2026年7月15日


人工透析を受けていると、必ず気になるのが「お金」の問題です。病院では「自己負担は少なくて済む」と説明されても、実際にかかる費用や手続きは複雑で、わかりにくいことも多いですよね。
私自身、20年超透析を行っている現役患者として、治療費や生活費と向き合いながら暮らしています。だからこそ、「もっと患者に寄り添った情報が必要だ!」と感じ、この記事を書くことにしました。
医療制度も少しずつ変わってきています。この記事では、最新の情報をもとに「透析にかかる費用」と「自己負担額の抑え方」をわかりやすく解説していきます。また、実際に私が利用している制度や、生活で役立った工夫もご紹介します。
これから透析を始める方はもちろん、家族や支援者の方にも参考になる内容になっています。この記事を読めば、透析費用の不安が少しでも軽くなるはずです。一緒に、制度やお金の悩みを整理していきましょう!
人工透析の治療費は、1回あたり約3万円と言われています。これは「医療費全体の額」で、実際に病院が保険組合や自治体に請求する金額です。週に3回透析を行う場合、1か月では12回程度になるため、単純計算で月40万円弱。年間では480万円ほどのコストになります。
とはいえ、私たち患者がこの全額を負担するわけではありません。日本では公的医療保険が適用されているため、原則として3割負担(年齢や所得により異なる)が基本ですが、さらに「特定疾病療養受療制度」が適用されると、自己負担は月額1万円〜2万円で済む仕組みです。
ただし、これ以外に入院時の食事代や薬代、交通費は別途自己負担となるので、実質的に「透析だけなら安いけど、トータルは意外とお金がかかるな…」と実感する場面が多いのも事実です。
透析には大きく分けて「血液透析(HD)」と「腹膜透析(PD)」の2種類があります。費用の面では、一般的に血液透析の方が高くなります。血液透析は病院やクリニックに通う必要があり、1回あたりの医療費が高額になりやすいのが特徴です。
一方、腹膜透析は自宅で行うことができ、通院回数も減りますが、腹膜透析に必要な専用の器具や溶液が高額です。また、PDは自己管理が必要なため、感染症対策のためのコストもかかります。
私の場合、血液透析ですが、通院の交通費や食事の準備など、直接的な医療費以外にも地味に出費が続くのが悩みどころです。
もし日本の保険制度がなかった場合、透析にかかる費用は自己負担100%で、年間480万円以上になります。しかし、健康保険が適用されれば3割負担、さらに特定疾病療養受療証があれば1〜2万円が上限になります。
ここで重要なのは、医療機関が1つに限られている場合の話ということ。たとえば「A病院で透析」「B病院で他の治療」「C薬局で薬の処方」という場合、それぞれ別に自己負担上限がかかることがあります。
この点は、後述する制度や窓口でしっかり確認するのが大切です。
実際の透析費用の計算は、以下のようになります。
| 費用項目 | 金額(目安) |
|---|---|
| 血液透析(12回/月) | 約360,000円 |
| 保険適用後(3割負担) | 約108,000円 |
| 特定疾病療養受療証 | 上限10,000円〜20,000円 |
| その他(食事・薬代) | 5,000〜30,000円 |
月額:10,000〜50,000円(個人差あり)
年間:約120,000〜600,000円(他の医療費含む)
私のケースでは、特定疾病療養受療証のおかげで、自己負担は月1万円で済んでいますが、薬局での薬代や交通費を合わせると、だいたい月に3万円程度かかっています。
2026年現在、透析治療費そのものは大きく変わっていませんが、物価上昇の影響で薬代や交通費がじわじわと上がっている印象です。特に送迎サービスが有料化されたクリニックもあり、交通費が以前より負担になってきた患者も少なくありません。
