2026年7月15日

更新日: 2026年10月13日

人工透析を受けていると、必ず気になるのが「お金」の問題です。病院では「自己負担は少なくて済む」と説明されても、実際にかかる費用や手続きは複雑で、わかりにくいことも多いですよね。
私自身、20年超透析を行っている現役患者として、治療費や生活費と向き合いながら暮らしています。だからこそ、「もっと患者に寄り添った情報が必要だ!」と感じ、この記事を書くことにしました。
この記事では、「透析費用のリアルな実費内訳」と「自己負担を減らすための具体的なアクション」に絞って解説します。制度の仕組みや保険適用の概要については、以下の姉妹記事もあわせてご覧ください。
この記事を読めば、透析費用の不安が少しでも軽くなるはずです。一緒に、お金の悩みを整理していきましょう!
人工透析の治療費は、1回あたり約3万円と言われています。これは「医療費全体の額」で、実際に病院が保険組合や自治体に請求する金額です。週に3回透析を行う場合、1か月では12回程度になるため、単純計算で月40万円弱。年間では480万円ほどのコストになります。
とはいえ、私たち患者がこの全額を負担するわけではありません。日本では公的医療保険が適用されているため、さらに「特定疾病療養受療証(マル長)」が適用されると、自己負担は月額1万円〜2万円で済む仕組みです。
ただし、これ以外に食事代・薬代・交通費は別途自己負担となるので、「透析の窓口負担は安くても、トータルは意外とかかる…」と実感する場面が多いのも事実です。
透析には大きく分けて「血液透析(HD)」と「腹膜透析(PD)」の2種類があります。費用の面では、一般的に血液透析の方が高くなります。血液透析は病院やクリニックに通う必要があり、1回あたりの医療費が高額になりやすいのが特徴です。
一方、腹膜透析は自宅で行うことができ、通院回数も減りますが、専用の器具や溶液が高額です。また、自己管理が必要なため、感染症対策のためのコストもかかります。私の場合は血液透析ですが、通院の交通費や食事の準備など、直接的な医療費以外にも地味に出費が続くのが悩みどころです。
| 費用項目 | 金額(目安) |
|---|---|
| 血液透析(12回/月)の医療費総額 | 約360,000円 |
| 保険適用後(3割負担) | 約108,000円 |
| 特定疾病療養受療証(マル長)適用後 | 上限10,000円〜20,000円 |
| その他(薬代・食事代など) | 5,000〜30,000円 |
月額:10,000〜50,000円(個人差あり)/年間:約120,000〜600,000円(他の医療費含む)
私のケースでは、特定疾病療養受療証のおかげで透析の窓口負担は月1万円で済んでいますが、薬代や交通費を合わせると、だいたい月に3万円程度かかっています。
2026年現在、透析治療費そのものは大きく変わっていませんが、物価上昇の影響で薬代や交通費がじわじわと上がっている印象です。特に送迎サービスが有料化されたクリニックもあり、交通費が以前より負担になってきた患者も少なくありません。
また、2026年6月から入院時食事療養費の標準負担額が改定され、一般所得の方は1食460円から550円へ引き上げられました。これは食材費・光熱費の高騰を受けた見直しです。
| 所得区分 | 改定前(〜2026年5月) | 改定後(2026年6月〜) |
|---|---|---|
| 一般(現役並み所得含む) | 1食 460円 | 1食 550円 |
| 低所得Ⅱ | 1食 240円 | 1食 270円 |
| 低所得Ⅰ | 1食 110円 | 1食 130円 |
1日3食・一般所得者の場合、1日1,650円、1週間入院で11,550円、1か月なら約49,500円の計算です(改定前より約2,700円/月の増加)。入院を伴う透析患者にとっては確実に負担が増える改定なので、知っておく必要があります。
加えて、高額療養費制度の自己負担限度額が2026年8月から引き上げられました(健康保険法等改正、2026年8月1日施行)。年収約370〜770万円の区分では月額上限が80,100円から85,800円に変わっています。ただし、透析患者の多くが使う「特定疾病療養受療証(マル長)」の月1万円・2万円の特例枠は、この改正とは別枠です。現時点でこの特例額が引き上げられるという発表は出ていませんが、制度は今後も変わる可能性があるため、最新情報を保険者(協会けんぽ・健保組合・市区町村)で確認する習慣をつけておきましょう。
