ここでは、旅行・出張先などで行う臨時透析についてとりあげています。
透析者でも、特に透析導入者で「血液透析となると、旅行・出張って難しいですよね?」という声を多く聞くことがあります(血液透析のことをを以下、透析とします)。
確かに旅行・出張中は、どうしてもその行程中には透析のための時間を割かなければならないことは事実です。
「面倒くさそう・・・」「お出かけもできないなあ~」
「いいえ、あきらめる必要はありませんよ!」
しっかりとしたプランニングを立てて、透析も組み込めば旅行・出張はできます!
・自分で探す方法・・・電話予約を推奨します
・予約する臨時透析の病院から「聞かれる内容」は、ほぼ決まっている
・透析者は用意周到を期して取りかかるだけ
新型コロナウイルス感染予防対策のため、なかなか臨時透析ができづらくなっています。
旅行・出張先でも臨時透析はできます!
私も透析歴15年以上になりましたが、この間に何回も旅行を楽しみ、出張にも出かけています。
最初の「はじめて」は、さすがに勇気が要りました。
臨時透析の病院との予約のための幾度かのやりとり、現地情報、そして持ち物の準備物・・・。
健康な頃は、旅行・出張先で本当に緊急・急病でもない限り、本当に病院へ行くことなんて、そうそうなかったと思います。
それが行程上「透析」を組み込まなくてはいけないのですから!
「面倒くさそう・・・」「お出かけもできないなあ~」。
分かります、その気持ち。でも、諦めないでくださいね。
病院を探す方法・段取りを知っておけば、国内での旅行・出張でもできるようになりますから!
まず「1泊2日」の期間が、いちばんスタンダードです。
透析の無い空いた時間を利用して旅行・出張することができます。
近くにある温泉やレジャー、公共施設など楽しんでも良いですし、隣県まで飛び出して翌日帰ってくるもありです。
「1泊2日以上」は好きな時にブラリと行けるところが良いところです。
それでは「1泊2日以上は無理なの!」というと、こちらも心配は要りません。1泊2日以上であれば旅行・出張先での病院で透析を受ければ大丈夫です。
旅行・出張先での病院を知るためには、病院のWEBページでは「臨時透析」や「旅行透析」のように、病院案内のなかで知ることができます。
以下、「1泊2日以上」のような場合で、日本国内における旅行や出張、冠婚葬祭のためにお出かけする場合に限定して、説明していきます(以下、臨時透析と言います)。
臨時透析をしている病院を探す方法・段取りは、こうする!
病院にもよりますが、臨時透析を希望する日の「1ヶ月前~2週間前」までに「電話」「メール」にて直接お問い合わせする、といった場合が多いです。
臨時透析を行っている病院を探す方法は、主に2つあります。
1つは「自分で探す方法(電話・メール・FAX)」、2つ目は「かかりつけ病院のスタッフにお願いする方法」です。
1.「自分で探す方法(電話・メール・FAX)」・・・電話推奨
まず「自分で探す方法(電話・メール・FAX)」ですがこちらのほうが主であり、楽です。
ネット環境があれば、病院ないし透析の総合サイトから探すことができます。
透析の総合サイトならば、病院名はもちろんのこと、住所やTEL、FAX、地図、交通手段(最寄りの駅と所要時間)、治療時間(午前・午後・夜間)などが載っています。
「観光地・出張先に近い」、「交通移動の手段が楽だ」「宿泊先から行きやすい場所を選べる」など、いろいろと自分のなかにある諸条件から調べていきます。
臨時透析を予約する際は、(予め先に)かかりつけの病院とは共有しておいてください。
そうしないと、いきなり臨時透析の病院側から電話やFAXが来たり、メールが送信されてきたりということ発生し、「かかりつけの病院」と予約する「臨時透析の病院」との間で情報の錯そうが発生してしまうことがあります。
例えば、かかりつけの病院には、「12/1(水)に名古屋市へ出張予定あります。はっきりと病院が確定次第、また連絡します。」というふうに、先ず伝えておきましょう。
共有したうえで、臨時透析の病院へ電話をしましょう。
「電話をしましょう」としたのは、メールで予約できるところもありますが、割かし少な目です。