また、2026年6月から入院時食事療養費の標準負担額が改定され、一般所得の方は1食460円から550円へ引き上げられました。これは食材費・光熱費の高騰を受けた見直しで、低所得の方(低所得Ⅱ)は240円から270円へ、低所得Ⅰの方は110円から130円へ変わっています。入院を伴う透析患者にとっては、地味ながら確実に負担が増える改定なので、知っておく必要があります。
保険制度の見直しによって、収入に応じた自己負担の基準がより厳密になっている面もあります。申請や手続きが少し煩雑になったと感じる方も多いので、この記事でしっかり確認しておきましょう。
透析患者にとって絶対に忘れてはいけないのが「特定疾病療養受療証(とくていしっぺいりょうようじゅりょうしょう)」です。これは、透析治療を受ける際に、自己負担額の上限を月額1万円(または2万円)に抑えてくれる魔法のような制度なんです。
交付を受けるには、加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合・国民健康保険など)の窓口で申請します。申請書は病院で「これ書いてね」と言われることが多いので、病院のソーシャルワーカーさんや事務スタッフに一度確認するとスムーズです。
私も最初は「どこで何をすればいいの?」と混乱しましたが、病院の案内通りに手続きしたらすぐに受け取れました。これをクリニックの窓口に提出することで、自己負担額が1万円(または2万円)に抑えられる仕組みです。
この制度の仕組みは、簡単に言えば「透析は命に関わる治療なので、経済的負担をなるべく軽くしよう」という考えからスタートしています。健康保険では通常、医療費の3割を自己負担しますが、透析に関しては「特定疾病」として、さらに優遇されています。
では1万円と2万円の違いは何か?これは所得によって変わります。
| 区分 | 月額自己負担上限額 |
|---|---|
| 一般所得者 | 1万円 |
| 上位所得者(年収約770万円以上) | 2万円 |
ちなみに私の場合、年金受給とパート収入の範囲なので「1万円」で済んでいます。これがあるのとないのとでは、本当にお財布事情が違ってくるので、申請は必須です。
大切なのは、この受療証は「1つの医療機関ごと」に発行されるということ。たとえば、A病院で透析をしている場合、A病院での自己負担が1万円または2万円になりますが、もしB病院に行って別の治療を受けると、それは別カウントです。さらに、薬局や入院はそれぞれ別枠扱いになります。
よくある質問が「同じ病院で外来と入院が別扱いってどういうこと?」というものですが、これは保険制度上、入院と外来では請求が別なので、自己負担限度額も別になるというルールです。
A病院:外来透析 → 月1万円
A病院:入院治療 → 月1万円(別枠)
C薬局:薬 → 月1万円(別枠)
そのため、複数の施設を使っている人は、自己負担が複数発生する可能性があるので注意が必要です。
医療費の計算は、「診療報酬」というルールに沿って行われています。その中で、外来と入院は管理が別々になっているため、それぞれに上限額が設定されているのです。薬局はまた別の医療機関とみなされるので、こちらも別カウントになります。
つまり、患者側から見ると「まとめてよ!」と思うのですが、制度上は別々に自己負担がかかる仕組みになっている、ということです。
実際、私は入院と外来を同じ月に経験したことがありますが、「透析外来は1万円、入院はさらに1万円」支払うことになりました。これが意外と負担になるので、必要があれば高額療養費制度の併用も考えるといいですね。
申請はそれほど難しくありませんが、いくつかポイントがあります。
注意点は、「有効期限がある」ということ!たとえば、年度ごとに更新が必要な場合があり、その都度手続きしないと、無効になって自己負担が増えることも。私も1回うっかり更新を忘れて、1か月分の自己負担が増えた経験があります…。病院からの案内をしっかりチェックし、早めに更新手続きを済ませましょう。
この制度は、身体障害者手帳1級または2級を持っている人が対象で、医療費の自己負担分をさらに助成してくれる制度です。慢性腎臓病で透析をしていると、ほとんどの場合で身体障害者手帳1級の認定を受けられるので、対象となります。
