「透析患者のワクチン接種ってどうなんだろう?」と日々感じている方も多いのではないでしょうか。「副反応が怖い」「透析への影響は?」そんな疑問や心配、すごくよく分かります。私も最初はそうでしたから。
同じ透析仲間として、ワクチン接種に関するリアルな情報や、私が実践している安心のための工夫をお伝えします。少しでも皆さんの不安が軽くなり、「よし、ちゃんと考えてみよう」と思えるきっかけになればと思います。
透析患者にとってワクチン接種が特に重要なワケ
「なぜ私たち透析患者にとってワクチン接種が大事なのか!」そこからお話しします。ぶっちゃけ日々透析では穿刺しているわけで、「面倒だし、注射は痛いし、できれば避けたい」って気持ちにはなりますよね。私でさえもそう思うこと、あります(笑)。でも、ちょっとだけ、私たちの体の状況を考えてみましょう。
透析をしていると、どうしても体の防御システム、=「免疫力」が健康な人より少し弱くなってしまうことがあるんです。これはもう、透析治療の性質上、ある程度は仕方ない部分なのです。腎臓の機能が低下している影響もありますし、透析自体が体に負担をかけることもあります。そうなると、風邪やインフルエンザ、肺炎、そしてこれまでの常識や世界までも変えた新型コロナウイルスといったように、これらの感染症にかかりやすくなってしまうのです。これは紛れもない事実なのです。
で、問題はここから!単にかかりやすいだけじゃなくて、かかった後に「重症化」しやすいっていうリスクも、健常者以上に私たちは抱えているわけです。透析患者は、心臓や血管に負担がかかっていることが多いですし、糖尿病などの合併症を持っている方も少なくありません。そういった背景があると、感染症が引き金になって、肺炎がひどくなったり、心不全が悪化したり…なんてことになりかねない。考えただけでも怖いです。
そこで登場するのが「ワクチン」の接種ということになります。ワクチンは、いわば感染症に対する「予行演習」みたいなもの。体に病原体の(弱毒化されたり、一部だったりする)情報を教えて、「こういう敵が来たら、こうやって戦うんだぞ!」って、免疫システムに事前にトレーニングさせてきます。だから、実際に本物のウイルスや細菌が侵入してきたときに、体が素早く、そして効果的に対抗できるようになる。結果として、感染そのものを防いだり、たとえ感染しても症状を軽く抑えたり、そして何より「重症化」を防ぐ効果が期待できるわけです。
私自身、透析を始めたばかりの頃は、感染症に対する意識が今ほど高くありませんでした。若かったせいか、軽い風邪をこじらせたとしてもすぐに治しては仕事、会社勤めには影響ないようにはしていました。ですが、周りの透析仲間で感染症で入院するのを見たり、聞いたりするうちに、「これはちゃんと対策しないとマズいな」と痛感しました。
振り返ればこの20年超の透析歴のなかで、インフルエンザは毎年のことですが、①重症急性呼吸器症候群(SARS)2002年~2003年、②中東呼吸器症候群(MERS) 2012年~、③新型コロナウイルス 2019年~と経験してきました。
感染症名 | 発生時期 | 日本での発生時期 | 原因ウイルス | 主な発生地域 | 日本の感染者数 | 日本の死亡者数 | 特徴 |
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スペイン・インフルエンザ | 1918年~1920年 | 1918年8月~1921年7月 (第1波: 1918年8月-1919年7月 第2波: 1919年8月-1920年7月 第3波: 1920年8月-1921年7月) |
インフルエンザA(H1N1) | 全世界 | 約2,380万人 | 約39万人 | 日本人口の約43%が感染。第1波が最大流行。致死率1.6%。 社会・経済に大きな影響 |
重症急性呼吸器症候群(SARS) | 2002年~2003年 | (国内流行なし) | SARSコロナウイルス(SARS-CoV) | 中国、香港、カナダなど | ― | ― | 飛沫・接触感染。医療従事者の感染多い。2003年終息。 |
中東呼吸器症候群(MERS) | 2012年~ | (国内流行なし) | MERSコロナウイルス(MERS-CoV) | 中東、韓国など | ― | ― | ヒトコブラクダ由来。致死率高い。 |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19) | 2019年~ | 2020年1月~ | SARS-CoV-2 | 全世界 | 約3,300万人(2024年時点累計) | 約7.5万人(2024年時点累計) | パンデミック。高齢者・基礎疾患で重症化リスク。社会活動に大きな影響。 |
インフルエンザワクチンは毎年欠かさず打っていますし、肺炎球菌ワクチンや新型コロナワクチンも、推奨されるタイミングで接種してきました。もちろん、ワクチンを打ったからといって100%感染しないわけではありません。ですが、「重症化リスクを減らせる」っていう安心感は、日々の生活を送る上で、ものすごく大きいと思います。透析と付き合いながら、できるだけ元気に、安心して暮らしたい。そのためワクチン接種は、いわば「お守り」みたいなものだと私は考えています(あなたはどう考えていますか?)。
どんなワクチンを接種できるの?透析患者向けワクチンガイド
では、具体的にどんなワクチンを接種するのが推奨されているのか、気になります。いくつか代表的なものを挙げてみます。もちろん、最終的にはあなたと主治医の先生とでよく相談して決めるのが大前提です!
