今回取り上げたのは、透析と歯のケア、口腔ケアです。
一見、何の因果関係が無いように見えます。
はい、そういうふうに見えますね。
というのも、、書籍や病院のWebページなどをみても、透析者の歯のケア、口腔ケアについて言及したものは少ないです。むしろ無いと言って良いくらいです。
私的にもかなり気がかりでしたし、検診や治療もしてきました、
・虫歯や歯周病は病原菌の巣!
・虫歯や歯周病の放置は、動脈硬化や糖尿病、心疾患に影響との報告あり
・歯科への定期的な検診や治療が大事
・初回、歯科受診時は紹介状を持参(透析していることを申し出要)
透析者の歯のケア・口腔ケアの現実問題とは?
一般の健康な人でさえ、歯科に通うのは虫歯になって・・・という人が多いのではないでしょうか。もしくは我慢してしまうとか。
歯科に通うのが億劫で、あの「キーン」という機械音が苦手で・・・。
子どもであれ、大人になってもよく聞きますし。その気持ち良くわかります。
私が透析導入してから今日まで、いやこれからも気がかりなことは、冒頭でも触れた「透析者の歯のケア、口腔ケア」なのです。
書籍や病院のWebページの情報はほとんど皆無、透析に通えば医師から言及されることも無い。それでいて病院や医師・看護師さんからは、穿刺部分や風邪・インフルエンザの「感染症予防には・・・。」という話しし受けないわけです。
現実問題としては、現状は予防・対策は別々、バラバラなんですね。
病院で出される昼食・夕食後に、透析者は眠くなって!?透析終了まで歯磨きすらできず・・・。
別項では私の実録として、透析しつつ、非透析日に抜歯をした話もしました。
透析中そして歯科治療のたびに思ったことは「(4~5時間という時間もある。)歯科検診、歯科治療って透析中にできないの?時間が惜しい」とも、正直に思いました。
透析中に歯科治療できたら、時間は有効的に使っていると思います。が、現実的にはいかないようです。
というのも、透析の際には血が固まりにくくなる薬を使っていたり、血圧をはじめ体調の変化などが起こりやすかったりといったりしているからです。
参照:「人工透析中、歯科で抜歯しました。注意点いろいろ!【実録】」
口の中大丈夫?健康な人と同じように考えてはいけない
病院で出される昼食・夕食後、そのままの状態で過ごすということは・・・。
透析終了まで2~3時間は残っているでしょう。
ということは、口の中は不潔になりやすいです。
看護師さんによる口腔ケアをしていただければ良いのでしょうが、まず忙しいですし無理です、できません。
(できることなら、歯科専用のキシリトールガムを噛むのも、予防にはなります。)
口の自浄作用は弱くなったり、歯の欠損原因に・・・ともなってくると、歯周病(歯槽膿漏)や虫歯ですね。
歯周病のかかりやすくなる(羅患率が高い)、より進めば虫歯に。どう考えても容易になってしまうのは想像できます。
透析者は健康な人と比較して、歯周ポケットが4~5mmは深く落ちているとも言われます。そして歯の欠損も多く見られ約2倍になると言うデータもあります。
健康な人と同じように考えてはいけない、ということです。
なぜ透析者は歯周病・虫歯になりやすいのか?
透析者はふだんから水分制限している、唾液量が少ない、薬の副作用の影響などから、口の中が乾燥していることが多いです。
唾液は口の中を洗浄する作用があるのですが、口が乾くということはその作用が低下してしまいます(自浄作用の低下)。そして、口の中は不潔になり、歯周病や虫歯になりやすくなるわけです。
そのうえ、昼食・夕食後の歯磨きや口腔ケアができないことも加えて、歯垢や歯石がつきやすく(たまりやすく)、これも歯周病や虫歯になるわけです。
歯周病や虫歯を放置していると、そこに病原菌の巣を作り出していくことになります。そこから炎症物質や病原菌の成分ができてきて、身体を巡りまわることになります。
最近の学会での報告では、歯周病は動脈硬化や糖尿病、肺炎、心疾患などに影響あるとしています。
透析と歯のケアや口腔ケアのこと、きちんと考えたことありますか?
