透析治療を受けている皆さん、特に食事制限、中でも果物のことで悩んでいませんか? 「透析患者はりんごを食べちゃダメなの?」そんな疑問や不安を抱えている方、結構多いんじゃないでしょうか。私も導入当初はそうでした。
毎年、親類からりんごが届けられていたのですが、透析導入後は困りました。あのシャキシャキした食感と甘酸っぱさ、たまらなく恋しくなりますから。
この記事では、同じ透析仲間として、りんごとの上手な付き合い方、カリウム制限の中でも諦めずに楽しむための具体的な工夫について、私自身の経験も交えながら、ちょっと詳しくお話ししていきたいと思います。この記事を読めば、りんごに対する漠然とした不安が解消され、「こうすれば食べられるかも!」という希望が見えてくるはずです。
透析患者がりんごに注意が必要な理由 カリウムって何者?
そもそもなんで透析患者がりんごを食べる時に注意が必要って言われるんでしょうか。一番の理由は、やっぱり「カリウム」なんですよね。透析をしていると、このカリウムのコントロールがすごく大事になってきます。
私も透析を始めたばかりの頃は、栄養指導で「カリウムに気をつけてくださいね」って言われても、正直ピンと来ていませんでした。「カリウムって、体にいいミネラルじゃないの?」って。健康な腎臓があれば、余分なカリウムは尿と一緒に体の外に出してくれるんですけど、私たち透析患者は腎臓の機能が低下しているから、それがうまくできないんです。
カリウム、体の中でどんな働きをしてる?なぜ制限が必要?
カリウム自体は、筋肉や神経の働きを正常に保ったり、体内の水分バランスを調整したりする、めちゃくちゃ重要なミネラルなんです。これは間違いありません。でも、問題は「摂りすぎ」のほう。腎臓からうまく排泄できない状態でカリウムを摂りすぎると、血液中のカリウム濃度が異常に高くなってしまう「高カリウム血症」という状態になるリスクが出てきます。
これがまた厄介で、高カリウム血症になると、手足のしびれや脱力感、吐き気なんかの症状が出ることがあります。ひどい場合には、不整脈を起こしたり、最悪、心臓が止まってしまうこともある…。こんなことを聞かされると、やっぱり怖くなります。
だから、透析患者はカリウムの摂取量を適切にコントロールする必要がある、というわけす。ぶっちゃけ、食事制限というこの制限こそが食事の楽しみを奪う一因でもあるんですけど、けれども自分の体を守るためには、やっぱり無視できないポイントなんですよね。
じゃあ、りんごのカリウム含有量はどのくらい?
「じゃあ、りんごにはどれくらいカリウムが入ってるの?」って気になりますよね。果物の中でも、バナナやメロン、キウイフルーツなんかはカリウムが多い代表格としてよく挙げられます。
果物名 | カリウム含有量(100gあたり) |
---|---|
アボカド | 590mg |
バナナ | 360mg |
メロン | 350mg |
キウイフルーツ | 300mg |
りんご(皮付き) | 120mg |
りんごはどうかというと、食品成分表なんかを見ると、だいたい皮付きのりんご100gあたりに含まれるカリウム量は120mg前後と言われています。これは、バナナ(100gあたり360mg)やメロン(100gあたり350mg程度)と比べると、確かに少ないです。アボカドなんて、100gあたり500mg超えですからね!それに比べたら、りんごは「カリウムがめちゃくちゃ多い果物」というわけではないんです。
でも、透析患者にとっては「少ないから大丈夫」と単純には言えないのが難しいところ。1個まるごと食べると、中くらいの大きさ(約200g)で240mgくらいのカリウムを摂ることになります。1日のカリウム摂取目標量(これは個人の状態によって違うので、必ず主治医や管理栄養士さんに確認してくださいね)から考えると、決して無視できない量なんです。だから、「食べちゃダメ」ではないけれど、「注意が必要」と言われるんですね。この微妙な立ち位置が、また悩ましいんですよね。
でも諦めないで!透析患者がりんごを楽しむための具体的な工夫
ここからが本題です!カリウムに注意が必要なりんごですが、工夫次第で楽しむことは十分可能だと、私は思っています。「だって、美味しいですもんね、りんご。」
私もそりゃ会社の昼休み、隣の席の同僚がシャクシャク美味しそうにりんごを食べてるのを見たら、「あー、食べたいなぁ…」って、つい思っちゃいます。完全に諦めるんじゃなくて、「どうやったら食べられるか」を考えてみませんか?
量を工夫する「半分こ」の精神 これが基本!
