
透析患者にとって、体重増加の管理は日々の大きな課題です。私自身、透析歴20年以上の身として、あの「透析前の体重が増えすぎて、治療中にきつい思いをした」経験は数えきれないほど。特に夏場の水分制限は本当に苦しいものですよね。
でも大丈夫です。長年の経験から編み出した体重管理のコツをお伝えします。この記事を読めば、次回の透析までの体重増加を適切に抑え、より快適な透析生活を送るためのヒントが見つかるはずです。
透析患者の体重増加はなぜ問題なの?
透析を始めて間もない頃、私は「なんでこんなに水分制限が厳しいんだろう」と不満を抱いていました。特に真夏の暑い日なんかは、喉が渇いて仕方なかったんです。
透析患者の体重増加は、主に「水分の摂りすぎ」が原因です。健康な腎臓を持つ人なら、余分な水分は尿として排出されますが、私たち透析患者は違います。腎機能が低下しているため、飲んだ水分のほとんどが体内に溜まってしまうんですよね。
この溜まった水分は、次の透析で除去する必要があります。でも、一度に除去できる水分量には限界があるんです。体重が増えすぎると、透析中に血圧低下、めまい、吐き気などのつらい症状が出やすくなります。これが「透析困難症」と呼ばれる状態です。
私の場合、透析導入初期は水分管理の重要性を理解していなくて、よく「ドライウェイト(基準となる体重)+3kg」なんて状態で透析室に行ってました。そうすると、透析中に血圧がガクンと下がって、看護師さんが慌てて対応する羽目に。今思い出しても冷や汗ものです。
適切な体重増加の目安とは
「じゃあどれくらいまでなら大丈夫なの?」というのが気になりますよね。一般的には、透析と透析の間の体重増加は、ドライウェイトの5%以内、できれば3%以内が望ましいとされています。
例えば、ドライウェイトが60kgの方なら、次の透析までに増える体重は1.8kg(3%の場合)〜3.0kg(5%の場合)が目安になります。でもこれはあくまで目安で、個人差があります。私の場合は、1.5kg以上増えると透析中にきつくなるタイプでした。自分の体調と相談しながら、主治医と適切な目標を設定するのがベストです。
ちなみに、透析間の日数によっても変わってきます。週3回の透析なら、2日空く場合と1日空く場合で許容される増加量が違います。2日空く場合は、どうしても体重が増えやすくなるので要注意です。
体重増加の主な原因と対策
透析患者の体重増加には、主に以下の原因があります。
1. 水分の摂りすぎ(飲み物だけでなく、スープや果物なども含む)
2. 塩分の摂りすぎ(塩分を摂ると喉が渇き、水分摂取につながる)
3. 食事量の管理不足
4. 暑さによる水分摂取増加(特に夏場)
これらの原因に対して、私が実践してきた効果的な対策をご紹介します。長年の試行錯誤の結果なので、きっと参考になるはずです。
体重増加を抑える7つの効果的な方法
1. 塩分摂取を徹底的に減らす
これ、本当に大事なポイントなんです。塩分を摂ると喉が渇き、水分を欲するという悪循環に陥ります。私は透析歴10年目くらいで、ようやくこの関係性に気づきました。
具体的な工夫としては:
・醤油や塩の代わりに、レモン汁やハーブ、スパイスで味付け
・外食時は「薄味で」と頼む習慣をつける
・加工食品(ハム、ソーセージ、インスタント食品など)の摂取を控える
・味噌汁やスープは具沢山で汁は少なめに
私の場合、塩分摂取を3g/日以下に抑えることで、水分摂取量が自然と減り、体重増加も抑えられるようになりました。最初は味気なく感じましたが、2週間ほどで薄味に慣れてきます。今では濃い味付けが苦手になったくらいです。
2. 水分摂取を記録する習慣をつける
「自分はそんなに飲んでないはず」と思っていても、実際に記録してみると意外と多かったりします。私も最初はそうでした。
スマホのメモ機能やアプリを使って、飲み物の量を記録してみましょう。コップ1杯、ペットボトル半分など、細かく記録することで自己管理の意識が高まります。
私の場合、透析日の翌日は800ml、2日空く日は1000mlを目標に設定しています。これには食事に含まれる水分(スープ、果物など)も含みます。記録を始めてから、「あ、もう今日の分使い切っちゃった」という意識が働き、無駄な水分摂取が減りました。
3. 喉の渇きを和らげる工夫
水分制限中の喉の渇きは本当につらいものです。特に夏場は地獄のようでした。でも、次のような工夫で乗り切れます:
・レモンスライスを口に含む
・無糖のガムを噛む
・うがいをする(飲み込まない)
・冷たい濡れタオルで首筋を冷やす
・氷をなめる(溶かさずになめるだけなら水分摂取は少量)
私のお気に入りは、少量の炭酸水に数滴のレモン汁を垂らしたものです。喉の渇きに効く上に、満足感も得られます。ただし、飲む量は記録に含めることを忘れずに!最後の「氷をなめる」は、仕事上無理かなと思っています。冷蔵庫(冷凍庫)ある会社であれば良いですが、氷なめて・・はちょっと!?
