透析中の低血圧の原因と症状|軽くするコツを解説【体験談あり】

2025年8月25日

透析中の低血圧の原因と症状|軽くするコツを解説【体験談あり】
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更新日: 2026年9月27日

透析中の低血圧の原因と症状

透析中の透析低血圧、ツラいですよね。私はもともと血圧が低いほうで、特に透析導入当初は毎回のように血圧が下がって、冷や汗がダラダラ、目の前が真っ暗になるような感覚に悩まされました。「またかよ…」と透析が憂鬱になる気持ち…、本当によく分かります。

「なぜ透析で血圧が下がってしまうのか」その原因を知るだけでも、少し不安が和らぐかもしれません。この記事では私自身の体験も踏まえながら、透析中の低血圧の原因とその対処法・コツについて、できるだけ分かりやすくお伝えします。

なお、この記事では「透析中に血圧が下がる」症状を扱っています。透析前や透析後の血圧低下(起立性低血圧など)については、別の視点で考える必要がありますので、ここでは切り離してお話しします。

・透析低血圧は透析患者の約20〜30%に認められる(透析セッション全体の5〜30%で発生)
・日本透析医学会(JSDT)ガイドラインによる定義:「透析中に収縮期血圧が20mmHg以上低下、または症状を伴い平均血圧が10mmHg以上低下する状態」
・主な原因は「急激な除水による血液量の減少」「ダイアライザーとの相性」「自律神経の乱れ」など
・重度の場合は心筋梗塞・脳梗塞のリスクがあるため、我慢せずスタッフに伝えることが最重要
・症状を軽くするコツ:ドライウエイト見直し・水分管理・低温透析液・透析中の体勢・適度な運動

 

「なぜ透析中に血圧が下がるの?」 体の中で起こっていること

透析中に血圧が下がる「透析低血圧(intradialytic hypotension:IDH)」は、透析患者の約20〜30%に認められ、全透析セッションの5〜30%で発生するとされています。症状としてはめまい・吐き気・筋けいれん・失神などがあり、重度の場合には心筋梗塞や脳梗塞の引き金となることもあるため、我慢せず早めにスタッフへ伝えることが大切です。

なぜこんなことが起きるのか、まずはその仕組み、つまり原因を、私なりにかみ砕いて説明してみたいと思います。専門的な話は少しだけにして、できるだけイメージしやすいように話しますよ!

①水分と血液量のバランスが崩れる—最も大きな原因

水分と血液量のバランスが崩れる—最も大きな原因

「水分と血液量のバランスが崩れる!?」これが透析低血圧の最も大きな原因と言われています。透析って、体に溜まった余分な水分や老廃物を血液から取り除く治療です。短時間で、ググっと水分を抜くわけです。体から水分が減るということは、血管の中を流れる血液の全体量も減る、ということです。

想像してみてください。パンパンに水が入ったホースから急に水を抜いたらどうなりますか? ホースの中の水の勢い(水圧)は弱くなりますよね。それと同じようなことが、私たちの血管の中でも起こっているんです。血液量が急に減ることで、血管の壁にかかる圧力=血圧が下がってしまう。これが基本的なメカニズムです。体の水分調整能力が落ちている私たち透析患者にとっては、この急激な変化に対応するのが特に難しいんです。

「じゃあ、ゆっくり抜けばいいじゃん」って思うかもしれませんが、4〜5時間という透析時間には限りがありますし、体に溜まった水分をしっかり抜かないと、今度は心臓に負担がかかったり、むくみの原因になったりする。まあ、このバランスが本当に難しい!毎回「今日の除水量はどれくらいかな…」って、ちょっとドキドキしますよね。

 

②ダイアライザー(透析膜)との相性—アレルギーみたいな反応も

次はあまり知られていないかもしれませんが、透析に使うダイアライザー(透析膜)と血液の相性みたいなものも原因になることがあります。血液が人工の膜に触れることで、体の中でちょっとした炎症反応のようなものが起きたり、ブラジキニンなどの血管を広げる物質(血管拡張物質)が産生されたりすることがあるとされています。

血管が広がると、血液が流れるスペースが広くなるわけですから、結果的に血圧は下がります。風船を大きく膨らませると中の空気の圧力が下がるイメージでしょうか。全員に起こるわけではないですが、特定のダイアライザーを使うと血圧が下がりやすい、という人もいるみたいです。もし、ダイアライザーを変更してから低血圧が頻繁に起こるようになった、なんてことがあれば、スタッフさんに相談してみるのもいいかもしれません。

 

