アメリカ大統領の腎臓病対策|在宅透析・腎移植を進めた署名の現在地

2019年7月27日

アメリカ大統領の腎臓病対策|在宅透析・腎移植を進めた署名の現在地
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更新日: 2026年9月11日

アメリカ大統領の腎臓病対策と在宅透析・腎移植政策

2019年7月、アメリカから腎臓病に関する大きなニュースが入ってきました。

当時のトランプ大統領が、腎臓病対策を強化し、在宅透析や腎移植を増やす方針を打ち出したのです。

私自身、20年超透析を行っている患者として、このニュースを初めて知ったときにはかなり驚きました。

透析というと、日本では病院や透析クリニックへ週3回通い、1回4時間前後の血液透析を受ける姿を思い浮かべる人が多いでしょう。

ところがアメリカでは、国の政策として「透析施設へ通う治療だけではなく、自宅で行う透析や腎移植をもっと増やそう」という方向性が明確に示されたわけです。

ただし、ここで注意したい点があります。

2019年の大統領令が出たからといって、その政策が予定通り進み、現在も当時と同じ制度がそのまま続いているわけではありません。

2026年現在まで追ってみると、在宅透析は確かに増加しました。しかし、在宅透析や腎移植を増やすために導入された制度の一つは、期待されたほどの成果や医療費削減効果を確認できず、途中で終了しています。

その一方で、腎臓病の悪化を防ぐ仕組みや、腎移植を増やすための新しい制度は引き続き進められています。

つまり、この話は単に「トランプ大統領がすごい政策に署名した」という2019年のニュースだけでは終わりません。

アメリカが腎臓病医療をどう変えようとしてきたのか、そして実際には何がうまくいき、何が難しかったのかを見ることに意味があります。

この記事では、当時のニュースを振り返りながら、2026年時点の最新状況まで整理していきます。

2019年にトランプ大統領が署名した腎臓病対策とは?

アメリカ大統領令による腎臓病・透析・腎移植対策

2019年7月10日、当時のトランプ大統領は腎臓病対策を大きく見直す大統領令に署名しました。

政策全体は「Advancing American Kidney Health」と呼ばれ、直訳すると「アメリカの腎臓医療を前進させる」といった意味になります。

その方向性は大きく分けると次の3つです。

政策の柱内容
腎臓病の予防・進行抑制慢性腎臓病を早い段階で見つけ、腎不全へ進む患者を減らす
在宅透析の拡大透析施設中心の治療から、腹膜透析や在宅血液透析という選択肢を増やす
腎移植の拡大提供される腎臓を有効に活用し、腎移植を受けられる患者を増やす

特に注目されたのが、新たに腎不全治療を始める患者について、在宅透析または腎移植を選ぶ割合を大きく高めるという目標でした。

これはかなり思い切った政策です。

日本で透析治療を受けている私からすると、国が「施設血液透析だけに頼らず、在宅透析や腎移植をもっと増やす」と明確な数字を掲げること自体に大きなインパクトを感じました。

