この記事は約 18 分で読めます。
新型コロナウイルスの感染が日ごとに拡大し、『緊急事態宣言』が日本全国へと拡大されました。
私も日々仕事に透析へ行っているわけですが、『緊急事態宣言』を受けて、時差出勤や有休消化の活用、自宅待機など、仕事上のシフト調整が求められることになりました。
ことに、昨年には病院側の働き方改革により、通院時間帯をずらしたため就労時間が減って収入減になったところでした。新型コロナウイルスの影響で更なる収入減となるも、現実的なものとなってしまいました。
安倍首相は「コロナ給付金」とか「生活支援臨時給付金(仮称)」と言われていた、30万円の現金給付を撤回しました。
そして、国民1人当たり「一律で10万円」を給付する方針を表明しました。
「10万円給付」はいつからはじまるのか、対象者、支給額(給付額調整の可否)、申請のしかた等について、お伝えします。
・「10万円給付」は、現在「特別定額給付金」という仮称で
・「10万円給付」は、国民1人当たり「一律で10万円(非課税)」で支給(所得制限なし)
・対象者は「国民」。「国民」の範囲は2009年の「定額給付金」をベースとして、4/27に「住民基本台帳」に登録されている人。赤ちゃんも子どもも、外国籍の長期滞在者も、年金生活者も生活保護受給者も含まれる。
・受給権者は「その者の属する世帯の世帯主」とするため、世帯まとめて行う
・感染防止のため、手続き方法に「郵送」「オンライン」による手続きが原則
・30万円の現金給付の約3.2倍以上の予算が必要。赤字国債の追加発行は避けられず
L近い将来、透析医療費の支払いが上がる可能性は高くなると、認識すべき
「10万円給付」はいつ決まる!
給付する時期について、麻生太郎財務相は「5月の給付実現を目指す」考えを示しました。
4/20 高市早苗総務大臣は「人口規模の小さい市区町村で準備が整っていれば、5月からの給付が可能」と説明しました。
「10万円給付」のスケジュール
~速報~
安倍首相“一律10万円”給付の方針
2020年の補正予算組み替えへ pic.twitter.com/drlb70eY40— すみれ (@9K9gqtt42oocf) April 16, 2020
4/20 組み替えた予算案の閣議決定をやり直し
4/27 組み替えた予算案を国会へ提出
4/29~30 29日に国会審議し、5月1日の成立を目指す
予算案の組み替えによって、国会へ提出するのは、1週間ほど遅れる見込みです。
麻生太郎財務相は、給付する時期について、早ければ「5月の給付実現を目指す」考えを示しています。
与党幹部でも「5月下旬から6月上旬の頃」には、総務省幹部も「人口の少ない小さな自治体なら5月中にも可能ではないか」という声があります。
それぞれ時期については、まばらな印象を受けます。いずれにしても、予算案の組み替えを行い、詳細な制度設計のやり直しを行うことになるため、6月以降になる可能性は十分にありえます。
「10万円給付」の対象者は?
安倍首相は「国民1人あたり一律10万円の給付を実施する」と表明しました。
ここで問題になるのが「国民」の範囲になります。
【子ども(新生児を含む)は対象範囲?】
子どもは含まれる根拠としては、「一律10万円給付は、12兆円超の財源が必要になる見通しだ。」
見通しであり確定ではありませんが、子どもを含めた全ての国民が1億2,500万人です。1人一律10万円を給付すると、金額は12兆円超になるので、これになります
そして、子ども(新生児を含む)も、基準日に「住民基本台帳※」に記録されていれば、支給対象になりそうです。
※「住民基本台帳」については、以下【外国人は対象範囲?】で。
【外国人は対象範囲?】
4/17 総務省の担当者によると「住民基本台帳に登録されていれば、国籍に関わらず給付の対象とする方向」で検討を進めているとのことです。
麻生政権時のリーマンショック後の「定額給付金」をベースにしており、外国人であっても給付対象となっていました。その後、日本に住む外国人住民も住民基本台帳制度の適用対象になったという経緯があります。
よって、今回の「10万円給付」の対象者も「住民基本台帳に登録のある外国人」も対象になってくると言えるでしょう。
4/21追記
「3か月を超える在留資格などを持ち住民票を届け出ている外国人」も対象者
【ネットカフェ難民やDV被害者等は?】
居場所を無くしたネットカフェ難民や相手方の暴力などによるDV被害者など、住民基本台帳に記録されない・できない人たちもいます。これらの人達も「国民」ではありますが「どう給付するのか」という給付方法の問題点が浮かび挙がっています。
