車通勤している途中で市役所を通過していくのですが、赤い看板が目に入ってきました。赤色に白色の十字(プラス)とハートのマーク。
「ヘルプマーク」の啓発活動ですね。
そういえば透析患者会の掲示板にも、ヘルプマークのポスターが貼られていました。
つい最近までヘルプマークの啓発活動はニュースでしか知ることができず、しかも啓発は東京からという認識しかありませんでした。
地方に住んでいる私としては、少しずつですが啓発活動が行われていることを肌で感じています。
・「ヘルプカード」もある。緊急連絡先や必要な支援内容などが記載できる
・ヘルプマークは自ら申し出ることが原則必要で、障害者手帳や診断書の提示は必要なし
「ヘルプマーク」って知っていますか?
ヘルプマークは、「障害や疾患などがあることが外見からは分からない人が、支援や配慮を必要としていることを周囲に知らせることで、支援を得やすくなるよう」にしたマークのことです。
マークのデザインは、赤色の下地に白のプラスとハートを組み合わせたデザインで「支援や配慮が必要である」ことを表しています。
当サイトでは主に透析を取り上げていますが、障害には腎障害をもつ内部障害も含まれます。
では、その「障害や疾患などがある」具体的な対象者ですが、
義足や人工関節を使用している方、内部障害(※)や難病の方、妊娠初期の方、精神疾患・知的障害をお持ちの方で、援助や配慮を必要としている方全てです。
また「妊娠初期の方、援助や配慮をしている全ての方が対象」としている点で、妊婦や援助や配慮を必要としている全ての方と表記されている点に特徴があります。
ちなみに内部障害ですが、腎臓障害に限りません。
※内部障害:心臓機能障障害、じん臓機能障障害、呼吸器機能障障害、ぼうこう又は直腸の機能障障害、小腸機能障障害、肝臓機能障障害、免疫機能障障害
ヘルプマークのほかに「ヘルプカード」もあります。ヘルプカードは、緊急連絡先や必要な支援内容などが記載されています。
透析であれば「私は人工透析を受けている患者です」とあるように、透析者向けのヘルプカードもあります。
ヘルプマークの入手方法は?
『これ、なぁに?』
同じクリニックの透析患者さんから訊かれ
『ヘルプマークだよ!市役所の福祉課で障がい者手帳を見せると貰えるよ!』
同じ障がい者同士でも知らない人は多いです。
特に御年輩者は。
ネットだけでは、やはり駄目なんだね。 pic.twitter.com/p1VlVCOy5N
— ☘モカ☘あべまにあ☘ (@no_fur_moca) April 25, 2019
《申し出》
窓口:住民票のある各自治体(※)の福祉担当の窓口(福祉事務所や福祉担当課など)社会福祉協議会、身体障害者福祉センター、地下鉄の駅務室な
(※)住民票のある各自治体は、市町村と特別区で作成される住民に関する記録のことを言います。
⇒例:住民票が岡山市にあるのであれば、岡山市へ申請することになります。
取得方法:
ヘルプマークの手続きは申し出るだけです。
あなたの住んでいる自治体が、ヘルプマークを導入しているかどうかを確認しましょう。
自治体によって窓口が異なりますが、概ね障害福祉窓口、社会福祉協議会、身体障害者福祉センターのほかに、地下鉄の駅務室などで配布されています。
原則として、ヘルプマークは郵便等による送付は行われていません。自ら上述した配布場所に直接訪れて申し出る必要があります(一部自治体では郵送可)。
ヘルプマークの手続きは申し出るだけです。
障害者手帳や年金の受給申請のように、障害者手帳や診断書の提示といったものは必要はありません(但し、自治体によっては「交付申請書」の提出が必要なところもあります)。
ヘルプマークの利用が想定される場面とは
・透析後の体調不良で電車に乗っていたら、快く座席を譲っていただいた |
透析へは電車や地下鉄、バスといったように交通機関で利用されている方も多いでしょう。
特に東京の通勤電車も通院電車もとても大変なことです。人が多すぎて電車に乗り切れなかったり、次の電車まで待ったりと、心身共ども負担が大きいものです。
ましてや透析が終わった後でも、体調不良(低血圧、脱力、めまいなど)を感じることもあります。
それから、透析とともに年齢を重ねていくものですが、透析者の抱える合併症、高齢問題もあります。
足の血流不良やしびれ、痛みなどが出てきます。歩行困難ってことさえもでてくるわけです。
最近で地震や水害といった災害が頻発しています。避難所へ移動し待機することも多くなりました。
「外見からは分かりにくい障害のある人」=「透析が必要な人」だと認識してもらうことも少なくありません。
ヘルプマークは作れるの!?
ヘルプマークは、かばんやバッグに取り付ける簡易さがあります。
実は自分でヘルプマークを作ることもできます。「ヘルプマーク 自作」で探すとでてきますよ。
作ることはできるのですが、材質や塗料、寸法などが事細かく指定されています。
例えば材質であれば、ミラストマー製、紙製、木製といったように様々なものがあります。自治体レベルでみると、神奈川県の場合LIMEX製のヘルプマークを作製して配布していましたね。
2017年(平成29年)には、ヘルプマークが全国共通のJIS(案内用図記号)にも採用されました。
例えばマーク(プラス、ハート)上に文字を記載する、縦横比率を変更する等といったことは、認められません。
自分で作ることはできますが、このようにルールがありますので、作製にあたっては東京都福祉保健局に相談するとよいです。
参考:「ヘルプマーク作成・活用ガイドライン」東京都福祉保健局
まとめにかえて
「ヘルプマーク」について取り上げてきました。現在、都道府県レベルの自治体でヘルプマークの啓発活動が行われ、少しずつ普及しつつある段階です。
まだまだ世間での認知度は高くありませんが、私たち透析者でもヘルプマークについて、家族や会社内での上司や同僚に説明することはできるはずです。
参照:「透析者の仕事上の相談ごと。上司・同僚への説明・理解から!」
話しは逸れるかもしれませんが、歴史的にはヘルプマークの作製以前に、同じくして援助や配慮を周囲に知らせる「ハート・プラスマーク」というものがあり、こちらも内部障害や内臓疾患を示すマークが作られていました。
「ハート・プラスマーク」は、2003年に「特定非営利活動法人ハート・プラスの会」のほうで作製されたもので、現在でもシンボルマーク等に著作権を持っていて、普及・啓発活動が行われてます。
「ハート・プラスマーク」は、公的機関が定めた内部障害者を示すマークではありません。
ですが、自治体のWebページを見ると、神奈川県秦野市のように啓発活動という形で確認することはできます。
実際のマークの実物や詳細、活動内容は、ハート・プラスの会のほうで確認してみてはいかがでしょうか。
きっと一度は見たことがあると思いますよ。
参考:「ハートプラスマークとは | 秦野市役所」