なぜなら、予約先の臨時の透析病院では、直接看護師さんなどが予約メールなどを確認するなど、余裕はありません。
受付である事務室などが、メールを一括管理している場合が多いです(医療現場は忙しいわけで・・・)。
しかも事務室などは医療的な事務(会計など)もしています。その分、メールの見落としや削除メール対象になっていたりといった事もあり、意外と二度手間になることが多いです。
タイムロスが生じてしまうため、手っ取り電話のほうが早いわけです。
電話に繋がったさいに・・・。
電話にて透析室の看護師さんや臨床工学技士さんに繋がることがあるかもしれませんが、1回の電話で「予約OK」が出ることは稀で、あまりないかもしれません。
なぜなら、臨時透析をするにあたっては、当方の諸条件をいったんは聞いてくれますが、「希望する日のベッド数の空き確認」「スタッフの調整」などいろいろ確認することがあるためです。
当日ないし翌日以降になれば、折り返し電話をいただけるでしょうから(当方から確認の電話を入れたほうがよい)そのときにはじめて「予約完了」となります。
その際、病院の受付担当(看護師さんなど透析スタッフまたは事務担当)の方から、簡単な説明を受けると思います。「病院の行き方、交通手段、食事の有無、持ち物」等々です。
例えばあなたが会社員であれば、PCを使って仕事する機会があるかもしれませんね。
PCやスマートフォンの使用可否、ポケットWi-Fiの持ち込みは可能かどうか。電源確保はできるか否か(できない場合は、充電式のみ可というケースも)などです。
ほかにも些細な事、気になることでも電話内で聞いておいたほうが良いです(体験上、別途電気代徴収します、とか電波発生の関係で「持ち込み不可」ですと説明を受けたときがありました)。
◆予約する、臨時透析の病院から「聞かれる内容」は以下の通りです
(イメージ的には、宿泊先の予約+αだと思って構わないでしょう。)
・名前 ・携帯等の電話番号(予約の際の連絡のとれやすい電話番号と時間帯)※1 ・透析を希望する日 ・透析(HDFか否か)※3 |
※1
仕事や外出等している場合が多いと思いますが「昼の時間」とか「透析前の16時から17時の間」なら、電話は出られます、待機していますなど一言添えましょう。
「予約完了」や「透析を希望する時間帯の調整依頼」があるかもしれません。
※2
かかりつけ病院の住所、電話番号はすぐ出てきますか?「臨時病院」⇒「かかりつけ病院」への連絡手段としても確認します。
※3
血液透析濾過(HDF)・・・従来の血液透析よりも毒素の除去効率が良いとされるのが、「血液透析濾過(HDF)」です。
ふだんから血液透析濾過(HDF)をしている方は聞かれるはずです。臨時透析の病院によっては、配置の関係上準備ができなかったり、そもそも設置していなかったりする場合があり、「従来の血液透析(HD)」を行うことがあるからです。
※4
かかりつけ病院へ提供している家族で概ね可(臨時病院近くに親、兄弟姉妹、親類がいれば尚更よい)。
2.「かかりつけ病院のスタッフさんにお願いする方法」
「かかりつけ病院のスタッフさんにお願いする方法」とは従来からある探す方法で、あらかじめ行く日時や地域を定めて、希望する臨時病院を探してもらうのです。
今はネットという手段もあるのですが、かかりつけの病院では、透析病院の一覧「=病院リスト」を備えているはずです。
例えば、広島県呉市あたりに出張予定があるとして、スタッフから該当地域の病院リストやコピーなり、見せてもらえます。
そこで「第1、第2、第3候補まで挙げてください」と言われます。
時間的、地理的な制限がなければ、すぐに病院を紹介してもらえる場合があります。
しかし「病院の情報の提供まではしますが、予約はご自分でお願いします!」と言われることもあるでしょう。そのときには、先述した1つ「自分で探す方法(電話・メール・FAX)」の探し方に準じて対応していきます。
というのも、仕事が終わって「出張先から病院までの移動~入室」までにかかる時間や現地での行動などは、透析者本人でしか分かりませんし、病院スタッフがそこまで関知することはできません。
なので「予約はご自分で行ってくださいね」という意味合いです!
