2026年7月29日

更新日: 2026年10月17日

「もう透析が必要です」──突然の宣告に、頭が真っ白になっていませんか?
「透析しないとどうなるんだろう」「これから私の人生はどうなるの?」そんな不安で、夜も眠れないかもしれませんね。
20年超透析を行っている筆者も、6年間食事療法と服薬で透析を回避し続けてきましたが、データも身体もすでに限界でした。受け入れの心構えはしていたつもりでしたが、透析が現実となると思うと、お先真っ暗になったような感覚に陥ります。だから、その痛みは分かります。
でも、安心してください。この先には、あなたが想像するよりもずっと普通の、そして充実した生活が待っています。
この記事では、透析をしないと体に何が起こるのか──初期症状から命に関わる末期症状まで正直にお伝えするとともに、20年超透析を行っている現役透析患者として、透析と共に希望を持って生きるためのリアルな視点もお伝えします。医療情報と体験談、その両方を一つにまとめた記事です。
そもそも、なぜ透析が必要になるのでしょうか。まず腎臓の働きを知ることが、すべての理解の出発点になります。
腎臓は私たちの体の中で「最高のろ過装置」として機能しています。血液中の老廃物を取り除き、必要な栄養素は体内に戻し、不要なものは尿として排出する──この複雑な作業を24時間365日、休むことなく続けています。他にも、血圧を調整したり、血液を作るホルモンを出したり、骨を丈夫にするビタミンDを活性化したりと、地味だけど、めちゃくちゃ重要な役割を担っています。

| 働き | 内容 | 低下するとどうなるか |
|---|---|---|
| 血液の浄化 | 老廃物・余分な水分を尿として排出 | 老廃物が体に蓄積(尿毒症) |
| 電解質のバランス調整 | ナトリウム・カリウム・カルシウム等を調整 | 高カリウム血症→不整脈・心停止リスク |
| 血圧の調節 | ホルモン(レニン等)の分泌で血圧を管理 | 高血圧が悪化・コントロール困難に |
| 赤血球の産生促進 | エリスロポエチンを分泌して骨髄に指令 | 貧血(だるさ・息切れ) |
| 骨の保護 | ビタミンDを活性化してカルシウム吸収を助ける | 骨がもろくなる(腎性骨症) |
この腎臓の機能を示す数値が「糸球体濾過量(GFR)」です。GFRが15%未満まで落ち込むと「末期腎不全」(CKDステージG5)と呼ばれる状態になり、透析導入を検討する目安となります(日本腎臓学会 CKD診療ガイド・日本透析医学会 維持血液透析ガイドラインより)。
私が透析を始めた頃、医師から「あなたの腎臓は正常の10%以下の機能しかありません」と告げられたときの衝撃は今でも忘れられません。ただし、透析を開始する時期はGFRの数値だけで機械的に決まるものではありません。症状の有無や日常生活への支障なども含めて、担当医が総合的に判断します。

