【人工透析予備軍とは?】気づかずに進行する慢性腎臓病に注意!

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透析予備軍

痛風予備軍、糖尿病予備軍、人工透析予備軍…。

 

何かと「〇〇予備軍」とついていますが、それらがどのような症状なのか聞いたことはありますか?

予備軍ということばの意味は、「いずれその状態になる可能性の高い人々」という意味で比喩的に使われています。

 

・慢性腎臓病(CKD)は新たな国民病であって、人工透析予備軍
・慢性腎臓病(CKD)であると診断されるには、3の診断基準がある
ステージ1、2であっても早めに治療を始めることには越したことはない
・ステージ3までは食事療養を徹底すれば、腎機能低下を阻止することはできる
・ステージ4の腎機能は「高度の低下」ステージ5では「末期腎不全」
 
目次

「人工透析予備軍」とは何か?

冒頭であげた「痛風予備軍」と「糖尿病予備軍」ですが、いずれも腎機能に関わっています。
先に説明しておきましょう。

・痛風予備軍

高尿酸をそのまま放置すると痛風腎を起こしたり、慢性腎臓病の経過を悪くしたり、肝臓などの癌(がん)へ発展してしまいます。しまいには人工透析や腎移植に至る事もありえます。

 

・糖尿病予備軍

ゆっくりとですが何年もかかって血糖値が高くななり、進行していくと糖尿病になっていきます。現在、糖尿病の患者さんが増えてきている状況にあります。

 

日本の透析者の原因疾患のうちで最も多いのが、糖尿病性腎症を占めています。
糖尿病から人工透析になる人が透析者の半分ということになります。

 

痛風予備軍、糖尿病予備軍も予防なり治療すれば良いのですが、片や年齢も重ねていけば自然と腎機能も低下していくものです。

ですので、後々人工透析予備軍入りしてしまう可能性は、決して無いとは言えません。

 

最後にある人工透析予備軍ですが、端的に言えば、

「慢性腎臓病は人工透析予備軍である、といっても過言ではない」。

 

これが結論となります。

日本における慢性腎臓病(=CKD)の患者は1350万人と考えられており、約10人に1人が該当します。10人に1人は「人工透析予備軍」ということです(慢性的に腎機能が低下している透析予備軍は「慢性腎臓病」を患っている、と言い換えることもできるのです)。

 

この1350万人という数字ですが、腎臓は「沈黙の臓器」とも言われるせいか、ふだんの日常生活において腎機能が低下しているのに全く気づかなかったり、ケガしたときのように痛みを感じることが無いからこそ自覚症状もない。

会社などで健康診断を受けてはいるものの、腎機能の検査データを軽視して、それを放置し先送りしようとする人達も、そこに含まれています。

さらに付け加えると、腎臓病の治療改善しているが(していたが)痛みを感じることがないから、治療に対する関心や意欲が低下している人もいるのです。

症候群というのですから、それだけ範囲が広いということ。

実はあなたも、症候群のなかのひとりである可能性が極めて高いわけです。

慢性腎臓病 (CKD)の定義とは

慢性腎臓病(CKD)

ところで、慢性腎臓病(CKD)とは何でしょうか。

腎臓は背中の腰当たりにあるソラマメに似た臓器で、大きさはこぶし程度、左右に1つずつあります。

 

血液を濾過して、不要な水分や電解質を取り除く機能を持つのが腎臓の主な役割なのですが、そのフィルター的存在を持っているが糸球体(しきゅうたい)と呼ばれる組織です。

慢性腎臓病(CKD)であると診断されるには、以下1~3の診断基準があります。

 

腎臓が傷ついたり、働きが低下している状態が、3か月以上続くと慢性腎臓病(CKD)

と診断されます。

 

1.「腎臓の構造や機能に明らかな傷害(傷ついている)があること」
2.「腎臓の働きが正常の60%未満(糸球体濾過量が60mL/分/1.73㎡未満)」
3.「上の1、2のいずれか、または両方が3か月以上続いていること」を言います。

 

腎臓が傷ついて低下が見られるのですから、血液を濾過して尿の元になる原尿を作る能力が低下していることを意味します(=糸球体濾過量(GFR)の低下)。

この糸球体濾過量(GFR)の値は、%(パーセント)で表すことができ、同時に慢性腎臓病のステージ分類(=病期)の指標にもなります。

 