4. 食事の工夫で水分摂取を減らす
食事の内容や食べ方を工夫することで、水分摂取を減らせます:
・よく噛んで食べる(唾液の分泌が促され、喉の渇きが軽減)
・水分の多い食品(スイカ、オレンジなどの果物、豆腐、ところてんなど)は量を調整
・食事中の水分摂取は最小限に
・辛い食べ物や塩辛い食べ物は避ける
私の場合、食事の際にはあらかじめコップに注いだ100mlの水だけと決めています。最初は物足りなかったですが、今では十分満足できるようになりました。人間って適応力があるものですね。
5. 体温調節で水分摂取を抑える
暑さを感じると、自然と水分を欲するようになります。特に夏場は要注意です。
・エアコンや扇風機を上手に使う
・通気性の良い服を着る
・日中の外出は避け、涼しい時間帯に活動する
・首元や手首を冷やすグッズを活用する
私は夏場、首に巻く冷却タオルが手放せません。あれを使うだけで、水分摂取量が明らかに減りました。最近はいろんな冷却グッズが出ているので、自分に合うものを見つけるといいですよ。
6. 体重測定を日課にする
毎日同じ時間に体重を測ることで、体重増加のペースを把握できます。私は朝起きてすぐと、夜寝る前の2回測定しています。
例えば、透析後の体重が58kgで、次の透析までに1.5kg以内に抑えたい場合、59.5kgを超えないように管理します。日々の増加を見ながら、「今日はもう少し水分を控えよう」などと調整できるのがメリットです。
体重計は0.1kg単位で測れるデジタル体重計がおすすめ。私は体組成計タイプを使っていて、体重だけでなく体内の水分量も参考にしています。
7. 精神面のケアも忘れずに
水分制限のストレスは想像以上に大きいものです。私も何度「もういい加減にしたい!」と思ったことか。でも、次のような工夫でストレスを軽減できます:
・趣味や好きなことに没頭する時間を作る
・同じ悩みを持つ透析患者さんと交流する
・小さな達成感を大切にする(今日は目標内に収まった!など)
・時には医師と相談の上で、少し緩める日を作る
私の場合、月に1回だけ「ちょっと緩める日」を設けています。もちろん暴飲暴食はNGですが、少し多めに水分を摂ることで、精神的なリフレッシュになっています。ただし、これは主治医と相談した上での話なので、必ず医師に確認してくださいね。
体重増加が多い時の対処法
どんなに気をつけていても、時には体重が増えすぎてしまうことがあります。そんな時の対処法をご紹介します。
透析前日の対策
透析前日に体重増加が気になる場合は:
・夕食は軽めにする
・就寝前の水分摂取は極力控える
・塩分摂取を最小限に抑える
私の場合、透析前日の夕食は消化の良いものを少なめに。特に塩分の多いものは避けるようにしています。それでも体重が増えすぎていると感じたら、翌日の透析スタッフに伝えるようにしています。
透析当日の注意点
体重増加が多い状態で透析に臨む場合は:
・透析前に必ずスタッフに体重増加が多いことを伝える
・透析中は横になるよりも座位を保つ(血圧低下を防ぐため)
・気分が悪くなったらすぐにスタッフに伝える
・透析後はゆっくり休息を取る
私は体重が多い日は、透析中に軽い筋トレ(グーパー運動など)をして血流を促進するようにしています。また、透析中の血圧低下を防ぐため、足を組まないよう注意しています。
季節ごとの体重管理のコツ
季節によって体重管理の難易度は変わります。それぞれの季節に合わせたコツをご紹介します。
夏場の体重管理
夏は最も水分制限がつらい季節です。私も毎年この時期は苦労しています。
・こまめに室温調整を行い、汗をかきすぎないようにする
・冷たいおしぼりで体を拭く習慣をつける
・氷を口に含む時間を増やす
・水分の少ないデザート(ゼリーよりもアイスなど)を選ぶ
私のお気に入りは、プライベートにはなりますが、少量の炭酸水を凍らせて作る「シャリシャリ氷」です。少量でも満足感があり、喉の渇きも和らぎます。
冬場の体重管理
冬は比較的水分管理がしやすい季節ですが、別の注意点があります。
・温かい飲み物は少量ずつ、回数を分けて
