透析者の水分制限は厳しいものがあります。
今回は水分摂取のなかでも「お茶」について取り上げます。
透析中の食事、入院中に出されるお茶は、大概ほうじ茶が多いです。理由はきちんとあって、カフェイン量は少な目で身体への負担が少なく、独特な香ばしい香りが好まれているからですね。
透析者は厳しい水分制限をどのように受け止めているでしょうか?
結果的に(お茶も含み)水分を摂りすぎれば、ドライウエイト増となり、透析時間内に水分を取り除くことができなくなるほか、身体内に水分が溜まってしまう状態になるので、その弊害も出てきます。
弊害とは、透析中の血圧低下、急な除水による疲労感、生命予後の悪化といったものです。
参照:「ドライウエイトがあわない?こんな症状・兆候なら見直しを!」
・透析者の1日あたりのカリウム摂取総量は1,500~1,800mg
・玉露100mlでカリウム340mg(バナナ1本分のカリウム量とほぼ同じに匹敵)
透析者はお茶のカリウム量を把握しておこう
お茶にもさまざまな種類のものがあり、何も緑茶とは限りません。
緑茶、ウーロン茶、ほうじ茶、抹茶、前茶、番茶、ルイボスティー、紅茶、黒豆茶・・・多数ありますね。
透析者の場合、問題となるのは水分の量はもちろんのこと、お茶のほかにも食事もしているので、1日あたりのカリウム摂取総量は気にしなければならない、ということです。お茶好きな日本人ですから、なおさらですね。
カリウム摂取総量は1,500~1,800mg程度です。
以下は、お茶のカリウムとリンの量を表しています。
お茶 ※100ml換算 | カリウム (mg) |
リン (mg) |
玉露 | 340 | 30 |
抹茶(5g) | 135 | 18 |
煎茶 | 27 | 2 |
番茶 | 32 | 2 |
ほうじ茶 | 24 | 1 |
玄米茶 | 7 | 1 |
麦茶 | 6 | 1 |
ウーロン茶 | 13 | 1 |
紅茶 | 8 | 2 |
昆布茶(5g) | 39 | 2 |
ルイボス茶 | 1.1 | 0.1 |
マテ茶(150ml) | 2.75 | 1.67 |
このようにカリウムで見ると、玉露が突出していますね。
玉露100mlでカリウム340mg。
ほかのお茶である番茶や前茶と比較してみても10倍もあります。
しかも340mgという量は、バナナ1本分のカリウム量とほぼ同じに匹敵するので、驚きです。
次いで抹茶が135mg。最近は抹茶を使ったスイーツも流行り、定着した感があるので気になるところです。
玉露や抹茶ですが、なぜにカリウム量が高くなるのか?
これも茶葉から抽出したお茶ではなく、しっかりとお茶の栄養成分を摂る「粉末茶」という性質からしても、量(値)が高くなってしまうから、とも説明できます。
また、お茶の性質上、茶葉の量や浸出時間によってもカリウム量にばらつきも出てきます。
濃い目のお茶であれば、よりカリウム量が多くなります。濃いめが好きな方は注意しましょう。
もちろん、飲みすぎにも注意ですよ!
透析者はペットボトル・缶のお茶のほうが良い?
一般的にペットボトル(500ml)のお茶の場合、使われる茶葉の量は1~2gと言われています。
下記でみていただきたいのですが、茶葉から抽出したお茶、つまり急須で淹れたお茶よりもペットボトルのお茶のほうが、若干カリウムの量が減るようで、これは意外や意外のデータとなっています。
商品名 ※100ml換算 | カリウム (mg) |
リン (mg) |
ナトリウム(mg) |
「おーいお茶」(伊藤園) | 9 | 10 | 11 |
「健康ミネラルむぎ茶」(伊藤園) | 4.2 | 6 | 35 |
「生茶」(キリン) | 12 | 1 | 11 |
「烏龍茶」(キリン) | 6 | 9 | 4~14 |
「午後の紅茶 おいしい無糖」 |
9 | 0 | 6 |
「十六茶」(アサヒ) | 3.2~7.8 | 表記なし | 0~12 |
「匠屋旨みの日本茶」(アサヒ) | 10 | 表記なし | 7~17 |
「烏龍茶(サントリー) | 約10 | 1未満 | 表記なし |
「匠屋旨みの日本茶」(アサヒ) | 10 | 10未満 | 表記なし |
緑茶 伊右衛門(サントリー) | 10 | 10未満 | 表記なし |
伊右衛門 玄米茶(サントリー) | 10 | 10未満 | 表記なし |
ホット伊右衛門 焙じ茶(サントリー) | 10 | 10未満 | 表記なし |
ホット伊右衛門 焙じ茶(サントリー) | 約10 | 約10 | 表記なし |
太陽のマテ茶(コカ・コーラ)終売 | 7 | 表記なし | 12 |
但し、缶を含むペットボトルのお茶にはカラクリがあります。
例えば、細かい茶葉の沈殿物は除去してしまいます。そのため栄養成分が低いために「緑茶抽出物」を添加することもあります。また、酸化防止のためにビタミンCを添加することもあります。
なので、様々なメーカーがありますが、缶・ペットボトル裏の栄養成分表示や原材料名は、よく見たほうが良いです。
このように、急須で淹れたお茶と缶・ペットボトルのお茶とでは、味だけでなく栄養成分の質もまったく違います。
(お茶とはいうものの、緑茶飲料などと呼ばれるのはその所以です。)
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まとめにかえて
今回は「お茶」について取り上げました。
食事は毎日のこと。あまり無理をして制限をすると続きません。
もちろん、水分も然りでお茶についても、同様のことが言えます。
私のお茶に対する思いは「少量であっても美味しいお茶にこだわること」です。
特に、お高いお茶の葉を購入して、ミネラルウオーターで・・・ということではないです。
食事といい、水もお茶の摂り方とも個人差もありますし、価値の捉え方も全く違います。
ただ水分やカリウムの摂り方には十分に注意しなければならない、ということは、透析するうえで共通に意識していかなければならないことです。
お茶はカリウム量が多いから「お茶じゃなくて一切水にする」というのも考えものですし、かえってストレスになりませんか?
私なら、お茶もどうせなら少量でも美味しくいただきたいです。
夏の暑いときは冷たく、寒いときには熱く、季節感覚といったものを取り入れているわけです。
ふだんペットボトルのお茶を買う・飲む習慣はありません。
会社勤めしていますから、朝にはお茶を入れて、マイボトルで楽しむわけです。
水分の摂取量が決まっていますから、マイボトルの組み合わせも大事にしています。
極論ですが、2種類のお茶を楽しみたいときもあります。340ml×2=680mlという感じです。
研究すれば、もっと美味しいお茶の淹れ方もありますからね。
このように、水分制限こそ厳しいですが、そのなかから創意・工夫が必要なのではないかと思います。