ただし、大統領令に署名したからといって、翌日から在宅透析や腎移植が急増するわけではありません。

患者への説明、医療スタッフの教育、設備、費用、移植病院、ドナー、臓器提供体制など、数多くの条件を整える必要があります。

「大統領令」は署名すれば何でもできる制度ではない

アメリカ大統領は行政機関に対して政策の実施方法を指示する大きな権限を持っています。

しかし、大統領令によって議会が作った法律そのものを自由に書き換えられるわけではありません。

予算が必要になれば議会との関係もありますし、内容によっては裁判所で争われることもあります。

「署名した=すべてが即座に実現する」ではなく、政府機関がその方針に基づいて具体的な制度を作っていくスタート地点と考えるほうが分かりやすいでしょう。

なぜアメリカは在宅透析と腎移植を増やそうとしたのか

そもそも、なぜアメリカ政府はここまで腎臓病対策へ力を入れたのでしょうか。

理由の一つは、腎不全の患者にかかる医療費です。

腎臓の働きが大きく低下し、透析や腎移植が必要になると、長期にわたって多額の医療費が必要になります。

アメリカでは一定の条件を満たす腎不全患者について、年齢にかかわらずメディケアという公的医療保険の対象となる仕組みがあります。

そのため腎不全治療は、患者個人だけの問題ではなく、国の医療費にも大きく関係してきます。

施設血液透析だけに集中していたことも課題だった

2019年当時、アメリカでも透析治療の中心は施設で受ける血液透析でした。

施設血液透析には大きなメリットがあります。

医師や看護師、臨床スタッフが近くにいて、治療中に問題が起きたときにも対応してもらえます。

一方で、患者側から見れば負担もあります。

負担具体例
通院週3回など決められた曜日に透析施設まで移動する
治療時間1回数時間の治療に加え、往復の移動時間が必要
仕事との調整勤務時間や残業、出張などに制約が生じやすい
旅行旅行先で臨時透析を探す必要がある
生活時間透析日を中心として予定を組むことになる

私自身も20年超透析を行っていますので、これは非常によく分かります。

治療そのものだけではなく、「透析へ行くための時間」まで生活の一部として組み込まれるからです。

だからこそ、自宅で治療できる選択肢が増えることには意味があります。

在宅透析とは?腹膜透析と在宅血液透析の違い

「在宅透析」と聞くと、自宅へ病院と同じ大型の透析装置を置くようなイメージを持つ人もいるでしょう。

しかし在宅透析には、主に腹膜透析(PD)と在宅血液透析(HHD)があります。

腹膜透析は自分の腹膜を利用する

腹膜透析は、お腹の中へ透析液を入れ、自分の腹膜を利用して余分な水分や老廃物を取り除く方法です。

自宅や職場などで行いやすく、通院回数を減らせる場合があります。

夜間に機械を使って自動的に透析液を交換する方法もあります。

ただし、誰でも選べるわけではありません。

カテーテルの管理や感染予防、透析液の保管などが必要で、患者本人や家族が一定の管理を行う必要があります。

在宅血液透析は自宅で血液透析を行う

在宅血液透析は、自宅へ透析装置を設置し、患者自身や介助者が治療を行う方法です。

施設透析よりも透析回数や時間を柔軟に組みやすいことが利点の一つです。

ただし、穿刺や装置操作、安全管理などを覚えるための十分な訓練が必要です。

住宅環境や水道設備、電気設備などの条件もあります。

在宅透析=楽な透析という意味ではありません。

通院負担が軽くなる可能性がある一方で、治療を自分で管理する責任が大きくなるからです。

そのため「施設透析より優れている」「全員が在宅透析にするべき」という単純な話ではありません。

患者の年齢、病状、生活環境、仕事、家族の協力、本人の希望などを考えながら決める必要があります。

アメリカでは在宅透析は本当に増えたのか

2019年当時の政策を振り返るうえで最も重要なのは、「実際に在宅透析が増えたのか」という点でしょう。

米国腎臓データシステムの統計では、新たに透析を開始した成人患者のうち在宅透析を利用する割合は、2012年の8.5%から2022年には14.5%まで上昇しています。

10年間で見ると、相対的には70%を超える増加です。

すでに透析を受けている患者全体でも、在宅透析の割合は2012年の10.2%から2022年には14.5%まで増えました。

米国の在宅透析2012年2022年
新たに透析を開始した成人8.5%14.5%
透析中の成人全体10.2%14.5%

数字だけを見ると、在宅透析は確実に増えています。

ただし、その中心は腹膜透析です。

2022年時点で、新たに透析を始めた患者のうち在宅血液透析を選択していた割合は0.4%程度にとどまっていました。

「在宅透析が増えた=在宅血液透析が一気に普及した」ということではありません。

ここは誤解しやすいポイントです。

政策の柱だったETCモデルは2025年末で終了

2019年の腎臓病政策を受けて、アメリカでは「ESRD Treatment Choices Model」、略してETCモデルという制度が2021年に始まりました。

この制度では、対象となる透析施設や医療従事者に対し、在宅透析や腎移植につながる取り組みを後押しするため、メディケアの支払いを調整する仕組みが設けられました。

患者へ在宅透析や腎移植について説明し、選択肢を増やす方向へ医療機関を動かそうとしたわけです。

ところが、ここが2019年当時の記事から最も大きく更新するべき部分です。

ETCモデルは当初の予定より早く、2025年12月31日で終了しました。

CMSは複数年の評価を行った結果、在宅透析や腎移植待機リストへの登録、医療費削減などについて、当初想定したほどの成果が確認できなかったことを終了理由として示しています。

つまり、2019年に掲げた方向性そのものが完全に否定されたというより、「医療機関への支払いを調整すれば在宅透析と腎移植が大きく増える」という制度設計には限界があったと見るほうが適切でしょう。

この点は患者目線でも重要です。

透析方法はお金だけで決まりません。

患者本人が在宅透析を希望するか、家族の協力があるか、住宅環境が整っているか、医療機関に教育できるスタッフがいるかなど、実際にはさまざまな条件が影響します。

ではアメリカは在宅透析・腎移植政策をやめたのか?

