透析者の【起立性低血圧】はキツイ。シャント閉塞寸前も経験!

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透析者の起立性低血圧の原因

 

 

低血圧でシャント閉塞!再手術も。狭窄ともに徴候を知ろう。」では、透析者の低血圧には3つある、ということを説明いたしました。

「1.透析低血圧」「2.常時低血圧」「3.起立性低血圧」があり、それら透析者にみられる低血圧をまとめて「透析関連低血圧」と呼んでいます。

 

今回、ここでは「3.起立性低血圧」について取り上げていきます。

 

 

・「1.透析低血圧」「2.常時低血圧」「3.起立性低血圧」をまとめて、透析関連低血圧という
・「起立性低血圧」は健康な人でも起こりうるが、透析者はシャントの閉塞・狭窄に注意すること
・症状は、めまいやふらつき、立ちくらみ、目が真っ白、気が遠くなる、どっとした疲労感や脱力感
 
目次

透析者の起立性低血圧とは?原因は?

朝会でたちくらみ・めまい覚えたことありますよね?

透析者の「起立性低血圧」も透析関連低血圧の一つに数えられ、その起立性低血圧の原因は大きく分けると、

 

自律神経による血管の調整が不十分で起こるものと、血液量の減少や筋の萎縮などによって、静脈内に血液が貯留(ちょうりゅう)してしまって起こるものとに分けることができます。

 

 

個人差はあるものの、透析時はベッドで横になっていることや運動をしているわけでもないものの、終了時には横の状態から起立することで血圧低下が起こり、脳の血流の低下を起こしてしまいます。

先述した「1.透析低血圧」や「2.常時低血圧」では、たいがいは透析治療中や透析前に起こることが多いので、近くにいる医師や看護師さんのもとで処置を受けることができます。

 

しかし「起立性低血圧」の場合は、必ずしも処置を受けられるとも限りません。

健康な人でさえも実際に起こりうるものなので、実際に経験、体験したことはあるのではないでしょうか?

 

 

例えば、小中学校での長丁場な朝会で、「立つ」⇔「座る」を繰り返し、立ちくらみや眩暈(めまい)したのを覚えたことはありませんか?

実際に倒れてしまったという経験を持っている人もいることでしょう。

 

社会人になってからも、会社によっては朝会があるところも残っていますし、デスク内で「立つ」⇔「座る」を、小売業や製造業などでずっと「立ちっぱなし」というということもありますよね。

健康な人ならば「頭に、転倒に気をつけて!」「どうぞお大事になさって」で話しは終わるのですが、透析者の場合はそうはいきません。

さらにシャントの狭窄(きょうさく)や閉塞(へいそく)を起こしてしまう危険性(=リスク)を併せて持っており、下手すれば、最悪透析ができなくなってしまう恐れがでてくるのです。

だからこそ、透析者はいっそうのこと注意しなければならないのです。

 

特にシャントを閉塞させた場合、シャント再構築のための手術を行わなければならず、加えて入院も必要となります(←例えれば枯れた河川。閉塞した状態での透析はできないので)。

手術に入院、そして透析。透析者にとって非常に面倒なことになってしまいます。

 

今回のように低血圧とは言わず(高血圧も含めて)、透析者は日ごろから血圧管理をすることが重要です。
血圧管理=シャントの管理でもあるからです。

 

透析時や透析終了の際も、実は注意が必要です。

通常、透析時は緩やかに血圧が下がっていくものなのですが、急激に血圧低下が起こったりすることもあります。

やっと透析が終わった!と思っていても、透析終了間際に、ベッドで横になった状態から立ち上がったときに「起立性低血圧」が起きることがあります。

それから、

透析が終わって「やっと血圧な正常になった」と思いきや、病院をあとにしての冬場や雨の日にヒヤッとした外の空気で、車や電車・バスの中で血圧が下がってしまう、という場面も実際にあります。
このことから帰宅途中や自宅に帰ってきてからも、油断はできません。

 