透析が必要な状態なのに治療を受けないと、まず初期症状として以下のような変化が現れます。どれも「少し体調が悪い」程度に感じてしまいがちなのが、発見を遅らせる一因です。
最初に気づくのは、足首や顔のむくみでしょう。朝起きたときに目の周りがパンパンになっていたり、靴がきつく感じたりします。これは体内に水分が溜まっているサインです。
筆者の場合、透析前は夕方になると靴が入らなくなるほどでした。朝と夕方で体重が2kg以上変わることもザラでした。このむくみは見た目の問題だけではなく、内臓にも大きな負担をかけています。「ちょっと太ったかな?」と思っていたら、むくみのサインだったというケースは非常に多いです。
階段を上るだけで息が切れる、少し動いただけで異常に疲れる──これも腎機能低下の典型的なサインです。原因は主に2つあります。一つは体内の水分過多により肺に負担がかかること。もう一つは貧血です。
腎臓は赤血球を作るためのホルモン(エリスロポエチン)を分泌していますが、腎機能が低下するとこのホルモンも減少し、貧血を引き起こします。「会社の帰り、駅の階段を上るのがこんなにつらかったことはない」と感じた瞬間が、筆者が医師に相談するきっかけでした。
老廃物が体内に蓄積すると、消化器系にも影響が出てきます。食欲がなくなり、吐き気を感じることが増えます。
「何を食べても美味しくない」という状態は、老廃物による味覚の変化が原因です。透析を始めてからは「食事がこんなに美味しかったなんて」と感じる透析患者が多いのは、この変化が大きく改善されるためです。
初期症状を放置すると、より深刻な症状へと進行していきます。ここからは「命に関わる」レベルの話になります。
カリウムは筋肉や神経の機能に必要な電解質ですが、腎機能が低下するとカリウムを排出できなくなります。血中のカリウム濃度が上昇すると、不整脈や心停止のリスクが高まります。
筆者の透析仲間の一人は、透析前に高カリウム血症で緊急入院した経験があります。「何の前触れもなく突然胸がドキドキして、その後意識を失った」と言っていました。幸い一命は取り留めましたが、透析を始める決断が遅れていたら危なかったかもしれません。
腎臓は体内の酸塩基平衡を調整する重要な役割も担っています。腎機能が低下すると、体内に酸が蓄積し「代謝性アシドーシス」という状態になります。
これにより呼吸が速くなったり、筋肉の衰弱、骨からカルシウムが溶け出すなどの症状が現れます。長期間この状態が続くと、骨粗しょう症のリスクも高まります。透析前に「常に体がだるく、筋肉痛のような症状がある」という状態が続いていた筆者自身も、今思えばこれがアシドーシスの症状だったのかもしれません。
尿毒症が進行すると、皮膚にも変化が現れます。肌が黄色っぽく変色したり、異常な乾燥、そして耐えられないほどの痒みが生じることがあります。
これは「尿毒症性掻痒症」と呼ばれ、体内の老廃物が皮膚から排出されようとすることで起こります。特に夜になると全身が痒くて眠れないというケースも多く、精神的な消耗も大きい症状です。透析を始めてからこの症状は徐々に改善されますが、完全になくなるまでには個人差があります。
透析が必要な状態で治療を受けずに放置すると、最終的には命に関わる深刻な状態に陥ります。ここは怖く感じるかもしれませんが、透析の重要性を理解していただくために正直にお伝えします。
老廃物が脳に影響を及ぼすと、認知機能の低下、混乱、けいれん、さらには昏睡状態に至ることもあります。これを「尿毒症性脳症」と呼びます。
透析センターで知り合った方は、透析を始める前に「なぜか計算ができなくなった」「家族の名前が出てこなくなった」という経験をしたそうです。透析を始めてからは認知機能も回復しましたが、早期に治療を開始することの重要性を痛感させられる話でした。
尿毒症が進行すると、心臓を包む膜(心膜)に炎症が起こる「尿毒症性心膜炎」や、過剰な水分負荷による心不全のリスクが高まります。
胸の痛み、息切れ、不整脈などの症状が現れ、緊急の医療介入が必要になることも少なくありません。
透析が必要な状態で治療を受けずに放置すると、最終的には多臓器不全に至り、命を落とすリスクが非常に高くなります。
一般的に末期腎不全の状態で透析を受けなければ、数週間から数ヶ月で生命に関わる状態になるとされています。これは決して脅かすためではなく、透析の重要性を理解していただくためにお伝えしています。
| 状態 | 原因 | 主な症状 | 危険度 |
|---|---|---|---|
| 尿毒症 | 老廃物の蓄積 | 吐き気・頭痛・意識障害・けいれん | ★★★★★ |
| 心不全・肺水腫 | 余分な水分の蓄積 | むくみ・呼吸困難・息切れ | ★★★★★ |
| 高カリウム血症 | 電解質バランスの崩れ | 不整脈・心停止 | ★★★★★ |
| 貧血(腎性貧血) | エリスロポエチン減少 | だるさ・息切れ・めまい | ★★★☆☆ |
| 骨の脆弱化 | 活性型ビタミンD不足 | 骨折リスク上昇・骨の痛み | ★★★☆☆ |
透析は「罰」ではありません。これらの危険な状態を防ぎ、失われた腎臓の働きを補うための「手段」です。あなたらしい生活を取り戻すための、大切なパートナーなんです。
「どうして自分が透析にならなきゃいけないんだ…」そう思う方も多いでしょう。透析に至る原因は人それぞれですが、主なものとして以下の3つが挙げられます。
糖尿病の合併症として腎臓が悪くなるケースです。血糖値が高い状態が長く続くと、腎臓の細い血管(糸球体)がダメージを受けて、ろ過機能が低下していきます。現在、日本で透析を始める原因として最も多いのが、この糖尿病性腎症(新規導入患者の約38〜39%、日本透析医学会2023年末データ)です。
高血圧が長く続くことによって、腎臓の血管が動脈硬化を起こし、腎機能が低下する病気です。近年急増しており、2019年以降は透析導入原因の第2位(日本透析医学会2023年末データ)にまで増加しています。高血圧は自覚症状が出にくいため、気づかないうちに腎臓に負担をかけていることがあります。
腎臓の糸球体という部分に慢性的な炎症が起こる病気です。免疫の異常などが原因と考えられていますが、はっきりとした原因が分からないことも多いです。新規に透析を始める方の中では現在第3位(同データ)となっています。学校の検尿でタンパク尿や血尿を指摘されて発見されるケースもあります。
ここで一つ強調しておきたいのは、透析になったからといって「自己管理ができなかったからだ」と自分を責めないでほしいということです。病気の進行には体質や複数の要因が複雑に絡み合っています。筆者の場合は慢性糸球体腎炎が主な原因で、発見されたときはすでにかなり進行していました。原因が何であれ、今は前を向いて治療とどう向き合っていくかを考えることが大切です。
透析が必要だと診断されても、治療を拒否したり先延ばしにしたりする方は少なくありません。その背景には様々な心理的要因があります。
「自分はまだ大丈夫」「そんなに悪くない」という否認の気持ちや、透析に対する恐怖心から治療を避けることがあります。筆者も最初は「まだ若いのに透析なんて」と現実を受け入れられませんでした。
ただ、医師から「透析は人生の終わりではなく、新しい生活の始まり」と言われた一言が心に残っています。
週3回・4時間ほどの透析時間が必要になること、食事や水分の制限があること──こうした生活の大きな変化への不安も治療拒否の要因になります。
確かに透析を始めると生活は変わります。でも、驚くべきことに人間は適応する生き物です。筆者も最初は「こんな生活続けられるだろうか」と不安でしたが、今では透析の時間を読書や仕事の計画を立てる貴重な時間として活用しています。
透析に対する不安や恐怖がある場合は、腎臓専門医や透析看護師、心理カウンセラーなどの専門家に相談することをお勧めします。

