透析しはじめてから4、5年しての話しになります。
奥歯に違和感が出てきて、日が経つごと痛みが増してきました。
かかりつけの透析医には伝えていました。「何となく痛いのだ」と。
一番の最悪シナリオは、透析中に痛みだし、4~5時間そのような状態で過ごすこと。これだけは避けなければなりません。寝ていれば治るわけでもないですからね。
・抜歯など歯科治療には特別配慮が必要
・歯科治療をするなら三者連携が欠かせない
(透析者はきちんと透析医・歯科医との相談・経過報告を行うこと)
・歯科医は、透析者の血液調査データや体調はもとより、「出血しやすい」「感染しやすい」等といった特徴も踏まえて、処置を行っている(なので、すぐに抜歯という風にはならない)
人工透析しながら歯科に見てもらう
そして、仕事中にも奥歯が痛みだして我慢できなくなり、昼休み中に駆け出して会社近くの歯科に行きました。
レントゲンを撮ってもらった結果、どうも「親知らず※」が虫歯になっている、とのこと。
※親知らず・・・ 永久歯(大人の歯)は、概ね15歳前後で生えそろうと言われていますが、「親知らず」と呼ばれる歯はもっとも後ろにある歯(奥歯)で、10代後半~20代前半までに生えてくることから、そう呼ばれています。 奥歯にあることから、ブラッシングがしにくいので不潔になりやすく、歯肉の炎症が起こしやすいのです。 親知らずは正常に生えていれば、比較的簡単に抜歯することはできるのですが、親知らずが骨のなかに埋まっていたり、根っこが複雑したりすると、歯肉を切開したり歯を削ったりといったことが出てくるため、治療する側(歯科医師)の注意や手間はもちろん、治療のための時間も必要になってきます。 |
透析していることは伝え、とりあえずはその場しのぎ、痛み止め(抗菌薬(化膿どめ)や消炎鎮痛薬(痛み止め)の投与)をしてもらったのです。
その場で「歯を削ろう」「親知らずを抜こう!」とはならないんですよね、分かってはいますが。
(仕事終わりにでも、すぐに抜歯してもらいたかったのが本音です。)
しかし、仕事終わっている頃には診療時間終わってますし、治療のために会社近くまで車で通うのには遠すぎ。透析のこともある。
時間管理といい負担も大きいので、自宅と透析病院にも近い地元の歯科に替えました。
結果的に言うと、親知らずの治療は(私が透析していることも含め特殊?なので)地元の歯科ではできないため、紹介してもらう形となりました。
地元の歯科にしたことで、仕事や透析日以外の日の土曜日に治療してもらうことを想定していたのですが、紹介先の歯科医院で治療を受けるとは、正直考えもしていませんでした。
考えようですが、地元の歯科医院から、高度・専門の大学病院(歯科)に治療してもらうといったところでしょうか。
人工透析と歯科情報は少なすぎ。抜歯には注意して!
透析をしながら親知らずを抜歯するようなケースで、一番厄介だし面倒なことと言えば、血圧の変動(私の場合なら、起立性低血圧になりやすい)、血液のサラサラにしているため、抜歯したときに出血もしやすいなどが挙げられます。
透析者の歯科治療の特徴を挙げると、
①出血しやすい(※)
②感染しやすい(※※)
③創傷(そうしょう)の治癒は良くない
④感染症、合併症を有していることが多い
⑤貧血傾向にある
※抗血小板剤、抗凝固剤 抗凝固剤・・・ 抗血小板剤・・・血液凝固に関与する「血小板」に働きかけて、血栓(けっせん)が作られるのを抑制するために使います。血栓は、血管内において血液の塊が詰まってしまい、動脈硬化に伴う脳梗塞や心筋梗塞といったものが起きやすくなるので、それらを予防します。 ちなみに透析患者の死因「三大疾患」の第4位は「脳血管障害(脳卒中<脳出血・ 脳梗塞>)が挙げられています。 |
※※感染症、合併症 透析患者の死因「三大疾患」の第2位に「感染症」が挙げられています。もっとも「穿刺部分は清潔に!」と言われているのは、皮膚に小さな傷を作っているのと同じことで、シャントへの感染症がかかりやすいからです。 肺炎や風邪、季節性のものではインフルエンザにといった気道感染症のほか、皮膚の乾燥による痒みなどの皮膚感染症、尿路感染症などがあります。 |
上述した①~⑤は、透析者の特徴そのものですよね。
歯科医が知りたい情報というのは①~⑤ではあるのですが、歯科医と透析医の連携というか、どこか壁があるなあ~と、透析者である私でも感じました。
透析医から歯の治療や口腔ケアについて聞いてくることってありますか?ほぼ皆無でしょう。
逆に歯科医もあまり透析について知っているかと思えば、専門外とはいえあまり理解しているとは思えません。
一番分かりやすいのは情報があまりにも少なすぎます。
透析の書籍・雑誌のなかで、歯の治療や口腔ケアにについて設けた頁(ページ)は無いに等しいし、透析病院のWebページ・医師の意識でさえ、歯科治療は別物と捉えているところがあります
(実際のところ、医療界はそうなってていますよね。医師会、歯科医師会、薬剤師会の3会があるように)。
なので、歯科医と透析医との間でのやりとり(紹介状や治療計画書の受け渡し、話した内容など)は、どうしても自分が橋渡し役になっていましたね。私が治療する以上、当たり前のことなのですが・・・。
やりとりは本当に重要です!
私の透析状況はもとより、抜歯に関する注意点や血液検査データ情報等の照会等、そして親知らずを抜歯するにあたっての経過も。
私の場合は、親知らずの抜歯は地元の歯科医院では行わず、紹介先の歯科医院で改めて行うことになった、ことが出てきたので。
まとめにかえて
親知らずが痛み出してから抜歯するまでの間に、隔週とはいかなくても3か月は要しました。
なぜなら、その間の透析における血液検査データや自分の体調のこと、そして紹介先の歯科医院での抜歯スケジュール、抜歯後に戻って地元歯科医院での歯のケア。
非透析日で、体調万全であることを見越し、仕事を休んで抜歯しました。
今回は「親知らず」の抜歯の経験について取り上げましたが、もう一つ懸念点があります。
ところどころ出てきた、口腔ケアや感染症ですね。
こちらも気にかかるところなので、今度取り上げていきます。