予約した後の報告はきちんと行ってください。
なお、仕事の出張などで、どうしても透析は「夜間のみ」を希望するといった場合があるでしょう。
このときは夜間透析を選ぶことになりますし、首都圏であればオーバーナイト透析を行っているところもあるので、検討してもよいでしょう。
よく疑問にあがるところですが、「日曜日でも血液透析が可能な病院があるのかどうか?」というのがあります。
私の知るところでは、日曜日もしてくれる病院は聞いたことはありません。
病院の臨時透析のご案内や透析の総合サイトのほかに、旅行・出張先では「行動」が伴います。
そこでGoogle・Yahoo検索した際は、病院までの道案内や交通手段・運賃等も調べておきましょう。
パソコンに限らず、今ではスマートフォンやタブレットでも調べることができ、アプリを入れておけば十分に活用することができるでしょう(Googleマップ、Y!乗換案内など)。
自分の欲しい情報を得たいのであれば、「自分で探す方法(電話・メール・FAX)」のほうが、確実だと言えますね。
なお、「透析」という特性上、まずベッド(透析機材)に空きが無ければ治療を受けることはできません。
予約先の臨時透析の病院でも、臨機応変には対応していただけるとは思います。
ですが、決まった透析予定の日の透析時間帯で予約したにも関わらず(天災地変はまた別の話です)、自己都合で、旅行や出張上の行程上の理由で、著しく変更し調整してもらうことは、正直好ましくありません。
なぜなら、あなたのほかにも同じように旅行や出張で予約し、待機している(していた)透析者がいるかもしれないからです。
◇まとめにかえて
私は年数回は、臨時透析を受けます。出張だったり、出張を兼ねた観光目的であったりもします(←旅行透析と呼んでもいいんですが・・・)。
つくづく感じるのは「臨時透析をするための垣根(ハードル)は下がったなあ~」ということです。
時代の移り変わりを感じます。
携帯電話で電話して、PCで確認して、周辺地図をプリントアウトして・・・。そして臨時透析を受けるといったような時代!?がありました。
今はスマートフォン1台で、病院の「臨時透析のご案内」や透析の総合サイトを見ることができますし、移動手段(電車やタクシー、交通費など)もアプリを入れれば、簡単に調べることができます。
つまり、自分の希望する旅行・出張先で、透析を受けることができるわけですね。
ただ病院が簡単に探せるとは言っても、スマートフォン・PCで完結とはいかず、いちばん確実なのは、今も昔も「電話」であり、再度の確認するという意味でも必要だと考えます。
留め刺しておきます。
「自分で探す方法(電話・メール・FAX)」がよくて電話推奨としました。が、そのやりとりのなかで、どうしても臨時透析をお断りされる場合も出てくるでしょう。
概ね臨時透析「OKです」「可能ですよ」といただくのですが、お断りされたことに腹が立つようであれば、冷静になってくださいね。
なぜなら、考えてほしいからです。
急患の透析者や地元の透析者がまずは最優先です。←それはそうですよね!
あなたのかかりつけの病院でもそのような体制をとっているはずです。
病院側の立場からすればベッドの空き状況や適切なスタッフ配置などのことも検討しなければなりません。
あなた以外にも、同じように旅行や・出張で「返答待ち」で待機している透析者がいるのかもしれません。
あなたの見えないところで、それらのことがあることを忘れないでいて欲しいのです。
もし旅行・出張の行程上で可能であれば、「ほかの時間帯への調整はできますか?」とか「また空きが出たら、連絡いただけますか」とひと声をかけるだけで、受け入れてくれる場合もあります。
と同時に、あきらめずに近隣のほかの病院をあたってみるのも手です。
最後に、旅行・出張しているうちに「また行ってみたい観光地」や「出張先」というが一つや二つ出てくるかと思います。
何も観光地、出張先が良かったというだけではなく、「臨時透析を受け付けてくれた病院選び」でも同じようなことが言えます。
「医師の回診や対応、印象はどうでしたか?」
「スタッフの対応は良かったでしたか?」
「出された食事(透析食)はどうでしたか?」
「事務の受付はすんなりいきましたか?」・・・など。
観光・出張先での病院を自分なりに固定化し、また予約できるようになれば、医師・看護師さんも病院をまた利用してくれてたと(少しは!?)覚えてくれてますし、次回の入室や透析などもスムーズになるからです。
少なくとも私は、「旅行の会話で弾んだ」「スタッフの対応も良かったなあ~」と感じたときは、また観光・出張で来た際にはお世話になりたいと思います(リピートという表現で正しい!?)。
この点も、参考にしてみてください。