2026年7月20日


透析治療が始まると、治療そのものだけでなく、お金のことも大きな不安要素になります。「透析になったら、年金ってもらえるの?」「障害年金って聞いたことあるけど、自分も対象になるのかな?」「申請って難しそう…」——そんなふうに悩んでいませんか?
この記事では、私自身の経験も踏まえながら、透析患者の方が知っておきたい年金——特に障害年金——について、制度のキホンから申請方法、もらえる金額の受給額の目安まで、できるだけ分かりやすく解説します。
お金の不安を少しでも軽くして、治療に専念できるよう、一緒に見ていきましょう!この記事を読めば、透析患者の年金に関する疑問がきっと晴れるはずです。
まず、透析患者の方が検討すべき年金として最も重要なのが「障害年金」です。これは、病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金制度です。結構知らない方も多いんですが、透析治療を受けている方の多くが、この障害年金の対象となる可能性があります。
「年金」というと、どうしても高齢になってからもらう「老齢年金」のイメージが強いかもしれませんが、障害年金はそれとは別物。条件を満たせば、若い方でも受給できるのが大きな特徴ですね。私もこれで助けられてきました。
障害年金は簡単に言うと、国が用意しているセーフティネットの一つです。病気やケガで「以前のように働けなくなった」「生活に大きな支障が出ている」という状況になった時に、経済的なサポートをしてくれる仕組み。公的な保険制度なので、加入期間などの一定の条件を満たしていれば、請求することができます。
これ、知ってるのと知らないのとでは、精神的な負担も経済的な負担も全然違ってきます。私も透析導入当初は「これからどうなるんだろう…」って不安でいっぱいでしたけど、この制度があることを知って、少しだけ気持ちが楽になったのを覚えています。何せ20代の頃の話でしたから。
障害年金には、大きく分けて「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があります。どちらがもらえるかは、病気の原因となった傷病の初診日(初めて医師の診療を受けた日)に、どの年金制度に加入していたかによって決まります。
| 種類 | 対象者 | 特徴 |
|---|---|---|
| 障害基礎年金 | 初診日に国民年金加入中の方(自営業・フリーランス・学生・無職)、または20歳前に初診日がある方 | 定額が支給される(等級によって異なる) |
| 障害厚生年金 | 初診日に厚生年金加入中の方(会社員・公務員など) | 1・2級は障害基礎年金に上乗せして支給される。3級は厚生年金のみ |
ざっくり言うと、会社員だった方は厚生年金、それ以外の方は基礎年金、というイメージですね。ただ、「初診日がいつか?」というのがめちゃくちゃ重要になってきます。ここを間違えると、申請自体がスムーズに進まなかったり、最悪の場合、受給できなかったりすることもあるので注意が必要です。(私の場合は、学生のときに「初診日」があるので、「障害基礎年金」の対象となります。)
「透析を始めたら、自動的に障害年金がもらえるの?」と聞かれることがありますが、答えは「必ずしもそうではない」です。人工透析療法を受けている場合、多くは障害等級2級に認定される可能性が高いと言われています。でも、これはあくまで目安。
障害年金の受給には、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
| 要件 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ①初診日要件 | 障害の原因となった病気で初めて医師の診療を受けた日(初診日)が証明できること | 何年も前のカルテが必要になることも |
| ②保険料納付要件 | 初診日の前日において、一定期間、年金保険料を納めていること(免除期間なども含む) | 未納期間が長いと受給できない場合あり。最重要! |
| ③障害状態要件 | 障害認定日(初診日から1年6ヶ月後、または症状固定日。透析は開始から3ヶ月経過した日など特例あり)において、国が定める障害等級に該当すること | 透析患者は多くの場合2級に該当 |
⚠️ 「保険料納付要件」は特に重要!
