『医療危機的状況宣言』が出されたのは4/1であった。宣言をしたのは政府ではなく、日本医師会だった。
驚いた。「新型コロナウィルスCOVID-19とは?透析者ができること。」でも紹介したが、日本医師会が異例の会見をしたのだから!
日本医師会が「医療危機的状況宣言」#感染爆発 pic.twitter.com/XKfOHdaehX
— はみ出した人間 (@skoisfor) April 1, 2020
⬜️ 東京都医師会は6日、記者会見を開き、新型コロナの感染者がここ数日急増していることについて「医療面から見て東京は非常に危機的な状況だ」と指摘し、「医療的緊急事態」を宣言した
その上で、都民に対し不要不急の外出を「今後6週間は自粛しましょう」と呼び掛けた。https://t.co/WPteOVBNCn pic.twitter.com/IfvMzpAU2G— フィフィ (@FIFI_Egypt) April 6, 2020
医療危機的状況宣言をしたということは・・・
4/1「医療現場としては、現在の状況、医療危機的状況宣言としていいのではないか。医療従事者が全力で取り組む中、国民の皆様にも適切な受診、行動をお願いしたい」(日本医師会 横倉義武会長)
4/6「3桁台のコロナの感染者が出てきていることに非常な危機感を覚え、これ以上患者が増えると、今の医療現場は持たないと非常に強く思っている」(東京医師会 尾崎治夫会長)
4/7 『緊急事態宣言』発令へ・・・東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡の6都府県が対象(改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく)。
4/16『緊急事態宣言』を全国規模に拡大し、発令・・・上記6都府県に、北海道、茨城、石川、岐阜、愛知、京都も併せて「特定警戒都道府県」と指定
5/25『緊急事態宣言』全面解除
医療危機的状況宣言をしたということは、当然のことながら透析を受けることが困難になってくる、できなくなってくるということを示唆している。
なぜなら、「医療従事者が新型コロナウイルスに感染すれば医療現場から離脱せざるを得なくなり、国民に適切な医療を提供できなくなる」
つまり、かかりつけの透析病院の医師や看護師、医療スタッフが、新型コロナウイルスに感染すれば、医療現場(透析室)からの業務から外れ、私たち透析者への処置や看護を行うことができなくなる、ということになるわけだ。
「【緊急事態宣言が出るとどうなる?】仕事・生活への影響は?/透析」では、不要不休の外出は控けることであったり、「緊急事態宣言」が出たらどうなるのか?について、触れてきた。
そう言っているうちに、連日東京で100人超の新型コロナウイルス感染者が出てしまった。
そして4/7には『緊急事態宣言』が発令されることになった。
日々病床数が減って、人工呼吸器不足が深刻化しているのは、お分かりだろう。
医師や看護師など医療スタッフの現実。
なぜ医師や看護師がその道を選び、職としているのかは、後で話しを聞いてあげられたらいい。
しかしながら、私たち透析者は透析者での目線で、立場でしか物言いしかできない。これではいけない。
新型コロナウイルスについて、「多くの資源を注入しながら、それ以外の疾病も継続するという危機的な状況に陥りつつある」と言うように、医師や看護師など医療スタッフは、これまでにもMERSウイルス(中東呼吸器症候群)、SARSウイルス(重症急性呼吸器症候群)そして新型インフルエンザに対して、知見を得て自らそれらウイルス等にかからぬように処置や看護にあたってきた。
そして同時に透析またはそれに合併する疾病の治療にもあたってきた。
(それでも、ウイルスに絶対にかからないということではないのだが・・・。)
私たち透析者は免疫力が低下している。
集団治療という特性上、透析が差額ベッド(特別療養環境室)でできるとか在宅透析であるといったものでない限り、どうしても密閉・密集・密接の「3つの密」も環境になってしまっていることは免れない。
クラスター(集団)の発生源になってしまうことは、実は紙一重なのだ。
そこでだ。
仕事でもプライベートでも良いが、透析者一人でも新型コロナウイルスに感染したら、大変なことになってしまう。
医師が感染し、看護師も感染。周りの透析者も感染・・・。「負の連鎖」だ、これこそ「院内感染」というものだ。
医師や看護師など医療スタッフが抱えていることは、私たち透析者と同じように「私が感染してしまったら、透析者にもうつしてしまうことになる。強い恐怖でしかない。」ということ。
働き方改革で、残業を減らした病院もあるかもしれない。
しかし、他の病棟で他の病気で入院している患者も診なければいけない。
透析の通常業務にコロナ感染の患者対応という激務、レベル超えの業務をしているところが、この先出てくる、増えてくると想像できる。
透析者にとって医療崩壊って何なのか?