ワクチン名 | 対象者・推奨時期 | 効果・特徴 | 接種間隔・回数 | 副反応・注意点 |
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インフルエンザワクチン | 全年齢(特に高齢者・透析患者などハイリスク群) 毎年秋(10~11月)、流行前に接種推奨 |
毎年流行するインフルエンザの重症化・合併症予防 透析患者では特に推奨される。 |
年1回(透析患者や高齢者は2回接種が有効な場合もあり 効果発現まで約2週間 |
注射部位の痛み・発赤など軽度が多い 重大な副反応はまれ |
肺炎球菌ワクチン (ニューモバックスNP/プレベナー13) |
高齢者、透析患者など免疫低下者 65歳以上は定期接種対象 60歳以上65歳未満で重度障害のある方も対象 |
肺炎球菌による肺炎・重症化予防 1回接種で5年以上効果持続 2種類のワクチンがあり、主治医と相談して選択。 |
1回(5年以上間隔を空けて再接種可) PCV13→PPSV23の連続接種は半年~1年空けると効果的 |
注射部位の痛み・発赤・腫脹が多い ごくまれに重篤な副反応(アナフィラキシー等) 5年以内の再接種は副反応が強く出やすい |
新型コロナウイルスワクチン | 全年齢(特に高齢者・基礎疾患・透析患者は重症化リスク高) 流行状況や行政指針に従い接種 |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化予防 mRNAワクチン、ウイルスベクターワクチンなど種類あり。 |
初回2回+追加接種(時期・回数は行政指針や流行状況による) 最新情報を確認 |
注射部位の痛み・発熱・倦怠感など まれに重篤な副反応(アナフィラキシー等) 医師と相談の上で接種 |
インフルエンザワクチン
これはもう、冬の定番ですね。インフルエンザは毎年のように流行しますし、高熱や倦怠感など、症状が出ると本当にキツい。透析患者がインフルエンザにかかると、体力消耗も激しいですし、肺炎などの合併症を引き起こすリスクも高まります。流行シーズンに入る前の秋頃(だいたい10月~11月くらい)に接種しておくのがおすすめです。
私の場合、毎年ですが会社の健康診断の時期の後に、かかりつけの透析クリニックで接種してもらっています。「今年もこの季節か~」なんて思います。これを打っておくと、冬場の安心感が全然違います。もちろん、うがい手洗いやマスク着用といった、基本的な感染対策も併せて行うことが大切です。
肺炎球菌ワクチン
肺炎は、日本人の死因の上位に入る怖い病気です。特に高齢者や、私たち透析患者のように免疫力が低下している人は、肺炎球菌による肺炎にかかりやすく、重症化しやすいと言われています。このワクチンは、その肺炎球菌による感染症を予防するためのものです。
肺炎球菌ワクチンには、主に2種類(ニューモバックスNP(23価)とプレベナー13(13価))あって、どちらをどのタイミングで打つかは、年齢や過去の接種歴、健康状態によって異なります。ちょっとややこしいんですが、これも主治医の先生が「そろそろ肺炎球菌ワクチンを打ちましょうか」とか、「今回はこっちの種類ですね」みたいにアドバイスしてくれるはずです。
定期接種の対象になっている場合もあるので、お住まいの自治体の情報を確認してみるのも良いかもしれません。これは一度打つと、種類によっては5年くらい効果が持続するものもあるので、インフルエンザワクチンほど頻繁に打つ必要はありません。私も数年前に打ちましたが、「これで肺炎リスクが少し減るなら」と思って、前向きに接種しました。
新型コロナウイルスワクチン
そして、ここ数年で最も注目されたのが、新型コロナウイルスワクチンです。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、透析患者にとって重症化リスクが高いことが知られています。私も含めて本当に、実感されていることだと思います。
