2019年10月21日

更新日: 2026年7月15日

今回は、私自身が経験した「保険者の変更」にともなう特定疾病療養受療証の申請について、実体験をもとにお話しします。
私は今では勤続15年超の会社に勤めていますが、当時「健康保険組合が解散するかもしれない」という報道が出て、その動向を見守っていました。結果的に、私が加入していた健保組合は解散することになりました。
実は透析導入して転職した頃にも、静養と転職活動をしていた時期があり、一時期は国民健康保険に加入していました。そのときは、国保から社保への切り替えにあわせて、はじめて「特定疾病療養受療証」の申請手続きも一緒に行いました。
そして再び転職し、今日まで会社員を続けていますが、今回は同じ社保のなかでも「組合健保⇒協会けんぽ」への移行があり、これに関連して特定疾病療養受療証の手続きが必要になったのです。
これまでの私の勤め先を振り返ると、転職後の最初の会社は大企業だったため、その会社の健保組合に加入していました。そして2度目の転職では、業界・グループが中心となって設立された健康保険組合に入っていました。
健康保険組合は、保険料率が若干低く抑えられていたり、薬の購入や健康診断のオプション費用を補助してもらえたりと、福利厚生の面でメリットがありました。私自身も、透析医にあらかじめ相談したうえで、そうしたオプションを利用したことがあります。
業界・グループ主体で設立された大手の健康保険組合には「日生協健保組合」や「人材派遣健康保険組合」などがあり、加入者数も多く財政的にも安定していると思われていました。しかし、そうした組合でさえ解散に至り、大きなニュースになりました。
少子高齢化の影響で医療費の支出が増え、後期高齢者医療への支援金負担も年々重くなっていることが、財政悪化の主な要因です。実際、2026年度の健康保険組合連合会の調査でも、約7割の健保組合が収支赤字、約3割が「解散水準」とされる保険料率9.9%を上回っているという厳しい状況が報告されています。
つまり、これは解散してしまった特定の組合だけの問題ではありません。健保組合に加入している誰にとっても、もう他人事ではない状況になっているのです。
以下は、私が加入していたA健康保険組合が解散の方向性を発表してから、「健康保険特定疾病療養受療証」を新たに交付してもらうまでに、実際にどのような行動をとったのかを時系列でまとめたものです。
正直に言うと、保険者が変わること自体は転職経験もあったので、それほど心配していませんでした。しかし、同じ社会保険同士の移行(組合健保⇒協会けんぽ)であっても、これまで使っていた特定疾病療養受療証をどう切り替えればいいのか、透析の医療費支払いはどうなるのか、保険者からのアナウンスがなかなか届かず、正直戸惑ってしまいました。
けんぽ協会へ移行した際の手続き(時系列)
| A健康保険組合 | 協会けんぽ(加入) | 自分の行動(透析病院や役所へ) | |
| ×月 | ・健康保険組合の解散方向性が判明 ┗次年3/31までA健康保険組合の保険証は使用可能 ┗4/1以降にA健康保険組合へ返却 | ・透析病院へ、保険者が健康保険組合⇒協会けんぽになる予定を報告 | |
| 3月 | ・3月以降、協会けんぽで「健康保険特定疾病療養受療証交付」の手続きをするようにと連絡あり | ・透析にかかる医療費支払い(A健康保険組合の保険証を利用) L2月分医療費支払い(2/1~2/28) ・透析以外の医療費支払い L歯科など他の治療分も3月分として支払い | |
| 4月初旬 | ・4/1 A健康保険組合が解散 | ・4/1 協会けんぽに加入(会社側で手続き) ┗すぐに新保険証が発行・利用できるわけではない ・4/1以降、協会けんぽ支部窓口にて「健康保険特定疾病療養受療証交付申請書」の手続きを実施 →申請時に、手元にあるA健康保険組合の「特定疾病療養受療証」を添付 | |
| 4月中旬~下旬 | ・A健康保険組合へ保険証を返却 | ・協会けんぽの新「保険証」「健康保険特定疾病療養受療証」が自宅に届く | ・透析にかかる医療費支払い ┗3月分医療費支払い(3/1~3/31) ┗4月中に限り、A健康保険組合の保険証を利用して受診できる措置があり ・透析の病院、それ以外の病院で協会けんぽの新保険証番号を報告・提示 ・役所でも新保険証番号を報告・提示し、「医療費助成制度」の登録情報を変更 |
「特定疾病療養受療証の手続き」と聞くと、文書のやりとりだけで済むのか、会社を休んで窓口に行かなければならないのか……いろいろと頭のなかで不安がよぎったのを覚えています。
ちょうど3月・4月は仕事の繁忙期と重なるうえ、日々の透析もあるので、時間の確保をどうするかも悩みどころでした。
透析病院の事務スタッフさんには、「保険者が解散する予定であること」に加え、透析特有の医療費支払いの仕組みを踏まえて、どのように手続きを進めればよいかを説明してもらいました。
透析の医療費支払いには、次のような特性があります。
4月中旬~下旬 |
透析をしている以上、新しい保険証の交付はもちろん、「特定疾病療養受療証」も改めて交付してもらうための申請手続きが必須になります。
これはあくまで、A健康保険組合から全国健康保険協会(協会けんぽ)へ移行した際の一例です。移行先の保険者によって、必要書類や窓口が異なる場合があります。
手続きの基本的な流れとしては、医師の意見書等を添えて、全国健康保険協会(協会けんぽ)の都道府県支部に申請し、「健康保険特定疾病療養受療証」の交付を受けます。
交付を受けたあとは、透析病院の窓口で「特定疾病療養受療証」と「被保険者証(保険証)」を一緒に提出して医療費を支払うことになり、自己負担限度額は1万円または2万円となります。
健康保険給付の申請書 > 健康保険特定疾病療養受療証交付申請書 全国健康保険協会より
今回は、同じ社保のなかでも「組合健保⇒協会けんぽ」へ移行した際の、特定疾病療養受療証の申請の仕方について、実体験をもとにお話ししてきました。
例えば、これから先あなたが転職したり、自営業者になったりした場合、健康保険の保険者は変わります。そして、特定疾病療養受療証も同様に、新たに変わった健康保険(保険者)の窓口であらためて申請の仕方に従って手続きをする必要があります。
大企業の会社員(健康保険組合)⇒⇒⇒中小企業の会社員(全国健康保険協会=協会けんぽ)
大企業の会社員(健康保険組合)⇒⇒⇒自営業者(国民健康保険)
保険者の変更があった場合の特定疾病療養受療証の申請は、必ず必要な手続きです。不明な点があれば、新たに変わった健康保険の保険者へ早めに問い合わせるようにしてください。
なお、近年は健保組合の解散が相次いでおり、2026年度の集計でも赤字組合は依然として全体の7割超にのぼると報告されています。今は自分に関係がないと思っていても、勤務先の健保組合が今後解散する可能性は誰にでもあります。いざそうなったときに慌てないよう、今回のような手続きの流れをあらかじめ知っておくことをおすすめします。