事をしており、かつ諸条件(適応基準)を満たしているのなら、オーバーナイト透析を考えても良いでしょう。

なお、都市部・地方を問わず、同等かそれ以上のQOL(生活の質)の向上を求めたいと考えていて、在宅(自宅や賃貸マンション・アパートなど)で透析ができる環境にあるのであれば、在宅血液透析ができるのかどうかも、一緒に検討してみてください。

 

オーバーナイト透析のための諸条件(適応基準)についてオーバーナイトの諸条件

オーバーナイト透析は、仕事や自営業を行っている透析を受ける人にとって、メリットが大きいと言えます。

例えば会社員をしている人で、病院で血液透析をしている場合、日中は仕事をしつつ病院へ通い、夜間透析をするといった場合が多いかと思います(もちろん日中の午前ないし午後透析をし、夜勤するような人もいます)。

通常17時~18時の間には入室して、透析開始といった感じでしょう。

そのため仕事はどうしても早退しなければならず、(雇用契約上は)時短勤務でといったことがあります。
また正規雇用で働きたいが非正規雇用で、給料も低くなって・・・ということもあります。

仕事に関して言えばほかにもいろいろあるのですが、今も昔も変わらない、血液透析を受ける人ならではの解決できない、抱えている問題だと言えます。

このような仕事面で、少しでも諸条件や諸制限を緩やかにしてくれるのが、選択肢にある「オーバーナイト透析」とも言えます。

オーバーナイト透析は、夜間透析と同様に「働いている」「仕事をしている」ことが前提になっています。

現状、オーバーナイト透析ができる病院は限られた一部の医療機関のみですが、オーバーナイト透析をするための諸条件(適応基準)というものを各病院で設けており、それらはWeb上で確認することができます。

 

医療方針とも言うべきでしょうか、病院ごとに少々の違いはあります。
以下にまとめてみました。

◇病院による透析の対象者(適応基準)

1.現に仕事(勉学)をしている、または社会復帰を目的としている
2.オーバーナイト透析のメリット・デメリットを理解し、強く希望している

 

3.安定した透析が行えていること
→日常、長時間透析中に血圧低下がないか(または少ない)。
→重篤な合併症(高度な心疾患など治療中に危険がある)がない。

 

4.医師・スタッフの指示を守れる
L医師・スタッフ間に信頼関係があってこそできるものです。
→同意書について理解し・承諾している。
→日常、自己管理もできていること

5.週3回、自力で通院できる

このようにオーバーナイト透析ができる人にも「優先順位」というものが存在します。

まずは「働いている人」や「勉学している人」。
病院側としては、これらの人を支援したいという思いがあることが読み取れます。

加えて「現に求職中の人」といった社会復帰を目的とした病院もありますが、残念ながら主婦(主夫)や仕事の予定の無い(働いていない)人などは対象にはなっていません。

 

そして合併症がなく透析中も安定している、自己管理ができるなども加わってきます。

オーバーナイト透析することを病院に承認されて、できたとしても、その後「体調が安定しない」「自己管理ができない(できていない)」「病院ルールや医師・スタッフの指示を遵守できない」といった場合があった場合は、オーバーナイト透析が継続できないと判断されて、通常4~5時間の血液透析に戻ることも当然ながら起こりえます。

オーバーナイト透析は、仕事と透析の両立をしやすくする(事例)

先述したように、オーバーナイト透析は概ね「仕事をしている人」が優先されています。

ここでは、オーバーナイト透析の流れについて見ていきます。

オーバーナイト透析の流れ(事例)

30代男性(既婚)の会社員の場合
┗透析実施日:月・水・金
┗透析開始時間:20~22時のあいだ
┗透析終了時間:翌朝6時

時間帯内容
9時~18時仕事
18時(~19時)仕事終了(残業の場合も)
19時~21時自宅などで夕食(家族サービス、家事や余暇、透析前の入浴)
21時~22時病院へ通院
22時~翌朝6時オーバーナイト透析(就寝中に約7~8時間)
翌朝7時~9時食事等(そのまま会社通勤も可)

※オーバーナイト透析といっても、体調不良(発熱、下痢、嘔吐等)のときもあります。その場合、日中や準夜透析に変更ということもあります。

※オーバーナイト透析の安全対策は多少なりとも違ってきますが、病院で行うべきことはほぼ共通しています。

※透析を受ける人は翌朝に帰宅したり、病院からそのまま出勤したりすることができます。

では、実際のオーバーナイト透析はどんな感じになるのでしょう?
(印象としては病院によっても異なりますが、高くも安くもないビジネスホテルといった感じでしょうか。)

・全室個室、半個室、共有部屋がある

L概ねエアコン、ロッカー、間接照明、アーム付きテレビ、電源、インターネット環境、シャワールームを完備。
Lノートパソコンでネット、DVDドライブで映画鑑賞が可能。

→共有部屋の場合、いびきで眠れないなどという人もいます。いびきのある人は、別途個室対応する場合もあり。

・プライバシーの確保
L透析スタッフによる穿刺、回収抜針以外は部屋に入ることはない(病院による)。

L足音、ドアなどの開閉等で睡眠の妨げにならないように、巡回は最小限(病院による)。
L就寝中は、固定の暗視カメラで看視(病院による)。

・安全対策
シャント穿刺部に漏血センサーの使用
→透析中の抜針事故が一番怖い!針先より血液漏れの早期発見に繋げる。

→消灯時間帯、睡眠中に体動が多くなることから、透析前の飲酒や喫煙は避ける(間食・食事も同様)。

脈拍感知センサーの使用
→睡眠中の透析を受ける人の脈拍を把握。

一部の病院では、血圧帯を巻いて寝るところもあり。

オーバーナイト透析のメリット・デメリットとは?

