透析治療では何をするの?腎臓は本当にすごい司令塔だった!

2018年1月26日

透析治療では何をするの?腎臓は本当にすごい司令塔だった!
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更新日: 2026年7月13日

透析治療。腎臓は本当にすごい司令塔だった!

  • 腎臓には7つの働きがある
  • 7つとは「尿の生成」「水分量の調節」「電解質バランスの維持調整」「血中の酸・アルカリの調整」「血圧の調節」「血液産生の促進」「ビタミンDの活性化」
  • 腎臓が弱ったり機能しなくなると、腎代替療法(透析療法または腎移植)が必要になる
  • 日本では透析療法が主流だが、生体の腎臓のように万全ではない

透析治療とは何か?そもそも腎臓って何をしているの?

「腎臓のはたらきは?」と聞かれたら、多くの方は「おしっこをつくるところ」と答えるのではないでしょうか。

わたし自身、透析を始めるまでそう思っていました。でも、透析生活を20年以上送るなかで、つくづく感じることがあります。

腎臓は、単に尿をつくるだけの臓器じゃない。体全体を管理する、まさに”司令塔”だった、と。

では、透析とは何か?ひとことでいえばこうです。

腎臓の機能が低下・停止したとき、機械を使って人工的にその役割を代わりに担う医療処置、それが透析(人工透析)です。

透析は医療行為であり、診療報酬上は「処置」に区分されます。

まずは、腎臓がいかにすごい司令塔かを知るために、その7つの働きを整理しておきましょう。

腎臓の7つの働き

腎臓には7つの機能がある

① 尿の生成

腎臓は1日に約200Lもの血液を濾過し、老廃物を1.5Lほどの尿としてからだの外に出しています。これが機能しなくなると、毒素が体内に蓄積していきます。

② 水分量の調節

成人の体は約60%が水分でできています。腎臓は尿量を増減させることで、体内の水分量をつねに一定に保っています。暑い日に尿が少なくなるのは、腎臓が水分を保持しようとするからです。

③ 電解質バランスの維持・調整

体内の水分にはナトリウム(Na)・カリウム(K)・リン(P)・カルシウム(Ca)・マグネシウム(Mg)といった電解質が含まれています。腎臓はその濃度を一定に保ち、筋肉の収縮や血圧の調整などが正常に機能するよう管理しています。

④ 血液のpH(酸・アルカリ)の調整

血液は弱アルカリ性(pH7.4)に保たれています。これを管理するのも腎臓です。酸性に傾けば不整脈・昏睡、アルカリ性に傾けば痙攣・意識障害が起こります。

⑤ 血圧の調節

腎臓はレニンやカリクレインという物質を分泌し、血圧を正常範囲に保つ仕組みを担っています。レニンは血圧を上昇させ、カリクレインはその逆の作用をします。

⑥ 血液産生の促進(造血)

エリスロポエチンという造血ホルモンを分泌し、骨髄に赤血球をつくるよう促します。腎機能が落ちるとこれが分泌されなくなり、「腎性貧血」が起こります。

⑦ ビタミンDの活性化

食事やサプリで摂取したビタミンDは、そのままでは体に使えません。腎臓(と肝臓)で活性化されてはじめて、カルシウムの吸収を助け、骨を丈夫にします。腎機能が低下すると骨がもろくなるのはこのためです。

末期腎不全になったとき、何が起こるのか

慢性腎臓病はステージ1〜5に分類されます。ステージ4になると、透析・移植などの「腎代替療法」の準備を並行して始める必要があります。

ステージ5は「末期腎不全」です。この段階では、

  • 糸球体濾過量(GFR)が15%未満
  • クレアチニン値が8.0mg/dL超
  • 腎臓はほぼ機能していない状態

さらにGFRが10%以下になると、食事療法や薬でも対処できない「尿毒症」の症状が現れてきます。

尿毒素が血液に乗って全身を回りはじめると、食欲不振・吐き気・疲労感・集中力低下・むくみ・息切れ・不整脈・皮下出血……といった症状が全身に現れます。放置すれば命に関わります。

だからこそ、腎代替療法が必要になるのです。

透析治療では何をするのか?腎臓の7つの働きを機械と薬で代替する

腎臓の機能を人工的に代替するとは?

腎代替療法には「透析療法」と「腎移植」があります。透析療法にはさらに「血液透析」と「腹膜透析」の2種類があり、日本では透析患者の約97%が血液透析を選んでいます。

ここでは血液透析をもとに、「透析が腎臓の代わりに何をしているか」を整理します。

腎臓の働き透析・薬での対応主な手段
①老廃物の排泄
尿として体外へ
透析液に老廃物を移して体外に除去する透析機械
②水分量の調節
尿量で調整
余分な水分を透析で機械的に除去する透析機械
③電解質バランス
自動で濃度管理
透析液でNa・K・Caなどを過不足なく調整。カリウム吸着薬・リン吸着薬を処方することもある透析機械
④pH調整
弱アルカリ性を維持
透析液でアルカリ分を補い、血液pHを正常化する透析機械
⑤血圧の調節
ホルモンで調整
食事(減塩・水分制限)+必要に応じて降圧薬を使用。患者の状態によって薬が使い分けられる薬・食事管理
⑥造血の促進
エリスロポエチン分泌
エリスロポエチン製剤を注射して貧血を是正する。透析液では補えない注射薬
⑦ビタミンDの活性化
腎臓で活性化
活性型ビタミンD製剤を内服・注射で補充する。透析液では補えない内服・注射薬

表の通り、①〜④は透析機械がある程度肩代わりできますが、⑤〜⑦はそれだけでは不十分で、薬や食事管理が必要です。これが透析生活で多くの薬を飲む理由です。

それでも透析は「万能」ではない

透析技術は昔に比べてずいぶん進歩しました。でも、正直に言います。透析は腎臓の完全な代替にはなれません。

健康な腎臓は24時間365日、休まず働き続けています。ところが血液透析は、週3回・1回4時間以上、週12時間の治療が標準です。単純計算でも、腎臓の処理時間のわずか7%程度しかカバーできていません。

だからこそ、透析患者は食事制限・水分制限・服薬管理を日常的に続けなければならないのです。

「機械が全部やってくれる」わけではなく、透析はあくまで”補助”。自分自身の管理がセットで初めて成り立つ治療なのです。

まとめ:腎臓という司令塔の偉大さを知ることが、透析生活の第一歩

腎臓の7つの働きを知ると、なぜ透析患者がこれほど多くのことに気をつけなければならないのかが、自然に理解できます。

腎臓は「尿をつくる臓器」ではなく、体全体のバランスを管理するすごい司令塔でした。その司令塔が使えなくなったとき、機械と薬と自己管理を組み合わせて、その代わりを務めなければならない。それが透析生活の本質です。

透析を始めたばかりの方、あるいはこれから透析を考えている方へ。最初は不安で当然です。でも、仕組みを知れば知るほど、「何のためにこの管理が必要なのか」が腑に落ちてきます。ぜひこの記事を、透析を理解する第一歩にしてもらえたら嬉しいです。