2019年4月2日

更新日: 2026年9月13日

有名人・芸能人でも私たちと同じように年齢を重ね、病気や障害と向き合いながら生きています。テレビやラジオの向こうにいる存在でも、一人の人間として透析治療を続けているわけです。
そこからふとこう思ったのです。「透析のシーンがある舞台や映画はないのか?」という疑問。透析を受けている私として、自分たちの日常がどのように作品として描かれているのか——気になるものですよね。
20年超透析を行っている私が実際に調べ、観てきた映画作品と、透析患者の有名人・芸能人についてまとめてお伝えします。
詳細は個別記事にしています。
| お名前 | 職業・肩書き | 主なコメント・状況(公表分) |
|---|---|---|
| グレート義太夫さん | タレント・ミュージシャン | 糖尿病による透析治療経緯を本やメディアなどで公表 |
| 南部虎弾さん | ミュージシャン・タレント | 腎不全で透析治療後に腎移植で復帰。透析・移植の経緯を公表 |
海外では、透析患者であることや腎臓移植を受けたことを自ら公表している著名人が日本よりも多い印象があります。以下は公式メディアや本人が公表した情報に限ってまとめたリストです。
| お名前 | 職業・国籍 | 公表されている概要 |
|---|---|---|
| セレーナ・ゴメスさん | 歌手・女優(アメリカ) | 全身性エリテマトーデス(ループス)による腎不全のため、2017年に友人から腎臓提供を受け移植手術を公表。ドナーは親友で女優のフランシア・ライサ(Francia Raisa)さんです。ディズニー・チャンネルのオリジナルドラマ『ウェイバリー通りのウィザードたち』のアレックス・ルッソ役が知られています。 |
| ガリー・コールマンさん | 俳優(アメリカ) | 先天性腎臓疾患で子ども時代から透析を受け、2度の腎移植歴があることを公表していた。ドラマ『アーノルド坊やはわかいもの』の主演俳優。先天的な腎臓疾患(局所虚血)のため低身長となり、生涯で2度の腎移植(1973年・1984年)と長年の人工透析を行っていたことを公表。 |
| ジョージ・ロペスさん | コメディアン・俳優(アメリカ) | 遺伝性の腎疾患を患い、2005年に当時の妻アン・セラノ(Ann Serrano)さんから腎臓の提供を受けて移植手術を行いました。夫婦で臓器移植の啓発財団も立ち上げています。 |
| ケニー・イーズリーさん | 元NFLアメリカンフットボール選手(アメリカ) | NFLの殿堂入りセーフティ。現役時代の鎮痛剤(イブプロフェン等)の過剰投与・副作用で腎臓障害(腎不全)を発症して引退を余儀なくされ、週3回の透析を経て1990年に腎移植手術を受けました。 |
※「透析」「腎移植」「腎臓病」のいずれかが公表されている著名人を掲載しています。「透析を現在も受けている」とは限りません。情報の更新には限界がありますので、最新情報は各媒体でご確認ください。
こうして並べると、スポーツ選手・エンターテイナー・ミュージシャンと多くの分野で著名人が腎臓病・透析と向き合っていることが分かります。透析を受けながらも第一線で活躍している方が多いことは、現役透析患者として勇気をもらえるリストでもあります。
私は舞台鑑賞が好きで、年に1〜2回は出かけたいと思っています。どうしても平日は仕事があり夜間透析もあるので、土日の公演が理想的です。東京に出かける際には、舞台鑑賞できるかどうか検討するくらいの気でいます。
参照:「旅行透析。東京は観光・病院に交通も充実!でも地方だったら」
「旅行・出張先で臨時透析。病院を探す方法・段取り教えます!」
海外のWebサイトで見たことがあるのですが、透析装置をパフォーマンスに取り入れた舞台の写真を1枚だけ発見したことがあります。ベッドや透析装置が見事に舞台上に再現されていました。透析装置は透析患者でなければ見ることもないものですが、あの独特な風景が舞台に立体的に再現されているのを見て、「この感覚、分かる人には分かるよね」と感じたものです。
ただ、これまで「透析」の絡む舞台やその一場面を取り入れたものは、日本で一度たりとも見たことがありません。世間の人はせいぜい「透析」という言葉を聞いたことはあっても、「医療費が莫大」「大変だ」という程度で、日常的にどんな治療をしているのかはあまり知られていないのが現実です。だからこそ、舞台や映画というメディアに透析が登場することの意味は大きいと感じています。