「血圧が低い状態」というのは何となく自覚できるものです。
車を運転しているときでも帰宅したときもトレイに入っているときでも・・・。

「何となく具合が悪い」し、「意識が朦朧(もうろう)とした感じ」を覚えます。

 

起立性低血圧の症状は、座ったり寝たりした姿勢から急に立ち上がることで、めまいやふらつき、立ちくらみ、目が真っ白、気が遠くなる、どっとした疲労感や脱力感といったことが起こります。

 

 

私はふだん低血圧ぎみです。
透析者として日々血圧管理していても、また繰り返したくない「起立性低血圧」の体験をしました。

このときばかりは「自己判断ミス」を犯し、「嫌でも会社出勤」し「つらい透析」を行いました。

参考にしていただければと思います。

 

「これが、透析者の起立性低血圧か!」もうシャント閉塞寸前までいっていた。

足を上にあげた

私ははじめて透析をしている身として、起立性低血圧によりシャント閉塞の寸前まで起こしたことがありました。

(当時の私の症状)

 

・春から夏への季節の移り変り時で、血圧は低下しつつあった。
・透析疲れのほか、翌日の倦怠感が取れないことが度々あった。
・そのため、仕事の際には椅子~起立などの姿勢でめまいや立ちくらみをすることがあった。

・リン吸着剤を色々と変えている時期であり、副作用としてかなりの「便秘」に苦しんでいた。
・便秘の状態も血圧に影響する。
・便秘でトイレにたてこもるも、起立性低血圧に陥った。

 

当時、透析中にしだいに血圧が低下していくのはみられたものの、透析が終わる頃に血圧が著しく下がって帰宅できない等といったことは、ありませんでした。

起立性低血圧が起きたのは、透析が終わったあとの家の中で、です。


透析が終わって、自宅にはいつもの時間に帰宅し、いつもの遅めの夜食をとりました。

これまで、特に調子が悪かったり食欲不振に陥ったりということはありませんでした。

しかし、前々から分かっていたことは、私にとって「春から夏への季節の移り変り」の時は、何となく調子が悪くなっていくので、ドライウエイト(=基礎体重)を見直す時期である、ということは分かっていました。

少なかれ「翌日にも疲労を残る」「だるさがある」といった感は出てきているから、自分のこの感覚というのは、大事にしなければなりません。

いっそう夏に向かって水分の摂取制限が出てきたのと同時に、(当時の飲んでいた)リン吸着薬によって長いこと「便秘」に悩み、苦しんでいました。

 

処方されていたリン吸着薬の性質上、便秘になりやすかったのです。
(↑データは良くなっていても、相性が悪ければダメですね。)

何となくお腹の張っている感じが続いていて、調子が悪くなっていく感が続きそうな予感がする。
仕事やらプライベートではお腹に苦しさが残り、変な何かが混じっている感で気持ちが悪いのです(←これ、分かります?)。

トイレは意識的に入りました。

トイレには長期間でしかも同じ姿勢でいて、ただ、ただ時間だけが過ぎました。

 

 

「水分の摂取制限(=水分不足)→便秘→血液はドロドロ→脳貧血からはじまる」。

 

この間に「起立性低血圧」に陥っていたわけですね。

 

トイレ終わって何となく排泄は不十分なまま、自分の部屋に戻るまでにも低血圧の症状(めまいや立ちくらみ、耳鳴り)が続いていました。

透析導入してからこのような症状はあまり感じたことがなかったのですが、2階にある自分の部屋までに行くまで、階段を登るのも、ちょっとベッドに横になることも大変だっことを記憶しています。

 

そしてベッドに横になり、頭に血液が昇るようにするために、足を上にあげました。

当初は「もう落ち着いたかなあ」と思いながら立ち上がるも、やはりフラフラ感、視野(目のまわり)が真っ白気さを感じる、ぼ~っとする。低血圧の症状がふたたび、呼び起こしてしまうのです。

 

