
私は透析をしはじめてからは、牛乳という牛乳はほとんど飲んでいません。中学生・高校生の育ちざかりな頃ならば、特にアレルギーもなかったのでふつうに飲んでいました。ハウス食品のブランドであるフルーチェ。簡単にデザートにして食べることもできたので好きでしたね。
今回は「透析患者は牛乳を飲まないほうがいいのですか?」というお話です。
透析患者は牛乳を飲まないほうがいいのですか?

栄養士さんがいうには、よく相談される内容だそうです。
牛乳に限らず、乳製品といったほうが正しいのでしょう。牛乳やチーズ、バター、ヨーグルト、クリーム、練乳、アイスクリーム(バニラアイス)、粉乳、そして乳酸菌飲料など…。
私がつくづく思っていること。透析患者であり年齢も重ねていきます。近い将来に骨粗鬆症になることがわかっているし、正直心配です。不安は残りますね。
なので「骨粗鬆症に→カルシウムを摂らなければ→牛乳を飲まなければ…」というふうに、描いてしまうんですよね、健康な人と同じように。
透析だけでは不十分だからこそ、ふだんの食事から、そしてリン・カルシウム値を調整するために服薬していますし、仕事やプライベートで、何らかの原因で骨折にならないようにも注意しています。
なぜ透析患者にとって牛乳は注意が必要なのか?
でっ、「透析患者は牛乳を飲まないほうがいいの?」
私の場合ですが、牛乳もほんとにですが、たまには飲むことはあります(でも、めったに飲みません)。「乳飲料入」のコーヒーとかジュースとかもできるだけ避けてます。
家族のために牛乳は購入しますが、飲まないように意識しているのです。それとは別に豆乳を買って飲んでいます。豆乳は無調整豆乳のときもあれば、調製豆乳のときもあります。
牛乳と同様に、豆乳を飲むときも100ml位に留めるようにしています。
何も牛乳や豆乳に限りませんが、リンやカルシウムは食事のなかに含まれますから、いろいろ食べたり、飲んだりすれば蓄積していきます。
当然ながら、牛乳や豆乳にもリンやカルシウムが含まれています。でも、もともとは「水分」ですからね。
「牛乳や豆乳を飲むのであれば100ml位にしておいた方が良い」ということなので、そのようにしています。
牛乳を飲むか、豆乳を飲むかは個人差(アレルギーや好き嫌い)のこともありますが、透析患者は水分も含めて、特にリンやカリウムのことを気にする必要があります。
牛乳と豆乳のリン・カルシウム・カリウムの違い

透析患者にとって気になる成分を比較してみましょう。意外と知られていないのが、牛乳と豆乳では、リン・カルシウム・カリウムの含有量がかなり違うという点です。
▼ 牛乳・豆乳の栄養成分比較(100mlあたり)
| 種類 | リン(mg) | カルシウム(mg) | カリウム(mg) | エネルギー(kcal) |
|---|---|---|---|---|
| 普通牛乳 | 93 | 110 | 150 | 67 |
| 無調整豆乳 | 49 | 15 | 190 | 43 |
| 調製豆乳 | 44 | 31 | 170 | 61 |
※ 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年より。市販品は商品により異なります。
牛乳と豆乳の成分比較ですが、ここで重要なポイントをまとめます。
・豆乳は牛乳と比べてリンは約半分に抑えられるのがメリット
・ただしカルシウムは牛乳のほうが圧倒的に多い(牛乳110mg vs 無調整豆乳15mg)
・一方でカリウムは豆乳のほうが高め(無調整豆乳190mg vs 牛乳150mg)
・つまり、リンを減らしたくて豆乳にしても、カリウムには要注意!
無調整豆乳・調製豆乳・豆乳飲料の違いとは?
