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透析時間の決め方。えっ!4時間透析は【最低ライン】なの?

この記事は約 21 分で読めます。

4時間透析は最低ライン

 

「4時間透析が当たり前!ですよね」

「いいえ、違いますよ。」

透析量については次の積算をあげていました。

「透析量(Kt)」=「透析効率(K)」×「時間(t)」

 

 

4時間透析よりも、もっと「透析時間を延ばす」「延長すること」が大事だと。

「時間を延ばす」「延長すること」は大事なのですが、実は様々なメリット、デメリットが複雑に絡んでいます。

 

国の制度(=健康保険制度)、病院、透析者とその家族を、それぞれの立場から理解していくことが大事です。

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透析時間の決め方。4時間透析は最低ラインです!

 

病院と国の制度(システム)

東京都内などの大都市圏になってくると「4時間透析」を行っている病院※が多いようです。

※病院・・・病院よりも小規模な医療病院は診療所(=クリニック)と呼ばれます。医療機関、病院などと呼ぶようですが、ここでは病院で統一します。

 

「大都市圏で交通の便も良いのに、何で4時間しか透析できないのだろう」
そうな疑問点が湧いてきます(地方でもふつうに「4時間透析」しているところはありますが・・・)。

 

想像というか考えれてみれば分かりますが、大都市圏となると何せ人口が多いので、必然的に透析者数の割合が多くなります。

病院数は全国津々浦々数あれど、自宅・会社の近所にあるような内科、外科、歯科に行けば良いとかそんなレベルではありません。

だいたい「透析科」と診療科のある病院で、透析者は治療を受けています。病院数も診療科も数が限られているのです。

そして、病院側としては限られた時間のなかで、午前・午後・夜間と決まって通院する透析者の回転数(率)、緊急または臨時・旅行透析のためのやベッド空き確保、薬剤などの在庫確保、その時々のスタッフ配置などいろいろと考えなければならないわけです。

なので病院も千差万別で、いろいろと諸事情があります。

 



病院事情

病院は医療提供する側ですが、また病院を「経営」しなければならない立場でもあるのです。
当然ボランティアで行っているわけではありませんから。

経営上無視できないのが「診療報酬」というものです。

 

「診療報酬改定について」といったニュースが、テレビやラジオ、新聞など度々取り上げられていますよね。

この「診療報酬」というのは、医療保険から病院に支払われる治療費のことです。
透析ならば、透析という医療行為(区分上:「処置」)に対して、国の保険制度から支払われる料金のことを言います。

 

この料金というのは、透析者の治療に対する「透析時間」によって決められています。

透析時間区分は「4時間未満」「4~5時間」「5時間以上」の3つがあります
(←2018年4月現在。「診療報酬」等の見直しが図られましたが、幾年来たらまた見直しが行われます)。

 

この診療報酬の中から、透析スタッフ(医師や看護師、臨床工学技士など)の人件費や医薬品・医療材料の購入費、透析に欠かせない水道光熱費などにも使われています。

透析者にとって「4時間透析」が標準的な透析だと教え込まれてきたところもあったし、そう信じてきたのかもしれません。

 

この「4時間透析」ですが、透析医学会によれば「必要最低限の透析」であるとしています。

 

ということは、標準的ではないということです。

 

4時間透析は最低ラインなのです!

「必要最低限の透析」とか「最低ライン」と言われるのには、3時間でも3時間半でも当然透析が十分に足りないことは確かなのですが、5時間や6時間透析といった長時間透析比較しても、血液透析の合併症の発症リスク、生命予後の見通しからすると、明らかに「透析時間が不足」から原因であるということが、すでに分かっているからです。

診療報酬関連のポイントは、

1.QOL(生活の質)の向上のうえで、評価が高いとされる腹膜透析や腎移植の評価見直しと透析導入予防策観点

2.・長時間透析の新設(6時間以上の透析を行った場合に、新たな加算)←←←
 ・夜間・休日加算
←←
 ・膨らむ人工透析のコストの抑制のため、診療報酬改定では慢性維持透析の点数が引き下げ。
 ・透析用監視装置の台数とその台数に対する患者数に応じた仕組みづくりで、点数に差異を設ける、
  ・・・など。

