「ドライウエイトがあわない?」こんな症状・兆候あるなら見直しを!

2018年4月7日

「ドライウエイトがあわない?」こんな症状・兆候あるなら見直しを!
【PR】

更新日: 2026年7月19日

DW(基礎体重)があわない

透析患者にとって、日常茶飯事気にしなければならないものの中に「ドライウエイト(DW)」があります。

ドライウエイト(DW)は、「基礎体重」「適正体重」「目標体重」などと呼ばれることもあります。

ドライウエイト(DW)は「体内にある水分が過剰でもないし、脱水もしていないような、ちょうどよい適度な状態に保たれているときの体重」だと言えます。

参照:「ドライウエイトって何?ズバリ【透析後の基礎体重】のこと。

・ドライウエイト(DW)は、常に一定なものではありません。「変化するもの」「変化させるもの」
・ドライウエイト(DW)がきつかったり、甘かったりすると何らかの兆候や症状があらわれてくる
・ドライウエイト(DW)の見直し・再設定のために遠慮する必要はありません

私自身、20年超透析を行っている現役の透析患者です。透析を続けていると、体の状態が少しずつ変化していくのを肌で感じます。だからこそ、ドライウエイトが今の自分の体に「あっているのか・あっていないのか」を敏感に察知することが、より良い透析生活を送るための大きなカギになると実感しています。

ドライウエイト(DW)があわない?

ちょうどよい適度な状態が保たれていなければ、それはドライウエイト(DW)があっていない、ということです。何かしら、症状・兆候が出ているはずです。

適正なドライウエイト(DW)とは?

ちょうどよい適度な状態に保たれているときの体重であるとすれば、以下のような状態が目安になります。

チェック項目適正な状態のめやす
①むくみ顔や手足に浮腫みがない
②心胸比正常範囲(心臓が大きくなっていない)※50%以下が目安、女性は53%以下
③血圧ほぼ正常範囲(低すぎず高すぎず。100〜140/90mmHg以下が目安)
④日常生活無理なく日常生活ができる(体調が良い)

これら4つが揃っていれば、ドライウエイトがおおむね適正に機能していると言えます。逆にどれかひとつでも崩れてきたら、見直しのサインと受け止めましょう。

ドライウエイト(DW)の増加は+3〜+5%以内に!

医療用体重計

よく医師・看護師さんから、こういうふうに言われますね。

「ドライウエイト(DW)の増加は+3〜+5%以内に収まるように調整してください」

なぜ+3〜+5%以内という範囲に収める必要があるのでしょうか。まず、透析という「時間的制限」があります。自分だけでなく、ほかの透析患者もいます。

血液透析は4〜5時間という時間のなかで、除水しなければならないからです。

では、「除水時間を速くして、除水量も多くすれば良いのではないか?」

これ、分かります(私もそう考えましたよ)。透析患者なら誰しもが一度や二度は、そう考えることってあります。

しかしながら、実際はそうはいきません。考えてみてほしいのですが、透析患者は生身の人間です。

透析時に急激な除水を行えば、同時に体内の水分量も急激に変化が起こってしまい、心臓や血管といった身体全体に大きな負担を与えてしまいます。血圧低下やこむら返りといった筋肉のつり、透析疲労などが出てきます。

それらは透析患者でしか経験しえないもの。辛いし、苦しいし、逃れたい。周りの人からみてもどうしようもできないし、何もしてやれない。ただただ、負担なものです。

このような負担を避けるためにも、透析中の除水速度を緩やかにしつつ、目標とする除水量まで除水することが必要です。

透析時間を長くすれば、除水速度を緩やかにできるので、身体(心臓や血管系)への負担は少なくなります。

そのために、透析患者ができることが「中1日や中2日のドライウエイト(DW)の増加を+3〜+5%以内に!」というわけです。

参照:「ドライウエイトって何?ズバリ【透析後の基礎体重】のこと。

旅行・外食・付き合い…「気休め」がたびたびオーバーに

旅行先であったり、仕事で上司や同僚との付き合いをした、家族と一緒に外食した——そういった場面って、ありますよね。

このような時はどうしても食事や水分制限を緩めがち。「今日は気休めに…」と思いがちになります。

透析も大変だから、自分へのご褒美として、自分への労りとして。お付き合いとして…。どれもとても大事なことだと思います。こうなると、次回の透析のときまでに「大幅に体重を増やして来てしまった」ということが出てきてしまいますね。