透析患者にとって絶対に忘れてはいけないのが「特定疾病療養受療証」です。これは、透析治療を受ける際に、自己負担額の上限を月額1万円(または2万円)に抑えてくれる制度です。
交付を受けるには、加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合・国民健康保険など)の窓口で申請します。申請書は病院のソーシャルワーカーさんや事務スタッフに確認するとスムーズです。私も最初は「どこで何をすればいいの?」と混乱しましたが、病院の案内通りに手続きしたらすぐに受け取れました。
| 区分 | 月額自己負担上限額 |
|---|---|
| 一般所得者 | 1万円 |
| 上位所得者(標準報酬月額53万円以上など) | 2万円 |
ちなみに私の場合、年金受給と会社員収入の範囲なので「1万円」で済んでいます。これがあるのとないのとでは、本当にお財布事情が違ってくるので、申請は必須です。
大切なのは、この受療証は「1つの医療機関ごと」に発行されるということ。たとえば、A病院で透析をしている場合、A病院での自己負担が1万円または2万円になりますが、B病院に行って別の治療を受けるとそれは別カウントです。さらに、薬局や入院はそれぞれ別枠扱いになります。
A病院:外来透析 → 月1万円
A病院:入院治療 → 月1万円(別枠)
C薬局:薬 → 月1万円(別枠)
実際、私は入院と外来を同じ月に経験したことがありますが、「透析外来は1万円、入院はさらに1万円」支払うことになりました。これが意外と負担になるので、必要があれば高額療養費制度の併用も考えるといいですね。
注意点は「有効期限がある」ということ!たとえば、年度ごとに更新が必要な場合があり、その都度手続きしないと無効になって自己負担が増えることも。私も1回うっかり更新を忘れて、1か月分の自己負担が増えた経験があります…。病院からの案内をしっかりチェックし、早めに更新手続きを済ませましょう。
この制度は、身体障害者手帳1級または2級を持っている人が対象で、医療費の自己負担分をさらに助成してくれる制度です。透析を受けていると、ほとんどの場合で身体障害者手帳1級の認定を受けられるので、対象となります。
自治体によって内容は違いますが、医療費の全額助成や自己負担分の返還などがあります。例えば私が住んでいる地域では、月1万円の自己負担を後から申請して払い戻しが受けられます(後払いですが、かなり助かります!)。
1級の認定を受けていると、医療費助成だけでなく、福祉サービスや交通費の補助も受けられます。
活用できるサービスは思った以上に多いんです。申請は面倒に感じるかもしれませんが、役所の窓口で親切に教えてもらえるので、ぜひ一歩踏み出してみましょう。
自立支援医療制度は、心身に障害のある人が社会生活を送るためのサポートをする制度です。透析はその対象となっており、原則1割負担に軽減される仕組みになっています。特に低所得世帯の方は、この制度を使うことで経済的負担がかなり軽くなるのが特徴です。
ただし、利用には条件があります。身体障害者手帳を取得していること、および自立支援医療機関の指定を受けている病院・クリニックで治療を受けることが基本です。
自立支援医療制度は所得制限があり、世帯の市町村民税額(所得割)が235,000円以上の場合は原則として対象外となります。ただし、透析のような高額治療を継続している「重度かつ継続」に該当する方については、令和9年(2027年)3月31日まで経過措置として引き続き対象となります(令和9年4月以降の取り扱いは未定)。今後の制度動向に注目しておきましょう。
また、自立支援医療制度は「特定疾病療養受療証」と併用が可能ですが、申請の際は「どちらが適用されるか」窓口で確認が必要です。役所や病院に相談しながら進めるのがベストです。
| 段階 | 適用する制度 | 患者の自己負担(月額・目安) |
|---|---|---|
| 制度なし | なし(3割負担のみ) | 約12万円 |
| ①適用後 | 特定疾病の特例(マル長) | 1万円(上位所得者は2万円) |
| ①②適用後 | 特定疾病+自立支援医療 | さらに軽減(所得区分により異なる) |
| ①②③適用後 | 特定疾病+自立支援医療+障害者医療費助成 | 実質ゼロになる自治体もある |