ワクチンの種類(mRNAワクチン、ウイルスベクターワクチンなど)や接種スケジュールについては、時期によって情報が変わることも多いので、常に最新の情報をチェックすることが大切です。厚生労働省のWebページや、かかりつけの医療機関からの案内をよく確認することが大事です。
ただ、年数も経ち新型コロナウイルスについては落ち着いているように見えます。新型コロナウイルスワクチンの接種は1回目は必ず打つようにとの案内は受けましたので、接種しました。ただ、人によっては2回目以降受けるか否かについて決めかねている人もいるでしょう。
その反応としては、そもそも新型コロナウイルスのワクチン「打ちすぎだ」考える人もいますし、「(接種んための)料金が高い」と考える人もいます。そして副反応を気にする人もいまう。正解は無いのですが、そこらあたりは今は人それぞれに判断に任されていますね。インフルエンザ同様で、感染して重症化するリスクを考えれば、接種するメリットの方が大きいと、私は判断していますね。
それから、これらのワクチン以外にも、例えばB型肝炎ワクチンなどが推奨される場合があります。透析施設では血液を扱うため、感染リスク管理の一環として接種が勧められることがあります。これもご自身の状況に合わせて、医療スタッフと相談してみてください。
どのワクチンを打つにしても、大切なのは「自分は透析患者である」ということを接種する医療機関にきちんと伝えて、理解してもらった上で接種することです。そして、疑問や不安があれば、遠慮せずに質問することです。自分の体を守るための大切な一歩なのですから。
気になる副反応… 透析患者は特に注意が必要?
ワクチン接種と聞いて、やっぱり気になるのが「副反応」ですよね。「熱が出たらどうしよう」「透析に影響はないの?」そんな心配、痛いほど分かります。私もそうですから!
一般的な副反応についてですが、ワクチンを接種すると体の中で免疫が働こうとするので、その反応として色々な症状が出ることがあります。一番多いのは、注射した場所の痛みや腫れ、赤み。これは注射なので多少は仕方ないかなと思える範囲かもしれません。私も、打った後しばらくは腕が重だるい感じがすることが多いです。
それから、全身的な副反応として、発熱、倦怠感(だるさ)、頭痛、関節痛、筋肉痛などが現れることもあります。インフルエンザワクチンなんかだと、比較的軽いことが多いです。
ですが、今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防対策としての新型コロナワクチンでは、特に若い世代で発熱などの副反応が強く出る傾向がある、などと言われていましたよね。これも、体がちゃんと免疫を作ろうと頑張っている証拠とも言えるんですが、やっぱり辛いものは辛いです。
私たち透析患者にとって、特に注意したい点がいくつかあります。
ひとつは、種する腕。透析を受けている方は、血液透析のためのシャント(内シャント、または人工血管)が腕にあることが多いですよね。このシャントがある側の腕には、基本的にワクチン接種は避けるべきとされています。シャントは私たちの命綱ですから、そこに万が一、感染や血栓などが起きたら大変です。だから、ワクチンはシャントのない方の腕に接種するのが原則です。もし両腕にシャントがある場合や、状況が複雑な場合は、必ず主治医や透析スタッフに相談して、どこに接種するのが最も安全かを確認してください。
もうひとつは、副反応が出た場合の対処。もし接種後に熱が出たり、体調が悪くなったりした場合、自己判断で市販の解熱鎮痛薬を使うのではなく、まずは主治医や透析クリニックに相談するようにしましょう。そもそも透析患者は使える薬に制限があったり、腎臓への影響を考慮する必要があったりしますから。「このくらいの熱なら大丈夫だろう」と思わずに、念のため連絡して指示を仰ぐのが、最も安心です。私も接種後に微熱が出たときは、クリニックに電話して、「こういう薬を飲んでも大丈夫ですか?」と確認しました。幸い軽い症状ですぐに治まりましたが、あの時の安心感は大きかったですね。