ETCモデルが終了したと聞くと、「アメリカは在宅透析や腎移植を増やす政策を諦めたのか」と感じるかもしれません。

しかし、そうではありません。

政策そのものは別の制度へ形を変えながら続いています。

Kidney Care Choicesでは透析になる前から支える

現在進められている一つが「Kidney Care Choices(KCC)」です。

KCCでは、すでに透析が必要になった患者だけを見るのではなく、慢性腎臓病がかなり進んだ段階から腎臓専門医などが連携して患者を支えます。

目標は大きく分けて、

  • 腎臓病の進行を遅らせる
  • 必要な場合でも、より計画的に透析を開始する
  • 在宅透析という選択肢を増やす
  • 腎移植につなげる

といったものです。

この制度は2022年に始まり、2026年現在も続いています。

「透析になってから治療法を選ぶ」のではなく、「透析になる前から将来の治療方法を考える」方向へ変わっていることが分かります。

腎移植はIOTAモデルでさらに拡大を目指す

腎移植についても新しい制度が始まっています。

それが「Increasing Organ Transplant Access Model(IOTA)」です。

IOTAは2025年7月1日に始まり、2031年6月30日までの6年間実施される予定です。

2026年7月からは第2年度に入り、対象となる腎移植病院が制度に参加しています。

IOTAでは単純に「移植件数を増やしてください」と呼びかけるだけではありません。

  • 提供された腎臓をできるだけ無駄にしない
  • 腎移植を受けられる患者を増やす
  • 生体腎提供を検討する人への支援を充実させる
  • 移植待機中の患者への説明や支援を改善する
  • 移植前後の医療連携を強化する

などが柱になっています。

2019年にトランプ大統領が打ち出した「腎移植を増やす」という方向性は、制度の形を変えながら2026年現在も続いていると考えられます。

腎移植なら透析をしなくて済む?知っておきたい現実

腎移植について、「移植をすれば透析から完全に解放される」と考える人もいます。

確かに、移植した腎臓が十分に働けば、透析を受けずに生活できる可能性があります。

食事や水分についても、透析治療中より自由度が高まる場合があります。

一方で、腎移植にも課題があります。

腎移植の特徴注意点
透析から離脱できる可能性移植腎が十分に機能した場合
生活の自由度通院透析に比べて高まる可能性がある
免疫抑制薬原則として継続して服用する
感染症免疫を抑えるため注意が必要
拒絶反応定期的な診察や検査が必要
移植腎永久に機能するとは限らない

私は20年超透析を行っていますが、透析と移植は単純に「どちらが正解」と言えるものではないと思っています。

本人の病状や年齢だけでなく、人生観や家族との関係も関わってくるからです。

大切なのは、選択肢そのものを知らないまま治療が決まってしまわないことでしょう。

アメリカと日本では腎臓病医療の仕組みが大きく違う

アメリカの政策を見る際には、日本へそのまま当てはめないことも重要です。

日本には国民皆保険制度があり、多くの透析患者は公的医療保険や各種助成制度を利用して治療を受けています。

一方のアメリカは、メディケア、メディケイド、民間医療保険など複数の制度が組み合わさっています。

そのため、患者負担や病院への支払い方も日本とは大きく異なります。

「オバマケア=日本型の国民皆保険」ではない

オバマケアとアメリカの医療保険制度

オバマケア、正式にはAffordable Care Act(ACA)は、アメリカ政府が全国民へ一つの公的医療保険を提供する制度を作ったものではありません。

民間保険を含む既存の仕組みを残しながら、保険に入りやすくしたり、低所得者向け制度の対象を広げたり、既往症がある人を保険から排除しにくくしたりする改革です。

日本の国民皆保険とは仕組みがかなり異なります。

アメリカと日本の透析政策を比較するときは、「医療保険制度そのものが違う」という前提を忘れないことが重要です。

日本では在宅透析や腎移植はどうなっている?