③自律神経の働きが追いつかない—糖尿病・高齢者に多い

私たちの体って、血圧を一定に保つために自律神経っていうシステムが頑張ってくれています。急に立ち上がった時に「クラっ」としないのは、自律神経が素早く血管をキュッと締め付けて、血圧が下がりすぎるのを防いでくれるからです。

でも、透析中は短時間で水分が抜かれて血液量が減っていく。この急激な変化に対して、自律神経の調整が追いつかなくなることがあるのです。特に、糖尿病が原因で透析になった方や、ご高齢の方は、この自律神経の働きが低下している場合があると言われています(CKD・透析関連領域ガイドライン参照)。血管を締め付ける反応が鈍くなると、血液量が減った時に血圧を維持できず、ストンと下がってしまう。これも透析低血圧の原因の一つです。

私自身はもともと血圧が低いと言いつつも、やっぱり年月・年齢とともに透析中の血圧変動が大きくなってきたような気もしています。これも自律神経の働きと関係があるのかなあ、なんて思ったりもしますね。

 

透析低血圧の主な原因まとめ
原因仕組みなりやすい人
急激な除水による血液量の減少短時間で大量の水分を抜くことで血管内の血液量が急減し、血圧が低下する体重増加が多い日・除水量が多い場合
ダイアライザーとの相性(血管拡張物質の産生)血液が透析膜に触れることでブラジキニン等の血管拡張物質が産生され、血管が広がり血圧が低下特定のダイアライザーに反応しやすい人
自律神経の乱れ・機能低下血圧を調整する自律神経の反応が鈍く、血液量の減少に対応できない糖尿病が原因の透析患者・高齢者に多い
ドライウエイトの設定が合っていない目標体重が低すぎると毎回必要以上の除水が続き、血液量が減りすぎる急激な体重変化・季節の変わり目
食事・血糖の変動食後は消化のため血液が胃腸に集中し、脳への血流が一時的に減少する透析直前に食事をした場合
体調不良・ストレス体が弱っていると透析の負荷に耐える力が落ち、自律神経も乱れやすい寝不足・風邪・強いストレスがある日

 

透析低血圧、こんな時になりやすい! 私の体験談

透析低血圧が起きる原因はいくつかあるって話しました。では、具体的にどんな時に起こりやすいのか? これ、結構個人差もあるんですが、私の20年超透析を行っている経験から「こういう時、危ないな」と感じるパターンをいくつかお話しします。私なりにこれでも2度ほどは大変な目にあってます。あなたにとっても「あるある!」が見つかるかもしれません。

透析低血圧、こんな時になりやすい

ドライウエイトの設定、本当に合ってる?

ドライウエイト(DW)—透析後の目標体重ですね。これが透析低血圧の大きなカギを握っています。医師・看護師さんから日々言われるのも、調整したほうが良いんじゃないといわれるのも、このドライウエイトですよね。

ドライウエイトが実際の体の「ちょうどいい水分量」よりも低く設定されすぎていると、毎回、必要以上に水分を抜くことになります。当然、血液量が減りすぎて血圧は下がりやすくなります。

「え、ドライウエイトって病院が決めるものでしょ?」って思うかもしれませんが、私たちの体調は日々変化します。夏場で汗をたくさんかいた後とか、逆にあまり動かなくて水分が溜まり気味の時とか。筋肉量が変わったり、食事内容が変わったりしても、適切なドライウエイトは変動するはずなんです。(はっきり言って、ここ数年の夏の暑さ変わってしまいましたね。)

私の体験談
昔、ドライウエイトが合っていなかった時期があって、透析のたびに血圧が下がって本当にしんどかった経験があります。「毎回こんなに下がるのはおかしいな」と思って、先生や看護師さんに相談したら、「少しドライウエイトを見直してみましょうか」ということになって。そしたら、だいぶ楽になったんです。だから、「最近、低血圧が続くんだよな…」と感じたら、ドライウエイト設定が今の自分に合っているか、一度スタッフさんに相談してみることを強くお勧めします。遠慮はいらないですよ、自分の体ですから!

参照:ドライウエイトって何?ズバリ【透析後の基礎体重】のこと
参照:ドライウエイトがあわない?こんな症状・兆候あるなら見直しを!