あと、これは副反応とは少し違いますが、ワクチン接種当日の体調管理も大切です。透析日はただでさえ体に負担がかかっているので、可能であれば透析のない日に接種する方が、体は楽かもしれません。
どうしても透析日に接種せざるを得ない場合もありますよね。その場合は、透析前が良いのか、透析後が良いのか、これも主治医と相談するのが一番です(ちなみに、私は夜間透析しているので、透析する前に接種していました。)。透析後に接種すると、透析で体力が落ちているところに副反応が重なる可能性もあるし、かといって透析前に接種して、透析中に熱が出てきたりするのも心配だし…。これも人によると思います。
「副反応が怖いからワクチンは打ちたくない」という気持ちも、すごく自然なことだと思いまが、副反応の多くは一時的なもので、数日で治まることがほとんどです。一方で、感染症にかかって重症化してしまった場合のリスクは、もっと大きくて、長引く可能性があります。そのバランスを、冷静に考えてみることが大切なんじゃないかな、と私は思います(もちろん、無理強いするつもりは全くありません)。
ワクチン接種のギモン( Q&A)
ここまでワクチン接種の重要性や注意点についてお話ししてきましたが、まだ細かい疑問や不安が残っているかもしれません。ここでは、よく聞かれる質問に、私の経験も交えながら答えていきたいと思います。
透析日に接種してもいいの?ベストなタイミングは?
これは先ほども少し触れましたが、結構気になるポイントですよね。結論から言うと、「主治医と相談して決める」のが一番です。本当にこれが一番確実です。
一般的には、透析日は体調が変動しやすいので、可能なら透析のない日に接種する方が望ましい、と言われています。でも、現実的には私のように仕事の都合だったり、病院・クリニックの予約状況だったりで、透析日にしか接種できない、というケースも多いと思います。
もし透析日に接種する場合、透析前か透析後か。これも一長一短あります。 透析前に接種する場合:接種後の副反応が透析中に現れる可能性があります。透析中に熱が出たり気分が悪くなったりすると、ちょっと大変です。透析後に接種する場合:透析で体力が消耗しているところに、副反応が追い打ちをかける形になるかもしれません。帰宅してからぐったり…なんてことも。
私の場合は、日中は仕事のため夜間透析を開始する前に接種してもらうことが多いです。透析中に何か起こるかもという感覚は意識していますが、今日まで副反応は無かったと思います。あとは家に帰って就寝中や翌日の朝の体調を含めてですが、副反応が出たのか否か。こればかしは本当に人それぞれ。あなたの体調や生活リズム、そして透析の種類(血液透析か腹膜透析か)によっても変わってくるはずですから、必ず主治医の先生や看護師さんに「いつ接種するのがよいですかね?」って聞いてみてください。
ワクチン費用は?公費負担はあるの?
これも切実な問題ですよね。透析治療にはただでさえ医療費がかかりますから、ワクチン費用も気になるところ。
ワクチンの種類によって、費用や公費負担の扱いは異なります。
インフルエンザワクチン:基本的には任意接種なので、自己負担が発生することが多いです。ただし、自治体によっては高齢者などを対象に費用の一部または全額を助成している場合があります。お住まいの市区町村のウェブサイトや広報誌などをチェックしてみましょう。
肺炎球菌ワクチン:高齢者を対象とした定期接種の制度があります。対象年齢(特定の年度生まれの方など)であれば、公費負担で(一部自己負担ありの場合も)接種できます。定期接種の対象外の方でも、任意接種として受けることは可能ですが、その場合は自己負担となります。これも自治体によって助成制度があるか確認する価値ありです。
新型コロナウイルスワクチン:常に最新の情報を確認するようにしましょう。厚生労働省やお住まいの自治体からの情報が一番確実です。
いずれにしても、接種を希望する医療機関に事前に問い合わせて、費用について確認しておくのが安心ですね。「いくらかかるか分からないまま打つのは不安…」というのは、当然のことですから。
複数のワクチンを同時に接種できる?