映画の中に腎臓病や透析治療の場面があるか調べてみると——予想どおりでした。本当に少ない。それでも確かに存在しており、DVDや動画配信サービスで観られる作品があります。
透析患者の視点で観ると、ちょっとした台詞や一場面でも「分かる、これが透析室の空気感だ」と感じることがあります。一般の観客には気づかれないような細部にも、リアルなものがあったりします。
| 作品名・公開年 | 国籍 | 透析・腎臓病の描かれ方 | 視聴手段(2026年現在) |
|---|---|---|---|
| マグノリアの花たち(1989) | アメリカ | 主人公の娘シェルビーが糖尿病性腎不全を患い、妊娠・出産を経て急速に症状が悪化するドラマが中心軸 | Amazon Prime Video・Blu-ray |
| パラサイト・イヴ(1997) | 日本(邦画) | 脳死状態になった妻の細胞をめぐるSFホラー。透析・腎臓が物語に絡む場面あり | 各種動画配信サービス・DVD |
| ホタル(2001) | 日本(邦画) | 妻が病を抱えて入院・治療を受ける場面が描かれており、透析のシーンが含まれる | Amazon Prime Video・DVD |
| インクレディブル・ハルク(2008) | アメリカ(MCU作品) | メイン作品ではないが、透析に関する台詞・シーンが登場する(観る人を選ぶ場面あり) | Amazon Prime Video・Blu-ray |
1989年のアメリカ映画。監督はハーバート・ロス、脚本はロバート・ハーリング(自身の妹の実体験をモデルにした戯曲が原作)。
ルイジアナ州の美容院を舞台に、個性豊かな女性たちの友情と人生を描いたヒューマンドラマです。主人公の娘シェルビーは糖尿病性腎不全を患い、「子どもが欲しい」という強い意志のもとで医師の反対を押し切り妊娠・出産に踏み切ります。しかし出産後に腎機能が急速に悪化し——という展開が映画の核心に迫ります。
透析患者として観ると、シェルビーが病と向き合いながらも前向きに生きようとする姿が胸に響きます。腎臓病・透析を扱った映画の中では最も完成度が高く、感情移入しやすい作品です。出演はサリー・フィールド、ドリー・パートン、シャーリー・マクレーン、オリンピア・デュカキス、ダリル・ハンナ、ジュリア・ロバーツと豪華な顔ぶれです。

1997年の日本映画(邦画)。瀬名秀明の同名ベストセラー小説を映画化したSFホラー作品。監督は落合正幸、主演は真田広之。
細胞内のミトコンドリアが自我を持ち人類への乗っ取りを企てる——という設定の侵略系SFホラーです。主人公・永島は、ミトコンドリアを培養してさまざまな病気の治療に活かす研究をしている生物学者。そんな折、妻の聖美が交通事故で脳死状態になり……という展開から物語が進んでいきます。
腎臓・細胞・医療が物語の中核に絡んでおり、透析を含む医療シーンが登場します。ホラー演出があるため、透析中に観る際は落ち着いた状態で鑑賞することをおすすめします。

2001年の日本映画(邦画)。監督は降旗康男、主演は高倉健。東映創立50周年記念作品であり、第25回日本アカデミー賞では13部門でノミネートされた力作です。
舞台は鹿児島。戦中から激動の昭和を生き抜いた元特攻隊員・山岡が主人公。妻の命が長くないことを知った山岡は、過去の傷を背負いながらも韓国人・金山中尉の遺族を夫婦で訪ねる旅に出る——という重厚な人間ドラマです。
妻が病を抱えながら入院・治療を受けるシーンが描かれており、その中に透析のシーンが含まれます。『鉄道員(ぽっぽや)』の監督と高倉健が再タッグを組んだ作品で、映画ファンにも透析患者にも観てほしい一作です。
Amazonプライム・ビデオ会員【30日間無料体験】できます

