朝起きてみたら、腕あたりがヒリヒリしていたことはありませんか。
擦り傷、かすり傷になっていていますよね。
もとを言えば、就寝中には無意識にも皮膚をかいているらしく、朝にになって、穿刺部分の「ひっかけ傷」に驚いている様です。
そうです。猫の爪にひっかけられたような赤い傷あとが残っているんですから!
透析者の多くは痒みに悩んでいますが、今回は爪、爪切りについて取り上げていきます。
・爪の切り方は「スクエアオフ(=四角い形)」で
・「割れ」「欠け」防止のためにも入浴後がベスト。ヤスリでも綺麗に整えておく
・爪切り後は、指先の保湿のためにもハンドクリームを
爪の切り方で、皮膚を傷つけていたわけ
でも「爪を短くしてくださいね」と言われる割には、いつしか正しい「爪の切り方」を忘れてしまっていて、皮膚に傷つけることがありました。
長年、爪切りも自分に合っていて、動きが良いものを選んでいました。
しかし「爪の切り方」もまずく、やすりをかけないでいました。
また爪が伸びたてきたら、その繰り返し・・・。
医療スタッフさんから、穿刺のときに、こう言われますよね。
「ひっかけ傷、作らないでね」と。
穿刺部分やシャント近辺に傷を作ってしまうと、そこからばい菌が入ってきて炎症を起こしたり、感染症にもなりかねないからですね。
爪の存在とは?
さて、「爪って何のために存在するのでしょうか?」
う~ん、そういえば、私はそこまで深く考えたことが無かったです。「透析導入時は、爪は短くしてくださいね」と説明受けたくらいでしたから。
爪の存在ですが、主に2つで「指先の皮膚の保護」「モノを掴む際の支え」という働きが在ります。
手の爪は1日約0.1mm延びると言われ、切るタイミングは5~7日(0.5~0.7mm)くらいが良いと言われています。
「1週間に1回」と言わず、皮膚を掻いたときに何かしらひっかけ感、伸びた感じを受けたなら、切り時と思って良いでしょう。
なるべく爪は短めの状態のしておくようにしておきます。
透析者の場合は、穿刺部分、シャント周辺など皮膚に傷を作らせない、保護することが大事なのですから。
爪切りの種類と用途
爪切りは単純に「テコの原理」でうまく切れるようになっているだなあと考えていたら、種類的には「テコ型」「ニッパー型」「ハサミ型」とあるんですね。
それが、テコ型爪切り、ニッパー型爪切り、ハサミ型爪切りと分かれていきます。
もっとも種類が多く一般的なのが「テコ型爪切り」。上下の刃で挟むようなものです。
テコ型爪切りは用途によって、刃の形から、カーブ刃、直線刃、直線斜め刃、凸刃、アーチ刃といったものです。
カーブ刃・・・基本的な爪切りで爪の形を整えながら切ることができる 直線刃・・・スクエア(四角、長方形)に切ることができる 直線斜め刃・・・足の爪専用 凸刃・・・巻き爪用 アーチ刃・・・アーチの形をした刃爪が特徴で、形を整えながら切ることができる |
「ニッパー型爪切り」は、ハサミ?ペンチ?に似たような爪切りです。足の巻き爪や厚く硬い爪に適しています(これは別途透析者のフットケアのなかでも触れていきます)。
「ハサミ型爪切り」は、新生児~赤ちゃん用爪切りなので、ここでは割愛します。
透析者で足の爪が巻き爪になっていたり、それを放置しがちな人が多く、フットケアも重要になってきます。
ふだんは使う用途から「テコ型爪切り」を、プラスして「ニッパー型爪切り」も一緒に準備して、使ったほうが良いですね。
爪の切り方に注意してください!
爪切りにかかる負荷は?何と●●Kg。
「爪切り」の準備はできましたか?
爪切りをきちんと選んでも、「爪の切り方」のほうも十分に注意してください!
「爪切りで爪を切ったときに、どれくらいの負荷がかかっているんだろう?」
爪切っているときは、こんなことまで考えたり、意識なんてしませんよね。
答え:「26kgの負荷がかかります。」
26kgなので、小学3年生(8歳の子ども)の平均体重くらいでしょうか。
つまり、爪を切る度に爪に28kgの負荷がかかり、ダメージを受けていることになるわけですね。
ちょっと、想像できなかったですが怖いですよ。昔、介護職していて爪切りができなかったのは、医療行為であるからなのですが、下手すれば、爪肉を傷つけたり、出血させたりするかもしれないからですよね。
爪を切るタイミング・時間は?
爪を切るタイミング・時間ですが、効率が良いのは「お風呂から上がったあと」がベストです。
爪も皮膚のひとつですから、爪が柔らかくなっていて、力もかからずに容易に切ることができるからです。
逆に、乾燥してしまうと爪の「割れ」「欠け」ができやすくなります。
爪の理想的な切り方があります!ヤスリがけも。
深爪はいけません。深爪にしてしまうと、爪床がむき出しになってしまって、感染症などのリスクにかかりやすくなります。
爪の両端だけ深く切ってしまう「バイアス切り」というのも避けましょう。これは、巻き爪の原因になります。
理想的なのは。爪は程よく角を削った状態「スクエアオフ(=四角い形)」が良いですね。これだと、爪にとって負担が少なく良好な状態なのです。
ヤスリは、切った爪の断面と形を整えるものです。ヤスリで削ることで爪の長さや見かけを整えてくれます。
ヤスリは爪切りのなかでその仕様でついているのがありますが、別途ヤスリ(=ネイルファイルとも)を購入しておいたほうが、ヤスリがけは楽になりますね。
ヤスリは目の粗い⇒細かいほうへ、力を入れずにゆっくりとかけるようにしましょう。皮膚に傷をつくらないためにも、角は丸みをつけるようにしましょう。
最後に、ハンドクリームやネイルオイルを塗って、指先の保湿も行っておきましょう。
まとめにかえて(爪切りの未来を考える)
今回は「爪」と「爪切り」について取りあげました。
私、そしてあなたの爪切りの未来について考えて見たいと思います。
年齢って重ねていきますよね。「電動爪切り」というジャンルの家電もあって、進化していくのでしょう。
「自分で爪切りができるかどうか?」
これは、いずれ切実な問題になっていきます。
「介助されていない」「一部介助を受けている」「全介助」どうか。
これは、介護保険のサービスを受けるにあたっての調査内容の項目のひとつなのです。
想像してみてください。手でも、足でもそうですが、自分で爪切りをするのに力が入らない、体勢が維持できないといったことが、出てくるからですね。
もしかしたら、透析中に看護師さんに爪を切ってもらっているかもしれません。
それから、私が介護職をしていた(介護保険制度が始まった)頃の「介護」というのは、「入浴、排せつ、食事その他の介護」でした。制度の手始めということもあって、どこかギスギス感のあった限定的な仕事でありました。
制度施行から約20年が経ち、幾度か改正が行われてきました。
2018年の介護保険制度の改正のなかで業務内容が拡大され、「爪切り」も含まれるようになりました。
これで介護福祉士による「爪切り」ができるようになったのです。(これまで”医療行為”とされており看護師等しかできませんでした。しかし、昨今の介護業界の人手不足や効率性などを踏まえ、業務を拡げた結果でもあります。)
もし介護認定後に介護サービスを受けることになったときは、希望すれば「爪切り」が受けられるわけですね。
最後に「爪切り」の関連として、あなたのかかりつけ病院でも「フットケア」行っていませんか?
今後取り上げていきたいと思います。