参考までに

○平成30年度診療報酬改定関係資料http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196352.html

出典:「20180305 厚生労働省説明会資料」

 

 


透析者の意識

4時間透析が必要最低限の透析、最低ラインとはいえ、一方では4.5時間や5時間透析のように30分でも1時間でも時間を延ばしている透析者もいます。

私も平日で仕事が休みになったり、祝日にあたった場合は、病院のスタッフさんに一声かけて、事前に30分、1時間の透析時間の延長を申し出ています。

・「5時間もかけて透析を行っている方がいますが、それはなぜですか?」
・「透析時間を1時間増やそうか迷っています・・・。」

という透析者の声を聞くことがあります。
透析し始めた頃の私もそうでした。転職した頃は仕事覚えなくてはならなかったので、「仕事優先」でしたけども・・・。

4時間透析があたりまえだと認識している透析者が、現状では「必要最低限の透析である」「透析時間は不足している」と理解していて、「何かして透析時間を少し延ばそうかな」とアクションを起こさなければならないのなら、自然な流れかなと思います(いずれにせよ、あなたの長期合併症や生命予後のことに繋がっていくのですから。)

もちろん透析時間が長くなることがもう嫌で(通院することも含め)渋っている人もいますし、透析時間を延ばすことができることを知らない、無関心な人もいます。

透析時間を延ばす、延長することでどんな効果が期待できるのか?

少々復習になりますが、「血液透析の効率をあげるためにはどうすればいい?」では、透析量(透析による体内浄化の量)は、数式でいうと「透析量(Kt)」=「透析効率(K)」×「時間(t)」という積で求められる、という説明をしました。

 

積算でいうところの「透析効率(K)」は、ダイアライザー(血液透析器)の性能や腹面積といった医療材料が、透析液流量や血液流量といったものは、透析者の体格や体重、体液量、その日の体調などによって影響を受けてしまいます。

そのため透析者は、数式にある「透析効率(K)」について自由に決められるものではありません。

むしろ医師が血液データの検査結果などをもとに決めたりすることが多いわけです。

透析者にはその状況を説明し、承諾を得て治療していくのが一般的なわけです(よって、透析者は「透析効率(K)」の部分で決める場面は少ない)。

 

透析者にとって決めることができるのは、積算でいうところの「時間(t)」の部分です。

 

 

時間(t)の部分だから、30分でも1時間でもいい。いや2時間でも。

透析時間を延ばす、延長することができれば全体として透析量(Kt)が増やすことができるわけです。

 

5時間や6時間透析、オーバーナイト透析や在宅血液透析という選択肢もあります。

もしかしたら、オーバーナイト透析や在宅血液透析は初めて聞きましたか?

参照:
オーバーナイト透析は勤労者にメリット【大】課題は普及率!

 


後者のオーバーナイト透析や在宅血液は普及率という面では課題があります。

ですが、取り入れることができるかどうかを検討しても良いですし、本当に少しずつですが普及しているので、今後に期待したいところです。

確かに透析は長くなりますが、「仕事は最後までできる」「家族サービスもできる」「若干食事療法も緩くなる」などといったメリットがあるため、透析者にとってはADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)の向上という点では、理想的な透析と言えるわけです。

 

単純にオーバーナイト透析や在宅血液透析をした場合で、透析時間を8時間だとすると、
「時間(t)」が4時間透析の2倍になるので、全体として「透析量(Kt)」も倍以上になる、というわけですね。

「透析時間を延ばす」「延長すること」。

たかが30分、1時間なのかもしれません(オーバーナイト透析や在宅血液透析には及ばないが・・・)。

1か月、1年、10年、20年・・・で、計算はしたことありますか?

