透析スタッフの役割とは┃コミュニケーションはとても大事!

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血液透析とスタッフの役割

 

透析療法には、主に血液透析(HD)と腹膜透析(PD)※とがあります。

透析者の97%は「血液透析(HD)」を選んでおり、自宅や会社から病院へ通って治療を受けるのがふつうのスタイルです。

※血液透析(Hemodialysis:略称HD)、腹膜透析(Peritoneal Dialysis:略称PD)

 

病院には日ごろからお世話になるスタッフさんがいます。

スタッフさんはどのような仕事をしていて、どのような役割を担っているか気にしたことはありますか?

 

透析という医療界は、通院しているとさほど変化は少ないのかな~というふうに思えるかもしれません。
ですが、医療の進歩というのは確実に進んでいます。

医師・看護師などスタッフさんはふだんから勉強しつつ、透析現場にあたっているわけですね。

では、私たち透析者はどうなのか。

透析という治療を受ける以上は、最低限の血液透析(HD)の基礎知識を学ぶ必要はあるべきだと言えます。

 

様々な分からないことや疑問に思ったことが、本来出てくるはずなのです。

ならばスタッフさんへ透析や食事、薬などに関することについて質問し、相談し、適切なアドバイスをもらえばよいのです。

・基礎知識があって治療を受けていたのなら・・・
・生活のなかで活かすことができたなら・・・
・生命予後が良くなるとしたら・・・。

透析の基礎知識を学び実践していくことは、結局のところ透析者のQOL(=生活の質)の向上になりますし、今後の自分の生き方にも繋がっていくのです。

 

・透析の診察や検査などについては医師。療養上の世話や診療の補助は看護師。
 将来、在宅血液透析を考えているなら臨床工学技士の存在も大きい。
・透析食やふだんの食事など食事療法は栄養士に、薬の飲み合わせなど薬物療法は薬剤師へ。
・透析者は、透析に関する基礎的知識を身につけておこう。

 

目次

血液透析(HD) でお世話になる医療スタッフさん

透析の隔日、スタッフさんとは顔を合わせることになります。

診察や看護など、透析装置の設定などをいろいろありますが、いろいろな場面でお世話になっています。

 

病院で行う血液透析で挙げられる最大のメリットと言えば、「専門のスタッフさんに透析をしてもらえるために安心・安全」ということになります。

透析を受けるために、それを支えている医療スタッフさんがいます。

 

医療スタッフさん。
医師や看護師、臨床工学士、栄養士、ケースワーカ、医療事務員などがいます。

 

血液透析(HD)の医療スタッフさんとその役割は、次の通りです。

 

・医師・・・
透析者の診察や検査を行い、透析の条件・方法を決め、薬を処方し、透析者の心身の状態を把握しています。

 

・看護師・・・
透析者の療養上の世話や診療の補助などを行います。と同時に透析装置の状態も診ます。透析が円滑に行われるように観察・監視を行っています。

 

・臨床工学技士・・・
看護師とともに透析者や透析装置の状態をみながら、透析が円滑に行われるように観察や監視を行っています。将来、在宅血液透析を考えているなら、装置の操作方法などを指導してもらうことになります。

 

・栄養士・・・
食事の提供のある病院では透析食の献立を作成したり、食事療法がうまくいかない(体重増えすぎ、減塩できずカリウム高め…etc)などの透析者に対しては、正しい食事方法などを指導したり相談にのったりします。

 

・薬剤師・・・
医師が作成した処方箋に基づいて薬を調剤・供給します。これらについての効用や副作用について相談、服薬指導を受けるほか、薬の飲み合わせの確認も行うことができます。

 

・ケースワーカー・・・
医療ソーシャルワーカーとも呼ばれます。
透析者やその家族の抱える諸問題(心理的・肉体的・経済的・社会的※)について、相談にのったり、指導を行ったりします。

 

※透析を導入した後の医療費や障害手帳、年金等申請手続きや制度利用について。

 

ほかも検査時には、臨床検査技師(透析者の血液や尿、便などを検査する医療技術者)やレントゲン技師がいます。

また医療事務員(透析にかかる医療費支払いの受付・会計、手術・入院時かかる費用の問い合わせ)もいます。

 

