爪の切り方大丈夫!?穿刺、シャント部に傷つけてるかも?|透析

2020年2月14日

爪の切り方大丈夫!?穿刺、シャント部に傷つけてるかも?|透析
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更新日: 2026年7月22日

爪の切り方大丈夫!? 穿刺部やシャント部分に傷つけているかも?

朝起きてみたら、腕あたりがヒリヒリしていたことはありませんか。擦り傷、かすり傷になっていますよね。

もとを言えば、就寝中には無意識にも皮膚をかいているらしく、朝になって、穿刺部分の「ひっかけ傷」に驚いている様です。

そうです。猫の爪にひっかけられたような赤い傷あとが残っているんですから!

透析患者の多くは痒みに悩んでいますが、今回は爪、爪切りについて取り上げていきます。私自身、20年超透析を行っているなかで、この「爪の切り方」の見直しに何度も助けられてきました。

・爪切りは「テコ型爪切り」+「ニッパー型爪切り」がベストバイ
・爪の切り方は「スクエアオフ(=四角い形)」で
・「割れ」「欠け」防止のためにも入浴後がベスト。ヤスリでも綺麗に整えておく
・爪切り後は、指先の保湿のためにもハンドクリームを

爪の切り方で、皮膚を傷つけていたわけ

「爪を短くしてくださいね」と言われる割には、いつしか正しい「爪の切り方」を忘れてしまっていて、皮膚に傷をつけることがありました。

長年、爪切りも自分に合っていて、動きが良いものを選んでいました。しかし「爪の切り方」もまずく、やすりをかけないでいました。また爪が伸びてきたら、その繰り返し・・・。

穿刺部、シャント部分の切り傷

医療スタッフさんから、穿刺のときに、こう言われますよね。「ひっかけ傷、作らないでね」と。

穿刺部分やシャント近辺に傷を作ってしまうと、そこからばい菌が入ってきて炎症を起こしたり、感染症にもなりかねないからですね。

透析患者にとってシャントは血液透析を行うための生命線であり、皮膚トラブルから感染につながると、シャント自体の機能に影響が出てしまうこともあります。だからこそ、日々の小さな習慣である「爪の切り方」が、実は大きなリスク管理につながっているのです。

爪の存在とは?

さて、「爪って何のために存在するのでしょうか?」

う~ん、そういえば、私はそこまで深く考えたことがなかったです。「透析導入時は、爪は短くしてくださいね」と説明を受けたくらいでしたから。

爪の存在ですが、主に2つで「指先の皮膚の保護」「モノを掴む際の支え」という働きがあります。

手の爪は1日約0.1mm伸びると言われ、切るタイミングは5~7日(0.5~0.7mm)くらいが良いと言われています。

「1週間に1回」と言わず、皮膚を掻いたときに何かしらひっかけ感、伸びた感じを受けたなら、切り時と思って良いでしょう。

なるべく爪は短めの状態にしておくようにします。透析患者の場合は、穿刺部分、シャント周辺など皮膚に傷を作らせない、保護することが大事なのですから。

爪切りの種類と用途

爪切り2型

爪切りは単純に「テコの原理」でうまく切れるようになっているだなあと考えていたら、種類的には「テコ型」「ニッパー型」「ハサミ型」とあるんですね。

それが、テコ型爪切り、ニッパー型爪切り、ハサミ型爪切りと分かれていきます。もっとも種類が多く一般的なのが「テコ型爪切り」。上下の刃で挟むようなものです。

テコ型爪切りは用途によって、刃の形から、カーブ刃、直線刃、直線斜め刃、凸刃、アーチ刃といったものがあります。

 

カーブ刃:基本的な爪切りで爪の形を整えながら切ることができる
直線刃:スクエア(四角、長方形)に切ることができる
直線斜め刃:足の爪専用
凸刃:巻き爪用
アーチ刃:アーチの形をした刃が特徴で、形を整えながら切ることができる

「ニッパー型爪切り」は、ハサミ?ペンチ?に似たような爪切りです。��の巻き爪や厚く硬い爪に適しています(これはフットケアの話としても今後別途取り上げたいと思います)。

「ハサミ型爪切り」は、新生児~赤ちゃん用爪切りなので、ここでは割愛します。

透析患者で足の爪が巻き爪になっていたり、それを放置しがちな人が多く、フットケアも重要になってきます。

ふだんは使う用途から「テコ型爪切り」を、プラスして「ニッパー型爪切り」も一緒に準備して、使ったほうが良いですね。

 


爪の切り方に注意してください!

爪切りにかかる負荷は?何と28kg。

「爪切り」の準備はできましたか?

爪切りをきちんと選んでも、「爪の切り方」のほうも十分に注意してください!

「爪切りで爪を切ったときに、どれくらいの負荷がかかっているんだろう?」

爪を切っているときは、こんなことまで考えたり、意識なんてしませんよね。

答え:「28kgの負荷がかかります。」

28kgというのは、小学3年生(8歳の子ども)の平均体重くらいでしょうか。

つまり、爪を切る度に爪に28kgの負荷がかかり、ダメージを受けていることになるわけですね。

ちょっと想像できなかったですが、怖いですよ。昔、介護職をしていて爪切りができなかったのは、医療行為であるからなのですが、下手すれば爪肉を傷つけたり、出血させたりするかもしれないからですよね。

爪を切るタイミング・時間は?