食事のタイミングや内容も影響する?「あるある」話

透析前の食事も影響することがあります。特に、透析直前にガッツリ食事をとると、消化のために血液が胃腸に集まってしまいます。そうすると、他の部分、特に脳への血流が少し減ってしまって、血圧が下がりやすくなることがあります。

かといって、空腹で透析を受けるのも、それはそれで血糖値が下がりすぎてフラフラしたり、気分が悪くなったりすることもあるからこれまた難しい…。

私の夜間透析での間食スタイル
私は夜間透析していますが、入室して1〜2時間前後もすれば間食は摂ります。アメを舐めたり(糖分補給!)、軽いお菓子をつまんだりすることもあります。もちろん、水分制限やカリウム・リン制限は守りつつ、ですけども。個人的な感覚ですが、炭水化物中心の食事をドカ食いした後は、なんとなく血圧が不安定になりやすい気がします。バランスの取れた食事を心がけるのは、低血圧対策だけでなく、透析生活全体にとって大切ですよね。

その日の体調、メンタルも無視できないんです

「今日はなんだか体がだるいな」「寝不足だな」「ちょっと風邪気味かも」…こういう体調がすぐれない日は、やっぱり血圧も不安定になりやすいです。体が弱っていると、透析という負荷に耐える力が落ちているんでしょうね。

それから、メンタル面。これも結構大きいと感じています。仕事でものすごくストレスが溜まった日とか、何か心配事がある時とか、そういう精神的な負荷がかかっている時も、なぜか血圧が下がりやすい気がします。自律神経って、ストレスの影響をすごく受けやすいですから。

だから、「今日はちょっと調子悪いかも」と感じたら、透析前にスタッフさんに一言伝えておくのがおすすめです。「今日はちょっと体調が…」「寝不足気味で…」みたいに。そうすれば、スタッフさんもいつも以上に注意して見てくれますし、場合によっては除水ペースを少し緩めてくれたり、早めに対処してくれたりすることもあります。我慢しないで、自分の状態を伝えること。これも大事な自己管理の一つだと思います。

 

「低血圧で透析できない」ってどういうこと? 知っておきたいリスク

「低血圧 透析 できない」というキーワードで検索される方も多いようです。これは決して大げさな話ではなく、現実に起こりうる問題です。

透析前の収縮期血圧が100mmHg未満の「常時低血圧」の状態では、予定通りの除水ができなくなることがあります(除水不全)。除水が十分にできないと体内に水分が残ったままになり、心臓に水が溜まるうっ血性心不全を引き起こすリスクがあります。つまり「血圧が低い=除水をしなくていい」ではなく、むしろ悪循環に陥りやすい危険な状態なのです。

また透析中に血圧が大きく下がった場合、スタッフが生理食塩水を補充して血圧を回復させることがあります。ただし、この生理食塩水の補充が体内の水分量を増やすことになり、本来予定していた除水量が達成できなくなる、という問題も起きます。

低血圧の種類特徴・定義主な対処法
透析中低血圧(IDH)透析中に収縮期血圧が20mmHg以上低下、または症状を伴い平均血圧が10mmHg以上低下(JSDTガイドライン)除水速度の調整・足側挙上・生理食塩水補充・昇圧薬投与
常時低血圧透析前の収縮期血圧が100mmHg未満。除水不全の原因となり、うっ血性心不全を引き起こすリスクありドライウエイトの見直し・低栄養の評価・心機能の評価・昇圧薬
起立性低血圧透析終了後に立ち上がった際に起きる。糖尿病患者に多く、自律神経障害が主因ドライウエイト見直し・ゆっくり起き上がる・昇圧薬

この記事では透析中低血圧(IDH)にフォーカスしていますが、常時低血圧や起立性低血圧についても、気になることがあれば担当医に相談することをお勧めします。

ツラい低血圧を少しでも楽にするために—私が試してきたコツ

原因が分かっても、実際に症状が出るとツラいものはツラい。「じゃあ、どうすれば少しでも楽になるのか?」 私がこれまでの長い透析生活の中で試してきたこと、効果があったと感じているコツをいくつかご紹介します。

まずはスタッフに相談! コミュニケーションが第一歩

まずはスタッフに相談

何度も言いますが、これが一番大事! 透析中に血圧が下がってツラい時、我慢しないで、すぐにナースコールを押してスタッフさんに伝えましょう。「ちょっと気分が悪いです」「血圧下がってる感じがします」って。

医師・看護師さんらはプロです。血圧を測ってくれたり、ベッドの足側を少し上げてくれたり(足を高くすると、心臓に血液が戻りやすくなります)、生理食塩水などを少し補充して血液量を増やしてくれたり、除水ペースを調整してくれたりと、状況に応じた適切な対応をしてくれます。早めに対処すれば、ひどい症状になる前に回復することも多いです。

参照:透析スタッフの役割とは┃コミュニケーションはとても大事!