豆乳には、無調整豆乳と調製豆乳、豆乳飲料があります。
▼ 豆乳の分類(JAS規格)
| 分類 | 大豆固形分 | 大豆たんぱく質 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 無調整豆乳 | 8%以上 | 3.8%以上 | 原料は大豆と水だけ。豆腐のような味わい |
| 調製豆乳 | 6%以上 | 3.0%以上 | 砂糖・塩・乳化剤などで飲みやすく調製 |
| 豆乳飲料 | 2〜4%以上 | — | 果汁やコーヒー等の風味を追加 |
無調整豆乳は、原料は基本的に大豆と水だけで作られています。味はというと、豆腐を飲んでいるような感じで、ドロッ~ってしています。1Lの豆乳パッケージ裏などを見ますと、豆腐の作り方レシピも書いてありますよ(笑)。
生のバナナを加えて豆乳バナナジュースといきたいところです。はちみつも加えると味がいい感じになるのですが、何せカリウムが高すぎるため、う~ん、レッドカード!です。
調製豆乳は、添加物(砂糖や塩、乳化剤や香料など)を入れて、より飲みやすいように調製したものです。無調整豆乳よりは味は甘くて飲みやすいです。
豆乳飲料は、大豆固形分2%~4%以上と幅があります。大豆以外の調味原料や果汁(バナナ・メロン・いちごなど)、野菜(ごま、黄な粉など)やコーヒー・紅茶などの風味原料を加えて飲みやすくした豆乳になります。
各食料品メーカーでもいろいろな味で商品開発しているのがわかりますよね(笑)。「キッコーマンの豆乳」がそうで、さつまいも、ココア、バニラアイス、プリン、アーモンド、甘酒…。すごいフレーバーが豊富です!
糖尿病合併の透析患者は添加物にも注意
無調整豆乳以外の、調製豆乳や豆乳飲料の飲み方にはひと工夫が必要ですね。
糖尿病合併の透析患者ならば、添加物である砂糖や塩、乳化剤などが入っているために、その表示が若干くせ者で気にかかるところです。
とりわけ砂糖は、ブドウ糖(グルコース)や果糖(フルクトース)、最近ではアセスルファムKやスクラロースという人工甘味料のものも見たりすることが多くなっていますので…。
調製豆乳や豆乳飲料が飲みやすいと思いますが、透析患者としては添加物は気にかけたいところです。
低リン牛乳という選択肢はどうなの?
では、低リン牛乳はどうなのでしょうか?これは透析患者向けでも「低リン牛乳」として飲めます。
私も腎臓病の治療中は、病院で低リン牛乳を飲みました。当時インターネットはあって無かったような時代でしたので、退院後は冊子(カタログ)を見て頼んだり、卸業者に頼んで購入していました。
現在でもカタログや卸業者はあります。しかし残念ながら、自宅近くのスーパーのようなところではほぼ市販はされていません。ほとんどが病院経由かネット通販(介護食品・栄養調整食品取り扱い店)、Amazonや楽天などで購入することになります。
いかるが牛乳の「低リン乳」とは
有名なのは「いかるが牛乳」という低リン牛乳ですね。
▼ いかるが低リン乳と普通牛乳の比較(125mlあたり)
| 成分 | いかるが低リン乳 (125ml) | 普通牛乳 (125ml換算) | カット率 |
|---|---|---|---|
| リン | 58mg | 約116mg | 50%カット |
| カリウム | 145mg | 約188mg | 25%カット |
| カルシウム | 110mg | 約138mg | — |
| エネルギー | 80kcal | 約84kcal | — |
牛乳に「牛乳」「加工乳」「乳飲料」という違いがあるように、低リン牛乳は「乳飲料」にあたります。本来の「牛乳」と「乳飲料」とでは、飲んだ時の口当たりは全然違います。
「いかるが牛乳」は一般の牛乳に比べリンを50%、カリウムを25%カットしています。
リン・カリウムがカットされかつ常温保存可能。常温保存ができるというのもメリットだと思います。いつでも飲めるお手軽さがいいですね。
お値段のほうは、125ml/本で200円〜220円程度(2026年現在、通販サイトでの実売価格)。ふつうの牛乳(成分無調整)ならば1Lパックが購入できてしまう価格帯です。ですが、病院などの食事でも取り入れているところも多く、腎臓病食や透析食を摂っている人でも高評価を得ています。
粉末タイプの低リンミルクもある
なお粉末状のもので、リン(牛乳の約5分の1にしたもの)、カルシウム、ナトリウムを低減した「アクトケア 低リンミルクL.P.K」もあります。これは料理に融通がききます!シチューやグラタンなど、牛乳を使うレシピの代用としても便利です。
透析患者にとって骨粗鬆症が心配な理由