正直に言うと、障害年金の申請って、ちょっと(いや、かなり?)手間がかかります。書類も多いし、専門用語も出てくるし…。私も「うわ、面倒くさそう…」って思いました。でも、諦めないでください!一つ一つステップを踏んでいけば、必ずゴールは見えてきます。大丈夫、私もできたんですから。
私は、学生時の健康診断で異常が見つかって、近所のクリニックに行ったのが最初でした。小さな個人医院で、授業の合間に通っていました。幸いにもカルテが残っていましたが、もし閉院していたら…と思うとヒヤリとします。
また、そもそも自分がどの年金制度に加入している期間があるのか、保険料の納付状況はどうなっているのかを、年金事務所や「ねんきんネット」で先に確認しておくのも大切です。「初診日」と「保険料納付要件」の2つがクリアできないと、その先のステップに進めません!
申請に必要な書類の中で、最も重要なものの一つが「診断書」です。これは、現在のあなたの障害の状態を証明するもので、主治医の先生に作成をお願いすることになります。
透析患者の場合は「腎疾患・肝疾患・糖尿病用」の診断書様式を使って、日常生活の状況や検査数値などを詳しく書いてもらう必要があります。
医師も忙しいので、こちらからしっかり情報提供しないと、実態に合った診断書を書いてもらうのが難しい場合もあります。良い診断書を書いてもらうことが、適正な等級認定につながります。
もう一つ、自分で作成する必要がある重要な書類が「病歴・就労状況等申立書」です。発病から現在までの経過や、日常生活・仕事でどのような支障が出ているかを、自分の言葉で書いて説明するものです。
診断書が「医学的な視点」からの証明だとすれば、この申立書は「生活者としての視点」からの訴え、みたいな感じですね。
できるだけ具体的に、正直に。診断書だけでは伝わらない「生活のしづらさ」を伝える、非常に重要な書類です。私が自分で書いたときは、父母・兄弟姉妹と協力してもらって、客観的な視点も入れてもらいました。家族や身近な人に相談してみるのも良いかもしれません。
必要な書類が一通り揃ったら、いよいよ提出です。申請窓口は、どの年金制度に請求するかによって異なります。
| 年金の種類 | 申請窓口 |
|---|---|
| 障害基礎年金 | お住まいの市区町村役場の国民年金担当窓口、または年金事務所 |
| 障害厚生年金 | お近くの年金事務所 |
提出は窓口持参または郵送でも可能です。不備があると差し戻されて時間がかかってしまうので、提出前にしっかりチェックしましょう。年金事務所の窓口で相談しながら進めるのが確実です!
一番気になるのは、やっぱり「いくらもらえるのか?」という点ですが、障害年金の受給額は障害等級や加入していた年金制度、家族構成などによって変わってきます。
障害基礎年金の金額は、障害等級によって国が定めた定額が支給されます。年金額は毎年度改定されます。
| 等級 | 年額(2026年度) | 月額換算 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 1級 | 1,059,125円 | 約88,260円 | 2級の1.25倍 |
| 2級(透析患者の多くはこちら) | 847,300円 | 約70,608円 | 透析患者の原則的な等級 |
| 子の順番 | 加算額(年額) |
|---|---|
| 第1子・第2子 | 各 243,800円 |
| 第3子以降 | 各 81,300円 |
例:2級+子ども2人の場合 → 847,300円+243,800円×2 = 年約133万円(月約11万円)
障害厚生年金は「報酬比例の年金額」といって、これまでの厚生年金加入期間や納めてきた保険料(概ねお給料の額)によって金額が変わります。
| 等級 | 支給内容 |
|---|---|
| 1級 | (報酬比例の年金額×1.25)+ 配偶者加給年金 + 障害基礎年金1級(子の加算含む) |
| 2級(多くの透析患者が該当) | 報酬比例の年金額 + 配偶者加給年金 + 障害基礎年金2級(子の加算含む) |
| 3級 | 報酬比例の年金額のみ(最低保障額:年635,500円) |
「配偶者加給年金」(2026年度:年239,300円)は、生計を維持されている65歳未満の配偶者がいる場合に加算されます(1・2級のみ)。