オーバーナイト透析のメリット・デメリット

 

オーバーナイト透析のメリットはとりわけ多いです。
QOL(生活の質)の向上や、その後の健康状態が良好であるといった点で、透析を受ける人にとって理想的だと言えます。

オーバーナイト透析のメリット

オーバーナイト透析のメリット

分野メリット
心身の変化睡眠中の7~8時間で十分な透析時間が取れ、体への負担が少ない
浄化効率が良く、血圧の安定・倦怠感やむずむず脚症候群の改善が期待できる
生活(衣食住)日中の自由な時間が増え、プライベートな予定が立てやすい
食事制限が比較的緩やかになる場合がある
仕事残業後の通院が可能になり、非正規雇用から正規雇用への道も開ける可能性がある

心身の変化等:

・睡眠中の7~8時間なので十分な透析時間がとれる

→長時間かけて除水を行うので、体への負担が少ない

・ゆっくりとより良い浄化効率を上げた透析に期待できる(=透析効率がよい)

→血圧の安定
→倦怠感や痛み、脚のツリ、むずむず脚症候群の改善。

→合併症の軽減(高血圧や貧血、心不全、透析アミロイドーシス等の改善)
→健康な人と変わらないくらいの元気さを得ることができる(体がスッキリする、爽快感が違う・・・など)。

・7~8時間×週3回の透析で、QOL(生活の質)の向上やその後の健康状態が良好になりやすい

・(4~5時間透析と比較して)拘束時間によるストレスが少ない

→透析を開始して寝てしまうと透析時間を短く感じる(体感透析時間が1~3時間くらいとも言われている=体感時間の短縮)

生活(衣食住など):

・4~5時間透析と比較して、日中の自由になる時間が増える。
→プライベートな予定が立てやすくなる。

・家事や余暇などの時間を確保できる。

・4~5時間透析と比較して、食事制限は緩やか
→リン(P)やカリウム(K)値が低下するので、内服薬(高血圧治療薬など)の減量に期待

・家族と一緒に同じ物を食べ、バランスの取れた食生活を送れる
→塩分や水分制限はあるものの、若干緩やかに

仕事:
・仕事の時間確保
→残業後の通院可(残業や取引先との食事、会合ができるようになる・・・)

・非正規雇用→正規雇用として働ける可能性あり

オーバーナイト透析のデメリット

オーバーナイト透析のデメリット

・オーバーナイト透析ができる病院は全国的にみても限られた一部のみ

→背景:睡眠中に透析ができるなど仕事をしている人にとって理想的です。

しかし希望してもできない、全国的に普及していないのは、病院側の収入ひいては利益に繋がりにくいこと、個室などを設けるとなると病院の設備を整えるのが難しいこと、治療が深夜になるので夜間の人件費がかかること、勤務スタッフの確保が難しい(スタッフ不足)ことなども挙げられます。

・オーバーナイト透析に慣れるまでは、十分な睡眠がとれない場合がある(半個室や共有部屋で、ほかの人のいびきで眠れないなど)。

〈補足〉

透析にかかる費用(保険請求)は、通常の血液透析と同じになります。

ただし夕食や翌朝の朝食のほか、病院利用料(ベッド利用料、シャワー代)などその他の諸費用が発生することになる場合があるので、別途病院の窓口で確認を行うようにしてください。

◇まとめにかえて

透析という治療の性質上、地元の透析を受ける人や急患透析者が最優先であることは、基本的にどこの病院でも変わらないです。

私も旅行や出張のたびに、現地での旅行透析、臨時透析を行ってきました。「もう少し時間があれば旅行も楽しめるだろうに・・・」ということも何回かありました。どうしても透析による時間的犠牲が発生してしまいます。これはある種仕方ないものであり、どうしようもできません。

「オーバーナイト版の旅行透析、臨時透析」のできる病院が一部あるようです。透析時の宿泊費が不要になるそうで、宿泊費用を旅行等に回せるのが良いですね!

オーバーナイト透析の普及は発展途上中。まだまだだなあ~というのが正直な実感ですが、私なりに関心はあります。

やはりメリットである「時間を最大限に」「有効に使えるよう」こと、そして「身体に良い」ことに期待しています。

最後に、オーバーナイト透析について今回取り上げたので、もう一言付け加えておきます。

医療報酬上の透析には3種類(5時間まで健康保険が適用)があると冒頭で述べました。

健康保険の医療費削減が叫ばれています。これからもますます財政が厳しくなり、透析も危うくなるかもしれません。

しかし、私も含め仕事をしている透析を受ける人は、これからも「仕事と透析」とを両立よく続けていかなければなりません。私たちも社会に貢献をしなければなりませんから。

 

今、社会復帰しようとしている透析導入者、透析を受ける人もいます。仕事しなければ透析はできません(逆も然り)。仕事をし社会復帰するためには、その後押しが必要です。

「仕事をしてもらって、税収を少しでも上げよう」というのが国(政府)のセオリーなのですから。

私も、ほとんどの透析を受ける人もそうですが、いまある環境下でオーバーナイト透析を実現することは難しいのです。

「仕事ができる時間をなるべく確保し、給料が少しでも貰えることができるようにあって欲しい!」と願っています。4時間透析が最低ラインならば、5時間もいいが6時間以上の「長時間透析」が注目されています。

 

「6時間透析も含めてどこまで健康保険が適用されることになるのか?」
つど医療報酬の改定で見直しを行っているわけですので、その動向を見守っていきたいと思います。