患者会や支援グループに参加することで、同じ経験をしている人々から実践的なアドバイスや精神的なサポートを得ることができます。「一人じゃない」という実感は何物にも代えがたいものです。
ここからは、筆者自身の体験を正直にお伝えします。
筆者が透析導入を告げられたのは、20代後半の頃でした。仕事もプライベートも「さあ、これから!」という時期。当時は介護職をしており、天職だと思うほど「これからも続けたい」という気持ちがあったにもかかわらず、透析が現実となると「透析=人生どうなっちゃうの?」みたいに感じてしまって、絶望感でいっぱいになりました。
当時の両親や兄弟姉妹は、腎臓の治療経過から心身の症状の変化まで見守ってくれていました。私は気丈に振る舞っていましたが、内心は本当に不安で押しつぶされそうでした。「制限だらけの生活になるんじゃないか」「好きなことができなくなるんじゃないか」「周りに迷惑をかけるんじゃないか」──そんな漠然とした不安が次々と出てくる状態でした。
でも実際に透析を始め、少しずつ生活に慣れていくなかで、「あれ?意外と普通に生活できるじゃん」という気づきが訪れます。
透析導入直後は、体調の変化についていくのが大変でした。透析後のだるさとか、血圧の変動とか…。食事制限も最初は本当に戸惑いました。
管理栄養士さんに相談したり、透析仲間においしい工夫レシピを教えてもらったりしながら、少しずつ慣れていきました。今では外食だって工夫すれば楽しめますし、食生活もそれなりに楽しんでいます。たまに無性にラーメンが食べたくなる時こそ、食直前にリン吸着薬をきちんと飲んで、スープは少しだけ味わうようにしています(笑)。食事療法も大事ですが、たまに息抜きすることも大事です。