アメリカの取り組みを見ていると、どうしても気になるのが日本です。

日本では現在も施設で行う血液透析が中心です。

腹膜透析や在宅血液透析を選択する患者もいますが、全体から見ると少数です。

特に在宅血液透析については、設備や訓練、安全管理、対応施設などの条件があるため、希望すればすぐ始められる治療ではありません。

日本の腎移植では希望者と移植件数に大きな差がある

日本臓器移植ネットワークの公表値では、2025年末時点で腎臓移植を希望して登録している人は1万5,043人となっています。

一方、2024年に脳死下・心停止後の提供によって行われた腎臓単独移植は180件でした。

年度集計など数字の区切りによって件数は異なりますが、腎移植を待つ人の数に対し、提供される腎臓が限られているという基本的な状況は変わりません。

この違いを考えると、「アメリカのように腎移植を増やせばよい」と簡単に言える問題ではありません。

臓器提供に対する社会の理解、提供体制、移植病院の受け入れ能力などを含めた仕組み全体が必要だからです。

アメリカの政策から日本が学べる3つのこと

1.透析導入前から治療方法を知る

私が最も重要だと感じるのはここです。

腎臓の働きがかなり低下してから、突然、

「そろそろ透析です」

と言われれば、多くの人が動揺します。

私自身も透析導入を経験していますので、その不安はよく分かります。

だからこそ、腎機能が低下してきた段階から、

  • 施設血液透析
  • 腹膜透析
  • 在宅血液透析
  • 腎移植

といった治療方法について知っておくことに意味があります。

知ったうえで施設血液透析を選ぶのと、他の方法を知らないまま施設血液透析になるのとでは大きく違います。

2.患者の生活を含めて治療方法を考える

透析では検査値だけに目が向きがちです。

もちろん、カリウム、リン、貧血、血圧、体重などを管理することは重要です。

しかし患者が暮らしていくうえでは、

  • 仕事を続けられるか
  • 家族との時間を確保できるか
  • 通院できるか
  • 旅行できるか
  • 十分な睡眠を取れるか

といった問題も非常に重要です。

在宅透析を推進するアメリカの政策には医療費削減という面がありますが、患者側から見れば治療を生活に合わせるという意味もあります。

3.政策は目標だけではなく結果を見る

しかし実際には、在宅透析は増えた一方、政策手段の一つだったETCモデルは期待された結果を十分に示せず終了しました。

政策を見るときには「何を目標にしたか」だけではなく、「数年後に実際どうなったか」まで確認する必要があります。

これは日本の医療政策を見るときにも同じです。

透析患者として考える「選択肢がある」という意味

私は20年超透析を行ってきました。

長く透析を続けていると、透析そのものは日常生活の一部になります。

それでも、週3回透析へ通い、数時間の治療を受ける生活にはかなりの時間を使います。

仕事をしていれば勤務との調整があります。

旅行へ行こうと思えば旅行透析を探します。

体調が悪い日でも基本的には透析へ行かなければなりません。

だから私は、「在宅透析を増やす」「腎移植を増やす」というニュースを見ると、単なる医療政策としてだけではなく、患者の選択肢という観点から考えます。

もちろん、すべての透析患者が在宅透析に向いているわけではありません。

すべての透析患者が腎移植を希望するわけでもありません。

それでよいと思います。

問題なのは、選択肢が少ないことや、十分な説明を受けないまま一つの治療方法へ進んでしまうことです。

「施設血液透析を選ぶ自由」があるのと同じように、「腹膜透析を検討する自由」「在宅血液透析を検討する自由」「腎移植について相談する自由」がある。

私はその状態のほうが患者にとって望ましいと思っています。

在宅透析や腎移植が気になったらどうすればいい?