自分の正確な見込み額を知りたい場合は、年金事務所で試算してもらうのが一番確実です。「ねんきん定期便」などでも、ある程度の目安は確認できます。
障害年金は、基本的に非課税です。所得税も住民税もかかりません(これは地味に嬉しいポイントですよね)。
また、障害年金を受給しながら働くことも可能です。ただし、障害厚生年金の場合、働き方や収入によっては支給が調整されたり停止されたりする可能性はゼロではありません。透析(腎疾患)の場合は、就労していること自体が直ちに支給停止につながるケースは少ないと言われています。念のため年金事務所に確認しておくと安心ですね。
また、老齢年金や遺族年金など、他の公的年金を受け取る権利がある場合は、原則としてどれか一つを選択することになります(併給できる組み合わせもありますが、少し複雑です)。これも自分にとって一番有利な選択をするために、しっかり確認が必要です。
透析治療には医療費もかかりますし、生活全般に影響が出ますよね。障害年金以外にも、透析患者が利用できる経済的な支援制度がいくつかあります。これらをうまく活用することで、負担を少しでも軽減できる可能性があります。
透析患者にとっては”必須アイテム”と言っても過言ではありません。「マル長」なんて呼ばれたりもします。健康保険の仕組みなのですが、申請することで交付され、透析治療にかかる医療費の自己負担限度額が、原則として月額1万円(所得によっては2万円)になる制度です。
| 対象 | 月額自己負担限度額 |
|---|---|
| 一般的な所得の70歳未満の透析患者 | 1万円 |
| 高所得者(国保:基礎控除後の総所得600万円超 / 健保:標準報酬月額53万円以上) | 2万円 |
透析治療は高額な医療費がかかりますが、この制度のおかげで多くの患者が治療を継続できています。まだ申請していない方は、すぐに加入している健康保険(協会けんぽ、健康保険組合、市区町村の国民健康保険など)に問い合わせてみてください。
人工透析を受けている方は、原則として身体障害者手帳1級の交付対象となります(障害年金の等級とは別物なので注意してください)。この手帳を持っていると、様々な福祉サービスを受けることができます。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 税金の優遇 | 所得税・住民税の障害者控除、自動車税などの減免 |
| 交通費の割引 | JR・バス・タクシー・高速道路料金の割引 |
| 公共施設 | 美術館・博物館・動物園・映画館などの入場料割引または免除 |
| 通信費 | 携帯電話料金の割引、NHK受信料の減免 |
| 自治体独自サービス | 福祉タクシー券の支給など(自治体によって異なる) |
これも申請しないともらえません(日本は申請主義!)。お住まいの市区町村の福祉担当窓口で手続きについて聞いてみましょう。私も手帳のおかげで、遠方に出かける際はJRの運賃割引には本当に助かっています。意外といろんなところで割引がきくので、お出かけの際には常に持ち歩いています。
もし、透析導入前後や体調不良で会社を長期間休まなければならなくなった場合、健康保険の制度に傷病手当金というものがあります。これは休業中の生活保障として給与のおおむね3分の2程度が支給される制度です。
障害年金とは別に申請できます。ただし、同じ病気やケガで障害厚生年金も受給できるようになった場合、傷病手当金の額が調整されることがあります。会社の担当部署や健康保険組合に確認してください。
どうしても生活が困窮してしまった場合には、生活保護制度があります。これは日本国憲法第25条第1項で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」を送るために、国が生活費や医療費などを援助する制度です。
資産や能力、他のあらゆる制度を活用してもなお生活が困難な場合に利用できる、最後のセーフティネット。本当に困ったときには、ためらわずに市区町村の福祉事務所に相談してください。
障害年金の申請は、スムーズにいけばいいですが、時には壁にぶつかることもあります。私自身の経験や、周りの透析仲間から聞いた話も交えながら、いくつかポイントをお伝えします。
とにかく書類集めと作成が大変です。私はバスキュラーアクセスの手術をしたときに、入院期間が長引いたため、家族に手伝ってもらいました。代理人として依頼しましたが、収集できる書類は限られてきます…。年金事務所の窓口で必要書類一覧をもらっても「え、こんなに?」って思うこと、多々。特に初診日の証明や、病歴・就労状況等申立書の作成は時間がかかります。