筆者は就職氷河期世代です。透析導入を機に働き方を見直す必要があり、事務職に舵を切り、資格取得と転職活動を療養期間中も同時進行で進めました。自宅から車で通え、夜間透析ができる病院と会社を選ぶこと──透析の場合、自宅・会社・病院の三つを同時に考えてバランスを取る難しさがあります。
こうして事務職で複数の会社を渡り歩きながら、20年超透析を行いながら働き続けることができています。役職にも就き、透析日以外で残業することもあります。これも会社、上司・同僚・部下からいただくサポートのおかげです。
一番大きかったのは「一人じゃない」と思えたことかもしれません。病院のスタッフや透析仲間との何気ない会話の中に「悩んでるのは自分だけじゃないんだな」と思えた瞬間、すごく心が軽くなりました。
透析には主に「血液透析」と「腹膜透析」の2種類があります。それぞれの特徴を理解し、自分のライフスタイルに合った方法を選ぶことが大切です。どっちが良いか、というのは本当に人それぞれです。
| 項目 | 血液透析(HD) | 腹膜透析(PD) |
|---|---|---|
| 治療場所 | 透析施設(病院・クリニック) | 主に自宅・職場 |
| 頻度・時間 | 週3回、1回4〜5時間 | 毎日(1日3〜5回の液交換)または夜間機械式(APD) |
| 通院頻度 | 週3回(必須) | 月1〜2回程度 |
| 自由度 | 通院スケジュールに縛られる | 時間・場所の自由度が高い |
| 食事・水分制限 | 比較的厳しい | 比較的緩やか |
| 主なリスク | シャントのトラブル | 腹膜炎・カテーテル感染 |
| 長期使用 | 長期継続しやすい | 腹膜機能の限界で血液透析へ移行が多い |
血液透析は、専用の透析機器を使用して血液を体外に取り出し、ダイアライザー(人工腎臓)で浄化した後に体内に戻す方法です。通常、週3回、1回4〜5時間程度、透析施設に通って行います。
治療を受けるためには、腕の血管を手術して血液を効率よく取り出せるよう「シャント」を作る必要があります。このシャント、透析患者にとってはまさに「命綱」です。筆者もこの左腕のシャントと共に、20年超透析を行い続けています。透析中は読書や仕事の計画を立てるなど、自分なりに時間を有効活用するようにしています。ぶっちゃけ、寝てることも多いですけどね(笑)。
腹膜透析は、お腹の中の腹膜を利用して血液を浄化する方法です。腹部に留置したカテーテルから透析液を注入し、一定時間後に排出します。透析液の交換は基本的に自宅や職場で自分自身または家族が行います。夜寝ている間に機械が自動で交換してくれるAPD(自動腹膜透析)という方法もあります。
自宅でできる自由度は魅力ですが、毎日の処置が必要で、腹膜炎などの感染症リスクもあります。どちらの方法を選ぶかは、体の状態や生活スタイル、価値観なども含めて、医師と相談しながら決めていくことになります。
状況によっては、血液透析と腹膜透析を併用したり、一方から他方に移行したりすることもあります。どの方法を選ぶにせよ、医療チームとよく相談し、自分の生活スタイルや価値観に合った選択をすることが重要です。
「透析患者はあれもこれもできない」というイメージを持っている方もいるかもしれません。でも、それはちょっと違います。

| 分野 | できること・工夫のポイント |
|---|---|
| 仕事 | 体調に合わせて働き方を調整・職場の理解を得ながら継続可能。筆者自身も20年超透析を行いながら働き続けています |
| 旅行 | 事前に旅先で透析を受けられる施設(旅行透析・臨時透析)を予約すれば、国内旅行も海外旅行も可能 |
| 趣味・スポーツ | 体調に合わせてウォーキング・ストレッチ・筋トレ(無理のない範囲で)なども十分楽しめる。主治医と相談しながら自分に合ったペースを見つけることが大切 |
透析生活は確かに「制限」もあります。でも、その中でどうやって「自分らしく」生きていくか、どうやって「QOL(生活・人生の質)」を高めていくか──それを考えることが、すごく大事なんだと、20年超透析を行いながら感じています。
透析を受けながらも、充実した生活を送ることは十分に可能です。実体験から、生活の質を高めるためのいくつかの工夫をお伝えします。

透析患者は一般的に、カリウム・リン・塩分・水分などの制限があります。しかし、これは「何も食べられない」ということではありません。野菜は茹でこぼしてカリウムを減らす、塩の代わりにハーブやスパイスで味付けする、水分制限がある場合は氷を舐めて喉の渇きを癒す──こうした工夫は習慣になります。
最近は透析患者向けの宅配食やレシピ本も充実しています。栄養計算されていて塩分やカリウム・リンが調整されている宅配弁当サービスは、毎日の食事作りの負担を減らしたい方に特に助かります。
透析を受けていても、適切な運動は体調管理に非常に重要です。医師と相談の上、ウォーキングや軽い筋トレなど、自分に合った運動を続けることをお勧めします。筆者は透析日以外の朝に30分のウォーキングを習慣にしています。始めた当初は疲れやすかったですが、続けるうちに体力がついてきました。運動は身体だけでなく、心の健康にも良い影響を与えてくれます。