ただ、あまりにも羽目を外して、大幅にドライウエイト(DW)の+5%を超えるまで体重を増やしてきて、

・「透析時間内に除水ができなかった(また次回の透析で繰り越し除水)」
・「何とか時間内で除水をお願い!」と依頼→急激な除水で血圧低下や気分不良、こむら返りなどを起こす
・「またしても、ドライウエイト(DW)オーバー。次の透析日でも繰り返してしまう」

このような状況では、ドライウエイト(DW)に対する自覚・認識に問題あり!と言わざるを得ないでしょうね。

ドライウエイト(DW)があわないことって普通のこと?

ドライウエイト(DW)があわないことって普通のこと?

なぜドライウエイト(DW)の増加を+3〜+5%以内に!なのかは、理解できたかと思います。さて、透析は老廃物や水分を除去する治療ではあるのですが——

「透析でドライウエイト(DW)まで戻す」とは、どういうことかお分かりですか?

透析患者の腎臓は機能が低下して尿が少なくなったり、完全に出なくなったりしているため、毎回透析を通じて機能しなくなった腎臓の代わりに身体に溜まった水分を、設定したドライウエイト(DW)の値まで取り除いていくわけです。

その具体例をあげてみましょう。

<事例>

ドライウエイト(DW)70kgで設定している男性会社員Aさん。Aさんは週末、家族と一緒に外食を楽しみました(中2日で体重2.5kg増加)。また透析中は食事分として+0.3kgも加算するものとします。

計算の流れ体重
ドライウエイト(DW)70.0kg
+中2日分の増加72.5kg
+食事分(透析中)72.8kg
除水量(72.8kg-70kg)2.8kg分を除水

※中2日分のドライウエイト増加率は約+4%なので、許容範囲内です。

このように透析開始時にドライウエイト(DW)の体重に戻るように計算したうえで、除水量を設定しているわけです(透析は除水だけでなく、同時に血液の老廃物の濾過も行っています)。

今回のAさんは70kgがドライウエイト(DW)ですが、このドライウエイトは年中いつまでも同じ状態でいられるわけではありません。健康な人が日々・季節ごとに体重が変化していくのと、考え方は基本的に同じです。

Q:「ドライウエイト(DW)があわないことって普通のこと?」
A:「はい、普通のことです。」

なぜなら、透析患者であっても健康な人と同じように、日々食欲の増減があったり、体重の増減(太ったり痩せたり)、体調の良し悪し(浮腫みや血圧の変化など)というものがあり、相互に影響を与えているからです。

一度ドライウエイト(DW)を決めたからといって、透析ずっと同じままでいるということはなく、それらの相互影響をなるべく避けるべく、定期的にドライウエイト(DW)の見直しを行い、調整することが必要になるのです。

「ドライウエイト(DW)は変化するもの、変化させていくもの」と理解しておきましょう。

微調整は必要ですが、透析患者が「体調が良い!と思えるべく適正なドライウエイト(DW)」にすればいいのです。

こんな症状・兆候が出たらドライウエイト(DW)の見直し・調整を!

ドライウエイト(DW)があわないと…

透析患者の日常生活において、低血圧や高血圧、浮腫み、立ちくらみといった症状は、個人差はあれどよく感じることです。しかし、透析中や透析終了前といったときでも、ドライウエイト(DW)がうまくいかないことからくる兆候や症状があらわれてきます。

大きく分けると、ドライウエイトのズレには「きつすぎ(低すぎ)」「甘すぎ(高すぎ)」の2パターンがあります。それぞれ症状・兆候が異なりますので、順番に確認していきましょう。