この記事を読んで「自分にも在宅透析ができるのだろうか」「腎移植について一度聞いてみたい」と思った人もいるでしょう。

その場合、インターネットの情報だけで判断する必要はありません。

まずは現在通院している腎臓内科や透析施設で相談してみてください。

例えば、次のように聞けば十分です。

  • 「腹膜透析は私でも選べますか?」
  • 「在宅血液透析を行っている施設はありますか?」
  • 「腎移植の適応について相談できますか?」
  • 「移植病院へ紹介してもらうことはできますか?」

腎移植について相談したからといって、必ず移植を受けなければならないわけではありません。

在宅透析について説明を聞いたからといって、現在の透析方法を変える必要もありません。

「知ること」と「選ぶこと」は別です。

まず情報を集め、自分の体や生活に合う方法を主治医や医療スタッフと一緒に考えていくことが大切です。

アメリカの在宅透析・腎移植政策についてよくある質問

トランプ大統領の2019年の腎臓病政策は現在も続いていますか?

2019年に掲げられた「腎臓病の進行を防ぐ」「在宅透析を増やす」「腎移植を増やす」という大きな方向性は、その後の制度にも引き継がれています。

ただし、当時の政策を実現するために導入された制度がすべて同じ形で続いているわけではありません。

ETCモデルは2025年末で終了し、2026年現在はKCCやIOTAなど別の制度が進められています。

アメリカでは透析患者の多くが自宅透析になったのですか?

いいえ。

在宅透析の割合は増えていますが、依然として施設血液透析を受けている患者が多くいます。

2022年時点では、新たに透析を開始した成人の14.5%が在宅透析でした。

しかも在宅透析の多くは腹膜透析で、在宅血液透析は少数です。

在宅透析なら施設透析より健康になりますか?

一概には言えません。

治療方法にはそれぞれメリットとデメリットがあります。

年齢、基礎疾患、住宅環境、自己管理能力、家族の協力などによって適した方法は異なります。

治療方法の変更を考える場合は、必ず腎臓専門医や透析スタッフと相談してください。

日本でも在宅血液透析はできますか?

できます。

ただし、対応している医療機関は限られており、本人や介助者の訓練、住宅設備、安全管理など一定の条件があります。

興味がある場合は現在通院している医療機関へ相談し、対応施設について確認してください。

腎移植について相談するのは透析を始めてからですか?

必ずしもそうではありません。

腎機能がかなり低下した段階で、透析導入前から腎移植について相談するケースもあります。

状況によっては透析を経ずに腎移植を行う「先行的腎移植」という選択肢もあります。

ただし適応は一人ひとり異なるため、専門医による評価が必要です。

まとめ|2019年の署名から見える腎臓病治療のこれから

2019年、当時のトランプ大統領が腎臓病対策を強化する大統領令に署名したニュースは、私にとってかなり印象的なものでした。

施設血液透析が中心だった医療を見直し、在宅透析や腎移植を増やそうと国が明確に打ち出したからです。

その後を2026年まで追ってみると、結果は単純な成功でも失敗でもありません。

項目2026年までの動き
在宅透析利用割合は長期的には増加
在宅血液透析在宅透析の中では現在も少数
ETCモデル十分な成果・支出削減が確認できず2025年末で終了
KCCモデルCKD段階から透析予防・在宅透析・移植につなげる政策として継続
腎移植IOTAモデルが2025年から開始され、2026年も継続

重要なのは、「在宅透析や腎移植を増やす」という理想を掲げるだけでは、患者の治療は簡単には変わらないということです。

患者への十分な説明、医療スタッフ、設備、費用、家族の支援、移植臓器の確保など、さまざまな条件がそろわなければなりません。

一方で、アメリカが「施設血液透析だけを当然の選択肢にしない」という方向へ動いてきたことは、日本の透析医療を考えるうえでも興味深いところです。

私自身、20年超透析を行ってきたからこそ思います。

透析患者にとって本当に大切なのは、国や病院が一つの治療方法を決めることではなく、自分の体と生活に合った治療を知り、納得して選べる環境ではないでしょうか。

施設血液透析を続ける。

腹膜透析を検討する。

在宅血液透析を調べる。

腎移植について相談する。

どれを選ぶにしても、まず選択肢を知るところから始まります。

2019年に始まったアメリカの腎臓病対策は制度を変えながら現在も続いています。

日本でも今後、透析導入前の支援、在宅透析、腎移植を含め、患者がより多くの選択肢を持てる医療になっていくのか。

透析患者の一人として、これからも注目していきたいと思います。

参照:「透析時間の決め方。えっ!4時間透析は【最低ライン】なの!?」