在宅血液透析であっても医療スタッフさんとの接点は大事

在宅血液透析でお世話になるかもしれない

血液透析は病院へ通って・・・というのが一般的なのですが、在宅(自宅やアパートなどで行うことができる「在宅血液透析※※」があります。

ただ、在宅血液透析はすぐにできるものではなく、病院で「血液透析していること」が前提となりますが・・・。

 

※※在宅血液透析・・・腹膜透析同様にQOL(=生活の質)を上げるという点では、血液透析の中では一番良いと言われています。

 

これは透析者が増加傾向あり、透析者の高齢化も相まってなかなか病院の受け入れが厳しくなってきているという背景があります。

現状はわずか0.1%程度でしかないのですが、在宅血液透析を推奨している病院も少しずつですが増えてきました。

 

在宅血液透析を例に

在宅血液透析は「時間の融通が利きかつ長時間透析すること」にメリットがあります。

在宅血液透析には今日まで通っていたかかりつけの病院の、医療スタッフさんから十分な研修を受ける必要があります。研修ですので生半可なことはできません。

スタッフさんには、在宅血液透析への準備や居合わせなどを見てもらうことになります。

そして、実際に在宅血液透析をはじめた後もスタッフさんからサポートを受けることになります。

 

在宅血液透析は、透析者本人ないしその補助者(配偶者や家族など)が穿刺(せんし)を行うことになります。

そして衛生管理から透析用の器材・薬剤の在庫管理・発注など、透析の始まりから終わりまでをすべて自分で行うことになります。

 

それら一連についてきちんと研修を受けて合格し、GOサインをもらわなければなりません。

「生半可なことはできません。」って言ったのは、例えばこれまで看護師さんなどが行ってくれていた穿刺。

 

看護師さんはいないです。「自分で」しなければならないわけですよ!

穿刺でさえ大変危険な行為です、下手すれば自分の命に係わります。

 

在宅血液透析について、もう少し踏み込みますと・・・。

自宅や賃貸マンション・アパートでは、ベッドのほか器材を設置するために「場所の確保」が必要になります。それに付随して導入初期には、室内に水道や電気を引き込むための改装費用がかかります。

 

病院で透析していると無意識になりがちですが、光熱費や水道費などは「通常の倍以上の費用がかかる」といった側面もあります。

在宅血液透析は、透析のために病院へ通うといったことはほぼ無いです。

 

ただ定期的な検査(X線や心電図など)は必要ですし、「シャントの異変」「風邪・インフルエンザにかかった」といったように、どうしても何かしらの身体や体調の変化、トラブルは出てくるので、このような場合には病院へ通院して処置をしてもらうことになります。

 

病院で行う血液透析、在宅血液透析とかかわらず、医療スタッフさんとの接点、コミュニケーションが大事になってくるのがお分かりでしょう。

 

 

血液透析(HD)について

「透析は病院、医療スタッフにすべてをお任せする」と考えている透析者は多かれ少なかれいるものです。

しかしイザといったときに透析に関する基礎的知識が薄くて「体調が悪い」「薬を飲み忘れた(状態が続いている)」「合併症がはやめに出てしまった」といったようなことが、割かし起きているようです。

 

医師、看護師さんとの診察や看護上の報告・相談するうえで、透析の基礎的知識を身につけておくことはとても大事なことです。

 

 

血液透析の基礎的知識を

簡単にですが、血液透析の基礎的知識を載せておきます。

血液透析(HD)は血液を一度体外に出して(=脱血)、人工腎臓(=ダイアライザーと呼ばれる透析器)に通すことで血液中の老廃物や水分を除去し、きれいにして体の中に戻します(=返血)。

 

治療は週3回行い、透析者にもよりますが1回につき4~5時間の治療時間をかけて行っていきます。

 

参照:透析時間の決め方。4時間透析「最低ライン」に過ぎません!