日常生活でできること—食事・水分管理の工夫

透析と透析の間の期間の過ごし方も、透析低血圧の予防に関係してきます。特に大事なのが、体重管理、つまり水分管理です。

体重が増えすぎると、その分、透析でたくさん水分を抜かなければならなくなります。一度に抜く水分量が多ければ多いほど、血圧が下がるリスクは高まります。だから、日頃から塩分を控えて、水分の摂りすぎに注意することが基本中の基本です。

これが「言うは易し、行うは難し」なんですけどね…。「喉渇いたー!」ってなるし、美味しいものは塩分高めだったりするし。私も年齢を重ねて食は落ちたとは言いつつも、たまに飲み過ぎたり食べ過ぎたりしちゃうことあります。でも、体重が増えすぎた次の透析はやっぱりしんどいことが多い。「体重計に毎日乗ってチェックする」「塩分控えめのレシピを試してみる」とか、自分なりに無理なく続けられる工夫を見つけるようにはしています。

あ、「しっかり食べることは大事」ですよ。栄養不足も低血圧の原因になることがあります。特にたんぱく質はしっかり摂るようにと言われますよ。この辺のバランス感覚が、透析患者の腕の見せ所、っていうか、永遠の課題みたいなものかもしれませんね。

透析低血圧を軽くするための日常生活のコツ
場面軽くするコツ理由
食事・水分管理塩分を控えて水分の摂りすぎに注意。毎日体重計に乗る体重増加が多いほど除水量が増え、血圧低下リスクが高まる
透析前の食事透析直前のドカ食いを避ける。軽い間食にとどめる食後は消化のため血液が胃腸に集中し、脳への血流が減りやすい
体調管理「調子が悪い」と感じたら透析前にスタッフに伝える体調不良の日は透析の負荷に耐える力が落ちている
ドライウエイトの見直し「最近、低血圧が続く」と感じたらスタッフに相談ドライウエイトが合っていないと毎回引きすぎになる
適度な運動透析のない日にウォーキング・軽いスクワット・ストレッチ足の筋肉(筋肉ポンプ)を鍛えることで血液循環が改善
保温靴下・ひざ掛けで体を冷やさない体が冷えると血行が悪くなり低血圧につながることがある

 

透析中の過ごし方—ちょっとしたコツで変わるかも

透析中の4〜5時間前後は「ただ寝ているだけ」という方も多いかもしれません。でも、ちょっとした工夫で低血圧を防げるよ、という話しです。

例えば、透析の後半、除水が進んできたタイミングで、ベッドの足側を少し上げてもらう。これはスタッフさんにお願いすればやってもらえます。足を高くすることで心臓に血液が戻りやすくなり、血圧の低下を防ぐ効果が期待できます。

あとは、急に起き上がらないこと。透析終了間際に血圧が下がる方もいます。透析が終わって針を抜いてもらったら、すぐに起き上がらずに、少しベッドで休んでからゆっくり起き上がるようにすると、立ちくらみを防げます。(私はこの傾向あり。)

それから、体を冷やさないこと。体が冷えると血行が悪くなって低血圧につながることもあるようです。透析室は空調が効いていて寒いこともあるので、靴下を履いたり、ひざ掛けを使ったりして、保温を心がけるのも地味に効果がある気がします。私はいつもマイひざ掛け持参です。

透析中の「低血圧を軽くする」実践コツまとめ
・後半に足側のベッドを上げてもらう(心臓への血液が戻りやすくなる)
・終了後すぐに起き上がらず、ゆっくり休んでから立ち上がる
・靴下・ひざ掛けで体を冷やさない
・「気分が悪い」「血圧が下がった感じ」はすぐスタッフに伝える
・体調・メンタルの変化も透析前に一言申告しておく

【知っておきたい最新の対処法】低温透析液・HDFという選択肢

日常生活のコツに加えて、医療側からのアプローチも紹介しておきます。CKD・透析関連領域ガイドラインでは、透析低血圧の対処として以下が有効とされています。

医療的対処法内容・効果
低温透析液の使用通常37℃前後の透析液を35〜36℃程度に下げることで、血管の収縮を促進し血圧低下を予防する効果がある
血液透析濾過(HDF)通常の血液透析よりも体液の変動が緩やかになるため、透析低血圧の頻度が下がる場合がある。現在日本では透析患者の約63%がHDFを受けている
昇圧薬の使用アメジニウムメチル硫酸塩・ミドドリン塩酸塩・ドロキシドパなどが使用される。根本解決ではないが、どうしても安定しない場合は選択肢のひとつ
除水速度の制限体重1kgあたり毎時0.13mlを超える急激な除水は心血管リスクを上げると報告されており、医師が除水速度を管理する

「低温透析液なんてあるの?」と初めて知った方もいるかもしれません。私も施設によってはすでに取り入れているケースがあるようです。もし低血圧が続いて困っているなら、担当医に「低温透析液やHDFで対応できませんか?」と相談してみるのも一つの手です。