公的助成制度は国の制度もありますが、細かい部分は自治体ごとに違います。助成金の金額、対象となる医療機関の範囲、交通費の補助や送迎サービスなど、かなりバラつきがあります。「隣の市は交通費の補助があるのに、うちの市はない…」なんてこともよくあります。なので、まずは自治体の「福祉課」「障害福祉課」「健康保険課」に問い合わせるのが第一歩です。
私の病院でも異なる市町村から来る透析患者さんが来ますが、”自治体による違い”を痛感しました…。出張など転居の予定がある人は、そのあたりも事前に調べておくと安心ですよ。
「分からないことはそのままにしない」のが、一番のコツだと思います。
透析患者が入院したときに意外と負担に感じるのが「食事療養費」です。透析治療の自己負担は軽減されても、入院時の食事は別料金になってしまいます。
2026年6月からの改定後、入院時の食事代は次のようになっています。
| 所得区分 | 2026年6月1日以降(1食) |
|---|---|
| 一般(現役並み所得含む) | 550円 |
| 低所得Ⅱ | 270円 |
| 低所得Ⅰ | 130円 |
1日3食で考えると、一般所得者なら1日1,650円、1週間入院で11,550円、1か月なら約49,500円という計算になります。私もPTA(経皮的血管形成術・経皮的シャント拡張術)で、2,3日入院しました。ふだんの透析では病院で出される食事は摂っていません。高い!というのは知っていました、これ1か月に換算したら…と考えると躊躇しちゃうんですね。2,3日ですけど食事代の請求にびっくりしました…。このように、入院の長期化が予想される場合は、事前に高額療養費制度や自立支援医療制度の併用を相談するといいですね。
透析患者は薬の処方もかなりの頻度であります。リン吸着薬、活性型ビタミンD、貧血の治療薬(エリスロポエチン製剤など)などですね。薬局で薬を受け取るときは、「特定疾病療養受療証」の範囲外なので、別に自己負担がかかるのが現実です。自立支援医療制度を適用できれば1割負担になる場合もありますが、条件があるためしっかり確認を。
私の例だと、月に3,000円〜5,000円くらい薬代がかかっています。病院側ではジェネリック薬品(後発品)に切り替えたりしているようですが、医師と相談しながら薬を整理してもらうことで、少し負担を軽減してもらうのも良いでしょう。
通院費も見落としがちな出費です。特に送迎サービスがない病院に通っていると、バス代・タクシー代・ガソリン代などがバカになりません。
| 我が家の通院費(月) | 金額 |
|---|---|
| タクシー代(月4回) | 12,000円 |
| 自家用車のガソリン代 | 3,000円 |
| 駐車場代 | 1,000円 |
| 合計 | 約16,000円 |
/*/*
自治体によっては交通費の助成がある場合もあるので、必ずチェックしましょう。ちなみに、私は地方住みですので、車は欠かせませ。よって、ガソリン助成券を使えるようになり、かなり助かっています。
一昔なら、保険に入れることはなく断られました。今はまだ少ないが、透析患者でも入れる民間の医療保険や共済が出てきています。県民共済や生協共済などは加入しやすく、給付金が受け取れるケースもあります。ただし、加入前の病歴によっては入れない場合や、給付に制限があるなどのケースもあり、注意が必要です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 透析自己負担 | 10,000円 |
| 薬代 | 4,000円 |
| 交通費 | 16,000円 |
| 入院食事代(該当月のみ) | 0〜49,500円 |
| 日常生活用品 | 5,000円 |
| 合計 | 約35,000円〜85,000円 |
あくまで一例ですが、透析費用は「自己負担が少なく見えても、トータルで考えると結構かかる」ということを実感しています。

医療費控除は、透析患者にとって絶対に利用すべき節約術の一つです。1年間(1月1日〜12月31日)でかかった医療費の合計が10万円を超えると、確定申告をすることで税金が還付される可能性があります。
透析患者は通院回数が多く、医療費や交通費がかさむので、簡単に10万円を超えてしまいます。私の場合、毎月の自己負担や薬代、交通費、さらに入院費用などが年間30〜50万円ほどになるので、しっかり申告しています。
医療費控除の対象となる費用:
| 内容 | 金額 |
|---|---|
| 透析自己負担 | 120,000円 |