 

 

人工腎臓と言われるように、透析者にとっては「生体の腎臓の代わり」になります。

人工腎臓ことダイアライザーは、人工の半透膜でできた細い管が束ねられていて、この半透膜が腎臓の糸球体※(しきゅうたい)に似た機能を果たしています。

 

※糸球体・・・血液を濾過(ろか)して不要な水分や電解質を取り除く機能を持つのが腎臓の主な役割ですが、その「フィルター的存在」を持っているが糸球体です。

 

この人工的に作られた半透膜な細い管の内側には血液が、外側には透析液が流れていて、その膜を介して血液中の老廃物や余分な水分が除去され、きれいになった血液を再び体の中へと戻していくのです(4~5時間のあいだ、ダイアライザー内でこの繰り返しです)。

 

“きれいにしている”とはいえ、生体の腎臓のように万全ではなく、あくまで「代替」しているだけに過ぎません。

 

例えば、1回あたりの透析(最低限4時間の場合)では、血液中の老廃物である尿素窒素(BUN)やクレアチニン(Cr)の除去率は、約60~70%ほどです。

生体の腎臓にはほかにも役割があって、透析者は「造血ホルモンの分泌」ができず腎性貧血となるために、貧血改善薬で貧血を是正していきます。

 

また「ビタミンDの活性化」もできないので、骨の沈着や骨を丈夫にすることができなくなります。

このことは骨粗しょう症や副甲状腺の異常な亢進の要因となるので、活性型ビタミンD製剤で補っていきます。

 

生体の腎臓でできている「造血ホルモンの分泌」「ビタミンDの活性化」は、透析ではできません。

参照:透析治療では何をするの?腎臓は本当にすごい司令塔だった!

 

 

腎臓は毎日休むことなく働き続けています。

ですが血液透析は4~5時間/日と、まず日にちと治療時間が限られています(治療は9~15時間/週でしかなく、遠く腎臓に及びません)。

「透析の効率」も求められます。4~5時間という透析時間のなかでです!

 

透析を効率よく行うためには、一分間に約200MLという大量の血液を人工腎臓(=ダイアライザー)へ循環させなければなりません。

これはこれで身体的に負担が大きくてハードなものですが、多くの血液を確保できる血流量の多い「動脈」と「静脈」を繋いで新たな血流回路を作ります(脱血や返血する際に強すぎても、弱すぎてもいけないので)。

 

これがシャント(内シャント)と呼ばれます。

一般的には生活に支障が少ないように、利き腕ではない方の前腕部に作ります。なおこれから血液透析を始める人は、事前に手術でシャントを作っておく必要があります。

 

参照:「血液透析の効率をあげるためにはどうすればいい?

 

◇まとめにかえて

はじめて血液透析(HD)を受けるとき、右も左も分からず身動きもできず不安だらけになってしまいますよね。

分かります、私もそうでした。

 

透析は続けていかなければならないものです、末永くお付き合いしていかなければならないのです。

 

そのようなことを考えると、透析していてもできる限りベストな状態で仕事や生活を続けたいと思いませんか?

そのためにも、私もそうですが透析者がしなければならないことは、

医師・看護師さんといった医療面においてサポートをしてくれるスタッフさんの仕事・役割を知ることから始まり、信頼を構築していくことが、重要なのではないでしょうか。

 

もし病院、スタッフさんとの信頼関係が崩れてしまえば、通院することはもとより透析すること自体が嫌になりますし、ほかの病院へ転院するという選択肢も視野にいれなくてはなりません。

 

私も透析を導入した時は「臨床工学技士」という職業について、全くもって知りませんでした。
聞いたことすらありませんでした。

臨床工学技士さんは、院内をグルグル巡回してますから、いろいろお話しをしました。

 

「どのような学校に通って資格をとったの?」「透析装置の設定って難しいの?」「臨床工学技士は透析だけのものじゃない(ほかにも働く現場があるよ)・・・」。

こんな他愛ない話から入って良いんですよ。

先述「血液透析(HD) でお世話になる医療スタッフさん」で紹介しましたが、私はかつての仕事柄、「ソーシャルワーカー」という職業、その役割については知っていたので、担当者の方には透析に関する知識や情報を提供してもらいました。

おかげさまで障害者手帳や障害年金などの相談することで、その後円滑に手続きをすることができました。

 

今回は、その専門職に就いているスタッフのことを知ることが先決だと思いたって「透析スタッフの役割とは┃コミュニケーションはとても大事!」を設けました。

日常の会話でもOK!

透析上での疑問点や相談したいことがあったら医師や看護師さん、栄養士さんなどにいろいろ聞いてみましょう。きっと親身になって受けてもらえるはずです。

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