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オーバーナイト透析は勤労者にメリット【大】課題は普及率!

オーバーナイト透析 血液透析とは

この記事は約 17 分で読めます。

オーバーナイト透析

 

最近臨時透析(旅行透析)をする機会があって、お世話になっている某病院で「オーバーナイト透析」を始めるとのことでした。病院としては新たな試みのようで、Web上で確認することができました。

今回はオーバーナイト透析についてとりあげていきます。

 

・長時間透析は透析者のQOL(=生活の質)の向上、生命予後の面からすれば良いので、オーバーナイト透析もひとつの選択肢。普及率が課題ではあるが、検討の余地あり。
・オーバーナイト透析には諸条件(適応基準)があり、微妙だが病院ごとに決められている。
・仕事と透析の両立では効率よく、理想的。
 
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オーバーナイト透析とは

オーバーナイト透析はほかにも「深夜透析」「宿泊透析」とも呼ばれるように、深夜帯の8時間ほどかけて行う透析になります。

長い時間透析したほうが透析者のQOL(=生活の質)の向上、生命予後の面からすれば、良いことは知られています。

 

例えば、8時間もの透析を日中に行うとなれば、まる1日の生活時間のほとんどを透析に費やすことになります。

透析中はほぼ身動きができません、満足に仕事ができず給与ももらえず・・・。

透析者は有意義に過ごしたい時間が削られるだけでなく、それに対する精神・肉体的な制約、苦痛をも強いられます。そのためフラストレーションやストレスを抱えることがあります。

 

「長い時間透析したほうが良いのは理解している」
「仕事や家事をこなしたい・・・」
「家族サービスもできるだけしたい・・・」

「日常生活を満足に過ごしたい」
「もっと効率よく透析できるようなシステムはないのかな・・・」

 

少なくとも老若男女に関わらず透析者は、日々考えていますし感じています。

フラストレーションやストレスを減らし、自分の有意義な時間を増やすのには長時間透析や在宅血液透析という選択肢もあります。そして「オーバーナイト透析」があります。

 

ここで簡単に血液透析についておさらいしておきます。

通常の血液透析は4~5時間が一般的であり、健康保険上の透析は原則4時間と決められています(医療報酬上の透析とは、「4時間未満」「4時間から5時間未満」「5時間以上」の3種類(5時間まで健康保険が適用)となっています。

 

原則4時間というものの、透析医学会によれば「必要最低限の透析」であるとしています。

 

参照:「透析時間の決め方。4時間透析「最低ライン」に過ぎません!

 

・長時間透析・・・6時間以上×週3回=18時間/週以上の血液透析。

 

・オーバーナイト透析・・・深夜帯の睡眠時間を利用して行う血液透析(7~8時間程度)。
QOL(生活の質)の向上、生命予後といった点でも理想的。

詳細は以下、オーバーナイト透析のための諸条件(適応基準)について~から。

 

・在宅血液透析・・・透析者が医師の管理のもと、自宅などで行う血液透析(通常の血液透析4~5時間、上述した6時間のような長時間透析、オーバーナイト透析などを自分で調整しながら透析ができる。QOL(生活の質)の向上の点でも理想的。

 

これからオーバーナイト透析の諸条件(適応基準)をみていきますが、透析者にとっていろいろなメリットが多々挙げられます。

とは言え、水掛け論にはなりますが、正直普及率はというと・・・。

 

「かなり低い!」と言わざるを負えません、これは明らかなデメリットだと言えます。

全国的にみてもオーバーナイト透析ができる病院数が圧倒的に少なく、しかも都市部にあるなど地域性からしても限定的です。

 

もしあなたが都市部に住んでいて会社員や自営業など仕事をしておりかつ諸条件(適応基準)を満たしているのなら、オーバーナイト透析を考えても良いでしょう。

なお、都市部・地方を問わずに、同等かそれ以上のQOL(生活の質)の向上を求めたいと考えていて、在宅(自宅や賃貸マンション・アパートなど)で透析ができる環境にあるのであれば、在宅血液透析ができるのかどうかも、一緒に検討してみてください。

 

 

オーバーナイト透析のための諸条件(適応基準)について

オーバーナイトの諸条件

オーバーナイト透析は、仕事や自営業を行っている透析者にとってメリットが大きいと言えます。

例えば会社員をしている透析者で、病院で血液透析をしている場合、日中は仕事をしつつ病院へ通い、夜間透析をするといった場合が多いかと思います(もちろん日中の午前ないし午後透析をし、夜勤するような透析者もいます)。

 

通常17時~18時の間には入室して、透析開始といった感じでしょう。

そのため仕事はどうしても早退しなければならず、(雇用契約上は)時短勤務でといったことがあります。
また正規雇用で働きたいが非正規雇用で、給料も低くなって・・・ということもあります。

 