《パターン①》ドライウエイトが「きつい(低すぎ)」ときの症状

<事例:Bさんの場合>

ドライウエイト(DW)は70kgで設定し、夜間透析をしている男性会社員Bさん。最近Bさんは、透析中は血圧が下がり気味で、透析後も横になることが度々。しかも透析による疲労は翌日の仕事にまで残っている。

このように、透析中や透析後に血圧低下や倦怠感などを覚えるのなら、ドライウエイト(DW)の見直し・再設定が必要です。

これは「ドライウエイトが低すぎ(軽すぎ)」「ドライウエイトがきつい」状態なので、ドライウエイト(DW)を上げる必要があります。

→ ドライウエイトがきつい!ときは、値を上げてもらいましょう!

ドライウエイトがきつい状態で無理な除水を行うと……

症状・兆候詳細・注意点
①透析中の血圧低下血圧が80mmHg以下まで下がるとショック状態に。気分不良・吐き気・嘔吐・筋痙攣・視力障害といった急性症状があらわれることがある。さらに脳梗塞・狭心症・心筋梗塞・不整脈等の循環障害も出てくる恐れがある
②透析終了後もベッドで休んでいる時間が長い急性症状に加え、透析後の疲労感も強くなる。透析終わり頃にこむら返り(足がつる)・声枯れ・耳が塞がった感じがするなども特有の分かりやすい兆候
③シャント閉塞の危険性透析による除水や血圧低下が血液の粘度を高め、シャント(バスキュラーアクセス)が閉塞するリスクが高まる。シャントは透析の「生命線」であり、閉塞すると直ちに透析が不可能になる
④生命予後の悪化脳梗塞・狭心症・心筋梗塞・不整脈等の循環障害によるもの。長期的な予後に悪影響を与える

透析中に80mmHg以下の血圧低下が繰り返し起こる場合は、早めに担当医に相談してください。ショック状態になる前に、ドライウエイトを見直すことが大切です。

《パターン②》ドライウエイトが「甘い(高すぎ)」ときの症状

<事例:Cさんの場合>

ドライウエイト70kgで設定している男性会社員Cさん。何か透析が終わっていても、手足が浮腫んでいたり、体が重い感じがする。

——1か月が経過——

引き続きドライウエイト70kgで維持していたが、定期検査の結果、筋肉・脂肪は減っていたが、代わりに体内水分は増えていた。確かに1か月前後でみたら同じドライウエイト70kgです。しかし透析後でも体内の水分は過剰な状態になっていました。そのために手足の浮腫みや体が重い感じを感じていたわけです。

これは「ドライウエイトが高すぎ(重すぎ)」「ドライウエイトが甘い」状態なので、同じようにドライウエイト(DW)の見直し・再設定が必要です。

→ ドライウエイトが甘い!ときは、値を下げてもらいましょう!

ドライウエイトが甘い状態で除水を続けても、体内では水分過剰な状態が続くことになります。そのため「血圧が上昇→心臓に負担→心不全」といったふうになる恐れがあります。

次のような症状や兆候が見られるときは、ドライウエイト(DW)を下げる必要があります。

症状・兆候詳細・注意点
①日頃から血圧が高い高血圧の背景には体内での水分過剰が主な原因としてある(塩分摂りすぎで水分摂取増加など)。降圧薬を飲んでも高血圧の管理が難しいことも
②透析前に息切れなどの心不全症状がある血圧上昇→心臓に負担→心不全という流れで悪化する。呼吸が苦しい・横になると息苦しいなどのサインに注意
③透析後でも浮腫んでしまう透析をしても体内はまだ水分過剰な状態のため、手足などに浮腫みが残る
④うっ血肝などが認められる心臓機能の低下により肝臓に血液が滞留して障害が出る状態。心筋梗塞や肺炎などで心臓機能が正常に働かない場合に起きやすい
⑤風邪や下痢などで体調を崩したとき食欲不振による体重減少の可能性が高い。そのままのドライウエイトを維持すると甘くなりすぎることがあるため、調整が必要になる

透析後に手足の浮腫みが続いたり、透析前から息切れを感じたりする場合は、ドライウエイトが甘くなっているサインかもしれません。放置すると心不全のリスクが高まりますので、担当医に早めに相談しましょう。