 

軽い運動、続けてますか? 血圧安定への道

「透析患者は運動しちゃいけない」なんて思っていませんか? とんでもない! むしろ、適度な運動は血圧の安定にもつながると言われています。

運動をすることで、心臓や血管の機能が改善したり、自律神経のバランスが整ったりする効果が期待できます。特に、足の筋肉は「筋肉ポンプ」とも呼ばれていて、血液を心臓に送り返すポンプの役割をしています。足の筋力がつけば、透析中に足先に溜まりがちな血液を効率よく循環させることができ、低血圧の予防につながる可能性があります。

もちろん、激しい運動は禁物です。透析のない日に、ウォーキングをするとか、家でできる軽いスクワットやストレッチをするとか、それくらいで十分。私は車通勤しているので、会社内ではなるべくエレベーターを使わずに階段を使うとか、日常生活の中でちょこちょこ体を動かすようにしています。正直、疲れている時はサボりたくなりますけど。でも、続けた方が体調がいいのは確かなので、頑張っています。

参照:非透析日の運動療法【OFF HD エクササイズ】を紹介!

 

低血圧と上手に付き合うために—知っておきたいこと

透析低血圧は、多くの透析患者さんが経験する、ある意味「つきもの」のような症状かもしれません。完全に無くすことは難しいかもしれませんが、原因を知り、対処法・コツを試しながら、上手に付き合っていくことは可能です。

薬に頼る選択肢もあるけれど…

色々な対策をしても、どうしても透析中の血圧が安定しない場合、血圧を上げるお薬(昇圧剤)を使うこともあります。アメジニウムメチル硫酸塩(リズミック)・ミドドリン塩酸塩(メトリジン)・ドロキシドパなどが透析低血圧に対して使用されます。透析中に血圧が下がり始めた時に点滴から入れたり、予防的に使ったりすることもあります。

もちろん、薬には副作用のリスクもありますし、根本的な解決策ではないかもしれません。でも、毎回ひどい低血圧症状に苦しむよりは、お薬の力を借りて安全に透析を乗り切るというのも一つの有効な選択肢だと思います。私の場合は昇圧剤を処方されたことはないですが、もし低血圧が頻繁で本当につらい場合は、先生に相談して検討してみる価値はあると思います。

周囲の理解とサポートの大切さ

透析低血圧のツラさって、経験した人にしか分からない部分が大きいですよね。透析が終わった後の「あの何とも言えないだるさ、倦怠感…」。家族や職場の人に、「透析って大変なんだね」とは言われても、具体的にどんな症状で、どれくらいしんどいのか、なかなか伝わりにくいものです。

だからこそ、できる範囲でいいので、自分の状態を周りの人に伝えておくことが大切だと思います。「透析の日は、終わった後ぐったりしちゃうことがあるんだ」とか「血圧が下がると、こういう症状が出るんだ」とか。理解してもらうことで、例えば透析の日は少し早めに帰らせてもらえたり、家事を手伝ってもらえたり、精神的な支えになったりすることもあります。理解を得られると、仕事と治療の両立もしやすくなります。一人で抱え込まないこと。これも、透析生活を長く続けるコツかもしれません。

まとめ

この記事のまとめ
・透析低血圧(IDH)の定義:透析中に収縮期血圧が20mmHg以上低下、または症状を伴い平均血圧が10mmHg以上低下(JSDTガイドライン)
・発生頻度:透析患者の約20〜30%が経験(透析セッションの5〜30%で発生)
・主な原因は「急激な除水による血液量の減少」「ダイアライザーとの相性(血管拡張物質の産生)」「自律神経の乱れ」の3つ
・重度の場合は心筋梗塞・脳梗塞のリスクもあるため、絶対に我慢せずスタッフへ
・「常時低血圧」(透析前の収縮期血圧100mmHg未満)では除水不全→うっ血性心不全のリスクも
・症状を軽くするコツ:ドライウエイトの見直し・水分管理・足側を上げる・ゆっくり起き上がる・体を冷やさない
・医療的対処法:低温透析液・HDF(血液透析濾過)・昇圧薬(アメジニウム・ミドドリン等)
・適度な運動で足の「筋肉ポンプ」を鍛えることが血圧安定・QOL向上につながる
・一番大切なのは:我慢しないでスタッフに伝えること、そして一人で抱え込まないこと

透析低血圧はツラい症状ですが、決して乗り越えられない壁ではありません。あなたの透析生活を少しでも楽にするために、一緒に、前向きに透析生活を続けていきましょう!