仕事に関して言えばほかにもいろいろなあるのですが、今も昔も変わらない血液透析者ならではの解決できない、抱えている問題だと言えます。

このような仕事面で、少しでも諸条件や諸制限を緩やかにしてくれるのが、選択肢にある「オーバーナイト透析」とも言えます。

 

オーバーナイト透析は、夜間透析と同様に「働いている」「仕事をしている」ことが前提になっています。

現状、オーバーナイト透析できる病院は圧倒的に少ないわけですが、オーバーナイト透析をするための諸条件(適応基準)というものを各病院で設けており、それらはWeb上で確認することができます。

 

医療方針とも言うべきでしょうか、病院ごとに少々の違いはあります。
以下にまとめてみました。

◇病院による透析の対象者(適応基準)

1.現に仕事(勉学)をしている、または社会復帰を目的としている
2.オーバーナイト透析のメリット・デメリットを理解し、強く希望している

 

3.安定した透析が行えていること
→日常、長時間透析中に血圧低下がないか(または少ない)。
→重篤な合併症(高度な心疾患など治療中に危険がある)がない。

 

4.医師・スタッフの指示を守れる
L医師・スタッフ間に信頼関係があってこそできるものです。
→同意書について理解し・承諾している。
→日常、自己管理もできていること

5.週3回、自力で通院できる

 

このようにオーバーナイト透析ができる透析者にも「優先順位」というものが存在します。

先ずは「働いている人」や「勉学している人」。
病院側としては、これら透析者を支援したいという思いがあることが読み取れます。

加えて「現に求職中の人」といった社会復帰を目的とした病院もありますが、残念ながら主婦(主夫)や仕事の予定の無い(働いていない)透析者などは対象にはなっていません。

 

そして合併症がなく透析中も安定している、自己管理ができるなども加わってきます。

オーバーナイト透析することを病院に承認されて、できたとしても、その後「体調が安定しない」「自己管理ができない(できていない)」「病院ルールや医師・スタッフの指示を遵守できない」といった場合があった場合は、オーバーナイト透析が継続できないと判断されて、通常4~5時間の血液透析に戻ることも当然ながら起こりえます。

 

オーバーナイト透析は、仕事と透析の両立をしやすくする(事例)

 

先述したようにオーバーナイト透析は概ね「仕事をしている人」が優先されています。

ここでは、オーバーナイト透析の流れについて見ていきます。

 

オーバーナイト透析の流れ(事例)

30代男性(既婚)の会社員の場合
L透析実施日:月・水・金
L透析開始時間:20~22時のあいだ
L透析終了時間:翌朝6時

 

9時~18時 仕事

18時(~19時) 仕事終了(残業の場合も)

19時~21時 自宅などで夕食(家族サービス。家事や余暇、透析前の入浴)

21時~22時  病院へ通院

22時~翌朝6時  オーバーナイト透析※

翌朝7時~9時  食事等(そのまま会社通勤も可※)

 

※就寝中に約7~8時間の透析をする。

※オーバーナイト透析といっても、体調不良(発熱、下痢、嘔吐等)のときもあります。その場合、日中や準夜透析に変更ということもあります。

※オーバーナイト透析の安全対策は多少なりとも違ってきますが、病院で行うべきことはほぼ共通しています。

 

※※透析者は翌朝に帰宅したり、病院からそのまま出勤したりすることができます。

 

では、実際のオーバーナイト透析はどんな感じになるのでしょう?
(印象としては病院によっても異なりますが、高くも安くもないビジネスホテルといった感じでしょうか。)

・全室個室、半個室、共有部屋がある

L概ねエアコン、ロッカー、間接照明、アーム付きテレビ、電源、インターネット環境、シャワールームを完備。
Lノートパソコンでネット、DVDドライブで映画鑑賞が可能。

→共有部屋の場合、いびきで眠れないなどという透析者もいます。いびきのある透析者は、別途個室対応する場合もあり。

 

・プライバシーの確保
L透析スタッフによる穿刺、回収抜針以外は部屋に入ることはない(病院による)。

L足音、ドアなどの開閉等で睡眠の妨げにならないように、巡回は最小限(病院による)。
L就寝中は、固定の暗視カメラで看視(病院による)。

 

・安全対策
Lシャント穿刺部に漏血センサーの使用
→透析中の抜針事故が一番怖い!針先より血液漏れの早期発見に繋げる。

→消灯時間帯、睡眠中に体動が多くなることから、透析前の飲酒や喫煙は避ける(間食・食事も同様)。

L脈拍感知センサーの使用
→睡眠中の透析者の脈拍を把握。

L一部の病院では、血圧帯を巻いて寝るところもあり。

 

オーバーナイト透析のメリット・デメリットとは?