一番シンプルで、かつ効果的な方法は、やっぱり「食べる量を調整する」ことです。りんご1個まるごとだとカリウム量が気になるなら、半分、あるいは1/4にしてみる。いわゆる「半分こ」の精神ですね。
私の場合は、どうしても食べたくなった時は、小さめのりんごを選んで、さらにそれを半分にカットして食べるようにしています。これなら、カリウム摂取量をだいたい60mg~80mgくらいに抑えられます。もちろん、その日の他の食事内容との兼ね合いも考えますけどね。毎日は難しくても、たまのご褒美として、このくらいの量なら許容範囲かな、と個人的には考えています(これも、あくまで私の場合です!)。
「えー、半分だけ?」って思うかもしれないですけど、ゼロにするよりはずっといいじゃないですか。「少しでも食べられた」という満足感が、意外と心の栄養になったりするんですよね。これは透析生活を長く続けていると、実感として分かってきます(年齢重ねていくと食も落ちていくのが分かります)。
食べ方を工夫する「皮むき」「水さらし」って効果あるの?
よく、「野菜や果物は水にさらしたり、茹でこぼしたりするとカリウムが減る」って言いますよね。りんごの場合はどうなんでしょうか?
まず「皮むき」。りんごの皮の部分にもカリウムは含まれていますが、実の部分にもしっかり含まれています。なので、皮をむいたからといって、カリウム量が劇的に減るわけではない、というのが一般的な見解のようです。少しは減るかもしれませんが、過度な期待はしない方がいいかもしれませんね。ただ、皮をむくことで、ほんの少しでもカリウム摂取量を減らしたい、という気持ちはよく分かります。
次に「水さらし」。切ったりんごを水にさらすと、水溶性のカリウムが多少溶け出すと言われています。ただ、これも野菜の茹でこぼしほど大きな効果があるわけではなさそうです。長時間さらしすぎると、ビタミンなどの他の栄養素も流れ出てしまいますし、何よりりんごの風味が落ちてしまう可能性も…。ぶっちゃけ、水にさらす手間と効果を考えると、個人的には「量を調整する」方が現実的かな、と思っています。
「皮むき」「水さらし」といったりんごの場合の工夫は「カリウムをゼロにする」ものではない、ということです。あくまで「少しでも減らすための方法」の一つとして考えるのが良いと思います。
品種選びもポイントになる? ちょっとマニアックな話
りんごって、ふじ、つがる、王林、ジョナゴールド…本当にたくさんの品種がありますよね。じゃあ、品種によってカリウムの含有量に違いはあるんでしょうか?
実は、品種によって多少の差はあるようです。ただ、その差が透析患者にとって制限を気にするほど大きいかというと、正直微妙なところかもしれません。例えば、「ふじ」と「つがる」でカリウム量が倍違う、なんてことはまずありません。データを探しても、品種ごとのカリウム量を詳細に比較した信頼できる情報って、なかなか見つからないんですよね。
なので、品種にこだわるよりも、やはり「食べる量」を意識する方が、カリウムコントロールには有効だと思います。まあ、もし「この品種は比較的カリウムが少なめらしい」という情報があれば、選んでみるのも一つの楽しみ方かもしれませんね。あくまで参考程度に、ですけど。
加工品はどう?りんごジュースやアップルパイの誘惑
生のりんご以外にも、りんごを使った加工品ってたくさんありますよね。りんごジュース、アップルパイ、りんごジャム…。これらはどうなんでしょうか?
まず、りんごジュース。これは注意が必要です。濃縮還元タイプなんかは、生のりんごよりもカリウム濃度が高くなっていることが多いんです。ゴクゴク飲めてしまうので、気づかないうちにカリウムを摂りすぎてしまうリスクがあります。水分制限もある私たちにとっては、ジュース類は特に気をつけたいところですよね。
アップルパイや焼きりんごなどの加熱調理されたもの。加熱によってカリウム量が少し減る可能性はありますが、砂糖やバターがたくさん使われていることが多いですよね。糖分の摂りすぎは血糖値にも影響しますし、脂質の摂りすぎも気になります。特に、透析患者はリンの制限もあるので、パイ生地やクリームに含まれるリンにも注意が必要です。
りんごジャムも、砂糖が多く使われています。パンに塗る程度なら少量かもしれませんが、カリウムだけでなく糖分のことも頭に入れておく必要があります。
まあ、結局のところ、加工品は生のりんご以上に、成分表示をしっかりチェックして、食べる量や頻度を考える必要がありそうです。たまに、ほんの少しだけ楽しむ、くらいが良いのかもしれませんね。私は、アップルパイとか見ると、めちゃくちゃ食べたくなりますけど、ふだんはご褒美程度で購入するくらいです。
りんご以外の選択肢も知っておくと、心が軽くなる
りんごとの付き合い方を工夫するのも大事ですが、それと同時に、りんご以外の「比較的カリウムが少ない果物」を知っておくことも、食事の選択肢を広げて、気持ちを楽にするために役立つと思います。「りんごがダメなら、こっちを食べよう」と思えると、制限の中でも楽しみを見つけやすくなりますからね。
どんな果物が比較的カリウム少なめ?