なお、「定額給付金」のときは、住民基本台帳に記録がない在外邦人や短期滞在・不法滞在の外国人には支給されませんでした。
⇒4/21時点の情報
「4月27日時点で住民基本台帳に記載がある人」が支給の対象者になる、とのことです。受給権者は「その者の属する世帯の世帯主」です。
例えば、基準日の4月27日時点で住基台帳に記載のない海外にいる日本人は対象外となります。
また、効率性を踏まえて、世帯主がまとめて申請する形となります。
住民票のある外国人、そしてホームレスやネットカフェ難民など住所が定まっていない人も、基準日の4月27日時点でいずれかの市区町村の住基台帳されていれば、受け取ることができることになりました。
受給権者は「その者の属する世帯の世帯主」としています。そこで問題なのが、DV被害者です。
DV被害者には、妻が家庭内暴力を受け世帯主と別居中であったり、子供が虐待を受け世帯主と別居中であったりすることがあります。
このような場合、例えば世帯主である夫がお金を受け取って使い込んでしまう可能性、危険性もできません。
そこで、
基準日において、配偶者からの暴力を理由に避難し、配偶者と生計を別にしている者及びその同伴者であって、基準日において居住している市区町村にその住民票を移していないものについては、一定の要件を満たし、その旨を申し出た場合には、当該市区町村において給付対象とする。
なので、DVを理由に住民票を移さずに避難している場合には、一定の要件を満たせば、居住している市区町村にて申し出を行い、給付の対象にしてもらうことになります。
いずれにしても、市区町村が申請の受付及び給付開始日等を決定するので、一度確認したほうがよいです。
「10万円給付」の支給額は?(所得制限はあるのか?)
4/20追記
「一律10万円給付(非課税)」で、所得制限も設けません。
参考:リーマンショック後の「定額給付金」(2009年麻生政権時) 国民一人あたり1万2,000円(但し65歳以上の者及び18歳以下の方は2万円)を配った「定額給付金」 リーマンショック後の「定額給付金」には年齢設定があり、当時「65歳以上の者及び18歳以下」だった人には、一律2万円を配った経緯がありました。基本的には仕事をしている人は収入があるでしょ!というスタンスで、1万2,000円だったのです。
今回の「10万円給付」は経済刺激策ではなく、生活支援策としての位置づけとなっています。迅速性が求められます。年齢設定などを持たせるなどをしていたら、事務的に煩雑・複雑化し、いっそう時間だけかかるに他なりません。よって、「定額給付金」のように年齢設定は無いと考えられます。 |
「10万円給付」の申請のしかたは?
麻生の言うように、手を挙げるためには、難しい数ページもある申請書類に書き込んで、役所に持って行くか郵送して、書き損じがあると送り返され、書き直したりと、実際、10万円給付貰うのはいつになるんだ。それまで生き残ってる証拠もない。野垂れ死にさせるつもりか。 pic.twitter.com/eUygXpNc0k
— ジョンレモン (@horiris) April 17, 2020
安倍首相は「一律10万円を給付」と表明しました。一方、麻生財務大臣は、いわゆる「手上げ方式」と呼ばれる申請のしかたで、両者に食い違いが出ています。
麻生財務大臣の発言はこうでした。「今回(「10万円給付」)は要望されるかた、手をあげていただいた方々に給付する。人によって違うだろうが富裕層は受け取らない人もいるのではないか」と。
この発言で、SNSには「話しが違うじゃないか」「余裕のある人は手を挙げないんですよね」など様々な意見が見られ、物議を醸しだしています
「一律給付」なのに「自己申告」という矛盾点。現段階では見通しではありますが、ここは国民として気になるところです。
なお、リーマンショック(※)後の「定額給付金」の手続きは、以下の流れで進められました。
2009年 3/4~:定額給付金施行・対象者へ申請書を送付 4月~6月:申請した対象者へ振込みor市町村窓口で手渡し |
「定額給付金」の受取りには、3つありました。
①市町村の窓口で手続きし、現金を受け取る。 ②市町村の窓口で手続きし、口座番号を伝えて後日振り込んでもらう。 ③書類(受取人や口座番号等)を記載し郵送。後日振り込んでもらう。 |
当時の申請期間も支給期間も約3か月という”短期間”のなかで行われました。想像しやすく「現金手渡し」「窓口での手続き」は、住民も役所の担当者にとっても、大変なものでした。
“想像しやすく”。
「10万円給付」は「定額給付金」のときとは、様相が異なります。
なぜなら、新型コロナウイルスの感染が問題になります。
窓口に行けば、「現金手渡し」やら「窓口での手続き」で混雑化し、待ち時間も長時間になりがちです。