最初に申請したときは、透析導入でさえもヘトヘトなのに、さらにこの書類準備か…と、正直、心が折れそうになりましたね。平日は転職活動・病院探しを兼ねながら何度も年金事務所に足を運ぶのは一苦労でした。
でも、「ここで諦めたら、今後の生活が…」と思い直し、一つ一つクリアしていくしかありませんでした。週末にまとめて書類を書きながら、完璧は目指さず、まずは分かる範囲で書き進めて、分からないことは年金事務所に聞いたり窓口で相談したりしながら進めました。焦らず、根気強く取り組むことが大事だと思います。
残念ながら、申請しても必ずしも認定されるとは限りません。「不支給」や、想定していたよりも低い等級で「決定」されることもあります。
| 結果 | 次の手段 | ポイント |
|---|---|---|
| 不支給・等級が低い | 審査請求(決定から3ヶ月以内) | なぜ不支給になったかを確認し、書類を見直して再挑戦 |
| 審査請求でも不服 | 再審査請求(審査請求の決定から2ヶ月以内) | 社会保険労務士さんへの相談も有効 |
私の知り合いでも、一度不支給になった後、書類を見直して再チャレンジし、無事に受給が決まったケースがあります。すぐに諦めないでほしいです。
「自分だけで申請するのは不安…」「書類作成が複雑でよく分からない…」という方には、障害年金申請の専門家である社会保険労務士(社労士)さんに相談するという選択肢もあります。
| 内容 | |
|---|---|
| メリット | ・複雑な手続きを代行してくれる→手間と時間の大幅節減 ・専門的な知識に基づいた適切な書類作成とアドバイス ・不服申し立て(審査請求など)も任せられる場合がある |
| デメリット | ・費用がかかる(着手金+成功報酬が一般的) ・社労士さんによって得意分野や経験が異なる |
費用は決して安くはありませんが、それで年金受給につながるのであれば、結果的にプラスになる可能性も高いです。私は自力でやりましたが、無料相談を実施している社労士事務所も多いので、まずは話を聞いてみるのも良いかもしれません。
使える制度があるのに、知らないままでいるのは本当にもったいないです。この記事でお伝えしたかったのは、「障害年金は透析患者にとって、生活を支えるための非常に重要な制度である」ということ。申請は確かに大変ですが、その先にある経済的な安心感は、計り知れないものがあります。
今はインターネットでもたくさんの情報が得られますし、年金事務所や市区町村の窓口、病院のソーシャルワーカーさんなど、相談できる場所もたくさんあります。一人で抱え込まずに、まずは情報を集め、一歩を踏み出すことが大切です。
私も透析導入当初は、将来への不安で眠れない夜もあり、「転職はできるだろうか」「家族に迷惑をかけるんじゃないか」などなど色々考えていました…。でも、障害年金や様々な支援制度のことを知り、実際に手続きを進めていく中で、少しずつ前向きな気持ちになれました。
今まさに年金のことで悩んでいるあなた、ご家族の皆さんにとって、少しでもお役に立てればと思います。使える制度はしっかり活用して、少しでも安心して透析治療と向き合っていきましょう。
| 制度名 | 内容 | 申請先 |
|---|---|---|
| 障害基礎年金(2級) | 年847,300円(月約70,608円)+子の加算(2026年度) | 市区町村 or 年金事務所 |
| 障害厚生年金 | 報酬比例+基礎年金+配偶者加給年金(人によって異なる) | 年金事務所 |
| 特定疾病療養受療証 | 透析の月額自己負担を1万円(高所得者2万円)に抑える | 加入健康保険の保険者 |
| 身体障害者手帳 | 税控除・交通割引・公共施設割引など多彩な福祉サービス | 市区町村の福祉担当窓口 |
| 傷病手当金 | 休職中に給与の約2/3を通算1年6ヶ月支給(会社員対象) | 加入健康保険の保険者 |
| 生活保護 | あらゆる制度を使っても困窮する場合の最後のセーフティネット | 市区町村の福祉事務所 |
年金の不安を解消するための第一歩は、「どんな制度があるかを知ること」です。透析患者だからこそ使える制度が複数あります。ぜひ積極的に情報を収集し、活用してみてください。