ストーリー
科学者のブルース・バナーは、恋人ベティの父・ロス将軍の命令を受けて人体への放射線抵抗を研究していた。ところが研究実験中に事故が発生し、多量のガンマ線を浴びたブルースは、怒りを感じて心拍数が200を超えると約2.7メートルもの巨大な緑色のモンスター=ハルクに変身する特殊体質となってしまう。それ以来、彼を利用しようとする軍の追跡を逃れ、ブラジルに身を隠して治療薬開発と細胞の解明に専念するブルース。しかし、ふとした出来事から居場所が割れてしまい……。
出典:Amazon・楽天
MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の第2作目にあたる作品です。アベンジャーズシリーズの前日譚的な位置づけですが、単体でも楽しめます。透析シーンはメインではなく一場面ですが、透析患者として観ると「あ、これは……」と気づく場面があります。
ストーリーを追っている中で、透析に関する台詞とそのシーンが出てきたんですよ!意外でした。まさかMCU作品に透析が出てくるとは。
一番最初の『マグノリアの花たち』は公開から30年以上が経過した作品ですが、それでも透析を中心的テーマとした映画は今日に至るまで増えていません。
理由は「透析という医療行為が一般にはなじみが薄い」ということが大きいと思います。世間の人は「透析」という言葉こそ知っていても、実際にどんな治療で、どんな日常が続くのかをイメージしにくい。映画やドラマは共感が前提ですから、視聴者の大半がなじみのない医療環境は「題材として難しい」と判断されやすいのかもしれません。
そう考えると、数少ない作品の中に透析が描かれているのは、実はとても貴重なことだと思います。私たち透析患者にとって「あの世界の空気感、知っている」と感じられる映画作品は、一般の映画ファンとは少し違う見え方をするものです。
周囲を見渡せば、隣にも、ちょっと目の先にも、若くして透析を始めた方がいます。自ら事業を立ち上げて働いている方もいます。腎臓に疾患があっても、医師とよく相談して条件を整えながら妊娠・出産を希望する女性が増えているという現実もあります。そういった「透析患者の日常」がもっと世間に知られれば、腎移植の普及や社会的な理解も進むのではないかと、切に思っています。
透析が描かれた映画を観ることの意味
「血液透析や腹膜透析の医療技術は世界でも優れている」と言われます。特に日本の透析医療水準は高く、治療の質・安全性という面では誇れるものがあります。
例えシーンが一場面であっても、映画という媒体を通じて透析の風景・医療の現場が描かれることで、透析を知らない視聴者に「こういう世界があるんだ」という気づきを与えることができます。
そして私たち透析患者にとっては——「自分たちの日常が、作品の中にある」という体験ができます。それは思いのほか、心に響くものです。
腎移植のさらなる普及、ドナーへの理解が社会全体で広がることも、切に願っています。映画や舞台がその一助になってくれれば、と思わずにいられません。
| 作品名 | 透析患者として観るポイント | おすすめ度 |
|---|---|---|
| マグノリアの花たち(1989) | 腎臓病・透析・妊娠・出産という重いテーマに真正面から向き合う。感情移入しやすい | ★★★★★ |
| ホタル(2001) | 高倉健の重厚な演技と昭和の物語。透析シーンは一部だが心に残る | ★★★★☆ |
| パラサイト・イヴ(1997) | SFホラーという異色の切り口。腎臓・細胞が物語に絡む独特な作品 | ★★★☆☆ |
| インクレディブル・ハルク(2008) | MCU作品の中に突然登場する透析シーン。アクション映画として楽しみつつ気づける | ★★★☆☆ |
参照:「透析時間の過ごし方。Amazonプライムビデオを楽しむ!」
参照:「DVD付ノートパソコンおすすめするのは持ち運びだけじゃない!」
※本記事は個人の体験および情報に基づいています。映画の配信状況・興行収入データは変更される場合があります。有名人・著名人に関する情報は公式メディア・報道機関が公表した情報のみを掲載しています。