透析生活では、時に落ち込んだり不安になったりすることもあります。そんな時は、家族や友人、同じ透析患者との交流、必要に応じて心理カウンセラーなどの専門家のサポートを受けることも大切です。
筆者自身、透析を始めて数年経ったころに精神的に落ち込む時期がありました。患者会で知り合った先輩患者さんの「透析は人生の一部であって、人生そのものではない」という言葉に救われました。今では筆者もその言葉を新しい透析患者に伝えています。
透析治療は身体的・経済的な負担が大きいですが、日本には透析患者を支援するための様々な制度があります。手続きが複雑に感じることもありますが、病院のソーシャルワーカーさんや役所の担当窓口に遠慮なく相談してみてください。
| 制度名 | 内容・メリット | 相談・申請窓口 |
|---|---|---|
| 特定疾病療養受療証 | 透析治療の自己負担が月1万円(高額所得者は2万円)になる。透析開始後すぐに申請を | 加入している健康保険窓口(協会けんぽ・組合・役所等) |
| 身体障害者手帳(腎臓機能障害) | 透析患者は1級に認定されるケースが多い。各種福祉サービス(税金控除・交通費割引・NHK受信料減免等)が受けられる | 住民票のある市区町村の障害福祉課 |
| 自立支援医療(更生医療) | 医療費の自己負担が原則1割に。所得に応じた月額上限あり | 住民票のある市区町村窓口 |
| 障害者医療費助成(重度心身障害者医療) | 身体障害者手帳1〜2級取得者への医療費助成(自治体によって内容が異なる) | 住民票のある市区町村窓口(自治体により差異あり) |
| 障害年金 | 一定の障害状態の場合に受給できる公的年金。透析患者は申請対象となることが多い | 年金事務所またはかかりつけ医・病院の相談員 |
※医療費助成制度は自治体によって内容・所得制限が異なります。詳細は必ず担当窓口でご確認ください。
筆者も透析を始めた当初は医療費の不安がありましたが、ソーシャルワーカーに相談して必要な手続きを教えてもらいました。制度をきちんと利用することで、経済的な負担はかなり軽減されます。また、透析導入後に障害年金の申請書類不備で却下されたというケースも散見されます。そのような時は社会保険労務士のアドバイスを受けて再申請することも、大切な選択肢の一つです。

透析と長く付き合っていくためには、前向きなマインドセットが非常に重要です。
透析が必要だと診断されたとき、多くの人は否認・怒り・交渉・抑うつ・受容というステージを経験します。これは自然なプロセスであり、一人ひとりのペースで進んでいくものです。無理に前向きになろうとせず、自分の感情を大切にしながら少しずつ進んでいくことが大切です。
大きな目標よりも、達成可能な小さな目標を設定することで、成功体験を積み重ねていくことができます。「今月は透析中に1冊本を読む」「週に2回は30分歩く」など、具体的で達成可能な目標から始めてみましょう。
筆者は透析を始めた頃、「1年後に家族で温泉旅行に行く」という目標を立てました。旅行先の透析施設の手配など、一つひとつクリアしていくことで自信がつきました。目標があると、透析生活にも前向きに取り組めるようになります。
同じ透析患者との交流は、情報交換だけでなく精神的なサポートにもなります。患者会や交流会、SNSやオンラインコミュニティなどを活用してみましょう。
「一人じゃない」という感覚は、透析生活を続けていく上で何物にも代えがたい力になります。
透析宣告を受けて、今、不安や絶望の中にいるかもしれません。未来が見えないように感じているかもしれません。でも、どうか思い出してください。あなたは決して一人ではありません。
家族や友人、そして医師・看護師・臨床工学技士・管理栄養士・ソーシャルワーカーといった医療チームが、あなたのそばにいます。そして、筆者のように同じ透析という治療を受けながら、日々を生きている仲間がたくさんいます。
不安が完全になくなることはないかもしれません。でも、透析を受けながらでもできることはたくさんあるし、新しい楽しみだって見つけられる。焦らなくていいんです。少しずつ、自分のペースで、新しい生活に慣れていけばいいんです。
この記事のまとめ ・透析しないと、尿毒症・心不全・肺水腫・高カリウム血症など、命に関わる状態になります |
20年超透析を行いながら生きてきて、様々な困難もありましたが、家族との時間、仕事での達成感、趣味を楽しむ喜びなど、かけがえのない経験をたくさん積み重ねてきました。透析は人生の終わりではなく、新しい生活の始まりです。適切な医療サポートと自己管理、そして前向きな気持ちがあれば、透析と共に充実した人生を歩むことは十分に可能です。
もし今、透析を始めるかどうか迷っているなら、ぜひ医療チームに相談し、同じ経験をしている透析患者の声に耳を傾けてみてください。焦らず、比べず、諦めず。一歩ずつ、あなたのペースで進んでいきましょう。