「インフルエンザと新型コロナ、一緒に打てたら楽なのに…」なんて思うこと、ありますよね。
原則として、新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンは、同じ日に接種しても大丈夫、とされています。ただし、接種間隔について特別なルールが設けられているワクチンもあるので、注意が必要です。例えば、生ワクチン(麻疹風疹混合ワクチンなど)を接種する場合は、他のワクチンとの接種間隔を空ける必要があります。
これも、結局は主治医の判断になります。「このワクチンとこのワクチン、一緒に打っても大丈夫ですか?」と、正直に聞いてみるのが一番です。副反応のリスクなども考慮して、先生が適切な判断をしてくれるはずです。これも個人の考え方次第ですね。
どうしてもワクチンを打ちたくない… どうすればいい?
ワクチン接種は、あくまで「任意」です。接種を強制されるものではありません。様々な理由で、「どうしてもワクチンは打ちたくない」と考えている方もいらっしゃると思います。
もしそう考えているなら、まずはその気持ちを正直に主治医の先生に伝えてみてください。なぜ打ちたくないのか、どんな点が不安なのかを具体的に話すことで、先生もあなたの状況をより深く理解してくれるはずです。
もしかしたら、あなたの不安を解消できるような情報を提供してくれるかもしれませんし、あるいは、接種しないという選択を尊重した上で、他の感染対策についてアドバイスをくれるかもしれません。
大切なのは、一方的に「打たない!」と決めつけるのではなく、医療の専門家である主治医としっかりコミュニケーションをとることです。そして、もしワクチンを接種しないという選択をするのであれば、その分、日々の感染対策(マスク着用、手洗い、うがい、人混みを避けるなど)をより一層、徹底することが重要になります。
はっきり言うと、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の際は、耳にタコができるくらい、医師・看護師さんからいろいろ言われてきましたよね。透析は集団治療のうえに、「徹底的に対策をしてください」と。もしやと思って微熱や喉がおかしいなど何かしら異常・症状を感じたら、病院に来る前にまずは連絡をしてください!と。いつも通院している透析室なのに、新型コロナウイルスで、皆神経を使っていましたよね。日本における血液透析は、集団治療なのですよ!周りの患者のことも、私たち患者をみてくれている医療従事者の分のことも考えておかなければならないのですよ。
自分の体を守るための方法は、ワクチンだけではありませんからね。ただ、感染した場合のリスクは、やはりワクチンを接種している人より高くなる可能性がある、ということは、頭の片隅に置いておく必要があるかもしれません。
どんな選択をするにしても、納得して決めることが大切です。不安な気持ちを抱えたまま、なんとなく…というのは避けたいですよね。
不安を乗り越え、安心してワクチン接種を受けるために
ここまで、透析患者のワクチン接種について、色々な角度からお話ししてきました。重要性も、注意点も、疑問への答えも、なんとなく分かってきたけど、それでもやっぱり「不安だな…」という気持ちが残っているかもしれません。すごくよく分かります。私も、新しいワクチンが登場したり、自分の体調が少し変化したりするたびに、少なからず不安を感じますから。
じゃあ、その不安とどう向き合っていけばいいのか。私がいつも心がけていることを、いくつかお伝えさせてください。
1. 主治医や医療スタッフとの「対話」を大切にする
もう、これに尽きると言っても過言ではありません。透析クリニックの先生や看護師さん、臨床工学技士さんは、あなたの体のことを一番よく分かってくれている、頼れる存在です。
「ワクチン、打った方がいいのは分かるんですけど、正直ちょっと怖いんです」 「副反応が出たら、透析に影響ありますか?」 「シャントがあるんですけど、どこに打つのが安全ですか?」
どんな些細なことでもいいんです。疑問や不安に思っていることを、素直にぶつけてみてください。きっと、あなたの状況に合わせて、丁寧に説明してくれるはずです。医療従事者の方々も、私たちが安心して治療を受けられるように、常に考えてくれていますからね。遠慮は禁物です!
