透析の特定疾病手続きは必須!月額1万円か2万円に

2018年6月30日

透析の特定疾病手続きは必須!月額1万円か2万円に
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更新日: 2026年7月15日

 

透析の特定疾病の手続き必須!です。

私は20年超という期間、血液透析を続けています。今日は「特定疾病(特例)」という、透析患者さんにとってとても大切な手続きについてお話しします。

透析を始めたばかりの方や、そのご家族にとって「医療費がどのくらいかかるのか」は、いちばん気になるところだと思います。実は健康保険には、著しく高額で長期にわたる治療が必要な病気について、負担を軽くしてくれる「特定疾病」という制度があります。

厚生労働大臣が認定している特定疾病は3つあり、そのなかに「人工透析を受けている慢性腎不全」が含まれています。透析は一生涯続ける治療になることが多いため、この制度がとても心強い存在になります。

 

透析の医療費を軽減してくれる制度は、大きく分けて次の3つです。

1. 特定疾病の特例(高額長期疾病)
2. 自立支援医療(更生医療)
3. 障害者医療費助成制度

この3つをうまく組み合わせることで、透析にかかる負担をぐっと軽くすることができます。今回は、まず知っておくべき「特定疾病の特例(高額長期疾病)」について、じっくり解説していきます。

 

参照:「透析の医療費は高い!仕組みは知っておいたほうが良い理由。

 

この記事のポイント
・透析を始めたら、まずは特定疾病(特例)の手続きを!(身体障害者手帳は不要です)
・「特定疾病療養受療証交付申請書」に医師の証明をもらい、健保組合などの窓口へ提出
・健保組合等から「特定疾病療養受療証」の交付を受ける
・医療費の会計時は、保険証とあわせて「特定疾病療養受療証」を窓口に提出
・自己負担分は月額1万円または2万円(負担額は所得により異なります)

 

特定疾病(特定疾病療養受療制度)とは

まず、この制度がどういうものなのか、やさしく説明します。「特定疾病療養受療証」という証明書を交付してもらうと、透析にかかる医療費の自己負担が、1つの病院につき月額1万円または2万円までに抑えられます。

「1万円」か「2万円」かは、ご本人の所得によって決まります。会社員などで、70歳未満かつ標準報酬月額が53万円以上の方(いわゆる上位所得者)は、自己負担限度額が2万円になります。

対象者自己負担限度額(1病院・月額)
一般の透析患者1万円
70歳未満で標準報酬月額53万円以上の上位所得者2万円

 

「標準報酬月額」というのは、4~6月の給料の平均額のことです。目安としては、年収がおおむね700~900万円程度で、基礎控除後の年間所得が600万円を超えるような方が対象になります。

この月額1万円または2万円を超えた分の医療費は、加入している健康保険の保険者から医療機関へ直接支払われます(これを「現物給付」といいます)。つまり透析患者本人が実際に窓口で支払うのは、月額1万円か2万円だけということです。

 

ただし、透析は毎月確実にかかる費用ですから、この負担をさらに軽くしたいという方は、条件によって「障害者医療費助成制度」や「自立支援医療」も併せて活用することをおすすめします。

 

特定疾病の特例(高額長期疾病)手続き

特定疾病の特例(高額長期疾病)手続きは各保険者で!

〈手続きの流れ〉

1. 申請する窓口はどこ?

加入している健康保険の種類によって、申請窓口が変わります。ご自身がどこに当てはまるか、まず確認しましょう。

  • 「健康保険組合(健保組合、健保)」…大企業の会社員の方 → 健保組合へ
  • 「全国健康保険協会(協会けんぽ)」…中小企業の会社員の方 → 協会けんぽへ
  • 「共済組合」…公務員、私立学校教職員の方 → 共済組合へ
  • 「国民健康保険」…自営業者、学生、退職者、無職の方など → 市区町村の国民健康保険窓口へ
  • 「後期高齢者医療広域連合」…75歳以上、または65~74歳で一定の障害がある方 → 広域連合へ

 

2. 申請に必要なもの

  • 健康保険証
  • 印鑑
  • 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証・パスポートのコピーなど)
  • 特定疾病療養受療証交付申請書

申請書は窓口でもらえますし、各保険組合のWebサイトからもダウンロード・プリントアウトできます。申請書には「医師の意見欄」がありますが、医師の証明書や、以前加入していた健康保険の「特定疾病療養受療証」のコピーで代用できる場合もあります。

 

【注意】特定疾病療養受療証の交付申請には、身体障害者手帳は必要ありません。

(身体障害者手帳が必要になるのは、3つ目の制度「障害者医療費助成」を申請するときです。こちらは別の手続きになりますので、混同しないよう気をつけてください。)

 

3. 具体的な手続きの手順

  1. 窓口で「特定疾病療養受療証交付申請書」をもらう
  2. 申請書を病院に提出し、医師の証明を受ける
  3. 証明を受けた申請書を窓口へ提出する
  4. 「特定疾病療養受療証」の交付を受ける