 

「塵も積もれば山となる」の格言が言う通り、後々にさまざまな影響を与えることになります。

「後々に影響」とは、以下にメリットを列挙していきますが、もっとも「透析時間を長くすればするほど生命予後が良くなる」などが良く知られているのです。

 

 

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透析時間を延ばす、延長することのメリット

透析時間を延ばす、延長することのメリット

<<透析者のメリット>>

1.生命予後の改善(=元気で長生きができる)

→循環器系の負荷が少ないため

2.不快な症状が出にくい

3.血圧の正常化
→DW(ドライウエイト)の達成と維持
→体液量に依存する高血圧を改善(=高血圧の改善)
=心臓に負担がかからない

 

4.透析中の血圧低下や下肢のつりの改善

5.透析後のふらつきの改善

 

6.貧血が良くなる
→貧血治療薬(ESA)の投与量が減少

 

7.食事制限、水分制限の緩和
→リン(P)値のコントロールが良くなる
→食欲が出てきて栄養状態が良くなり、口の渇きが改善
(→健常者のように食事や水分制限が無くなるわけではない。)

 

透析時間を延ばす、延長することのデメリット

透析時間を延ばす、延長することのデメリット

透析者のメリットをいくつか挙げましたが、透析者や家族、病院側の立場から見たデメリットというのも存在します。

「透析時間を延ばしたくてもできない事情」「できる環境にない」などといったようなデメリットは、それなりの言い分というのがあるわけです。



<<透析者や家族側のデメリット>>

・透析時間の延長は希望するが、そもそも病院の事情(透析の終了時間)等の関係で行うことができない、行ってもらえない。

→冒頭でも説明しましたが、大都市圏ともなると病院事情が大きいです(最近では夜間透析ができる病院が少しずつ減少傾向にあります)。
→透析者としてはほかに透析時間の延長ができる病院、通える病院へ転院するという方法はあることはあります。

 

例えば、透析時間の確保と引き換えに「引っ越し」したとしたら・・・。
仕事や家族の理解、病院への移動、行政上の手続き・・・。いろいろな事が絡みあうので、難しいこともあります。

 

・透析者にとっては「透析時間の延長」にあたるので拘束時間が長くなる。

→透析時間を延ばすにしても、そもそも仕事の関係で延長ができない(労働契約上の問題や上司や同僚などの理解あれば良いが・・・)
→仕事時間が減ることは必然的に給料が減ることになるので、透析は難しい・・・

 

→家族の送り迎えなどのやりくりが困難(ほかに家族がいない、透析だけに送迎ができない・・・)

→交通機関も動いている時間までギリギリである(延長すれば帰宅できない)
→病院等の送迎サービスで(待っている)ほかの透析者に迷惑をかけるから、できない

 

・透析時間を延ばすことをそもそも望んでいない、むしろ時間の短縮を希望!

・透析時間を延ばすことで、腰痛や心身的(ストレスなど)問題が出てくるなど

 

・長生きしないでも良い

→透析時間の延長は全くもって受け容れられない。よって延ばしたくない(希望はしない)。
→メリットがあるとは思えない、延ばすことは考えていない。
→「透析を延長しない(希望しない)こと」もひとつの選択肢でもあるし、自分の生き方である。

 


<<病院側のデメリット>>

病院内の環境(他透析者やスタッフ配置の事情など)や病院・医師の治療方針・姿勢によるところは以外と影響力が大きいものです。

Web上では「善意で行っています」とPRしているところもありますが、ボランティアを行っているわけではないので、当然ながら採算がとれなければ病院経営は成り立ちません。

 

→スタッフの確保が困難
→透析時間の延長で、スタッフの勤務時間が長くなる(人件費の増加)
→経済的負担増(透析にかかる水道光熱費など)
→夜間透析を廃止し、午前と午後の透析のみに集中すれば採算摂れる・・・辛うじてスタッフの確保や水道光熱費の圧縮に期待⇒最終的には会社員、自営業などをしている夜間透析者に影響(大)

 

病院経営もまた医療サービスの一つ!