2つのパターンをまとめて比較——症状の早見表

比較項目きつい(低すぎ)場合甘い(高すぎ)場合
透析中の血圧低下しやすい・ショックの危険高いままのことが多い
透析後の状態強い疲労感・長い休憩が必要浮腫みが残る・体が重い
主な症状こむら返り・気分不良・声枯れ息切れ・高血圧・むくみ
長期リスク脳梗塞・心筋梗塞・シャント閉塞心不全・うっ血肝
対処法ドライウエイトを上げるドライウエイトを下げる

ドライウエイト(DW)を見直す「時期」——私の経験則

私が特に感じている「ドライウエイト(DW)を調整する時期」というものがあります。透析患者でも、同じように感じているかと思います。20年超透析を行っている経験則から、ある時期を特定し導き出したものです。

そうですね、イメージ的には花粉症のようなもので「鼻がムズムズしてきた」「目がかゆくなってきた」ときのように、自分にとって花粉症対策をしなければならない頃には、そろそろ予防・対策を…という事と同じでしょうか。

時期的には梅雨の頃です。

梅雨時は、高温と低温を繰り返しながらも多湿。確実に夏に向かっている時期です。私の場合は血圧がなかなか安定せず、体調はどうしても落ち込み気味。少し食欲が落ちているのがわかります。

透析時には血圧低下があらわれ、透析後も血圧が低いままで、声枯れも目立ちます。

「こんな症状は、たまたま今日だけなのかな?(今日は除水しすぎたかな?)」
「今度の透析でも同じような症状が出てくるのか?」

……色々問答してきました。

梅雨時は、自分にとって体調の変わり目! ドライウエイト(DW)を調整すべし!
これが、私の透析での経験則です。
もちろん、年齢を重ねれば、透析歴も長くなっていけば少しずつ変わっていくのでしょうね。

このようにして、ドライウエイト(DW)を上げてもらうようにしています。年を、透析年数を重ねればまた、ドライウエイト(DW)の調整する時期は変化していくのかもしれませんね。

季節別・体調変化とドライウエイトの関係

季節体への影響ドライウエイトへの影響
春〜梅雨気温・湿度の変動が大きく、血圧が不安定になりやすい体調変化が出やすい。見直しのタイミングとなることが多い
発汗が増え脱水気味になりやすい。食欲が落ちることも体重が落ちやすい。ドライウエイトを下げる必要が出ることも
秋〜冬食欲が増し、体重が増えやすい季節。年末年始の飲食に注意体重増加でドライウエイトの増減の管理が厳しくなることも
風邪・下痢・発熱時食欲不振で急激に体重が落ちることがある速やかにドライウエイトの見直しが必要な場合がある

まとめにかえて——遠慮なく「ドライウエイトの見直し」を申し出よう

ドライウエイト(DW)の見直し・再設定のために、遠慮する必要はありません。

ドライウエイト(DW)の増加は+3〜+5%以内にという、日々の食事等の調整は必要ですが、透析中やその後に急性症状が起きたり、生命予後に影響を与えることのほうが辛く大変なものであり、絶対避けたいと思うはずです。

医師がふだんの体調や血圧動向、心胸比やエコーの定期検査等を踏まえて、試行錯誤しながらも透析患者と一緒になって、ドライウエイト(DW)を決めてくれます。

透析患者ができること

1. ドライウエイト(DW)について知っておきましょう。(今のドライウエイトはいくつか?)

2. ドライウエイト(DW)は変化するものと心得ましょう。(見直し・再設定が必要なもの)

3. 透析中や透析後での自覚症状も大切に!(自覚症状も大事な検討要素。遠慮せず医師に相談)

しっかりと自己管理を行いながら、適切なドライウエイト(DW)設定に努めましょう。

ドライウエイトがあわないと感じた兆候や症状は、体からのSOSです。「きつい」のか「甘い」のかを見極めて、早めに主治医・看護師さんに相談することが、より快適な透析生活への第一歩です。