| 薬代 | 60,000円 |
| 通院交通費 | 150,000円 |
| 入院・食事療養費 | 40,000円 |
| 合計 | 370,000円 |
これを申告することで、数万円の税金が還付されることも!医療費の領収書や交通費の記録はしっかり保管しておきましょう。なお、各種助成を受けた後の実質自己負担額が控除の基準となります。補填された部分は医療費控除の対象外なので、自己判断が難しい場合は税務署や税理士にご相談ください。
高額療養費制度は、医療費が一定額を超えたときに払い戻しを受けられる制度です。透析の場合、特定疾病療養受療証で自己負担が月1万円〜2万円に抑えられるため、透析単独では利用頻度は少ないかもしれません。しかし、入院や別の病気で治療を受けた場合などは、活躍することがあります。
「限度額適用認定証」を事前に取得しておけば、窓口での支払い自体を抑えることができます。入院や手術の予定がある場合は、早めに申請しておくのがおすすめです。また、マイナ保険証(マイナンバーカードの保険証利用)を登録済みの方は、限度額適用認定証の事前申請なしで窓口での自動適用が受けられる場合があります。
透析は一人で受けるものではありません。家族や支援者の協力があってこそ、治療も生活も続けられると私は感じています。家族で情報共有することが節約の第一歩です。
私の病院に通う患者さんのなかに、家族と「制度チェック表」を作って管理しているという方がいました。「制度チェック表」を冷蔵庫に貼っておき、みんなが確認できるようにしているおかげで、申請漏れや期限切れがなくなったというのです。また、日々の生活費も「どこを節約するか」を家族で決めて、外食を控えたり、買い物をまとめ買いにしたりしています。「可視化」というもので、これが意外と効果的。月5,000円〜1万円の節約につながっていますといいます。
透析患者にとって情報取得は大事なことです。全国腎臓病協議会(全腎協)や地域の患者会では、定期的に勉強会や情報交換会が開かれていますね、参加することはおすすめです。私も患者会で知り合った方から「うちの市ではこんな補助があるよ」と教えてもらい、実際に申請してみました。
また、最新の制度情報やリアルな生活のコツは、SNSから得られることが多いですね。「この自治体は送迎サービスがある!」「自立支援医療の申請でこうすると早い!」といったものです。いずれにしても「情報は力なり!」自分から積極的に取りに行く姿勢が、負担軽減に直結します。
透析は長期にわたる治療なので、未来を見据えた準備が大切です。私は毎月「医療費専用の貯金」をしています。具体的には、月5,000円〜1万円を「医療費口座」に入れておき、急な入院や治療費の増加に備えています。とにかく理由もなく貯金を崩したり、私用で利用すことはあってはなりません。
突発的な出費があっても慌てずに済むので、精神的にも楽になります。また、制度をしっかり利用して、できるだけ出費を抑えることが、この「医療費貯金」を続けるコツにもなっています。家計の中で「医療費のため」と決めておくと、お金が減る不安も少なくなります。
透析治療は長期にわたるため、経済的な負担が大きくなりがちです。しかし、日本の医療制度は透析患者をサポートするための様々な制度を用意しています。これらの制度を理解し、適切に活用することで、経済的な負担を軽減し、安心して治療を続けることができます。
この記事のまとめ 特定疾病療養受療証(マル長)を必ず申請:自己負担を月1万円または2万円に抑えられます。2026年8月の高額療養費改定の影響を受けない別枠の特例です 公的助成制度は3つを順番に組み合わせる:①マル長→②自立支援医療→③障害者医療費助成制度の順に活用。自治体によっては自己負担がゼロになる場合も 2026年6月から入院時の食事代が改定(一般:1食550円)。入院が長引く場合は事前に制度の併用 医療費控除・高額療養費制度も忘れずに:年間医療費の申告で税金還付、別の病気の入院時には限度額適用認定証(またはマイナ保険証)を活用 家族と「制度チェック表」を共有:更新期限・申請漏れを防ぐのが実質的な節約術に 医療費専用の貯金を月5,000〜1万円積み立てる:突発的な入院や費用増に備え、精神的な安心感 |
透析は、決して一人で抱え込む必要はありません。家族や医療機関と協力し、制度を最大限に活用することで、安心して治療を続けることができます。この記事が、あなたの透析ライフを支える一助となれば幸いです。