爪を切るタイミング・時間ですが、効率が良いのは「お風呂から上がったあと」がベストです。

爪も皮膚のひとつですから、爪が柔らかくなっていて、力もかからずに容易に切ることができるからです。

逆に、乾燥してしまうと爪の「割れ」「欠け」ができやすくなります。透析患者は皮膚が乾燥しやすい傾向があるため、爪も同様に乾燥に弱くなりがちです。お風呂上がりのタイミングを意識するだけでも、傷のリスクをかなり減らせます。

爪の理想的な切り方があります!ヤスリがけも。

正しい爪の切り方は「スクエアオフ(四角い形)」が理想的

深爪はいけません。深爪にしてしまうと、爪床がむき出しになってしまって、感染症などのリスクにかかりやすくなります。

爪の両端だけ深く切ってしまう「バイアス切り」というのも避けましょう。これは、巻き爪の原因になります。

理想的なのは、爪は程よく角を削った状態「スクエアオフ(=四角い形)」が良いですね。これだと、爪にとって負担が少なく良好な状態なのです。

ヤスリがけも!目の粗い⇒細かいの順で

ヤスリは、切った爪の断面と形を整えるものです。ヤスリで削ることで爪の長さや見かけを整えてくれます。

ヤスリは爪切りにその仕様でついているものもありますが、別途ヤスリ(=ネイルファイルとも)を購入しておいたほうが、ヤスリがけは楽になりますね。

ヤスリは目の粗い⇒細かいほうへ、力を入れずにゆっくりとかけるようにしましょう。皮膚に傷を作らないためにも、角は丸みをつけるようにしましょう。

最後に、ハンドクリームやネイルオイルを塗って、指先の保湿も行っておきましょう。

【表:正しい爪の切り方チェックリスト】

項目ポイント
タイミングお風呂上がりなど爪が柔らかい時
頻度5~7日おき(伸びを感じたら都度)
スクエアオフ(角を程よく削る四角形)
避けること深爪、バイアス切り(両端だけ深く切る)
仕上げヤスリがけ+ハンドクリームで保湿

穿刺部・シャント部を守るための日常習慣

就寝中の「ひっかけ傷」を防ぐ工夫

寝ている間に無意識で皮膚をかいてしまい、朝起きたら穿刺部やシャント部にひっかけ傷ができている、というのは透析患者にとって珍しくない悩みです。爪を短く整えておくことはもちろんですが、痒み対策として保湿ケアを併用することで、かく回数そのものを減らすことも大切です。

就寝前に保湿剤をしっかり塗る、手袋(薄手のコットン手袋など)をして寝る、といった工夫をしている透析患者仲間もいます。自分に合った方法を見つけて、無意識のひっかけ傷を防いでいきましょう。

傷を見つけたときの対応

もし穿刺部やシャント部に傷を見つけたら、清潔なガーゼなどで保護し、自己判断で様子を見続けず、次回の透析時に必ず医療スタッフへ報告しましょう。特に赤み、腫れ、熱っぽさ、痛みが強くなっている場合は、感染症のサインである可能性もあるため、早めの相談が安心です。


まとめにかえて(爪切りの未来を考える)

今回は「爪」と「爪切り」について取りあげました。私、そしてあなたの爪切りの未来について考えてみたいと思います。

年齢は誰しも重ねていきますよね。「電動爪切り」というジャンルの家電もあって、これからも進化していくのでしょう。

「自分で爪切りができるかどうか?」

これは、いずれ切実な問題になっていきます。「介助されていない」「一部介助を受けている」「全介助」かどうか。これは、介護保険のサービスを受けるにあたっての調査内容の項目のひとつなのです。

想像してみてください。手でも、足でもそうですが、自分で爪切りをするのに力が入らない、体勢が維持できないといったことが出てくるからですね。もしかしたら、透析中に看護師さんに爪を切ってもらっているという方もいるかもしれません。

それから、私が介護職をしていた(介護保険制度が始まった)頃の「介護」というのは、「入浴、排せつ、食事その他の介護」でした。制度の始まりということもあって、どこかギスギス感のあった限定的な仕事でありました。

制度施行から約25年が経ち、幾度か改正が行われてきました。2018年の介護保険制度の改正のなかで業務内容が拡大され、「爪切り」も含まれるようになりました。

これで介護福祉士による「爪切り」ができるようになったのです(これまで”医療行為”とされており看護師等しかできませんでした。しかし、昨今の介護業界の人手不足や効率性などを踏まえ、業務を広げた結果でもあります)。

もし介護認定後に介護サービスを受けることになったときは、希望すれば「爪切り」が受けられるわけですね。

正しい爪の切り方を身につけることは、地味に見えて、透析患者にとってはシャントや穿刺部を守る大切な自己管理の一つです。今日からできる小さな習慣として、ぜひ見直してみてください。

最後に「爪切り」の関連として、あなたのかかりつけ病院でも「フットケア」を行っていませんか?今後、機会があれば取り上げていきたいと思います。