自治体によって内容は違いますが、医療費の全額助成や自己負担分の返還などがあります。例えば私が住んでいる地域では、月1万円の自己負担を後から申請して払い戻しが受けられます(後払いですが、かなり助かります!)。
1級の認定を受けていると、医療費助成だけでなく、福祉サービスや交通費の補助も受けられます。
など、活用できるサービスは思った以上に多いんです。申請は面倒に感じるかもしれませんが、役所の窓口で親切に教えてもらえるので、ぜひ一歩踏み出してみましょう。
自立支援医療制度は、心身に障害のある人が社会生活を送るためのサポートをする制度です。透析はその対象となっており、原則1割負担に軽減される仕組みになっています。特に低所得世帯の方は、この制度を使うことで経済的負担がかなり軽くなるのが特徴です。
ただし、利用にはいくつか条件があります。
私自身、最初は「手続きが面倒くさそう…」と後回しにしていましたが、ソーシャルワーカーさんの助けもあって無事に申請できました。世帯の収入によって月額の自己負担上限額が決まりますが、私のケースでは月5,000円程度まで減額されています。
また、自立支援医療制度は「特定疾病療養受療証」と併用が可能ですが、申請の際は「どちらが適用されるか」窓口で確認が必要です。重複して使えない場合もあるので、役所や病院に相談しながら進めるのがベストです。
公的助成制度は国の制度もありますが、細かい部分は自治体ごとに違います。たとえば、
「隣の市は交通費の補助があるのに、うちの市はない…」なんてこともよくあります。なので、まずは自治体の「福祉課」「障害福祉課」「健康保険課」に問い合わせるのが第一歩。直接行けない場合は、電話やメールで相談してみてもOKです。
私は透析歴が長いので、引っ越しを経験しましたが、自治体による違いを痛感しました…。転居の予定がある人は、そのあたりも事前に調べておくと安心ですよ。
制度はたくさんあって便利ですが、申請方法を間違えると「使えなかった…」ということにもなりかねません。私が気をつけているポイントを紹介します。
私はこの方法でミスなく申請を続けていて、手続きで困ることが減りました。「分からないことはそのままにしない」のが、一番のコツだと思います。
透析患者が入院したときに意外と負担に感じるのが「食事療養費」です。透析治療の自己負担は軽減されても、入院時の食事は別料金になってしまいます。
2026年6月からの改定後、入院時の食事代は次のようになっています。
| 所得区分 | 2026年5月31日まで | 2026年6月1日以降 |
|---|---|---|
| 一般(現役並み所得含む) | 1食510円 | 1食550円 |
| 低所得Ⅱ | 1食240円 | 1食270円 |
| 低所得Ⅰ | 1食110円 | 1食130円 |
1日3食で考えると、一般所得者なら1日1,650円、1週間入院で11,550円、1ヶ月なら約49,500円という計算になります(改定前より負担が増えています)。
私も骨折で1ヶ月入院した時、この食事代の請求にびっくりしました…。入院の長期化が予想される場合は、事前に高額療養費制度や自立支援医療制度の併用を相談するといいですね。
透析患者は、薬の処方もかなりの頻度であります。
薬局で薬を受け取るときは、「特定疾病療養受療証」の範囲外なので、別に自己負担がかかるのが現実です。自立支援医療制度を適用できれば1割負担になる場合もありますが、条件があるためしっかり確認を。
私の例だと、月に3,000円〜5,000円くらい薬代がかかっています。「安い薬」に切り替えたり、医師と相談しながら薬を減らしてもらうことで、少し負担を軽減しています。
通院費も見落としがちな出費です。特に送迎サービスがない病院に通っていると、バス代・タクシー代・ガソリン代などがバカになりません。
【我が家のケース】
月合計で16,000円ほどかかっています。自治体によっては、交通費の助成がある場合もあるので、必ずチェックしましょう。ちなみに、私はタクシーチケットを使えるようになり、かなり助かりました!