井の中の蛙大海を知らず

 

デメリットを承知しつつ「4時間透析があたりまえ」「4時間透析が標準的」という従来の透析から、一歩でも二歩でも抜け出そうと経営努力をしている病院があります。

透析者は決まってかかりつけの病院で行うことになるため、どうしても自分の病院が「あたりまえ」の「標準的な」な医療サービスだと思いがちです。

 

「井の中の蛙大海を知らず」
the frog in the well knows nothing of the great ocean

というものです。

 

 

 

旅行・臨時透析などで予約した現地での病院で透析をすると、病院経営のための努力を行っている、透析者のために考えているな、行っているなと思える病院に遭遇することがあります。

それは透析食メニューや運動療法(【ON HD エクササイズ】の導入)、ネット環境の構築とその開放であったりと、いろいろありますね。

参照:「透析者は運動不足!骨格筋量の減少が顕著・末梢動脈疾患も。」 ←【ON HD エクササイズ】について

「また旅行に来たら、この病院で透析をお願いしたいなあ」と思える病院ですよね。

 


「透析時間の延長施策」と打って出ている病院を、簡単にですが紹介しますね。

1.穿刺の順番の工夫(例:5時間→4.5時間→4時間の順に時間差で)

→これが一番やりやすいです。透析者の透析時間で入室時間を変え、穿刺の順番も時間長い透析者から行う。これでスタッフ配置を変えることができるようになります。

 

2.頻回透析の実施(例:月・水・金曜×各5時間+土曜×4時間=計19時間。

→通常だと月・水・金曜で15時間のところ、4時間をプラス。これが1か月では16時間、年間だと16時間×12か月=192時間増しで透析したことになります。

 

3.送迎サービスの対象を5時間以上とする

→「午前・午後に透析を行う、市内送迎希望する高齢者」が5時間以上透析すれば、(市内限定だけども)送迎サービス行います。といったサービス。会社員などは無縁かもしれませんが、仕事も引退し高齢になったときには送迎サービスにお世話になるかもしれません。

 

いかがでしたか、あなたの病院はいかがでしょうか?

このような施策で透析時間長くできるとすれば、本当にありがたいことですね。

 

◆まとめにかえて

透析を導入してから数年しての頃。

医師からは「透析時間の延長を検討するように」と回診の都度、説明を受けたことを思い出します。

 

透析について、本当に理解しようと思わなければ「透析時間の延長」することのその効果について、知ることも、実際にアクションを起こすこともしなかったと思うのです。

 

当時の私は、何とか転職することができてから間もなかったため、何としても仕事を覚えて”即戦力”になるようにすることだけで精一杯でした。

今でさえ、勤務先から通院するのは大変ですし、そういう方もたくさんいると思うと・・・。

 

若かったうえに、尿もまだ出ていた。
「透析時間を延ばす」「延長すること」のメリットはあまり意識しておらず、とかく仕事優先にしていました。

 

そのため時々、4時間半の透析時間を最低限の4時間にまで削ってまで仕事をすることがありました。

「透析時間を延ばす」「延長すること」は正直渋っていました。

仕事ができないと、透析ができないんですよね。お給料の中から医療費を支払わなければならないし、生活できるだけの最低限の給料は確保しないと!

ただ、それだけなんです。

10代や20代にして透析者になったのなら、非正規、パートやバイトなどで仕事をしている透析者であるなら、絶対そう感じますよ。

私が実際、そうだったんですから。

 

「失われた10年の中にいる!」
「まあ、薄給。」
「とにかく仕事優先!給料を減らされるのが何としても嫌だった。」
「透析したところで、給料がもらえるわけでも、増えるわけではない!」

割り切れるわけがないじゃないですか(そのときの私は、割り切れなかったですね)。

 

あなたは透析を何時間行っていますか?

 

 

透析時間を延ばすために、延長するためのヒント

・病院ないし医師の方針・姿勢として「透析時間を延ばす」「延長すること」について対応できるのか?

・「4時間→4時間30分」「4時間→5時間」といったように、透析日はすべてにするのか、透析日の隔日に充てるのか?

・年次有給休暇や土祝祭日等の利用する方法はないか?

・労働時間を30分だけ短くする?(労働契約の変更、上司に相談・・・)

 

想定できることをいろいろ考え抜き出してみましょう。

 

詳細は「透析時間の延長はできますか?」そのひと声からはじまる。」で説明しています。

 

 

メリットやデメリットも含めて医師・看護師さん、そして上司をはじめ、あなたをとり囲む人々と相談してみましょう。

 

4時間透析は最低ラインですよ!

 

 

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