私も、最初の頃は「こんなこと聞いてもいいのかな…」なんて遠慮していた時期もありました。でも、ある時、思い切って不安なことを全部話してみたら、先生がすごく親身になって聞いてくれて、一つ一つ丁寧に答えてくれたんです。「ああ、もっと早く聞けばよかった!」って思いましたね。それ以来、疑問や不安は溜め込まずに、すぐに相談するようにしています。これが、安心への一番の近道だと実感しています。
2. 信頼できる「情報源」を見極める
今の時代、インターネットやSNSで、ワクチンに関する様々な情報が飛び交っていますよね。中には、科学的根拠のない情報や、不安を煽るような情報も残念ながら存在します。
どの情報を信じればいいのか分からなくなってしまうこともあるかもしれませんが、基本的には、厚生労働省や国立感染症研究所などの公的機関、日本透析医学会などの専門学会、かかりつけの医療機関が発信している情報を参考にするのが確実です。これらの情報源は、科学的な根拠に基づいて、正確な情報を提供しようと努めています。
3. 家族や周りの人とも「共有」する
ワクチン接種について悩んでいる時、一人で抱え込まずに、家族や親しい友人に話してみるのも良いかもしれません。もちろん、最終的に決めるのは自分自身ですが、自分の気持ちを話すことで、考えが整理されたり、気持ちが少し楽になったりすることもあります。
また、もし接種後に副反応が出た場合に、周りの人に「実は昨日ワクチンを打って、少し熱があるんだ」と伝えておけば、いざという時にサポートをお願いしやすくなりますよね。透析治療は、自分一人の戦いではありません。周りの人の理解と協力も、とても大切です。
私の場合、家族や会社の上司ともワクチン接種の予定や、接種後の体調などを常に話すようにしています。心配をかけたくない、という気持ちもあるんですが、正直に話しておくことで、「何かあったら言ってね」と気にかけてくれますし、私自身も心強いです。
不安を感じるのは、決して悪いことではありません。むしろ、自分の体と真剣に向き合っている証拠です。その不安を、信頼できる人との対話や、確かな情報によって、少しずつ「安心」に変えていくこと。それが、私たちがワクチン接種と上手に向き合っていくためのコツなんじゃないかな、と思います。
まとめ ~未来の自分のために、できることを考えよう~
透析患者のワクチン接種について、お話ししてきました。
透析治療を受けながら、日々の生活を送るだけでも、私たちは本当に頑張っていますよ。そこに、感染症の心配やワクチンの悩みまで加わるとなると、気が滅入ってしまうこともあるかもしれません。
でも、どうか忘れないでください。ワクチン接種は、感染症から自分の体を守り、重症化を防ぐための、有効な手段の一つである、ということを。もちろん100%ではありません。副反応のリスクもゼロではありません。でも、そのリスクと感染してしまった場合のリスクを天秤にかけた時、多くの場合、接種するメリットの方が大きいと専門家は考えています。
最終的にワクチンを接種するかどうかは、あなた自身の判断です。誰かに強制されるものではありません。でも、もし少しでも迷いや不安があるなら、どうか一人で悩まず、主治医の先生や看護師さんに相談してみてください。あなたの不安に寄り添い、最適なアドバイスをくれるはずです。
私自身、透析歴が20年を超え、これからもこの治療と付き合っていく中で、「できるだけ元気に、自分らしく過ごしたい」と強く願っています。そのためには、日々の透析治療をきちんと受けることはもちろん、感染症対策のような「予防」にも、積極的に取り組んでいくことが大切だと考えています。
以上になりますが、ワクチン接種に対する不安を少しでも和らげ、前向きに考えるきっかけとなれたならと思います。一緒に、賢く、そして安心して、透析ライフを乗り切っていきましょう。