「心臓音も弱いようだし、何だかシャントの音も弱い。」
「何か危険な気がしてきた。本当に血圧が戻ってきたのか?」
「夜間透析後、もう病院も終わっているし…」
「明日の朝まで様子見・・・」
「明日も仕事もあるし、調子悪かったら病院に行こう・・・」

そんなことを自問自答をしていて「起きて」⇔「寝て」を幾度か繰り返しているうちに、仕事や透析による疲労感もあったでしょう。眠気も誘ってそのまま寝てしまいました。

寝ているといっても、何となく耳鳴り音があったり、シャントの音が弱い。シャント周辺が痛いのが微かに感じていて、すっきり寝ていたわけではありません。そして、朝を迎えてしまったのです。

もう、お分かりですね。

 

「朝まで様子見」とか「会社出勤。翌日の透析前に診療受けよう!」といった自己判断、対処法は間違いです!



もしこのような症状になったら自己判断、自己対応法ではダメですよ。

 

このように「起立性低血圧」になって、シャント閉塞に近い状態になったかもしれない(≒シャントの音が弱ってしまった)ときは、すぐに病院へ連絡し夜間診療でも受けるべきだったのです。

 

眠気で寝てしまったり、翌日まで様子見、診てもらおう、仕事を最優先にしてしまったことが、何よりお粗末でした。

結果的には、シャントの閉塞寸前で済みましたが・・・。

 

以前からシャント周辺で狭窄部分があったので、PTA(=経皮的血管拡張術のこと。バルーン(風船)でシャント内の狭くなった部分を広げる治療)をする予定がありました。

 

ふつう腕に穿刺して行う透析も、医師の出張やほかの透析者のPTA予定もあって、すぐに手術にはなりませんでした。

なので、首から行う透析(内頚静脈という首の血管へ留置カテーテルを使用)を1週間ほど行いました。

 

はじめての経験であり、首の血管からで行う透析があることに、このような方法があることに正直驚きました。

時期的には夏に入る頃だったので、汗や匂いもきになります。

透析翌日の入浴やシャワーがなかなかうまくできませんでした。洗髪にはドライシャンプー(=水のいらないシャンプー )を使ってみました。

 

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仕事のときは業務への影響は感じませんでしたが、首に包帯しているだけあって違和感はありましたね。

また買い物などに外出すれば(首から行う透析なので)首先の白包帯だけが目立って、世間の目というか興味本位な人の目が、とても気になりました。

ふだんあまり意識していなかったですが、何もかも”ストレス”というものを感じました。

 

◇まとめにかえて

私は今までに経験したことがなく、透析をする身として「起立性低血圧」を体験しました。

もっと血液透析に対する知識を持っていれば、「病院に相談する」「駆け込む」といった初期対応できたのだと、つくづく反省させられました。

 

幸いにして、シャント閉塞寸前ながら狭窄があってPTA(経皮的血管拡張術)で済みました。経験しなければ分からないこともあります。でも、今となっては恥ずかしいことですし、苦い思い出ですね。

 

付け加えるならば、PTA(経皮的血管拡張術)したことで血管が拡がって、また透析効率がよくなるわけですが、永遠にしかも持続的にその効果が続くものではありません。治療や年齢を重ねたりすることで、また合併症もあるでしょう。血管がまだ狭くなったりしていきます(←シャントの狭窄ですね)。

 

なので、次第に透析効率が落ちてゆき、またPTA(経皮的血管拡張術)行うことになります。
イザ使えなくなれば、また新しい場所でシャントを作り直さなければなりません。

いかにシャントを大事に、長く使えるようにしなければならないか、ということが分かると思います。

「起立性低血圧」でまた同じようなことを繰り返し、シャントの閉塞になってまたシャントを一から作り直す。面倒ですし、「ゾッ~」としてきます。

 

今はまだ高血圧に悩まされることは無いですが、今の私はどうも体質上低血圧の傾向にあるので「起立性低血圧」には一層のこと注意していかなければなりません。

最悪の状況というのは、シャントの閉塞ですから、本当に怖いです。

 

私の二の舞にならないように。

血圧管理そしてシャントの自己管理を行っていきましょう!

 

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