2019年11月17日

更新日: 2026年7月26日

透析患者にとって、水分制限は本当につらいものです。
今回は、その水分摂取の中でも身近な「お茶」について、一緒に見ていきましょう。
透析中の食事や入院中に出されるお茶は、たいていほうじ茶です。これには理由があって、カフェインが少なく体への負担が軽いこと、そして香ばしい香りが好まれていることが挙げられます。
とはいえ、透析患者は厳しい水分制限をどう受け止めているでしょうか?
お茶も含めて水分を摂りすぎると、ドライウエイトが増え、透析時間内に水分を取り除けなくなるほか、体に水分が溜まった状態になり、さまざまな弊害が出てきます。
弊害とは、透析中の血圧低下、急な除水による疲労感、生命予後の悪化などです。
参照:「ドライウエイトがあわない?こんな症状・兆候なら見直しを!」
お茶といっても種類はさまざまで、緑茶だけとは限りません。
緑茶、ウーロン茶、ほうじ茶、抹茶、煎茶、番茶、ルイボスティー、紅茶、黒豆茶……と、実にたくさんの種類があります。
透析患者の場合、気にしなければならないのは水分量だけではありません。お茶以外の食事からもカリウムを摂っているため、1日あたりのカリウム摂取総量を意識する必要があります。お茶好きな日本人だからこそ、なおさら注意したいポイントです。
カリウム摂取総量は1,500~1,800mg程度が目安です。
以下は、お茶のカリウムとリンの量をまとめた表です。
| お茶 ※100ml換算 | カリウム (mg) | リン (mg) |
| 玉露 | 340 | 30 |
| 抹茶(5g) | 135 | 18 |
| 煎茶 | 27 | 2 |
| 番茶 | 32 | 2 |
| ほうじ茶 | 24 | 1 |
| 玄米茶 | 7 | 1 |
| 麦茶 | 6 | 1 |
| ウーロン茶 | 13 | 1 |
| 紅茶 | 8 | 2 |
| 昆布茶(5g) | 39 | 2 |
| ルイボス茶 | 1.1 | 0.1 |
| マテ茶(150ml) | 2.75 | 1.67 |
この表を見ると、玉露のカリウム量が突出していることがわかりますね。
玉露100mlでカリウム340mg。
番茶や煎茶と比べても、なんと10倍もの量です。
しかも340mgという量は、バナナ1本分のカリウム量とほぼ同じに匹敵するので、驚きです。
次いで多いのが抹茶の135mgです。最近は抹茶スイーツも定番になってきたので、ここは気になるところですね。
玉露や抹茶のカリウム量が高くなるのは、茶葉から抽出した「お茶」ではなく、栄養成分をそのまま摂る「粉末茶」の性質にあります。茶葉そのものを丸ごと飲むイメージなので、値が高くなりやすいのです。
また、お茶の性質上、茶葉の量や浸出(抽出)時間によってもカリウム量にはばらつきが出ます。濃い目のお茶ほどカリウム量は多くなるので、濃いめが好きな方は特に注意しましょう。もちろん、飲みすぎにも気をつけたいですね。

一般的に、500mlのペットボトルのお茶に使われる茶葉の量は1~2g程度といわれています。
下記の表を見ていただきたいのですが、急須で淹れたお茶よりもペットボトルのお茶のほうが、カリウム量が若干少なめになっています。これは意外なデータですね。
| 商品名 ※100ml換算 | カリウム (mg) | リン (mg) | ナトリウム(mg) |
| 「おーいお茶」(伊藤園) | 9 | 10 | 11 |
| 「健康ミネラルむぎ茶」(伊藤園) | 4.2 | 6 | 35 |
| 「生茶」(キリン) | 12 | 1 | 11 |
| 「烏龍茶」(キリン) | 6 | 9 | 4~14 |
「午後の紅茶 おいしい無糖」 | 9 | 0 | 6 |
| 「十六茶」(アサヒ) | 3.2~7.8 | 表記なし | 0~12 |
| 「匠屋旨みの日本茶」(アサヒ) | 10 | 表記なし | 7~17 |
| 「烏龍茶(サントリー) | 約10 | 1未満 | 表記なし |
| 緑茶 伊右衛門(サントリー) | 10 | 10未満 | 表記なし |
| 伊右衛門 玄米茶(サントリー) | 10 | 10未満 | 表記なし |
| ホット伊右衛門 焙じ茶(サントリー) | 10 | 10未満 | 表記なし |
| 太陽のマテ茶(コカ・コーラ)終売 | 7 | 表記なし | 12 |
ただし、缶やペットボトルのお茶にはちょっとしたカラクリがあります。
細かい茶葉の沈殿物は除去されており、栄養成分が低くなるぶん「緑茶抽出物」を添加していることがあります。また、酸化防止のためにビタミンCを添加している商品もあります。
メーカーによって差がありますから、缶・ペットボトルの裏にある栄養成分表示や原材料名は、しっかり確認することをおすすめします。
急須で淹れたお茶と缶・ペットボトルのお茶とでは、味だけでなく栄養成分の質もまったく違います(「お茶」ではなく「緑茶飲料」と呼ばれるのはそのためです)。
今回は「お茶」について取り上げました。
食事は毎日のことですから、無理な制限を続けるのは大変です。もちろん水分やお茶についても同じことが言えます。
私のお茶に対する思いは「少量であっても、美味しいお茶にこだわること」です。お高いお茶の葉をわざわざ購入して、ミネラルウォーターで……というほど気合を入れているわけではありません。
食事も水もお茶の摂り方も、個人差がありますし、価値観も人それぞれです。ただ、水分とカリウムの摂り方には十分注意しなければならないという点は、透析患者みんなに共通する意識だと思います。
「お茶はカリウムが多いから、水だけにする」というのも一つの手ですが、それではストレスがたまりませんか?
私なら、お茶もどうせなら少量でも美味しくいただきたい派です。夏は冷たく、冬は熱く、季節感を楽しみながら飲んでいます。
ふだんペットボトルのお茶を買う・飲む習慣はありません。会社勤めをしていますから、朝にお茶を入れて、マイボトルで楽しんでいます。
水分の摂取量が決まっているので、マイボトルの組み合わせも工夫しています。極論ですが、2種類のお茶を楽しみたいときは340ml×2=680mlという感じで調整しています。
お茶について研究すれば、もっと美味しい淹れ方も見つかりますよ。水分制限は厳しいですが、そのなかにこそ創意工夫の余地があると思っています。
参照:「透析患者の食事/ペットボトルは【軟水】を選んで!硬水は危険です」
参照:「小さい水筒・120mlのものが爆発的大ヒット!【透析患者に朗報】」