私は夜間透析を行っていますが夕食はとっていません。
基本的な食事に対するスタンスは、減塩や低カリウム、低リンなどを意識しながらも「なるべく好きなものを食べたい」という思いがあります。
個人的には、黙々とほかの透析者と対面で食事するスタイルも受け入れがたいのです。
そして、もっとも嫌なのが食事したあとの歯のケア。そのまま寝入りにはいってしまう透析者が多いこと。それも食事してから、3~4時間ですよね。口の中、気持ち悪くなりませんか?
透析者にとってふだんから注意、気にしなければならいものに「感染症」があります。
日々の管理では「傷口を作らない」「穿刺部分を清潔に」などとよく言われていること。最もシーズン的なもので言えば、インフルエンザの予防とか、風邪をひかせないといったもの。
いずれにしても、透析者は免疫力が弱っているために感染症にかかりやすいことには変わりありません。
・透析と歯のケアや口腔ケアのこと、きちんと考えたことありますか?
・何か相談したことありますか?
・それに対する答えはどうでしたか?
正直、透析者自身もあまり考えたことがないのでは・・・、と思うのです。
透析中に歯が痛み出すことだって十分にありえます。
私は透析中の親不知の痛みを経験し、時間かかって治療しました。
なので「ふだんから口元のトラブルありき、解消すべきだ」と考えるべきです。
なので、定期的な検診や治療が必要なのです。
透析者は定期的な歯科受診が大事
私は月1~2回は定期的に歯科受診を行っています。歯垢・歯石とりのクリーニングが中心となり、一緒に歯周病や虫歯になっていないかも診てもらっています。
このように、定期的に歯科に通っていれば、何かあったときに慌てないで治療することができます。歯科受診とはいえ、透析者を含めて透析医師・歯科医師との三者連携は欠かせないです。
透析者の虫歯予防・歯周病予防のために
透析者の虫歯予防・歯周病予防のために。
1.歯ブラシ・歯磨き選びは自分にあったもので ・歯ブラシは自分の歯質や歯肉にあったもので。 2.ブラッシング&マッサージをしよう 3.食後のキシリトール入りガムで歯垢&酸をブロック! ・透析者が食後に歯磨きできれば良いですが、難しいです。
4.定期的な歯科検診(※)・治療
・定期的に検診しながら、クリーニング(歯垢や歯石取り)してもらいましょう。 ※歯科検診では、虫歯の有無、歯周病の進行していないか、歯周ポケットの深さは、詰め物や被せ物の劣化はないか、舌や頬の粘膜の状態は、唾液の量や質、咬み合わせ、顎の関節の状態は・・・などをチェックしています。
5.喫煙しない、ストレス軽減、不規則な生活は避ける
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まとめにかえて
初回、歯科受診する際は、紹介状を持参し、透析していることを申し出すようにしましょう。
なぜなら、透析者ならではの感染症リスクや骨代謝異常による薬の飲み合わせ・薬剤の諸問題があるからです。
親不知の虫歯治療と抜歯とは別に、その後、差し歯である前歯が欠けてしまう可能性があり、治療しました。
レントゲンの結果、病原菌の巣があり、いずれにしても差し歯は抜け落ちる。
病原菌を無くさないことには、差し歯治療はできないと。
治療に時間はかかるのは仕方ない、透析者だからこそ、なおさら。
こちらも治療し、治しました。
透析をしながら年齢を重ねていきます。歯のことが気になります!
ふだんから食事でリン・カルシウム調整しているだけあって、その影響は長期にわたって出ています。
「インプラント治療は推奨されない」とのこと(すでに入っているならメンテナンスのほうが大事で)。
インプラント治療をお断りしている歯科も、実は多いようです。なぜなら、
・治療は長期間かかり身体的な負担が多い
・顎の骨にインプラントを埋入する手術があり、術後に痛みや腫れがある
・感染症や骨代謝異常と言ったリスクが高い
といったような理由があるからです。
透析とともに老いていくのは自然の理、こればかしはどうしようもないです。
「今、歯のためにできること、感染症予防でできることとは?」
歯のケア、口腔ケアですね。行っていきましょう。