透析患者でも入れる民間の医療保険や共済もあります。
私は県民共済に加入していて、1回の入院で5万円の給付を受け取れました。ただし、加入前の病歴によっては入れない場合や、給付に制限があるので注意が必要です。
【我が家の1か月の透析生活費】
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 透析自己負担 | 10,000円 |
| 薬代 | 4,000円 |
| 交通費 | 16,000円 |
| 入院食事代(該当月のみ) | 0〜45,000円 |
| 日常生活用品 | 5,000円 |
| 合計 | 約35,000円〜80,000円 |
あくまで一例ですが、透析費用は「自己負担が少なく見えても、トータルで考えると結構かかる」ということを実感しています。
医療費控除は、透析患者にとって絶対に利用すべき制度の一つです。1年間(1月1日〜12月31日)でかかった医療費の合計が10万円を超えると、確定申告をすることで税金が還付される可能性があります。
透析患者は通院回数が多く、医療費や交通費がかさむので、簡単に10万円を超えてしまいます。私の場合、毎月の自己負担や薬代、交通費、さらに入院費用などが年間30〜50万円ほどになるので、しっかり申告しています。
【医療費控除の対象となる費用】
| 内容 | 金額 |
|---|---|
| 透析自己負担 | 年間120,000円 |
| 薬代 | 年間60,000円 |
| 通院交通費 | 年間150,000円 |
| 入院・食事療養費 | 年間40,000円 |
| 合計 | 370,000円 |
これを申告することで、数万円の税金が還付されることも!医療費の領収書や交通費の記録はしっかり保管しておきましょう。
高額療養費制度は、医療費が一定額を超えたときに払い戻しを受けられる制度です。透析の場合、特定疾病療養受療制度で自己負担が月1万円〜2万円に抑えられるため、利用頻度は少ないかもしれません。しかし、入院や別の病気で治療を受けた場合などは、活躍することがあります。
例えば、私が胆石の手術で入院した際、医療費が30万円を超えたことがありました。その際に高額療養費制度を申請して、後から10万円ほど戻ってきたことがあります。
「限度額適用認定証」を事前に取得しておけば、窓口での支払い自体を抑えることができるので、入院や手術の予定がある場合は、早めに申請しておくのがおすすめです。
透析は一人で受けるものではありません。家族や支援者の協力があってこそ、治療も生活も続けられると私は感じています。
経済的なことも同じで、家族で情報共有することが節約の第一歩です。
私の家では、家族と「制度チェック表」を作って管理しています。これを冷蔵庫に貼っておき、みんなが確認できるようにしているおかげで、申請漏れや期限切れがなくなりました。
また、日々の生活費も「どこを節約するか」を家族で決めて、外食を控えたり、買い物をまとめ買いにしたりしています。これが意外と効果的で、月5,000円〜1万円の節約につながっています。
透析患者にとって、最新の制度情報やリアルな生活のコツは、SNSや患者会から得られることが多いです。私もTwitter(X)やFacebookの透析患者グループに参加していますが、「この自治体は送迎サービスがある!」「自立支援医療の申請でこうすると早い!」といった情報がたくさん流れてきます。
また、全国腎臓病協議会(JIN)や地域の患者会では、定期的に勉強会や情報交換会が開かれているので、参加するのもおすすめです。私も患者会で知り合った方から「うちの市ではこんな補助があるよ」と教えてもらい、実際に申請して助かったことが何度もあります。
情報は力!自分から積極的に取りに行く姿勢が、負担軽減に直結します。
透析は長期にわたる治療なので、未来を見据えた準備が大切です。私は毎月「医療費専用の貯金」をしています。具体的には、月5,000円〜1万円を「医療費口座」に入れておき、急な入院や治療費の増加に備えています。
これによって、突発的な出費があっても慌てずに済むので、精神的にも楽になりました。また、制度をしっかり利用して、できるだけ出費を抑えることが、この「医療費貯金」を続けるコツにもなっています。
家計の中で「医療費のため」と決めておくと、お金が減る不安も少なくなります。そして、家族や信頼できる人と情報を共有しながら制度を最大限活用することで、負担の少ない生活が実現できます。
透析治療は、長期にわたるため、経済的な負担が大きくなりがちです。しかし、日本の医療制度は透析患者をサポートするための様々な制度を用意しています。これらの制度を理解し、適切に活用することで、経済的な負担を軽減し、安心して治療を続けることができます。
この記事では、透析費用の仕組みから、自己負担を軽減するための具体的な方法、そして生活費を節約するための工夫まで、幅広く解説しました。
これらの対策を講じることで、経済的な不安を軽減し、より快適な透析ライフを送ることができます。
透析は、決して一人で抱え込む必要はありません。家族や医療機関と協力し、制度を最大限に活用することで、安心して治療を続けることができます。この記事が、あなたの透析ライフを支える一助となれば幸いです。