糸球体濾過量は残腎機能(=残っている腎機能)の事であるので、その値である%の値はそのまま残腎機能へと読み替えられます。

例えば、糸球体濾過量の値が28%ということは、残腎機能は28%でしか働いていないということになります。

 

慢性腎臓病のステージは5段階ある


ステージ分類(病期)は重症度によって、ステージ1~5の5つの段階に分けられています。

 

具体的に見てみましょう。

ステージ1~3

 

ステージ1は(腎障害は始まってはいるが機能は正常)
ステージ2は(腎障害があり働きも軽度の低下)
ステージ3は(腎機能の低下が明らかで中度の低下)

残腎機能の面からみれば、

ステージ1は(GFR90%以上)、
ステージ2は(GFR=60~89%)
ステージ3は(GFR=30~59%)

となります。

ステージ3ではさらに二通りに分かれていて、3aと3bとがあり、

3aは(腎機能の低下は軽度~中等度)(GFR=45~59%)
3bは(腎機能の低下は中等度~高度)(GFR=30~44%)

とされます。

 

腎臓が沈黙の臓器と言われる所以はこのステージ1~3の間にあって、「自覚症状がない」か「ほとんどない」からです。

 

5段階あるステージ中で、最も多いとされているのは「ステージ3」とされています。

 

ステージ1、2であっても早めに治療を始めることには越したことはありません。
ステージ3までは食事療養を徹底すれば、腎機能低下を阻止することはできます。

が一方で、

同時にステージ3という段階では、ステージ4、5への腎臓病の進行がいっそう早まります。

 

ステージ3bともなれば、これまでのかかりつけ医ではなく、腎臓の専門医(=腎臓内科医)で治療を受けることが必要になってきます。

 

このように同じステージ3でも、3aと3bとがあるわけです。

ステージ4、5


ではステージ4、5とはどのような時期、症状等になるのでしょうか。

 

端的に言うと、腎臓病の治療は行いつつも人工透析や腎移植の検討する時期であり、より進行すれば人工透析の導入、腎移植を行なわなければならない時期だと言うことができます。

 

ステージ4では、糸球体濾過量(GFR)は29~15%、腎機能は「高度の低下」の状態とされますが、
腎不全の合併症が起こってきます。

 

症状としては腎性貧血(腎機能低下による貧血)や高カリウム血症、浮腫み、疲労感、夜間多尿が見られます。これまでの治療に加えて、人工透析や腎移植の準備を検討する段階となります。

 

ステージ5では、糸球体濾過量(GFR)は15%未満、腎機能は「末期腎不全」、腎臓がほとんど機能しない状態です。

浮腫み、疲労感、食欲不振、吐き気、息切れなどの諸症状が見られます。

 

さらに進行して10%以下になってくると「尿毒症」があらわれてきます。



心臓や消化器、脳神経などのはたらきに障害が起こってきます。

 

尿毒症の症状が出現すると、バスキュラーアクセスの造設(=血液透析の場合、血液の出入り口である「シャント」をつくるために、通常は腕に血管を太くする手術)を行います。

そして人工透析や腎移植の導入が行われます。

◆まとめにかえて


「慢性腎臓病(CKD)は新たな国民病であって、人工透析予備軍だ」。

もはや、これに尽きます。

どのような病気にしろ早期発見、早期治療することは基本中の基本ですが、腎臓病の場合はことさらに早期の発見と治療が大切になってきます。

 

なぜなら腎臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれていて症状は緩やかに、しかも何も気づかないうちに悪化していきます、かなり悪化しないと自覚症状すら出てきません。

そして一定の段階にまで進行してしまったときには、腎臓が良くなることはなく症状の進行をくい止めることさえできなくなります。

 

結局のところ、いずれはその時期が来るであろう人工透析や腎移植のときまで食事療法や薬物療法で、さらに腎機能が低下しないようにする治療を続けていくことになります。

ですので、ステージ1や2といった、機能は正常か腎機能障害がさほど進んでいない段階で治療を始めることが、何よりも大事なのです。

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