・鍋料理などの汁物は具材メインで
・乾燥対策には保湿クリームを活用(喉の渇きを防ぐ)
・風邪予防を徹底(風邪をひくと水分摂取が増える)
私は冬場、温かい飲み物が恋しくなるので、少量のホットレモンティーを何回かに分けて飲むようにしています。一度に飲むより満足感が続きますよ。
体重増加に関する誤解と真実
透析患者の体重管理に関して、いくつかの誤解があります。正しい知識を身につけましょう。
誤解1:「水を飲まなければ大丈夫」
実は、水だけでなく、食事に含まれる水分も体重増加の原因になります。スープ、みそ汁、果物、ヨーグルトなども水分として計算する必要があります。
私も最初は「飲み物だけ気をつければいい」と思っていましたが、実際はそうではありませんでした。特にスイカやみかんなどの果物は水分含有量が多いので要注意です。
誤解2:「体重が増えても見た目に変化がなければ問題ない」
むくみが目立たなくても、体内に水分が溜まっていることがあります。特に内臓周りの水分貯留は見た目では分かりにくいですが、心臓や肺に負担をかけます。
私の場合、むくみが出る前に息切れや血圧上昇などの症状が出ることが多いです。体重計の数字は正直ですから、見た目より数値を信じるようにしています。
誤解3:「透析さえすれば水分は全部取れる」
一度の透析で除去できる水分量には限界があります。短時間で多量の水分を除去すると、血圧低下などの症状が出やすくなります。
私も若い頃は「透析で全部取れるから大丈夫」と思っていましたが、実際には体重増加が多いと透析中に具合が悪くなることが多かったです。今は「透析で楽に過ごすためにも水分管理が大事」と考えるようになりました。
長期的な体重管理のコツ
体重管理は一時的なものではなく、透析生活を続ける限り必要なものです。長期的に続けるコツをご紹介します。
習慣化が鍵
水分管理は「我慢」ではなく「習慣」にすることが大切です。日々の小さな工夫を積み重ねることで、自然と体重管理ができるようになります。
私の場合、透析導入から5年ほどは本当に苦労しましたが、今では水分管理が日常の一部になっています。最初は大変でも、続けることで必ず楽になりますよ。
家族や周囲の協力を得る
家族や友人に自分の状況を理解してもらうことも大切です。「水分制限があること」「塩分控えめの食事が必要なこと」を伝えておくと、外食や家族の食事の際に配慮してもらいやすくなります。
私の妻は私の透析生活を支えてくれる最大の理解者です。家族の協力があるかないかで、透析生活の質は大きく変わります。遠慮せずに周囲に協力をお願いしましょう。
自分へのご褒美を用意する
水分管理がうまくいった日は、自分へのご褒美を用意するのも効果的です。好きな本を読む時間を作る、趣味に没頭する、少し贅沢なものを買うなど、自分が喜ぶことを決めておきましょう。
私は体重管理がうまくいった週は、休日に好きな映画を見る時間を作るようにしています。小さな達成感と報酬があると、モチベーションが維持しやすいですよ。
まとめ:透析患者の体重管理は生活の質を左右する
透析患者にとって体重管理は、単なる数字の問題ではなく、生活の質を大きく左右する重要な要素です。適切な体重管理ができると、透析中の不快な症状が減り、透析後の疲労感も軽減します。結果として、仕事や趣味など、日常生活をより充実させることができます。
私自身、透析歴20年以上の中で、体重管理の重要性を身をもって学んできました。最初は本当に苦労しましたが、少しずつコツをつかみ、今では比較的楽に管理できるようになっています。
この記事でご紹介した方法は、すべて私自身が試行錯誤の末に見つけたものです。もちろん個人差はありますので、すべてが当てはまるわけではないかもしれません。でも、何かひとつでも参考になるものがあれば嬉しいです。
最後に、体重管理は大切ですが、あまりにストイックになりすぎると精神的な負担が大きくなります。時には主治医と相談しながら、無理のない範囲で取り組んでいきましょう。透析は長い付き合いになります。焦らず、自分のペースで、より良い透析生活を目指していきましょう。