いわゆる3密(密閉、密集、密接)の状態を作り出してしまします。
住民だけでなく役所の担当者も、感染の被害者、加害者になるというリスクが高まってしまうのです。
透析者なら、窓口に行く時間、待ち時間も惜しいでしょうが、新型コロナウイルスの感染してしまうことが、一番の懸念点でもあります。
「定額給付金」のときは「オンラインによる手続き」がありませんでしたが、年月が経ち環境も整ってきました。
安倍首相は、市町村の窓口での感染の危険性が高まるのを回避するために、「郵送やオンラインによる手続き」を実施すると説明しました。
ふだん、銀行や郵便、電子メールなど「オンライン手続き」をすると早いと実感する場面は、いつでも見ていると思います。
では、「10万円給付」の「オンライン手続き」はすぐにできる環境にあるのか?というと、まだ具体的な事は何も決まっていません。未定のままで、これから詰めていくところです。候補として挙がっているのは年金システムやマイナンバーカードによるものです。
4/21追記 ▶総務省は「10万円給付」の手続きについて、「郵送」「オンライン」で申請を受け付けるとしました。
⇒郵送かオンライン(マイナンバーカード所持者が利用可能)での申請とのこと。 ・郵送申請方式 ・オンライン申請方式(マイナンバーカード所持者)
▶市区町村が、申請の受付及び給付開始日を決定する。「郵送」「オンライン」の申請に、それぞれの受付開始日を設定できるとのこと。 ▶「申請期限」については、市区町村が「郵送による申請受け付けを開始した日から3カ月以内」とのこと。
▶特別定額給付金(仮称)に関するコールセンターを設置 【コールセンター】 |
まとめにかえて
「10万円給付」肝心の財源はどうする
給付の際、所得制限を設けないとのことなので、国民全員に一律10万円を支給する場合、単純計算で12兆円超の財源が必要になります。(日本の総人口1億2,600万人全員に10万円を給付するには、12.6兆円が必要になる計算です。)
「10万円給付」は、撤回された30万円の現金給付(「生活支援臨時給付金(仮称)」)の約3.2倍以上の予算が必要となります。補正予算案で16.8兆円と見込む歳出総額が、さらに膨らむ形になります。
麻生太郎財務相も「赤字国債のさらなる追加発行が避けられない」という認識があることから、赤字国債の発行増額で賄うことになりそうです。
このことは「10万円給付」されると言っても、医療費削減のしわ寄せは、必ず来ています。
透析者の透析にかかる医療費も然り。近いうちに会計窓口での「医療費支払いが上がることは避けられない」と、認識すべきです。
「10万円給付」を要求したのはどこの誰だ?
「10万円給付」は、もともと全ての国民を対象とする現金給付、自粛に対する継続的な補償を求める共産党や立憲民主党など、野党による要求がありました。
もし当時、この所得制限ありなしに関わらず「10万円給付」が国会審議され、予算にも組み入れられていたら、5月中にも給付が可能だったのでは?とも言われていました。
しかし、30万円の現金給付(「生活支援臨時給付金(仮称)」)を決めたあとの評判と言えば、「非常に制度が分かりづらし、対象が小さい。」かなり評判が悪い状況にありました。「住民税非課税世帯」とか、「収入が減っていること」の証明はだとか・・・。
役所の窓口で問い合わせに対応をしたり、すごい量になる書類を審査したりすることを考えれば・・・。
「定額給付金」で現金給付としたときに「貯金に回るのではないか」「ばらまきじゃないか」って、不評・批判を受けた当時総理大臣だった麻生財務大臣は、頑に「一律給付はしない」と固持してきたわけです。
【二階幹事長、山口公明党代表に追い詰められ「10万円給付」でコロナ政局勃発】安倍首相は渋々、検討 世界各国の経済対策と比較すれば、一律10万円支給なんて少ないくらい。最初から出せばよかったのに、いまだ所得制限するかしないかでモメてるらしい。ホント、国民不在政権だ(日刊ゲンダイ) pic.twitter.com/n9CRShmf0h
— KK (@Trapelus) April 16, 2020
しかしながら、若手自民党の議員や自民党の二階幹事長の声『一律10万円の給付を求める切実な声がある(二階幹事長は所得制限ありの10万円の給付)』が挙がりました。
そして与党連立を組んでいる公明党の山口代表も「所得制限なしの10万円の一律給付」を強く要請したという経緯もあって、安倍首相を動かしたのです。
麻生財務大臣が「5月の給付実現を目指す」ということですが、今後組みかえの予算案閣議決定や国会審議が入ってきます。「10万円給付」の動きがあり次第、更新していきます。