オーバーナイト透析のメリット・デメリット

 

オーバーナイト透析のメリットはとりわけ多いです。
QOL(生活の質)の向上や生命予後が良いなどといった点で、透析者にとって理想的だと言えます。

オーバーナイト透析のメリット

オーバーナイト透析のメリット

心身の変化等:

・睡眠中の7~8時間なので十分な透析時間がとれる

→長時間かけて除水を行うので、体への負担が少ない

 

・ゆっくりとより良い浄化効率を上げた透析に期待できる(=透析効率がよい)

→血圧の安定
→倦怠感や痛み、脚のツリ、むずむず脚症候群の改善。

→合併症の軽減(高血圧や貧血、心不全、透析アミロイドーシス等の改善)
→健康な人と変わらないくらいの元気さを得ることができる(体がスッキリする、爽快感が違う・・・など)。

 

・7~8時間×週3回の透析で、透析者のQOL(生活の質)の向上や予後が良くなる(生命予後が良い)

 

・(4~5時間透析と比較して)拘束時間によるストレスが少ない

→透析を開始して寝てしまうと透析時間を短く感じる(体感透析時間が1~3時間くらいとも言われている=体感時間の短縮)

 

生活(衣食住など):

・4~5時間透析と比較して、日中の自由になる時間が増える。

→プライベートな予定が立てやすくなる。

・家事や余暇などの時間を確保できる。

・4~5時間透析と比較して、食事制限は緩やか

→リン(P)やカリウム(K)値が低下するので、内服薬(高血圧治療薬など)の減量に期待

・家族と一緒に同じ物を食べ、バランスの取れた食生活を送れる
→塩分や水分制限はあるものの、若干緩やかに

 

仕事:
・仕事の時間確保

→残業後の通院可(残業や取引先との食事、会合ができるようになる・・・)

・非正規雇用→正規雇用として働ける可能性あり

 

 

オーバーナイト透析のデメリット

オーバーナイト透析のデメリット

・オーバーナイト透析ができる病院は全国的にみても少ない(全国でも30病院程度しかない)

→背景:睡眠中に透析ができるなど仕事をしている透析者にとって理想的です。

 

しかし希望してもできない、全国的に普及していないのは、病院側の収入しいては利益に繋がりにくい、個室などを設けるとなると病院を整えるのが難しいといったことに加え、治療が深夜になるので、夜間の人件費がかかること、勤務スタッフの確保が難しい(スタッフ不足)ことも挙げられます。

・オーバーナイト透析に慣れるまでは、充分な睡眠がとれない場合がある(半個室や共有部屋で、ほかの透析者のいびきで眠れないなど)。

 

〈補足〉

透析にかかる費用(保険請求)は、通常の血液透析と同じになります。

ただし夕食や翌朝の朝食のほか、病院利用料(ベッド利用料、シャワー代)などその他の諸費用で発生することになる場合があるので、別途病院の窓口で確認を行うようにしてください。

 

◇まとめにかえて

透析という治療の性質上、地元の透析者や急患透析者が最優先であることは、基本的にどこの病院でも変わらないです。

私も旅行や出張のたびに現地での旅行透析、臨時透析を行ってきました。

「もう少し時間があれば旅行も楽しめるだろうに・・・」ということも何回かあったことか。どうしても透析による時間的犠牲が発生してしまいます。これはある種仕方ないものであり、どうしようもできません。

 

「オーバーナイト版の旅行透析、臨時透析)」のできる病院が一部あるようです。透析時の宿泊費が不要になるそうで、宿泊費用を旅行等に回せるのが良いですね!

オーバーナイト透析の普及は発展途上中。まだまだだなあ~というのが正直な実感ですが、私なりに関心はあります。

やはりメリットである「時間を最大限に」「有効に使えるよう」こと、そして「身体に良い」ことに期待しています。

 

最後に、オーバーナイト透析について今回取り上げたのでもう一言付け加えておきます。

医療報酬上の透析には3種類(5時間まで健康保険が適用)があると冒頭で述べました。

 

健康保険の医療費削減が叫ばれています。これからもますます財政が厳しくなり、透析も危うくなるかもしれません。

しかし、私も含め仕事をしている透析者は、これからも「仕事と透析」とを両立よく続けていかなければなりません。透析者ならではに社会貢献をしなければなりませんから。

今、社会復帰しようとしている透析導入者、透析者もいます。

仕事しなければ透析はできません(逆も然り)。仕事をし社会復帰するためにはその後押しが必要です。

「仕事をしてもらって、税収を少しでも上げよう」というのが国(政府)のセオリーなのですから。

 

私も、ほとんどの透析者もそうですが、いまある環境下でオーバーナイト透析を実現することは難しいのです。

「仕事ができる時間をなるべく確保し、給料が少しでも貰えることができるようにあって欲しい!」と願っています。4時間透析が最低ラインならば、5時間もいいが6時間以上の「長時間透析」が注目されています。

 

「6時間透析も含めてどこまで健康保険が適用されることになるのか?」

つど医療報酬の改定で見直しを行っているわけですので、その動向を見守っていきたいと思います。

 

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