一般的に、透析患者さんでも比較的食べやすいと言われている果物には、以下のようなものがあります。
果物名 | カリウム含有量(100gあたり) |
---|---|
ぶどう(皮付き) | 220mg |
ぶどう(皮なし) | 130mg |
なし(和梨) | 140mg |
柿 | 170mg |
干し柿 | 670mg |
パイナップル | 120mg |
もも | 180mg |
いちご | 170mg |
ブルーベリー | 80mg |
- ぶどう(特に皮ごと食べられる種なしのもの)
- なし(和梨)
- 柿(ただし干し柿はカリウムが多いので注意)
- パイナップル(缶詰はシロップにカリウムが溶け出している可能性あり)
- もも(缶詰はシロップ注意)
- いちご
- ブルーベリー
これらの果物も、もちろん食べ過ぎは禁物です。1日の摂取目安量を守ることが大前提です。例えば、いちごなら中くらいのサイズで5~6粒程度、ぶどうなら10粒程度、梨なら1/4個程度、といった具合でしょうか。この辺りの具体的な量は、やはり個人の状態によって変わってくるので、参考程度に考えてくださいね。
私も、りんごが食べたい気持ちを抑えて、代わりに梨を食べたり、デザートにいちごを数粒食べたりしています。選択肢があるって、精神的にすごく大きいんですよ。
やっぱり頼りになる!管理栄養士さんとの連携
ここまで色々と私自身の経験や調べたことを話してきましたが、一番大切なのは、やっぱり専門家である医師や管理栄養士さんとしっかり連携することです。
透析患者の食事制限は、カリウムだけでなく、リン、塩分、水分、タンパク質など、本当に多岐にわたります。しかも、必要な制限の度合いは、一人ひとりの血液検査のデータや体調によって全然違うんです。私にとってOKな量が、あなたにとってもOKとは限りません。
定期的な栄養指導の際に、「りんごが好きなんですけど、どのくらいなら食べても大丈夫そうですか?」とか、「最近、こういう果物を見かけるんですけど、カリウム的にはどうですか?」とか、具体的に質問してみるのが一番確実です。プロの視点から、あなたの状態に合わせた的確なアドバイスをもらえます。
最初は聞きにくいかもしれないですけど、食事は毎日のことですし、QOL(生活・人生の質)に直結しますからね。遠慮せずに、どんどん相談してみることを強くおすすめします。私も、栄養士さんにはいつも色々質問してますから!それで、安心して食べられるものが増えるなら、その方がずっといいですからね。
まとめ:りんごとの上手な付き合い方を見つけて、透析生活を豊かに
さて、透析患者とりんごの関係について、色々と話してきましたがいかがでしたか?
結論としては、「透析患者はりんごを絶対に食べてはいけない」わけではない、ということです。確かにカリウムには注意が必要ですが、
- 食べる量をしっかり管理する(半分こ、1/4カットなど)
- 皮むきや水さらしも、過度な期待はせず、工夫の一つとして考える
- 加工品(ジュース、パイ、ジャムなど)は成分をよく見て、量や頻度を考える
- りんご以外の低カリウム果物も選択肢に入れる
- そして何より、医師や管理栄養士さんに相談する
といった点を意識すれば、りんごを楽しむことは可能だと、私は信じています。
透析治療は、確かに食事制限が多くて、時には「あれもダメ、これもダメ」と、ちょっと切なくなることもありますよね。私も20年以上続けてきて、何度もそういう気持ちになりました。でも、その制限の中で、どうやったら少しでも食事を楽しめるか、どうやったらQOLを維持・向上できるかを考えることが、すごく大切だと思うんです。
りんご一つとっても、工夫次第で付き合い方は変わってきます。「食べられない」と完全に諦めてしまう前に、ぜひ今回お話ししたような工夫を試してみて、あなたなりの「りんごとの上手な付き合い方」を見つけてみてください。それが、透析生活を少しでも明るく、豊かなものにする一助となれば、私も嬉しいです。
大変なことも多い透析治療ですが、一緒に前向きに、そして賢く乗り越えていきましょうね!応援しています。