悪い話もしておかなければならない。
透析者にとって【医療崩壊って何なのか?】ということを考えておかなければならない。
私もそうだが、日本人は現実的には「医療崩壊」って言うのを知らない。
毎年のごとく、高齢化を背景に医療費は膨らんできた。
一方で透析は国民皆保険の制度そして高額療養費の特例のなかで、高い医療費負担してもらって、生かされている。
透析者1人の年間換算では400~500万円の費用になる。
だいたいの国民は言う。「透析の費用がバカでか過ぎる。」「3割負担にせよ」と・・・。
今回の新型コロナウイルスを受けて、私たち透析者は、透析でもって生命をつないでいる重度障害者ではあるが、重症化した患者となったら見捨てられるかもしれない。
新型コロナウイルスかかっても、無症状や軽症な助けられそうな人を優先することに、シナリオがあると考えておかなければならない。
新型コロナウイルスに感染して「軽症者等」あっても、自宅や都道府県が用意する宿泊施設で療養することになるが、しかしふつうの人達とは違う!【自宅療養】【宿泊療養】
自宅療養をしようが、宿泊療養しようが、透析は絶対必要だ。
そして、新型コロナウイルスでさらに重症になって入院したとき。
「透析ができて、新型コロナウイルスで人工呼吸器もあるような病院」がどこにあろうか?
という話しになってくる。
国内の人工呼吸器のメーカーが増産する動きを見せているというが、オートメーション(自動化)では作れない。
病院側での人工呼吸器の在庫・確保も危機的状況にある。
それだけじゃない。
重症化すると「体外式膜型人工肺(ECMO=エクモ)」を使うことになるが、これには専門的な技量が必要でありかつ感染リスクも高い。
現実問題として、ICU(集中治療室)で感染予防のためには通常4倍の看護師が必要であるし、ECMO=エクモなどの機器を扱える医師や看護師が少ないことも指摘されている。
つまり「人がいないのだ!」
現実的になっている患者選別のトリアージ
想像して欲しい。
私もそうだが、透析をしていても、老若男女誰でも「生きたい」と思う。
しかし、透析者の大勢が病院に押し寄せても、治療できるだけの環境が無い。新型コロナウイルスに対しては、現在は治療薬が無いわけだから、医者も手の施しようがないわけだ。【患者選別のトリアージ(※)】
実際に阪神淡路大震災(1995.1.17)や東日本大震災(2011.3.11)の際に、トリアージが行われたのだから・・・。
感染者拡大して医療崩壊し
トリアージみたいな物が
使われないよう
感染拡大は抑えないと使われたら
最悪な状況なんで😢 pic.twitter.com/dFwT6BbGlG— れもん0608 Yosikazu (@ba60608) April 4, 2020
※【患者選別のトリアージ】 今回は新型コロナウイルスの傷病の重症度や緊急度などによって分類し、治療や搬送の優先順位を決めることにある。救助、応急処置、搬送、治療の際に行う。海外の映像を見ていると、実際に行われているのが分かる。なお、トリアージ(Triage)とは、治療(Treatment)、搬送(Transport)ともに、災害時等で重要な要素、3Tと呼ばれている。実際に東日本大震災(2011.3.11)の際にもトリアージが行われた。 |
まとめにかえて
面白いものを見つけました!
自分がどこにいて
どこを目指すのか
または現状維持で満足しているのか
見直せるツール緊急事態宣言
ここから人は何を学び
どう成長するのか pic.twitter.com/Gwj3OFfSNh— 訪問美容Alice (@tripsalon_Alice) April 6, 2020
透析のほか、時間的な制限や生活的な制限に加え、そこに不要不急の外出を避けてとなって「コロナ疲れ」や「コロナストレス」「コロナうつ」といった心身の変調が心配だ。
私だって、この先どうなるかはわからない。
家で、室内で過ごすこと”術”があれば良いのだが・・・、とつくづく思う。
新型コロナウイルスがおさまるまで、今しばらくの辛抱!ということではない。
長期化すると言われているし、いったん治まったかのように見えても『第2の波』『第3の波』が再び訪れるかもしれない、とも言われている。
新型コロナウイルスで透析者も大変だが、医師や看護師など医療スタッフも同じだ。
日々仕事に追われて忙し過ぎる。休んでいる時間など無いはずだ。自分のこと、家族のこと・・・いろいろ同じことを感じている。考えている。
私たちのために働いている、医師や看護師ら医療スタッフへの誹謗中傷も控えるべきだ。
海外の医師や看護師ら医療スタッフの悲痛な叫びを、報道で見たり、聞いたりしただろう。
「人がいないのだ!」「医療物資が足りないのだ!」
日本の医療もこんなふうになってしまうのかと!思うと。
私たちができることは何か。
①最低限、正しい手洗いや手指消毒、正しいマスクの付け方、正しい感染対策、そして自らの健康管理を徹底して、感染を広げないということ。
②「適切な受診行動」にあたっては、風邪っぽい、発熱や咳っぽい症状が出始めたからと言って、そのまま直接外来を受けるとか、透析に入ってしまうといったことは、絶対に避けなければならない。
透析者(連絡できない状態ならその家族等)は、来院する前にあらかじめ連絡し、指示を受ける、これが肝要。
医師、看護師、医療スタッフのほか、周りの透析者にも感染させないためにも!
参照:「新型コロナウィルスCOVID-19とは?透析者ができること。」
参照:「緊急事態宣言出たらどうなる?仕事や生活-透析の影響は?」