なぜ透析患者は骨がもろくなりやすいのか
透析患者が骨粗鬆症を心配するのは、決して大げさなことではありません。腎臓が機能しなくなると、体内のカルシウムとリンのバランスが崩れます。具体的には以下のような流れが起こります。
- リンが体内に蓄積する(腎臓で排出できないため)
- リンが高くなるとカルシウムが低下する
- 体がカルシウム不足を補おうとして副甲状腺ホルモン(PTH)が過剰に分泌される
- PTHが骨からカルシウムを溶かし出し、骨がもろくなる
これがいわゆる「腎性骨異栄養症(CKD-MBD)」と呼ばれる状態で、2025年に日本透析医学会からCKD-MBD診療ガイドラインの改訂版も出ているほど、重要な合併症です。
私自身、副甲状腺機能亢進症になって手術をしたことがありました。あまり自覚症状っていうものがなくて、じわりじわりと血液検査のデータでわかってくることが多いわけです。
「牛乳を飲めばカルシウムが補える」は透析患者には通用しない
健康な人なら「骨粗鬆症対策にカルシウムを摂る→牛乳を飲む」でOKですが、透析患者の場合は「牛乳に含まれるリンも一緒に摂ってしまう」というジレンマがあります。
牛乳100mlにはカルシウム110mgが含まれますが、同時にリン93mg、カリウム150mgも含まれています。骨粗鬆症が心配だからといって牛乳をたくさん飲むと、リンの蓄積→さらなる骨のトラブルという皮肉な結果になりかねません。
だからこそ、透析患者のカルシウム補給は食事だけに頼るのではなく、医師が処方するリン吸着薬やビタミンD製剤との組み合わせで管理することが大切なんです。
結局、透析患者は牛乳をどう飲めばいい?実践ガイド
飲む量は100mlを目安に
「毎日牛乳を飲んでいます!」というものでなくても、リンの摂取、その蓄積が主な原因です。だからこそ、牛乳・豆乳ともに1回あたり100ml程度に留めるのが安全ラインです。
選び方のフローチャート
どの乳製品を選べばいいか迷ったときは、以下の基準で考えてみてください。
▼ 透析患者の乳飲料 選び方ガイド
| 優先したいこと | おすすめの選択肢 | 注意点 |
|---|---|---|
| リンを減らしたい | 低リン乳(いかるが等) または豆乳 | 豆乳はカリウムが高め |
| カルシウムを摂りたい | 低リン乳 or 普通牛乳 (100mlまで) | 豆乳はカルシウムが少ない |
| 水分を控えたい | 粉末タイプ (低リンミルクL.P.K等) | 料理に混ぜると水分を抑えやすい |
| 糖質も気になる | 無調整豆乳 | 調製豆乳・豆乳飲料は糖質に注意 |
成分表示のここをチェック!
牛乳でも豆乳でも、商品を手に取ったら裏面の成分表示を確認する習慣をつけましょう。透析患者が見るべきポイントはこの3つです。
- リン含有量:100mlあたり50mg以下なら比較的安心。普通牛乳の93mgは高めです。
- カリウム含有量:豆乳はカリウムが高いので要確認。特に無調整豆乳は190mg/100mlあります。
- 添加物の表記:「リン酸塩」「調味料(アミノ酸等)」が入っている加工品は、食品に含まれる有機リンより吸収率が高いので避けた方が無難です。
まとめ:透析患者でも牛乳は飲める!ただし100mlがカギ
私の体質のこともありますが、リンが避けられない過剰摂取のほうが怖いですね。薬だけでは十分でないので、なるべくリンを避けるような食べ方・飲み方をする食事をしないといけません。
- 「透析患者は牛乳を飲まないほうがいいのですか?」
- 飲まないことにこしたことはないですが、飲むことはできます!
- 医師・栄養士さんが言うように、「飲む目安はだいたい100ml位」が結論です。
牛乳のリンが気になるなら低リン乳(いかるが牛乳等)、リンを抑えたいなら豆乳も選択肢のひとつ。ただし豆乳はカリウムが高めで、カルシウムは牛乳より少ないことを忘れずに。骨粗鬆症の予防は牛乳だけに頼らず、リン吸着薬やビタミンD製剤との組み合わせで管理するのが透析患者の賢い方法です。
20年超透析を行っている私だからこそ言えることは、「完全に禁止」ではなく「量と付き合い方」がすべて。自分の検査値と相談しながら、無理なく楽しむのが長く続けるコツだと思います。
※本記事の栄養データは文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」・日本透析医学会「慢性透析患者の食事療法基準」・日本透析医学会「CKD-MBD診療ガイドライン(2025年改訂版)」等を参考に記載しています。個人の病状・検査値によって制限内容は異なります。必ずかかりつけ医・管理栄養士にご相談ください。