「特定疾病療養受療証」は、申請した月の1日から適用されます。つまり、たとえ月の途中で申請しても、その月の初日にさかのぼって資格を得られるということです。

 

【注意】申請した月より前の分は、さかのぼって適用されません。透析を始めたら、できるだけ早く手続きをすませることが大切です。

 

4. そのほか知っておきたいこと

対象となる病気は「人工透析をしている慢性腎不全」です。血液透析も腹膜透析も対象になりますが、腎移植を受けた方には適用されませんので注意してください。

また、転職や独立などで健康保険(保険者)が変わった場合は、特定疾病療養受療証も新しい保険者で改めて手続きが必要です。

大企業の会社員(健康保険組合) ⇒⇒⇒ 自営業者(国民健康保険)

なお、現在の自己負担限度額(1万円または2万円)は平成18年10月の省令改正によって決まったものです。今後も制度の見直しが行われる可能性があるので、ニュースなどにも目を配っておくと安心です。

 

会計時は「特定疾病療養受療証」と「保険証」の提出を

ここまで手続きの流れを見てきましたが、実際の会計ではどうなるのか、具体的に見ていきましょう。

〈会計時の手続き〉

窓口:病院の会計窓口
医療費の会計時は「特定疾病療養受療証」と「保険証」を一緒に提出します。

 

この制度は「人工透析をしている慢性腎不全」に対する治療にのみ有効です。つまり、透析と関係のない歯科治療などには使えません。ふだんは、かかりつけの透析病院で自己負担限度額(1万円または2万円)を支払うことになります。

また、旅行透析や出張先での臨時透析を受けた場合は、その病院でもいったん自己負担限度額を支払うことになります(複数の病院で治療を受けた場合は、病院ごとに負担が発生します)。

 

参照:

旅行・出張先で臨時透析。病院を探す方法・段取り教えます!
旅行透析。東京は観光・病院に交通も充実!でも地方だったら

 

臨時透析でも特定疾病受領証を出すこと

具体的な事例で見てみましょう

言葉だけだとわかりにくいので、実際の例で確認してみます。

・35歳の血液透析患者Yさん(会社員、標準報酬月額は53万円未満で上位所得者ではない)
・かかりつけのA透析病院のほか、出張先でも臨時透析を受けた

同じ月に複数の病院で「特定疾病療養受療証」を提示した場合、自己負担額はどうなるでしょうか?

治療内容総医療費自己負担額
①5月1日~31日:かかりつけA透析病院35万円1万円
②5月14日・16日:出張先B透析病院(外来診療)7万円(2日分)1万円
③5月16日:B病院処方薬をC薬局で購入3万円9千円(3割負担)

 

①A病院1万円+②B病院1万円+③C薬局9千円を合計すると、Yさんが実際に支払った額は2万9千円になります。

この合算額を保険者に高額療養費として申請することで、超えた分の支給を受けられます。ただし、制度上「病院別」「外来」「入院」で合算のルールが異なるため、1か月の自己負担が1万円または2万円を超えるケースがあるのです(今回は2万9千円を支払った例)。

支払った額2万9千円 - 自己負担限度額1万円 = 支給額1万9千円

つまり、保険者から1万9千円の支給を受けることで、Yさんの実質的な自己負担は結局1万円で済むというわけです。

 

とはいえ、月額1万円でも決して安い金額ではありません。あらかじめ「身体障害者手帳」を取得し、「障害者医療費助成」の手続きをしておくことで、さらに負担を軽くできる可能性があります。

 

◇まとめにかえて

①「特定疾病療養受療証」の交付には申請手続きが必須です!
申請した月の初日から適用され、加入している健康保険の保険者から交付を受けられます。

 

②「特定疾病療養受療証」は人工透析の治療にのみ有効です!
自己負担限度額は1病院あたり月額1万円(上位所得者は2万円)。複数の病院で治療を受けた場合は、病院ごとに負担がかかります。
さらに軽減したい場合は、あらかじめ「身体障害者手帳」を取得したうえで「障害者医療費助成」の手続きを行いましょう。

 

③入院時の食事療養費や生活療養標準負担額は、この制度の対象外で自己負担となります。

 

参照:透析者の医療費(65歳未満)の概要については、
透析の医療費は高い!仕組みは知っておいたほうが良い理由。

【お断り】

このカテゴリーは「透析者の医療費(65歳未満)」として、65歳未満の現役会社員や自営業者の方の医療費を中心に取り上げています。

特定疾病の特例は3つ認定されていますが、人工透析については以下のように年齢・所得の条件が定められています(ほかの特定疾病には年齢・所得の規定はありません)。

  • 診療月の標準報酬月額が53万円以上である70歳未満の被保険者(またはその被扶養者)
  • 70歳未満で世帯員の保険税課税標準額の合計が600万円超

つまり、この記事の内容は「65歳未満の透析者」に限定されるものではなく、条文上は65歳以上70歳未満の透析者も含まれます。その点はあらかじめご承知おきください。